何を見たらいいの?ロープを選ぶときの4つのポイント!
ロープを使用して岩壁を登る「ロープクライミング(ルートクライミング)」では、ボルダリング以上の高さを登ります。安全を確保するために使うロープはまさに命綱。ロープには径や重量などさまざまな種類があり、利用シーンに合わせた最適なモデルを選ぶことが必要です。
ザイルと同じ?クライミングロープの基礎知識
ロープは英語、同じ意味を持つもう1つの言葉「ザイル」はドイツ語です。
フリークライミングで使用するのはダイナミックロープという種類で、墜落時の衝撃を緩和するために伸縮性があるのが特徴。ロープの安全基準である「UIAA耐墜落回数」で強度を比較できます。太いロープほど頑丈ですが、細くても強度が高いモデルが最近のトレンド。
ロープの選び方①|種類
ロープの選び方②|長さ
一般的に、ロープの長さは30~80mが用意されており、長さによって値段も異なります。ジムでは30~40mで対応できることがほとんど。岩場も行く人は、使いやすく汎用性が高い50mのロープがおすすめです。利用シーンに合わせてロープの長さを選びましょう。
ロープの選び方③|ロープ径(太さ)
ロープの選び方④|表面加工
ロープは水を吸収すると重くなり強度が低下するため、撥水加工や防水加工されているモデルがあります。ジムがメインの人は、防水加工がないロープでも問題ありません。
岩場に行く人は泥や水でロープが汚れる可能性があるため、撥水加工のあるロープがおすすめ。また屈曲したルートでもロープがスムーズに流れます。ただ撥水加工が施されたロープは価格も高くなるので、お財布と相談して選びましょう。
はじめての1本におすすめ!入門モデルのシングルロープ10選
BEAL(べアール)
安定した性能でビレイがしやすい10mmのロープ。撥水加工を省くことで手頃な価格を実現。予算を抑えたいビギナーにおすすめです。
■カルマ(9.8mm)
バイラスと同じく撥水加工を省いた手頃な価格のロープです。細径ロープの軽さとビレイ操作のしやすさを備えています。
MAMMUT(マムート)
ドライシリーズは、マムートのロープ製品の中で最も頑丈で耐摩耗性に優れた構造をしています。ジム用のロープですが、ドライ加工を施しているために汚れが付きにくく、ロープも長持ち。
EDELRID(エーデルリッド)
メーカー特有の柔軟な質感が特徴であるサーモシールド加工が施されています。スポーツクライミング用に作られたパイトンは外皮が丈夫なため、岩場にもしっかり対応。表面加工を省くことで低価格を実現したモデルです。
■ボア(9.8mm)
パイトンと性能がほぼ同様のボアは、手の小さい人でも扱いやすい9.8mmの細径モデル。抜群の操作性と軽さを求める人におすすめのロープです!
PETZL(ペツル)
ジムと岩場のどちらでも安心して使える、外皮が厚くて耐久性の高い10.1mmのロープ。柔軟性に優れ、ビレイ時のロープ操作がスムーズに行えます。
■コンタクトウォール(9.8mm)
ジムで使用するのに適したコンタクトウォールは、持ち運びしやすく収納しても嵩張らない40mの長さ。
EDELWEISS(エーデルワイス)
螺旋状に編み込まれたラウンドコアによりキンク(捩れ)が起きにくい作り。やや高価ですが、ビレイデバイスとの相性も良く、耐摩耗性と操作性にも優れた1本です。
■オーフレックス(9.8mm)
こちらはオーフレックス(10.2mm)と同様の性能で、手頃な価格の細径モデル。外皮が滑らかで扱いやすく、ビレイ操作がスムーズに行えます。
アウトドアシーンにおすすめ!ワンランク上のシングルロープ10選
ジム向きのロープと違い岩場までのアプローチがあるので、軽量な細径モデルがおすすめ。また突然の雨や泥、砂ぼこりなど汚れやすい環境のため、撥水加工等がされているロープが最適です。ジムだけでなく、岩場でも楽しみたい人におすすめのロープを紹介します!
BEAL(べアール)
■タイガー ユニコア ドライカバー(10mm)
ベアールの独自技術のドライカバー加工で、砂ぼこりや湿気からロープを守ります。バランスに優れた操作性と耐久性に、外皮と芯を接着するユニコア製法の採用でさらに品質が向上し、初級者にも扱いやすいロープです。
■ブースターⅢ ユニコア ドライカバー(9.7mm)
適度な耐久性と操作性を備えた細径ロープで、移動距離が長くても負担の軽い9.7mm。軽さのほかに、優れた安全性と撥水性のドライカバーユニコアが施されています。
MAMMUT(マムート)
■9.8 Crag Dry Rope(9.8mm)
スポートクライミングやトラッドクライミングなどの使用に最適なロープです。細径・軽量・高性能、そしてドライ加工も施されて汎用性が高く、高難度のグレードに挑む人にもおすすめ。
EDELRID(エーデルリッド)
■ヘロンエコドライ(9.8mm)
ヘロンプロドライが環境に優しいエコドライ処理になり、ヘロンエコドライに改名。外皮はもちろん芯まで撥水加工されているため、ジムや岩場に加え、ミックスルートやアイスクライミングでも高い安全性を発揮。しなやかさが持続するサーモシールド加工を採用しています。
■イーグルライトプロドライ(9.5mm)
プロドライシリーズの撥水加工とサーモシールド加工はそのままで、さらにロープ径が細いイーグルライトプロドライ。ハイグレードに挑む中・上級者におすすめのロープです。
PETZL(ペツル)
■コンタクト(9.8mm)
ジムと岩場で使用できるオールラウンドのコンタクト。外皮が厚くて耐久性に優れ、そしてロープ操作がしやすいため、ビレイ時のロープの繰り出しがスムーズです。
EDELWEISS(エーデルワイス)
■エクセス(9.6mm)
国際山岳連盟で高評を得た撥水加工のエバードライが施されています。また、芯と外被を結合させるユニコア加工により、ロープ破断の時に外皮がずれ落ちることのない安全性の高いロープです。軽量でアウトドアシーンにおすすめ。
エナジー(9.5mm)
■スーパーエバードライ加工で芯と外被に優れた撥水効果があるほか、ユニコア加工で安全性の高い1本。アルパインに加え冬期登攀やアイスクライミングなどにも対応した、上級者向けモデルです。
ロープと一緒にそろえよう!ロープバッグとアクセサリー
携帯に便利!一緒に揃えたいロープバッグ5選
ジムでも岩場でもロープバッグがあると便利です。持ち運びしやすく、容量が大きいタイプはシューズやハーネスも収納できます。アウトドアでは、汚れからロープを守るためにシートが付いたタイプがおすすめ。
■ブラックダイヤモンド フルロープ ブリトー
80mロープまでのロープ収納に最適なロープバッグ。4つの持ち手がシートの端についているため広げやすく、ルート間の移動も便利です。
■ブラックダイヤモンド スーパーシュート ロープバッグ
ジョウゴ形状のロープシートが付いています。ロープを巻いて収納したり、ロープを滑らせて素早く収納することも可能です。
■マムート Crag Rope Bag
70m、80mのロープとクライミングギアが収納できるバックパック型。アクセスしやすい大きなロール式の開口部は、荷物量に応じてぴったりと収納可能。ロープシートも付いています。
■ペツル クリフ
100mまでのロープとグライミングギアが収納可能。取り外しできるロープシートが付いています。フォーム入りのショルダーベルトとチェストベルトで、重いクライミングギアを入れても安定した背負い心地。
■メトリウス ロープマスター HC
70mのロープとクライミングギアも収納できる大容量の32リットル。シートも付いているので、岩場のロングルートにトライする人におすすめです。
汚れ放置はNG!ロープのメンテナンス道具
ロープが泥や砂で汚れたままにしておくと、繊維の劣化が加速してしまいます。ロープを長持ちさせるためにロープを定期的に洗うことは、非常に大切です。ロープのメンテナンスを行い、きれいなロープで安全にクライミングを楽しみましょう!
■ロープクリーナー
ナイロン製のクライミングギアが洗える液体石けんです。添加物が入っていない天然成分100%で、ロープやハーネスなどの繊維を傷めません。
LOST ARROW ONLINE STORE|ベアール ロープクリーナー
■ロープブラシ
汚れたロープの表面を簡単に掃除できるのがロープブラシ。コイル状のブラシは持ちやすくて、動かしやすい幅に調整できます。
基本中の基本!ハーネスに結ぶロープワーク『エイトノット』の作り方

ジムや岩場などロープを使うクライミング全般で必須となるのが、ハーネスとロープをつなげる結び方の「エイトノット」です。ロープワークの中でも基本中の基本で、最も重要な結び方の一つ。正しく覚えて、確実に結べるようにしましょう!
ステップ1|8の字の“作り方”
ハーネスに結ぶ場合のロープの長さはおおよそ股下分です。(※ここでは結び方の手順を分かりやすくするために短く作っています。)
①左手にロープを持ち、時計回りに180度ひねる
②さらに時計回り180度ひねる
③奥側からロープを通す
④まっすぐ引っ張り「8の字」が出来ていればOK
ステップ2|8の字の“結び方”
①自分から見て入口が狭い方から末端を通し、8の字に沿わせる
②ポイントは最初に作った8の字の下にぴったりくっつけること
③各工程ごとにロープをきっちり締める
④末端処理を行うことでロープの緩みを防止する
⑤末端処理の結び目はとエイトノット隙間なく作る
⑥末端の長さはロープ径のおよそ5倍が目安
マイロープで充実したクライミングを!
何度かロープクライミングを経験すると、自分のクライミングスタイルの方向性が見えてきます。これからはマルチピッチクライミングもしてみたい!など、挑戦したいジャンルも出てくることでしょう。
ロープの種類もたくさんあり、個性もさまざま。クライミングのスタイルやスキルに合わせてロープを選び、安全にクライミングを楽しみましょう!