見晴らし抜群!竜ヶ岳ってどんな山?
竜ヶ岳(りゅうがだけ)は、山梨県と静岡県にまたがる標高1,485mの山。天子山地(てんしさんち)の最北端に位置し、富士五湖のひとつ「本栖湖」の南岸にそびえています。
「山梨百名山」にも数えられ、山頂や登山道から雄大な富士山を一望できる山として人気。また、千円札に描かれる逆さ富士と共にそびえる山としても知られています。
伝説が語られる信仰の山
かつて「小富士」と呼ばれていた竜ヶ岳には、竜神にまつわる伝説が残されています。
その昔、本栖湖には竜が住んでおり「富士山から流れ出た溶岩の熱さに、山へ逃げ入ったことから山名が竜ヶ岳となった」と伝えられています。他にも「村人に富士山の噴火を知らせるため、竜が山頂から天へ駆け上がった」という説も。地元では、今でも竜ヶ岳を信仰の山として崇めています。
冬季には、山頂からダイヤモンド富士を堪能
竜ヶ岳が人気な理由のひとつに、山頂から感動的なダイヤモンド富士が眺められることが挙げられます。富士山の頂きから昇ってくる神々しいご来光。年末年始、特に元旦の朝には多くの登山客やカメラマンで賑わいます。
年初めにダイヤモンド富士を拝めたら、なんだか素敵な1年を過ごせそう。ちなみに、ダイヤモンド富士が見られる期間は、例年12月上旬〜1月上旬ごろです。
富士山をつまみに美味しい山ごはん
山梨県の「山のグレーディング」にて難易度A判定の竜ヶ岳は、初心者にも比較的登りやすい山。そのため、夏はもちろん冬場でも多くの登山客が訪れます。
広くて平らな山頂では、テーブルが設置されており、のんびりランチを満喫するのに絶好の場所。登山者の中には、調理器具などを持参し凝ったメニューを作るグルメな人たちも。美しい富士山を満喫しながら食べる山ごはんは、また格別です!
竜ヶ岳の登山適期は?
竜ヶ岳の登山シーズンは、積雪のない4月上旬から11月下旬ごろ。ただ、低山で登りやすい山なので、1年を通して多くの登山客が訪れます。12月から2月ごろに登る場合は、登山道に積雪もあるので軽アイゼンを持参することをおすすめします。
【日帰り定番コース】石仏ルート〜湖畔ルート
最高点の標高: 1463 m
最低点の標高: 900 m
累積標高(上り): 1097 m
累積標高(下り): -1097 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:4時間9分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
コースの詳細
広さもあり、良く整備された竜ヶ岳登山者用駐車場から登山をスタートします。キャンプ場の敷地内を通り過ぎて、道標が出てきたら竜ヶ岳登山道入口方面へと進んでいきましょう。
竜ヶ岳登山道入口からは、本格的な登山道となります。はじめは九十九折の急登が続き、グッと高度を稼いでいきます。樹林帯の登山道は良く整備されており、道標も設置されているので迷うことはないでしょう。
20分ほどで傾斜が緩やかになり、木々の間からは所々で青い本栖湖や富士山を望めます。樹林帯の登山道を1時間ほど登り小ピークに出ると、ベンチが設置された見晴らしの良い広場に到着。
広場から登り返すと傾斜が緩やかになってきます。熊笹が茂る登山道になると次第に視界も開け、眼前に富士山の全貌が望めるでしょう。春には、ピンク色の芝桜が咲き誇る姿が眼下に広がります。
熊笹の平坦な登山道を歩いていくと、あずま屋のある見晴らし台に到着。そばには伝説の竜を供養した石仏が祀られています。樹海広がる絶景の富士山を眺めつつ、ひと休みするのにもちょうどいい場所。
見晴らし台を過ぎると、熊笹の登山道は九十九折の急斜面になります。眺望が開け、登山道からは雄大な富士山をずっと眺めることができます。しばらくすると湖畔からのルートとの分岐に。
傾斜がなだらかになると、山頂はもうすぐです。竜ヶ岳の頂上は、熊笹を刈り取られた平らな大地。かなり広さがあるのでゆっくり休憩したり、富士山を見ながらの贅沢なランチを楽しむことができます。
360度の大パノラマからは、富士山をはじめ雨ヶ岳、毛無山、南アルプスの山々や、八ヶ岳、金峰山などの名峰が楽しめ、静岡方面には駿河湾も望めます。きっと忘れられない至福の時間を過ごせることでしょう。
存分に絶景を堪能したら、名残惜しいですが下山へと向かいましょう。登ってきたルートを下り、分岐からは湖畔コースへと進みます。こちらは残念ながら、富士山の展望はほとんどありません。
湖畔コースは、登りのルートに比べて短時間で下山することができます。ただ、倒木が横切ったり急斜面や木の階段は湿っていると滑りますので、足元に気をつけてください。分岐からは湖畔方面に向かいましょう。
本栖湖登山口まで着いたら、歩道を歩いてスタートの駐車場を目指します。時間に余裕がある方や富士山をもっと眺めたい人は、往路と同じピストンコースがおすすめです。
【日帰り周回コース】竜ヶ岳〜端足峠〜本栖湖畔
最高点の標高: 1467 m
最低点の標高: 900 m
累積標高(上り): 1396 m
累積標高(下り): -1396 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:約5時間16分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
コースの詳細
竜ヶ岳山頂までは、定番コースでご紹介したルートで登ります。富士山を十分満喫したら、山頂から笹原の稜線を歩いて端足峠方面へと下っていきましょう。
下りはじめは毛無山や富士山も見え爽快な登山道ですが、次第に荒れている場所なども出てきます。倒木もあり、雨天時は滑りやすいので気をつけて下りましょう。40分ほどで端足峠に到着。
端足峠(標高1,272m)からも木々の間から富士山が望めますが、ここで一旦見納め。端足峠から先に伸びる道は、雨ヶ岳や毛無山へ縦走することも可能です。竜ヶ岳と一緒に登頂を目指す登山者も多くいます。
端足峠からは、北斜面の尾根道を本栖湖方面に下っていきます。3月ごろまでは、登山道に積雪が残る箇所もあるので注意してください。しばらくすると分岐に出ますので、本栖湖畔方面へ下りていきましょう。
この辺りの登山道は、少し道が分かりづらいところがあります。登山道を示す赤色のテープが木に貼ってあるので、見落とさない様に進んでください。
登山道を下っていくと県道への分岐が現れます。分岐を進んで県道まで下ると、端足峠入口の登山口に到着。本栖湖遊歩道が並行してありますが、道が荒れアップダウンもあるので、今回は湖畔の県道を歩きましょう。
ここからは県道709号を歩くため、車や自転車には十分気をつけましょう。少し長めの車道歩きになりますが、風にさざめく美しい湖面を眺めながら、のんびり景色を満喫してみてはいかがですか。
湖畔を歩いていくと、本栖湖畔登山口が現れます。ここまでくればゴールまではあと少し。登山口からは、車道を歩いて10分ほどでスタートした湖畔の駐車場に到着します。
立ち寄りたい周辺施設情報
竜ヶ岳に登山の際、立ち寄りたい周辺の観光地や温泉施設などを紹介します。登山計画の際に、ぜひ参考にしてみてください。
透明度抜群!癒しの本栖湖
富士五湖の中で、最西端に位置する本栖湖。全国で8番目に深い湖で、水深は138mもありその透明度は本州No. 1を誇っています。
本栖湖の澄んだ湖面に映る逆さ富士は、あまりにも有名。本栖湖では潜水艦型遊覧船の「もぐらん」に乗って、ニジマスやヒメマスなどを見ることもできます。登山と一緒に、ぜひ湖越しの富士山と竜ヶ岳の絶景も堪能してみてください。
湖畔まですぐ!本栖湖キャンプ場
60年以上の歴史を誇る老舗のキャンプ場。本栖湖に隣接している立地のため、湖畔の散策やウォータースポーツも楽しめるので多くのリピーターが。テントサイトの他に、バンガローやコテージもありますので、お好みのキャンプライフを満喫してみてはいかがでしょうか。
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町本栖 18
温泉三昧!富士眺望の湯ゆらり
ゆらりは、雄大な富士山を見ながら、なんと16種類ものお風呂を楽しめるます。パノラマ風呂、霊峰露天風呂、洞窟風呂、蒸し風呂など個性的な湯船に大満足。地下1,000mから湧き上がる天然温泉が、登山の疲れを癒してくれることでしょう。無料のリラクゼーションルームや休憩所、お食事処も併設されています。
住所:山梨県南都留郡鳴沢村8532-5
インスタ映え必須!富士芝桜まつり
竜ヶ岳のそばにある「富士本栖湖リゾート」では、毎年4月中旬から5月下旬になると、80万株の芝桜が辺り一面に咲き乱れます。鮮やかなピンク色の芝桜と、竜神池や富士山との競演が見事。毎年開催される「富士芝桜まつり」には県内外から多くの観光客が訪れます。
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町本栖212
アクセス・駐車場情報
竜ヶ岳の登山時にアクセスする登山口と、最寄りの駐車場の情報をお伝えします。登山時の参考にしてください。
竜ヶ岳登山者用駐車場
竜ヶ岳登山口へは、本栖湖キャンプ場に併設する竜ヶ岳登山者駐車場を利用します。整備された大きな駐車場で、登山口までは10分程度です。
芝桜のシーズンや元旦は混雑が予想されますので、早めに駐車場に到着することをおすすめします。(本栖湖畔登山口へアクセスする場合も、こちらの駐車場を利用。登山口までは湖畔の歩道を歩いて10分ほど。)
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町本栖
【車の場合】
・中央自動車道:河口湖ICよりR139本栖湖方面ヘ(約30分 )
・東名高速道路:新富士ICより河口湖方面へ(約50分)
【交通機関の場合】
・新宿バスタより高速バスで本栖湖(夏季のみ)(約120分)
・河口湖駅から富士急行バスで本栖湖(約60分)
・新富士駅から富士急行バスで本栖湖(約80分)
富士山が美しく眺められる竜ヶ岳へ
美しい富士山をじっくり眺めながら登山が楽しめる竜ヶ岳。素晴らしい景色の中で、あらためて山に登る喜びを感じることができるでしょう。絶景を見ながら、広々とした山頂で本格的な山ごはんを作るのも楽しいですね!そして来年の元旦には、ぜひ憧れのダイヤモンド富士にチャレンジしてみてはいかがですか。
【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山してください。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに! ・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんでください。