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「アイゼン歩行」をマスターしよう!雪山登山の必携アイテムについてプロガイドが解説(2ページ目)

基本は「フラットフッティング」

全ての爪が雪面に刺さるように靴底全体を使って歩きます

撮影:washio daisuke(全ての爪が雪面に刺さるように靴底全体を使って歩きます)

装着しているアイゼンの爪。その全ての爪がしっかり雪面に刺さるように、靴底全体を雪面に設置させて歩くのが、基本の歩き方です。これを「フラットフッティング」といいます。
雪面の斜度が増してフラットフッティングしにくい場合は、爪先を時計の針のように開いて調整しましょう。

片足は開き、もう片足でフロントポイトすると疲れにくい

撮影:washio daisuke(片足は開き、もう片足でフロントポイトすると疲れにくい)

さらに斜度が増したら「フロントポイント(キックステップ)」で爪先のみを雪面に蹴り込んで登りますが、足(特にふくらはぎ)に負担がかかるので片足ずつフロントポイントで歩くのもコツ。
より慎重な行動が必要な下りでは、腰を落として重心を低くするのがポイントです。

撮影:washio daisuke(斜度に応じて爪先を開いてフラットフッティングを維持します)

*NG例その1〜両足の間隔が狭い〜
片足の爪をもう片足に引っかけるともつれるように転倒して大変危険です

撮影:washio daisuke(片足の爪をもう片足に引っかけるともつれるように転倒して大変危険です)
歩く時に両足(特に踵)の間隔が狭いと、片方の足のアイゼンの爪をもう片方の足に引っ掛けてしまい、転倒の原因になります。
段差のある斜面を登る時も同様で、片方の足のアイゼンの爪がもう片方の足の内側のウェアを傷付けてしまう場合があるため、両足の間隔には注意しましょう。

 

撮影:washio daisuke(両足の踵は足がもうひとつ入る程度の間隔を開けましょう)

斜面をトラバースする時の歩き方

トラバースの時は山側の足は進行方向に向け、谷側の足は下方向の谷側に開いて接地

撮影:washio daisuke(トラバースの時は山側の足は進行方向に向け、谷側の足は下方向の谷側に開いて接地)
斜面をトラバース(平行に横切る)時は、山側の足の爪先は進行方向に、谷側の足の爪先は下に向けて歩くのがコツ。
斜面を斜めに横切る時も同様。この時、進行方向に応じてピッケルは常に山側の手に持ち替えることが大切です。

 

撮影:washio daisuke(両足の踵は足がもうひとつ入る程度の間隔を開けましょう)

*NG例その2〜山側の足のアイゼン全体が接地していない
アイゼンの片方だけしか接地していないと滑落の原因に…

撮影:washio daisuke(アイゼンの片方だけしか接地していないと滑落の原因に…)

トラバースで注意しなければいけないのが山側の足の置き方。水平に足を置くとアイゼンの山側の爪しか雪面に刺さっていない状態になってしまい、滑落の原因になります。

膝を内側に入れるイメージで…

撮影:washio daisuke(膝を内側に入れるイメージで…)
谷側の爪も雪面に刺さるように、膝を内側に入れて雪面を踏み込むようにしましょう。

 

撮影:washio daisuke(山側の足も爪全体が雪面に刺さるよう置きましょう)

応用編その1:ダイアゴナル

足を交差させながら斜めに進むダイアゴナル

撮影:washio daisuke(足を交差させながら斜めに進むダイアゴナル)
傾斜がきつい斜面や段差を登降する時は直登すると辛いもの。そんな時に有効なのが、足を交差させながら斜めに斜面を歩く「ダイアゴナル」。アイゼンの爪を引っかけないような足さばきが重要です。

 

撮影:washio daisuke(スムーズに足を交差させるようにしましょう)

応用編その2:氷上でのアイゼン歩行

氷上ではより着実はアイゼン歩行を…

撮影:washio daisuke(氷上ではより着実はアイゼン歩行を…)
雪面以上に硬くアイゼンの爪が刺さりにくい氷の上。しかもいったん滑ってしまうと止まりません。原則は雪上でのアイゼン歩行と同じですが、更に慎重にアイゼンの爪を氷に刺しながら着実に登降しましょう。これまでのテクニックの集大成として、動画をご覧ください。

 

撮影:washio daisuke(氷の上ではより慎重で着実なアイゼン歩行を…)

正しい知識で安全なアイゼン歩行を!

正しいアイゼン歩行で安全な雪山登山を!

撮影:washio daisuke

いかがでしたか?正しい歩き方を実践しないと転倒・滑落など大事故に関わるアイゼン歩行…。この記事をきっかけに、正しいアイゼン歩行をマスターして楽しく安全な雪山登山を満喫していただければ幸いです!

監修:天野和明ガイド

監修:天野和明ガイド

提供:株式会社石井スポーツ

クライマー・国際アスピランガイド。2009年にインドヒマラヤ・カランカ北壁のアルパインスタイル初登攀により、 登山界のアカデミー賞と呼ばれるピオレドール賞を日本人として初めて受賞。現在は石井スポ ーツ登山学校校長として、スタンダードな登山技術、知識の伝達や後進の育成に努めている。201912月に は、著書『ヤマケイ登山学校 雪山登山』(山と渓谷社)を刊行。

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