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白馬鑓ヶ岳(はくばやりがたけ)ってどんな山?

標高 | 所在地 | 体力レベル | 難易度レベル |
---|---|---|---|
2,903m | 長野県北安曇郡白馬村 富山県黒部市県黒部市宇奈月町音澤 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
鑓ヶ岳は、甲信越百名山の1つで、長野県と富山県の県境に位置する標高2,903mの山。後立山連峰北部にあり、白馬岳や杓子岳とあわせて「白馬三山」と称されます。
北アルプス南部にある槍ヶ岳と区別するために「はくばやりがたけ」と呼ばれることが一般的。広いザレ場に覆われた眺望抜群の山頂からは、数々の名峰が楽しめます。
天空の温泉に感動!

白馬鑓ヶ岳に登頂の際に、必ず立ち寄りたいのが「白馬鑓温泉」。標高2,100mにある天然温泉で、標高日本一の天然湧出量を誇っています。この雲上の温泉に入るために登る登山者も珍しくありません。硫黄の匂いが強く、とろみのあるお湯が小屋の裏の巨岩からコンコンと湧き出ています。満天の星空やご来光を眺めながら入る露天風呂は、きっと最高の時間を提供してくれるはず。
高山植物に癒されよう

白馬鑓ヶ岳の登山道脇では、たくさんの高山植物に出会えます。中でも山頂下にある「大出原(おおでっぱら)」では、チングルマやミヤマキンポウゲ、ハクサンコザクラなどが咲き乱れます。天上に現れたお花畑の楽園に、登山の疲れもきっと吹き飛ぶでしょう。山頂直下では、高山植物の女王コマクサの群生も楽しめます。
登山レベルはどのくらい?日帰りも可能?

信州 山のグレーディング
白馬鑓ヶ岳の登山適期は?

白馬鑓ヶ岳のベストシーズンは、7月中旬~10月上旬頃。夏場でも沢では雪渓の上を歩く箇所がありますので、軽アイゼンがあると安心でしょう。アイゼンは山小屋で購入することも可能。9月中旬~10月中旬には、山中で鮮やかな紅葉を楽しめ、岩肌の山頂部とのコントラストも抜群。
てんきとくらす 白馬鑓ヶ岳【猿倉から登る】1泊2日のピストンコース

- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コース距離:約16km
- コースタイム:約15時間
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
【2日目】白馬鑓温泉小屋→大出原→鑓温泉分岐→白馬鑓ヶ岳→白馬温泉分岐→大出原→白馬鑓温泉小屋→鑓沢→杓子沢→小日向のコル→猿倉台地→水芭蕉平→猿倉荘
猿倉荘の脇から登って行く、1泊2日のピストンコースになります。このコースの難所としては、鑓沢付近の雪渓をトラバースする箇所と、鑓温泉からの登りにある岩場の鎖場になるでしょう。登っている途中で、絶景の温泉が楽しめるのもこのコースの魅力。
コース詳細

猿倉荘の前にある駐車場に車を止め、登山届けを提出してから小屋の奥へと続く林道を歩いていきましょう。10分くらいで分岐になりますので、白馬鑓温泉方面へと進みます。

登り初めは、眺望のない鬱蒼とした樹林帯の登山道が続きます。場所によってガレている箇所もあるので、滑らないように足元に気をつけてください。その後草付きの九十九折の登山道を登っていきます。

「小日向のコル」までくると湿原が現れ、池塘では水芭蕉も咲いています。この辺からはニッコウキスゲなどの高山植物も多くなり、夏にはお花畑が登山者を癒してくれます。

小日向のコルをすぎると視界が開け、遠方にはこれから登る白馬鑓ヶ岳の山頂を望むことができます。オオイタドリが密生している平地(三白平)を抜け、細かいアップダウンの登山道を進んで「杓子沢」へ。


鑓沢を登っていくと、夏でも雪渓が残っているところが何ヶ所かあります。雪の上をトラバースする場面では、足元に十分注意しながら着実に進んでください。また、落石にも注意するようにしましょう。


今晩の宿泊施設、白馬鑓温泉小屋に到着。この小屋は夏場のみの期間限定で組み立てられます。鑓温泉で1泊し、時間によって景色を変える雲上の露天風呂から、思う存分絶景を満喫しましょう。
2日目

2日目は白馬鑓温泉小屋からの出発です。登山道は急な登りとなり、岩場では鎖場が連続して現れます。岩場は滑りますので、ストックなどはしまい気をつけて登りましょう。

さらに登っていくと真っ青な大空の下、山肌では色とりどりの花々が咲き誇ります。花のスポット「大出原」周辺では、チングルマやハクサンコザクラなどの高山植物が見事。
絶景を満喫しながら登っていくと、白馬鑓温泉の分岐に。ここからは稜線沿いに山頂を目指します。最後の登りとなる独特の山頂部、灰色のザレ場を一歩一歩登っていきましょう。


分岐から30分ほどで、ケルンが積まれた白馬鑓ヶ岳の山頂に到着。360度の大パノラマからは、目前に迫力の白馬や杓子岳が望め、北アルプスの名峰や剱岳、富士山などを堪能できます。帰路は登ってきた道を戻って猿倉まで下りましょう。
【白馬三山を縦走】2泊3日で登る定番の周回コース

- 【体力レベル】★★★★☆
- 2泊3日
- コース距離:約18km
- コースタイム:約15時間
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
【2日目】白馬山荘→白馬岳→白馬山荘→白馬岳頂上宿舎→丸山→杓子岳→鑓ヶ岳→鑓温泉分岐→大出原→白馬鑓温泉小屋
【3日目】白馬鑓温泉小屋→鑓沢→杓子沢→小日向のコル→猿倉台地→水芭蕉平→猿倉荘
猿倉荘の脇にある登山口からスタートして、白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳を縦走する2泊3日のコースです。やまなみの絶景やお花畑も満喫できる、見どころ満載の人気コースです。こちらは山行時間に余裕のある日程にしていますが、大雪渓やザレ場もありますので、中級者以上の方向けのコースになるでしょう。
コース詳細

猿倉荘の横にある登山口からスタートして、少し登ると林道に出ます。林道終点まで進むと本格的な登山道が始まり、まずは木段を登っていきます。ここから「白馬尻小屋」を目指しましょう。

何度か沢を渡り、直線的な登りを進むと、大きな石碑の看板がある白馬尻小屋に。小屋を経由して樹林帯の登山道を先に進むと、これから登る日本最大の「白馬大雪渓」が姿を現します。

延々と続く絶景の大雪渓を一歩一歩登っていきます。大雪渓は天候が変わりやすく、落石などもありますので注意して登りましょう。2時間半ほど雪渓を歩くので、軽アイゼンを持参することをおすすめします。

大雪渓を抜けたら今度は、小雪渓やガレ場をトラバースします。登山道脇では、高山植物の楽園が広がる絶景に出会えるでしょう。キツイ登りを進み、徐々に高度を上げていくと「白馬山荘」が近づいてきます。


日本百名山のひとつ、白馬岳(標高2,932m)の山頂からは、登ってきた大雪渓をはじめ、これから目指す杓子岳や白馬鑓ヶ岳の雄大な姿が一望できます。他には立山連峰や槍ヶ岳、穂高なども堪能できるでしょう。

白馬岳山頂からは、気持ちの良い稜線を歩きながら杓子岳へと向かいます。白馬三山の懐に抱かれ、なだらかな稜線からの絶景を満喫してください。その後「丸山」を緩く下ってコルまでいくと、杓子岳の分岐に。
杓子岳山頂が近づくにつれ、次第に傾斜がきつくなってきます。巻道との分岐がありますので、直登のザレた登山道を山頂方面へ進んでいきましょう。
登り切ると、杓子岳の山頂は白馬岳と同様に切れ落ちた絶壁になっています。山頂はそれほど広くありませんが、こちらも眺望が抜群で、周囲の山々が一望できます。

杓子岳山頂からは、左側が切り立った断崖絶壁の細尾根を歩いていきます。ガレた稜線では十分に足元に注意してください。一度コルまで下がり、登り返して白馬鑓ヶ岳を目指します。

鑓ヶ岳山頂に到着すると、先ほど登頂した白馬岳と杓子岳が望めます。歩んできた美しい稜線とやまなみを心ゆくまで満喫しましょう。帰路は、先に紹介した1泊のピストンコースと同様に下ってください。

登山小屋と立ち寄りたい周辺温泉情報
白馬鑓温泉小屋

住所:長野県北安曇郡白馬村北城白馬山国有林121
TEL:0261-72-2002
営業期間:7月中旬~9月下旬
収容人数:100名
料金:1泊2食10,300円/素泊7,000円
入浴料:小屋宿泊者は無料(テント泊・日帰り入浴の方: 大人 500円 / 子供 300円)
白馬岳だより
白馬山荘

住所:長野県北安曇郡白馬村大字北城
電話番号:0261-72-2002
営業期間:4月下旬〜10月中旬
収容人数:800名
料金:1泊2食10,300円/素泊7,000円
おびなたの湯

住所:長野県北安曇郡白馬村大字北城八方9346−1
TEL:0261-72-3745
営業時間:夏期:9時~18時(受付:17時30分)/冬期:10時~17時(受付:16時)
※冬期は貸切営業も行っているため、訪問前に営業状況を確認しましょう
定休日:年末年始(12月中旬~1月中旬)、4月上旬
料金:大人650円/小人300円
白馬八方温泉HP
アクセス・駐車場情報
猿倉登山口
猿倉登山口は、白馬鑓ヶ岳に登る際や白馬三山縦走時に、多くの登山客が利用します。登山口には登山ポストやトイレ、水場も完備。駐車場も整備されており、24時間出入り可能です。
車でアクセス:上信越道長野ICから約60km
バスでアクセス:JR大糸線白馬駅から乗車、猿倉にて下車。
住所:長野県北安曇郡白馬村北城猿倉
駐車台数:70台
料金:無料
トイレ:有
アルピコ交通
白馬鑓ヶ岳で癒しの時間を堪能

【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山してください。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに! ・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんでください。