ライム病とは
ライム病とは、病原体を保有するノネズミ、シカ、イノシシなどからマダニが吸血し、病原性を有したマダニによって媒介される感染症です。ライム病によって命を落とす可能性もあるとされています。
ライム病は、野鼠や小鳥などを保菌動物とし、野生の マダニ(マダニ属マダニ)によって媒介される人獣共通の細菌(スピロヘータ)による感染症である。
マダニ刺咬後に見られる関節炎、および遊走性皮膚紅斑、良性リンパ球腫、慢性萎縮性肢端皮膚炎、髄膜 炎、心筋炎などが、現在ではライム病の一症状であることが明らかになっている。
日本では北海道から東北地方、中部地方の山岳地帯に多くみられる「シュルツェマダニ」による寄生発症例が懸念されており、ダニが活動する4~10月ほどの時期に被害がでやすい傾向にあります。ただし、本州中部以北の広い範囲で発症が報告されているため、特定の地域で発症するというわけではありません。
なおライム病以外にも、病原体を保有するダニに咬まれることによって起こる感染症は複数あります。
ダニ媒介感染症のページを見る(厚生労働省)
感染する原因・症状とは?
マダニの吸血によって病原体に感染します。マダニからヒトへの伝播には一定以上の時間が必要とされていますが、素早く除去できた方が、感染リスクが下がるのは言うまでもありません。シュルツェマダニによるライム病の場合については、咬着後3日以内の除去であれば、予防に役立つともいわれています。
マダニによる感染症が発症した場合、刺されてから数日から数週間後、インフルエンザのような症状が現れます。
皮膚症状としては特徴的な紅班が現れる場合もありますが、マダニはライム病以外の病気も媒介します。そのため、マダニに咬まれた後にインフルエンザのような症状が出た場合は、紅斑のあるなしにかかわらず、感染を疑うほうが無難です。
ライム病に限らず、マダニを介した感染症の多くは、インフルエンザのような発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛、消化器症状などが初期症状として現れます。マダニに咬まれた後、数週間以内にこのような症状が出た場合は、早めに病院で受診する必要があります。
診断と治療法
マダニに咬まれているのを発見したら、自分でマダニを引き剥がさず、病院の皮膚科で切除してもらいましょう。無理にマダニを取ろうとすると、マダニの刺口が皮膚の中に残り、感染を増長する場合があります。
野外活動のあと、発熱、発疹やリンパ節の腫れなどの症状が出た場合には、医療機関を受診して医師の診断を受けてください。
感染を防ぐには
感染を防ぐためには、まずはマダニに刺されないようにすることが大事です。
・道から外れ、(特にけもの道があるような)やぶには入らないようにする。
・マダニに効果がある虫除けスプレー、防虫ウェアを使用する。
・長袖、長ズボンを着用する。
・靴下の中にズボンの裾を入れる。
・行動中、仲間同士で、こまめにダニがついていないかどうかをチェックする。
・帰宅後、入浴の際にマダニがついていないかどうかセルフチェックする。
イカリジン系の虫除けスプレーはダニ予防にも効果が期待できるとされています。
ライム病対策をしっかりと
ライム病という言葉を初めて知った方も多いのではないでしょうか?マダニは、ライム病以外にも、実に様々な病気を媒介する可能性があります。こうした感染症を防ぐためにも、マダニ対策をしっかり行った上でアウトドアを楽しみましょう。
監修:
セルズ環境教育デザイン研究所 西海太介氏
日本登山医学会認定 国際山岳医 稲田千秋氏