槍ヶ岳登山の成功は事前準備にあり?山岳ガイドに聞いたステップアップ方法!

2019/04/15 更新

登山者の憧れ槍ヶ岳。いつかは登ってみたい山ですよね。でも簡単に登ることはできないので必ず準備が必要です。「穂先までの梯子や鎖が連続する難所を登れるか不安・・・」「今まで日帰り登山しかしたとこがないから、何泊もして長い距離を歩く自信がない・・・」。今回はそんな経験不足が心配な方のために、ステップアップする方法を登山ガイドさんに聞いてみました! 具体的なアドバイスを参考にして、今年こそ槍ヶ岳を目指しましょう!


アイキャッチ画像出典:PIXTA(編集:YAMA HACK編集部)

今年こそ憧れの槍ヶ岳に登りたい!

槍ヶ岳
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山登りをしている人なら、実物や写真などで必ずと言っていいほど見たことがある槍ヶ岳。天を穿つ槍の穂先は、日本アルプス屈指の美しさです。「あの頂上に立ちたい!」「槍ヶ岳に登るのが目標!」と、登頂を夢見ている方も多いのではないでしょうか?

でも、自分が登れるのだろうか・・・。

槍ヶ岳 悩み
出典:PIXTA
調べてみると、槍ヶ岳に登るには、

・何日もかけて長い距離を歩く体力
・梯子や鎖が連続する難所を安全に通過する能力

が必要とのこと。

この条件を見てみると、「1泊以上で山に登ったことがない」「クライミング経験がない」人が不安に感じるのは当たり前。

しかし、憧れを捨て切れず槍ヶ岳に挑戦したい方のために、登山ガイドとして何度も槍ヶ岳に登っている檢見﨑(けんみさき)さんに、登頂のためのステップアップ方法を聞いてみました!

檢見﨑 誠さん プロフィール

檢見﨑さん
提供:檢見﨑さん
写真家、日本山岳ガイド協会公認山岳ガイド(登山ガイドステージⅡ)、アルパインクライミングガイド協会所属。

泊まりで山に登ったことがないレベルの登山者でも槍ヶ岳に登れますか?

檢見﨑さん
初心者の方でも、単独登山をさけて経験者をリーダーにしたパーティー登山にすればチャレンジ可能です。

安心しました。おすすめの日程と準備することを教えてください。

檢見﨑さん
余裕を持った2泊3日(+予備日1日)の日程で、山小屋泊がおすすめです。それまでの準備としては、日帰り登山から始めて体力を作り、装備を揃えて、岩場の登り方を身につけることが大事になります。

ふむふむ。どうやら、しっかりと計画を立てて準備をすれば、憧れの槍ヶ岳へチャレンジできそうです。ちなみに檢見﨑さんおすすめの行程は、
上高地から入山する2泊3日の計画

【1日目】一気に標高を上げずに槍沢ロッジで一泊。

【2日目】夜明け前に出発。気温が上がる前に槍ヶ岳山荘に到着し、雷雲が発達する前に山頂をピストンしてから槍ヶ岳山荘で一泊。ここで夕景や日の出を楽しむ。

【3日目】早朝に出発して、往路を上高地まで戻る。


それでは、登山当日まで具体的にどんなことをすればいいのか見ていきましょう。

己のレベルを知り、そして槍ヶ岳を知ろう!



槍ヶ岳
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槍ヶ岳に登るためには“体力”“装備”、そして“岩場を安全に通過する三点支持の動き”が必要です。不足している要素は人によって異なります。一度しっかり振り返ってみましょう。
檢見﨑さん
今の自分には何が不足しているか? まずは自分自身の登山レベルを振り返り、足りない要素を補うように準備しましょう。

①まずは自分の登山レベルを理解する

登山レベル
出典:PIXTA
自分の登山レベルを知るために、過去の登山経験を振り返ることから始めます。同時に、持っている装備も確認しましょう。登ったことがある山、経験したことがある泊数、手元にある道具の種類などです。
檢見﨑さん
「普段は日帰り登山で高尾山や奥多摩の山には登ったことはある。でも、日本アルプスなど1日以上の行程が必要になる山岳エリアは未経験。」や、「持っているザックは30L。ガスバーナーやレインウェア、登山靴など日帰り登山に必要な装備は持っている」といったように、できるだけ具体的に登山レベルと持っている装備を振り返りましょう。

②次に登る山(槍ヶ岳)の特徴と必要な装備を知る

槍ヶ岳
出典:PIXTA
自分の登山経験や持っている装備を把握したところで、次に槍ヶ岳の特徴と必要になる装備を確認します。登山経験と装備をすり合わせて、今の自分に不足している要素を導き出します。
檢見﨑さん
上高地から槍ヶ岳まで(標高差1570m、片道19km)は、2泊3日の道のりです。一日で標高差1000m、10kmの山道を歩き通す体力と、高山病に対する対策も必要になります。

また、槍ヶ岳山荘から山頂へ至るルートは、急峻な岩場で梯子や鎖が設置されています。自身の安全を確保する動きと、落石しない足の置き方などが重要です。

必要な装備は、靴、ザック、ウェア、その他のアイテムなどに分けて考えますそれぞれどのような機能が必要になるのでしょうか?
檢見﨑さん
登山靴は、足首のホールド感と歩きやすさのバランスが良く、軽くてソールに適度な硬さがあるモデルがおすすめ。重登山靴やクライミング、トレランなどに特化したものは避けましょう。

ザックは35〜45Lの容量が必要になります。レインカバーも忘れないように。

ウェアは、綿素材はさけ速乾性に優れたインナー、保温性のあるフリースなどの中間着、防水透湿性のある上下セパレートタイプのレインウェア、そして朝晩の冷え込みに備えてダウンジャケットなどの保温着を準備します。怪我や虫刺され、日焼けのリスクを減らすために、長袖、長ズボンがおすすめです。

その他に、日除けの帽子、サングラス、虫除け、滑り止めのついたトレッキンググローブ、ヘルメット、ヘッドランプ、非常のツェルトなどを揃えておきましょう。

【必読】3ヶ月前から始めるステップアップリスト

槍ヶ岳
出典:PIXTA
自分の登山レベルと必要な装備がわかったら、それに合わせて準備を始めます。槍ヶ岳に登るために必要なステップアップの順序を教えてもらいました。

おすすめは登山のタイミングは、6月末から8月末まで。余裕を持った計画でしっかり準備を行いましょう。

3ヶ月前にはトレーニング開始!

やることリスト
檢見﨑さん
山に登るためのトレーニング登山を開始します。月に2回のペースで日帰り登山を計画して体力をつけていきましょう。まずは一定の間隔で休憩をとりながら、同じペースで歩き続けられるようになることを目指します。同時に登山靴の足慣らしも行いましょう。服装や装備に不備がないかもチェックしておきます。

この日帰り登山を行いながら、自ら登山計画書を作成し、行程や装備をチェックする習慣も身につけましょう。

2ヶ月前からは岩場での動きを

やることリスト
檢見﨑さん
体力がある程度ついて、登山靴が足に馴染んできたら次のステップです。1日の標高差1000m、歩行時間8時間程度のコースを計画し、実際に槍ヶ岳に必要な装備と同じ重量(水、行動食を含む7~10kg程度)を背負って歩いてみましょう。コースタイムで歩けるようになることを目指して、体力をつけていきます。

また、三点支持の動きを身に付けましょう。ボルダリングジムなどで学ぶのがおすすめです。室内だけではなく、乾徳山や八ヶ岳の赤岳などでも行い、下りの動きも身につけておきます。

1ヶ月前には高山での適応能力をチェック

やることリスト
檢見﨑さん
体力に自信がついたところで、標高2500m程度のピークを持つ山に一泊二日で登り、稜線の山小屋泊を経験しましょう。

コースタイム通りに歩けるか、高山病が出ないかなど、高山への適応能力も確認します。装備で足りないものなどをチェックして、槍ヶ岳登山に必要な自分なりの装備リストを作っておくと安心です。リストを作成したら必要無い装備を洗い出し、軽量化に努めます。

下準備に時間をかけて、安全に憧れの槍ヶ岳を登ろう!

槍ヶ岳
出典:PIXTA
槍ヶ岳は自分の登山レベルを理解し、不足している経験を補いながら準備をすることで安全に登ることができます。教えて貰ったステップアップリストを参考にしながら、憧れの槍ヶ岳への準備を始めましょう。

教えてくれた人 檢見﨑 誠さん

檢見﨑さん
提供:檢見﨑さん
写真家、日本山岳ガイド協会公認山岳ガイド(登山ガイドステージⅡ)、アルパインクライミングガイド協会所属。Peak2Peak写真山岳ガイド事務所主催。
多くの山に登り写真を撮影。その写真はアウトドア雑誌のみならず、さまざまな媒体に掲載されている。
檢見﨑さんのホームページ

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吉澤英晃
吉澤英晃

群馬県出身。大学時代に所属した探検部で登山を開始。以降、沢登り、クライミング、雪山、アイスクライミング、山スキーなど、オールジャンルで山を楽しむ。登山用品の営業職を経て、現在はフリーの編集・ライターとして活動中。

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