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『ヒートテックでOK?』と聞かれた時に、登山では使わないよう説明する方法(2ページ目)

《1》水が熱を生み出す仕組み

吸着熱の仕組み

作成:YAMA HACK編集部

「水分で熱を生み出す」と聞くと、少しわかりにくく感じるかもしれませんが、その仕組みは意外とシンプルです。

水は水蒸気になるとき、周囲の熱を奪います。これを「気化熱」と呼び、夏用のひんやりグッズなどは、この性質を利用して冷涼感を生み出しています。

一方、水蒸気が水に戻る際に発生するエネルギーが「凝縮熱(吸着熱)」です。ヒートテックをはじめとする「吸湿発熱インナー」は、このときに生まれる熱を利用して体を暖かくしています。

《2》吸湿発熱インナーで暖かさを感じる流れ

吸着発熱の仕組み
作成:YAMA HACK編集部

上の図は、ヒートテックなどの吸湿発熱インナーが暖かさを生み出す仕組みをまとめたものです。

①人は何もしなくても、汗などで水分を発散しています。その水蒸気を吸湿発熱素材(ウェア)が吸収。
②その時に水蒸気が凝縮され、水分に変わることで凝縮熱が発生。
③その時に発生した熱が体に伝わるので、暖かく感じる。

 より多くの水分を含める素材ほど、長時間にわたって熱を生み出すことができます
ヒートテックは、保水性の高い「レーヨン」という繊維を使用することで、暖かさを持続させているのです。

《3》冷えた原因は”保水力の限界”

ヒートテック 登山 

出典:PIXTA

繊維には、水分をどれだけ保持できるかを示す「公定水分率」が定められており、その限界を超えると飽和状態になります。水分が飽和すると、どんな素材でも蒸れが生じ、気化熱によって体が冷えてしまいます。

さらに、乾くスピードが発汗に追いつかないと、濡れたウェアが肌に触れ続けることに。水分は熱伝導率が高いため、肌が濡れるほど体温は奪われやすくなります。

多くの水分を保水できる繊維は、それだけ乾きにくい素材でもあります。これはレーヨンに限った話ではなく、ポリエステルやコットン、ウールでも、限界を超えれば同様に飽和する点は覚えておきたいポイントです。

※保水力が高く、濡れると乾きにくいウールで汗冷えの危険性があまり言われないのは、ウールの特殊な機能のため。ウールは繊維の内側には水分を保水しますが、表面は水分を含まないという構造。そのため、繊維の内側に水分を閉じ込めるため、濡れている状態でも肌に水分が触れにくくなっているからです。
 
今回の検証ではこんなことが起きた
山を登り始めて汗をかいたことで、最初は吸着発熱が起きて暖かく感じていた。
しかし、汗をたくさんかいたことで乾きが追いつかずヒートテックが濡れて飽和状態に。
結果、発熱も起きず、さらに気温や風によりカラダが冷えた。

登山でヒートテックを使うことに関して

ヒートテック 登山

出典:PIXTA

ヒートテックと登山の相性に関しては様々な意見があります。その一部を見てみましょう。

編集部J
初めて高尾山に登山に行った時、当時はなにも知らなくてインナーはヒートテックで登りました。汗で冷えてお腹が痛くなって、かなり辛かったのを覚えています。事前に登山インナーの快適性を知る術があれば、ヒートテックを選ばなかったんでしょうけど・・・。初心者はそういうことも知らないので、準備の時に教えてほしいですね。

あらかじめ登山用インナーの特徴を知っていれば、ヒートテックを選んでしまう人は減るはずです。
初心者を山に連れていく際は、「知っていて当然」と思わず、ウェア選びのポイントも丁寧に伝えてあげましょう。

山岳ガイドYさん
秋冬の山にヒートテックはタブー。一番の理由はヒートテックでは汗冷えするからです。ポリウレタンやポリエステルに比べレーヨンは速乾性に劣るため、冬の山では一歩間違えれば命の危険があります。まずは安全第一でウェアを選びましょう。

山の怖さを知るガイドは、やはり安全性を最優先に考えています。もちろん価格も商品選びでは重要なポイントですが、それ以上に安全性を軽視しないことが大切です。

ヒートテックはコスパ良し!でも、登山では控えよう

ヒートテック 登山

出典:PIXTA

ヒートテックは街で使う分にはコスパのよいインナーです。ただ、街と山では環境がまったく違います。街向けのアイテムを山で使う場合、状況次第では命に関わることもあるため慎重に選びましょう。

初心者が登山を好きになるかどうかは、「楽しかった」と思えるかにかかっています。せっかくの山行を良い思い出にするためにも、ウェア選びは安全第一で。登山は寒くても汗をかくので、インナーは速乾性の高いもの、またはウール素材を選ぶのがおすすめです。

 

\まとめ/
【1】発熱したては良いが、徐々に暑くなって汗をたくさんかいてしまう
【2】ヒートテックは汗で濡れると登山中は乾きにくく、冷えにつながる
【3】汗で冷えると体調を崩して、登山が楽しくなくなる

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