コスパ優先でユニクロを選びたいけれど……大丈夫?
「ユニクロの服で登山しちゃダメなの?」
これまで何度となく、そう質問されたことがあります。
このざっくりとした問いに、
「どの山を登るの?」
「季節は?」
「レインウエアは持っている?」
「トレッキングシューズは?」
と質問で返し、初めての登山で装備をなにも持っていないとわかると、最低限の準備としてレインウエアとトレッキングシューズ、できればトレッキングポールをアウトドアショップで購入することを勧めます。
そして少しでも費用を抑えたいならと、ユニクロのウルトラライトダウンやストレッチフリースジャケットを防寒着として提案していました。
寒さ対策はヒートテックでOK?
次によく聞かれるのが「ヒートテックで登山しちゃダメって本当?」。
その詳細はYAMA HACKの記事で解説されているので、コチラを見せます。
端的に答えるなら、保温力はあるけれど、汗をかいて濡れると乾きが遅く、気温が低いと汗冷えしやすい素材なのでやめた方がいい、と伝えます。
そして、アウトドアブランドの保温性と吸汗速乾性に長けたアンダーウエアの方が、快適性は高いと勧めていました。
しかし!新作<+S>シリーズなら、冬の低山登山に対応可能
この冬のユニクロの新作<+S>シリーズには、保温性と速乾性、ストレッチ性に長けたアンダーウエアの上下がラインナップ。ヒートテック同様の保温性がありつつ、汗を素早く乾かすドライ機能を備えています。
さらに、ハイク中に着用できる行動保温着として使えそうな中綿入り防寒ジャケットとショーツも展開。生地には多少の雨や雪ならはじく耐久撥水加工が施され、中綿には濡れても保温力が落ちにくい化繊綿が封入されています。保温着ながら横方向のストレッチ性も装備した、まさにアウトドア向きの仕様です。
開発者によれば、<+S>シリーズは「日常のスポーツやトレーニング、登山など、アクティブな時間を楽しみたいすべての人のために、スウェーデンのトップアスリートと開発した高機能LifeWear」。気軽な冬の低山ハイクであれば、快適さを提供するといいます。
そこで、本当に登山で使えるウエアなのか、発売直後の<+S>シリーズを山でテストしてきました!
着用したウエアはコチラ!

ちなみに<+S>の意味は、次の通りです。
+Sports:
スポーツを楽しみたいすべての人のために+Sweden:
スウェーデンのトップアスリートと共同開発された+Sustinability:
サステナビリティの要素を持つラインナップ
①ライトパデッドストレッチジャケット +S
特殊な加工で、中綿の抜けを抑制!
通常の中綿ウエアだと、シェル生地を縫い合わせることが多いのですが、このジャケットは表地と裏地に接点を作りながら緻密に織り込まれたもの。つまり針穴が開いていないので、中綿が抜けにくい構造になっています。
長く着ているうちに、中綿が少なくなって保温力が落ちる心配もほぼ無用です。
フロントジッパーに防風フラップはないけれど、チンガードはあり!
すべてのジッパーの持ち手には、細い紐の引き手が追加されています。
フロントジッパー内側に、風の進入を防ぐ“フラップ”と呼ぶ布は配されておらず、標高の高い山で強風に吹かれるようなことが想定されるシーンでは、使用を控えた方がよいでしょう。
でも、寒さで冷えたジッパーがアゴや首に当たる冷たさを抑える“チンガード”は装備。コレだけでも快適さはかなりアップします!
スソ部分はストレッチテープで冷気の侵入を防止!フィット感の調節は不可
裾部分に、風の吹き込みを抑えるアジャスターコードは配されていません。代わりにストレッチテープを使用。山でも最低限の風の吹き込みは抑えてくれそうです。
可能なら、アジャスターコードまたは面テープで、フィット感を調節できるようにしてくれたらなぁと思いますが……。
ハンドポケットは、ウエストベルトのない小型パック向き
ポケットはジャケット下部の左右に装備。中型以上のバックパックで、ウエストベルトを締めると干渉します。
最近は30L前後のバックパックでも、ベスト型でウエストベルトを締めずに使用できるモデルも増えているので、それらを背負えば問題ありません。
開口部はサイドの縫い目に沿って配され、目立たないシームポケット仕様になっています。
裏技的収納方法を試してみたら……成功!
このジャケットはパッカブルやポケッタブル仕様ではありません。
そこで中綿ウエアをコンパクトに収納するために試してみたのが、ハンドポケットに裏返すように本体を収納する方法。ジッパータブが反転してしまうので締めにくいのですが、トライしてみると成功!500mlのサーモボトル2本分くらいの大きさになりました。
でも、メーカー推奨の収納方法ではないので、破損などのリスクを承知の上で試してみてください。
②ライトパデッドストレッチショートパンツ +S
ウエストはゆったりめ、紐で調節可能
ウエスト部分はスナップボタンとゴムシャーリング、そこに細めのアジャスターの紐が配されています。少し余裕のあるサイズ感なので、試着してフィット感を確かめてから購入した方がよいです。
股下部分に、動きやすさを高める工夫あり
シェル生地は横方向にストレッチする素材なので、それが軽やかな足取りを可能に。そのうえ、よく見ると股部分は中綿入りではなく、ストレッチ素材が配されていました。これにより、さらに足取りが軽くなります!
③ウルトラストレッチドライ Tシャツ(長袖)+S
価格:2,990円
起毛裏地は優しい肌触り。冷えを感じにくいかも
裏地を見ると、わりと目の詰まった起毛素材。起毛が肌との間に空間をつくってくれるからか、汗をかいてもヒンヤリした感じがしません。縫い目はフラットなので、肌当たりに違和感がないのもいい感じです。
腕や肩を動かしやすく快適
腕や肩まわりを動かしやすいラグランスリーブを採用。バックパックのショルダーハーネスに干渉する部分に縫い目がないので、長時間のハイクでも快適そのものでした。
モックネックで首元まであたたか
襟口は少し高さのあるモックネック仕様です。風や冷気の侵入を抑えてくれ、より保温性がアップします。
袖口の冷え対策も◎
袖口はリブ編み形状。フィット感が高く、しかし窮屈さもなく、風や冷気の侵入を防いでくれます。
④ウルトラストレッチドライタイツ +S
価格:2,990円
前閉じ仕様なのでトイレ時はやや手間
インナー仕様のタイツですが、前開きがないので、トイレの際に男性は少し面倒です。ちなみに、前開き部分のみ裏地は起毛されていません。
保温力・速乾力は? 予想外にポカポカ陽気の丹沢・大山で“汗冷え”テスト
標高1,251mの丹沢・大山へ。まだ雪もなく、テスト当日は山頂付近でも気温10℃、無風のポカポカ陽気でした。