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遭難事故の多い旭岳。なぜ?どこで?実際の事故原因から学ぶ対策方法(3ページ目)

夏の旭岳
出典:PIXTA(夏の旭岳)

旭岳では夏でも雪が残る事が珍しくなく、時には氷点下になることすらあります。猛暑となる本州とは全く違った気候であることに注意しましょう。8月下旬には紅葉がはじまり、9月下旬には雪が降りだします。やがて12月~5月までの長い期間、雪に閉ざされた冬シーズンとなります。

同じ2,000m級の山でも本州とは気温が違う!

出典:左/ヤマレコ(旭岳の気温)、右/ヤマレコ(槍ヶ岳の気温)(※画像をクリックすると大きい画像が見られます)

2,291mの旭岳(北海道)と、3,180m槍ヶ岳(長野県・岐阜県)の気温を比較してみました。 見ていただきたいのが、真夏8月の気温。何と標高が1,000m近くも違うのに、最低気温が同じ4.6℃。 北海道は緯度が高いため、道内2,000m級の山の気候が、本州3,000m級の山の気候に匹敵すると言われています。

山では『標高差による気温の低下・風による体感温度の低下』

気温の違い
作成:YAMAHACK編集部

山では、標高が100m上がると気温が-0.6℃低下、さらに風速1mの風が吹くと体感温度が-1℃下がるといわれています。標高2,291mの旭岳の場合、麓と山頂では約13℃もの気温差。さらに風速5m/sの風が吹いた場合、体感温度がそこから5℃下がります。結果的に約20℃もの気温差が出る事になるため、たとえ真夏であっても防寒対策が必要なのです。

気象庁 風の強さと吹き方を加工して作成(※画像をクリックすると大きい画像が見られます)

登山道上に樹木などの障害物がほとんどない旭岳では、山頂や稜線部でかなり強い風が吹くことも多く、強い時には風速20m/s近い強風となる場合も。強風は気温にプラスして体温をさらに奪うため、真夏でも低体温症になる危険性があります。

低体温症って……?

低体温症とは、人間の生命維持に必要な器官の温度(深部体温)が35℃以下に下がった状態のこと。低体温症になると、最初に「寒気」と「全身的震え」が自覚症状として現れます。その後、早い段階で意識障害が生じ、筋肉硬直、呼吸や脈拍が弱くなりやがて死に至るのです。同じ北海道のトムラウシ山では、2009年7月という夏の時期に、低体温症によって8名が亡くなる悲しい遭難事故が起こっています。

▼低体温症のリスクを知ろう

遭難しないために、最低限注意したいこと

ちょっとした判断ミスや準備不足によって遭難は発生します。そんな万が一の事態を引き起こさないために、最低限注意したいことを考えてみましょう。

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