アイキャッチ画像撮影:nao
低山=お気楽登山はホント?

出典:PIXTA
国土の7割近くが山地である日本には、魅力的な山が数多く存在します。3,000m級の壮大な山々から、数百メートルの里山まで、その標高や山容は様々です。
登山をしようと思い立ったときにも選択肢が豊富。本格的な登山は敬遠してしまうけれど、低山での軽登山ならチャレンジしてみたいという人も多いのではないでしょうか。
「低山」ってどんなイメージ?

出典:PIXTA
低山といえば、なんとなく気軽に登山を楽しめると思っていませんか? 「日帰りでサクッと楽しめるし、初心者でも登れて、登山用の本格的な装備じゃなくても手持ちのスポーツウェアでも大丈夫」……っていうイメージですよね。
ちょっと待った! はたしてそうかな?

出典:PIXTA
そんな気軽に登山を楽しめるイメージは、100%間違いではありませんが、低い山だろうが高い山だろうが登山は登山。実は低山ならではのリスクというものもあるんです。低山の怖い面も知っていないと危険な目にあってしまうかも……。
【意外な落とし穴】 低山ならではの8つのリスク

撮影:nao
気軽に登れる低い山に潜むリスクとは、どんなことなのでしょうか? 危険な目にあわないためにも、詳しくみていきましょう。
【1】山の情報が少ない……

出典:PIXTA
低山の中でもあまり知られていない山には、ガイドブックやパンフレットがなかったり、細かな情報が掲載されたHPがなかったりすることが多いもの。そのため、情報収集が難しく、山の状況を把握しづらいというリスクがあります。
大雨などで登山道が崩壊し、通行不可の状況などになっても、知らないまま出かけてしまうなんていうことも。
【2】登山口がわかりにくい……

撮影:nao
低山は山の中腹や上のほうまで車道が通っていることがよくあります。そのため、車道の途中にいきなり登山道への入口が現れたり、登山口を示す標識がないことも。
どこから登山道に入ればいいのか分からず、「本当にここからでいいの?」と悩んだり、通り過ぎてしまいがちです。
【3】道がいっぱいあって紛らわしい……

撮影:nao
低山には、農道や林道などの作業道、地元の人の生活道など道や分岐が多く、地図に載っていない道があったりします。人が歩いた気配がある道のため、そのまま進んでみたら、登山道から外れていたなんてことになりかねません。
【4】荒れた登山道で悪戦苦闘……

撮影:nao
低山には、日本百名山のように整備が行き届いていない山がたくさんあります。標識があまり設置されていなかったり、草木が生い茂っていたり、道が荒れていることも。
標識や分岐が隠れてしまっていて、登山道を外れてしまう可能性もありますし、荒れた道は落石や転倒などにも注意が必要です。
【5】緑がいっぱいだけど、展望がきかない……

撮影:nao
低山では、山頂まで樹林帯が続くことも珍しくありません。日よけにはなりますが、晴れでも陰っていたり、展望がきかない場所も多数。悪天候の日は特に日中でも薄暗く、日が隠れる夕方は視界がきかなくなるのが早いのも特徴です。
周りが見えないため、自分の位置を把握しづらく、方向感覚が失われやすいというリスクがあります。
【6】じめじめむしむし、体力消耗……

撮影:nao
低山は標高が低い分、夏は下界と変わらないほど気温が高い山もあります。樹林帯は直射日光から守ってくれる反面、高温多湿なことが多く、夏場はとくに体力消耗や熱中症に注意が必要です。
【7】危険生物・植物に出会うかも……

出典:PIXTA
生物や植物は、環境が過酷な高山よりも低山のほうが多く見られます。そうすると、自ずと危険な生物や植物に出会う確率も高くなるもの。低山では、スズメバチの被害などが毎年報告されています。
【8】思い違いの安心感で、気が緩みがち……

出典:PIXTA
低山は「日帰りで行けるし、低い山だし大丈夫!」と、なんとなく気軽に登山を楽しめるイメージが強いため、登山者自身が前述のようなリスクをあまり意識していないことが多く、登山技術が備わっていないまま出かけたり、装備不十分の人の割合も多くなります。その気の緩みが、道迷いや事故に繋がりかねません。
【その結果】低山で起こることが多い『道迷い』

撮影:nao
低山だからこそのリスク【1】~【8】は、実は低山での道迷い(遭難)に繋がります。すぐそこに車道がある山ですら、一歩入ってしまえばそこは山。あっという間に車道は見えなくなり、低山も高山と変わらぬ山の中を歩くことになるんです。