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低山=お気楽登山はホント?

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国土の7割近くが山地である日本には、魅力的な山が数多く存在します。3,000m級の壮大な山々から、数百メートルの里山まで、その標高や山容は様々です。登山をしようと思い立ったときにも選択肢が豊富。本格的な登山は敬遠してしまうけれど、低山での軽登山ならチャレンジしてみたいという人も多いのではないでしょうか。
「低山」ってどんなイメージ?

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低山といえば、なんとなく気軽に登山を楽しめると思っていませんか? 「日帰りでサクッと楽しめるし、初心者でも登れて、登山用の本格的な装備じゃなくても手持ちのスポーツウェアでも大丈夫」……っていうイメージですよね。
ちょっと待った! はたしてそうかな?

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そんな気軽に登山を楽しめるイメージは、100%間違いではありませんが、低い山だろうが高い山だろうが登山は登山。実は低山ならではのリスクというものもあるんです。低山の怖い面も知っていないと危険な目にあってしまうかも……。
【意外な落とし穴】 低山ならではの8つのリスク

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気軽に登れる低い山に潜むリスクとは、どんなことなのでしょうか? 危険な目にあわないためにも、詳しくみていきましょう。
【1】山の情報が少ない……

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低山の中でもあまり知られていない山には、ガイドブックやパンフレットがなかったり、細かな情報が掲載されたHPがないことが多いもの。そのため、情報収集が難しく、山の状況を把握しづらいというリスクがあります。大雨などで登山道が崩壊し、通行不可の状況などになっても、知らないまま出かけてしまうなんていうことも。
【2】登山口がわかりにくい……

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低山は山の中腹や上のほうまで車道が通っていることがよくあります。そのため、車道の途中にいきなり登山道への入口が現れたり、登山口を示す標識がないことも。どこから登山道に入ればいいのか分からず、「本当にここからでいいの?」と悩んだり、通り過ぎてしまいがちです。
【3】道がいっぱいあって紛らわしい……

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低山には、農道や林道などの作業道、地元の人の生活道など道や分岐が多く、地図に載っていない道があったりします。人が歩いた気配がある道のため、そのまま進んでみたら、登山道から外れていたなんてことになりかねません。
【4】荒れた登山道で悪戦苦闘……

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低山には、日本百名山のように整備が行き届いていない山がたくさんあります。標識があまり設置されていなかったり、草木が生い茂っていたり、道が荒れていることも。標識や分岐が隠れてしまっていて、登山道を外れてしまう可能性もありますし、荒れた道は落石や転倒などにも注意が必要です。
【5】緑がいっぱいだけど、展望がきかない……

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低山では、山頂まで樹林帯が続くことも珍しくありません。日よけにはなりますが、晴れでも陰っていたり、展望がきかない場所も多数。悪天候の日は特に日中でも薄暗く、日が隠れる夕方は視界がきかなくなるのが早いのも特徴です。周りが見えないため、自分の位置を把握しづらく、方向感覚が失われやすいというリスクがあります。
【6】じめじめむしむし、体力消耗……

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低山は標高が低い分、夏は下界と変わらないほど気温が高い山もあります。樹林帯は直射日光から守ってくれる反面、高温多湿なことが多く、夏場は体力消耗や熱中症に注意が必要です。
【7】危険生物・植物に出会うかも……

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生物や植物は、環境が過酷な高山よりも低山のほうが多く見られます。そうすると、自ずと危険な生物や植物に出会う確率も高くなるもの。低山では、スズメバチの被害などが毎年報告されています。
【8】思い違いの安心感で、気が緩みがち……

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低山は「日帰りで行けるし、低い山だし大丈夫!」と、なんとなく気軽に登山を楽しめるイメージが強いため、登山者自身が前述のようなリスクをあまり意識していないことが多く、登山技術が備わっていないまま出かけたり、装備不十分の人の割合も多くなります。その気の緩みが、道迷いや事故に繋がりかねません。
【その結果】低山で起こることが多い『道迷い』

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低山だからこそのリスク【1】~【8】は、実は低山での道迷い(遭難)に繋がります。すぐそこに車道がある山ですら、一歩入ってしまえばそこは山。あっという間に車道は見えなくなり、低山も高山と変わらぬ山の中を歩くことになるんです。
▼実は低山こそ多い!? 山岳遭難の実態は? では、低山での登山を安全に楽しむには、どうしたらよいのでしょうか。【リスクマネジメント】 低山にはどう挑む!?

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道迷いや危険な目に合わないためにはどうしたらよいのでしょうか? リスクをきちんと理解した上で、事前にできること、登山中にできることを考えられていれば、必要以上に構えすぎることはありません。ポイントをしっかりおさえて、低山での登山を楽しみましょう。
登る山の情報収集!

低山でも、情報収集は大事なこと。高山に行くときと同じように、しっかりと計画を立てましょう。情報が見つけられなければ、登山の記録を共有できるコミュニティサイト「ヤマレコ」やSNS(Facebook/Instagramなど)で直近に登った人の投稿を探して登山道の状況を確認したり、ビジターセンターや市区町村などに問い合わせてみるのもアリです。
登山の持ち物を確認!

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低山でも、登山の持ち物を確認してから登りましょう。とくに忘れがちなのが、ヘッドランプやレインウェア。日帰りだからとか今日は一日晴れているからとかいう理由で置いていく人もいますが、山の天候は急に変わります。また、思いのほか時間がかかって日が暮れてしまうこともあるので、必ず持って行くようにしましょう。
▼登山の持ち物選びのポイントは?読図に挑戦、地図・GPSの携行!

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どんな低山でも地図がないということはありません。ただ、登山ルートが示されていない山もあるので、読図(地図とコンパスで自分の位置を把握、どちらへ進むべきか判断)できる必要があります。とはいえ、いきなり完璧になるのは難しいので、紙の地図と併せてスマホのGPSを活用しましょう。地図アプリも十分に使えます。充電できる機器も必ず持って行きましょう。
▼登山地図アプリを見てみよう!「こんなときどうする?」のイメージトレーニング!

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低山は登山者が少ない山も多いので、何かあったときに自分で何とかする力が必要になります。様々な「こんなときどうする?」の予防策&対処法を知っておいて、いざという時に慌てることのないようにしましょう。
▼道に迷ったらどうする? ▼熊に遭遇したらどうする? ▼蜂に刺されたらどうする?もしもの時のために…… 備えあれば憂いなし!

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どんなに注意してもアクシデントは起こりうるもの。低山とはいえ、遭難すると何の情報もなしに見つけてもらうのはかなり難しいことです。登山届は必ず提出し、家族に計画を伝えておいたり、山岳保険やココヘリのような捜索救助サービスに入ることも大事です。
▼登山計画書を提出しないと罰金!? ▼山岳保険って入った方がいいの? ▼遭難者の位置をピンポイントかつ短時間で特定!?低山のリスクを知って安全に楽しもう!

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気軽にアクセスできるため、ちょっとした装備や服装で出かけがちな低山ですが、山の中に入ると、そこはもう標高の高さは関係ありません。低山によくある人工の杉林は昼でも暗いことが多く、視界が悪かったり獣道が多くて迷ったり、ヒヤッとする体験をしたことがある人も多いのでは? 今日からはリスクを上手に回避して、心置きなく登山を楽しみましょう!