【初心者必見】あれ?意外と簡単?生死をわける3つの基本行動!

登山を楽しむ以上、遭難してしまう可能性は切り離せません。なので、セルフレスキューは登山を楽しむために必要不可欠です。しかし、「道に迷ったことがないから大丈夫」と遭難を他人事と思い、多くの人が遭難対策の習得に腰が重いようです。今回、jRO主催のセルフレスキュー講習会に参加し、セルフレスキューの重要性はもちろん、その気軽さも知ることができましたので、ご紹介します。


アイキャッチ画像出典:PIXTA(編集:YAMA HACK編集部)

遭難は”対岸の火”ではない。その理由は・・・

セルフレスキュー講習会テキスト
撮影:YAMA HACK編集部
暖かくなってくると、山へ行く登山者は増えてきます。しかし、それと同時にテレビやネットで見かけるようになるのが”遭難”のニュース。自分や同行者に万が一のことが起きた時、あなたは正しく対処できますか?

北島さん
撮影:YAMA HACK編集部(講師は一般社団法人 日本山岳救助隊 隊長の北島英明氏※2018年4月取材当時 )
先日、jRO(日本山岳救助機構)の主催で「自救力(セルフレスキュー)アップ講座」が開催されました。

今回は講座の内容から安全登山に役立つ「最低限抑えておきたいポイント」について、編集部がピックアップしてご紹介します。

ヒヤリハットは遭難のサイン?

遭難 登山者
出典:PIXTA
ほとんどの人は、自分が行っている登山に対して遭難の可能性がないと思いこんでいます。そのため、そこに潜む危険の認識、必要な知識や技術の習得が十分でないのが現状です。

登山日程別遭難者の割合
YAMA HACK編集部作成(データ元:一般社団法人日本山岳救助隊捜索事例資料)
しかし、講師の北島さんによると、遭難の多くは危険が低いと思われている日帰りで起こっているそうです。
皆さんにも登山をしていて、ヒヤリとした経験はないでしょうか?その時は運良く無事でしたが、遭難や重大事故につながる可能性があったと思うととても怖いですよね。
(グラフのn数は一般社団法人日本山岳救助隊捜索事例資料[以下、資料]の事例数です。)

遭難者には3つの傾向があった!



もちろん自然を相手にする登山なので想定できないアクシデントもありますが、過去に発生した遭難の原因を検証すると、行方不明になる人には以下の3つの特徴がありました。
①ソロ登山(1人での登山)
②登山計画書を出さずに登山をする
③山岳保険へ加入していない

①ソロ登山
資料によると遭難捜索を行ったうちソロ登山者が88%と高い割合に。ソロ登山は自分のペースで登山を楽しめるという魅力もありますが、遭難してもその異変に気づいてくれる人がいないという危険性があります。

②登山計画書を出さずに登山をする
登山中の行動計画を記した登山計画書。実は初心者の多くが登山計画書を出していないのが現状です。
なぜ、登山計画書を提出する必要があるのでしょうか?それは、
山
出典:PIXTA
このように広い山でなんの手がかりもなしに、捜索をすることになるからです。

登山計画書の提出と家族への共有は、何か異変があった時にあなたをスムーズに探すために必要なので、必ず作成し提出しましょう。
▼登山計画書の作成方法が知りたい方はこちらをチェック

③山岳保険へ加入していない
さらに資料を見ていくと、遭難捜索を行った遭難者の58%が山岳保険や山岳遭難対策制度に入っていませんでした。遭難捜索には莫大な費用がかかることも。万が一に備えて置くことは、あなたの家族の生活を守ることにもつながります。
▼山岳保険で万が一に備えましょう

遭難から身を守るためには、登山の危険性を把握し、「装備を揃え、無理のない登山計画を立てて提出し、山岳保険や山岳遭難対策制度に加入しておく」などの事前準備と心構えが重要といえます。

生死を分ける3つの基本行動

怪我をしてしまった時に正しく手当てをして安全な場所へ移動したり、適切なタイミングで救助を要請したりすることを”セルフレスキュー”といいます。もしもの時はこのセルフレスキューが生死をわけることも。
ここでは難しい方法ではなく、誰でもできる基本的なセルフレスキューについてお伝えします。

ステップ①体温の確保をしよう

体温保存 遭難者の死亡例で多いのが「低体温症」です。体力を消耗している状態であれば、なおさら危険性は高まります。多くの人が暑い夏には低体温症にならないと考えていますが、それは間違い。夏山でも、気温が10℃を下回る事もありますし、雨で濡れて体温が低下する可能性も十分にありえます。

また、体を温める時は、特に「心臓」「頭部」「首」を保温しましょう。特に頭部は50%~80%の放熱があるといわれているので、優先して温めるようにしてください。寒いと感じたら服を着込む、ウェアが濡れていたら着替えるなど、小さなことが生死に関わるのでしっかりと対処しましょう。

ステップ②不安な気持ちにならないように落ち着こう

体調不良
出典:PIXTA
動けなくなった人がいる場合は、まずは落石や風が避けられる安全を確保できる場所に移動させて、通りかかった登山者への伝言や携帯電話で救助要請をしてください。
また、怪我をした人を1人きりにせずに、その場に付き添ってあげることも大切です。1人になると想像以上に不安になり、気持ちが折れてしまうこともあります。

ステップ③冷静に救助を呼ぼう

スマホ 救助要請
出典:PIXTA
【電話がつながる場合】
①遭難してしまったら、まずは携帯電話で警察や消防に救助要請をしましょう。(道迷いなら警察、怪我や病気なら消防が良い)
最初に「山岳遭難です」と伝えてください。

【電話がつながらない場合】
①周りに登山者がいる場合は、救助要請の伝言をお願いしよう。
②伝言を依頼する時は、お礼をするために相手の「名前」「連絡先」を聞いておきましょう。
※遭難時の単独行動は2次災害を招く可能性があるので、できるだけ避けてください。

【登山者必携】命を守る基本装備はコレ!

遭難すると、低体温症につながる「体温低下」、さらなる道迷い・滑落の可能性がある「暗所での行動」、そして「怪我の悪化」など、命に関わる危険にさらされます。
そういった状況に対応するために、北島さんが教えてくれた「登山必携3点セット」と「パーティーで持っていたい装備」を紹介します。

個人で持っておく必携装備

登山必須装備
撮影:YAMA HACK編集部
項目理由
レインウェア・体温を風雨から守るために必要。体が濡れるとあっという間に体温が下がるので注意。
・少し厚手のモデルのほうが、ビバークでも暖かく体温低下を防げる。
ヘッドライト・夜間行動時に必要。また、明かりがあるだけでも安心できます。予備の電池も忘れずに。
・動けなくなった時にもライトの光で自分の位置を知らせることも可能。
携帯電話
(スマートフォン)
・緊急の連絡やGPS機能など便利な機能が搭載されている。
・電波が通じる場所であれば、すぐに救助要請が可能。モバイルバッテリーも必携。
▼その他、ザックの中に入れていたい装備こちら

上記の表の3アイテムにプラスして持っておきたいものが「予備の水」です。これは500mlくらいのペットボトルを飲料水と別に持っておくことで、非常時の水分補給や傷の洗浄に使うことができます。
沢の水は大腸菌などの雑菌が含まれていることもあるので、できるだけ避けたほうが懸命です。
▼沢の水しかない時にも使える携帯洗浄器もチェック

②パーティーで持っておく装備

持って行きたい装備
撮影:YAMA HACK編集部(ツェルトは折りたたんでいますが、2人用サイズです。)
項目理由
ツェルト・ビバークには欠かせないアイテム。頭から被るだけでも体温管理が可能。
・遭難時には体温を下げないことが生死を分けることもある。
三角巾・傷口の止血や捻挫、骨折時の固定など様々な使い方ができる。
テーピング・怪我の手当てだけでなく、テントやツェルトの補修にも使用可能。
持って行きたい装備
撮影:YAMA HACK編集部
広げると大きなツェルトも携行時はこんなに小さくなるので、ザックに入れていても邪魔にならないですね。(このツェルトはレインパンツと同じ位のサイズでした)
上記以外にも、細引きと呼ばれる2mm~7mmくらいの太さのナイロンのロープがあると、ツェルトをテントのように張ることもできるので便利です。
▼ツェルトに関して詳しく知りたい方はこちら

▼上記以外でもあると安心なアイテム

セルフレスキューはもはや”登山者のマナー”である

登山者
出典:PIXTA
セルフレスキューや遭難対策と聞くと何か難しい技術の話のように思われることが多いですが、実際は誰でもできる基本的なことが大切です。もちろん技術の習得は大切な事ですが、まずは、登山に潜む危険性を自分事として捉え、基本的な準備を行うことが安全登山の始まりです。それから、様々な講習会に参加してみるのも良いですね。

今回、教えてくれた人:北島 英明さん

北島さん
撮影:YAMA HACK編集部
一般社団法人日本山岳救助隊 隊長(※2018年4月取材当時)として、様々な遭難対策に携わっている。

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YAMA HACK編集部
YAMA HACK編集部

YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。

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