10人に1人は巻き爪!?
鈴木さん:巻き爪ってその名の通り、爪が巻いている状態のことで、それが痛くても痛くなくても「巻き爪」なんですよ。その潜在的な巻き爪の人口は1割くらいいるようで、そのうちの何割かが痛みに繋がるんです。
編:え、1割もいるんですか! ということは単純計算で…10人に1人が巻き爪ってことだ。
鈴木さん:もちろん、その中でも段階があります。当院での話になるんですが、軽度・中度・重度の三段階があって、軽度はちょっと巻いてきてる状態。地面に対して垂直の状態までくると中度です。これが45度よりも内側に入ると重度で、ナルトみたいな形になります。
そのため、軽度の段階で対処できるかどうかが重要ですね。少しでも内側に入った瞬間に巻いちゃいますから。
爪ってそもそも巻くらしい
鈴木さん:爪ってね、何もしないとそもそも巻くものなんですよ。
編:え゛!! そうだったんですか。
鈴木さん:地面を蹴ってちゃんと歩いていると、地面からの反力が伝わって、爪が開く方向に力が働く。そのプラスとマイナスの力が作用して、正しい湾曲へ導いてくれるんです。だから例えば、寝たきりになった人はすぐに巻いちゃいます。
編:はぁ~、歩いてたらいつの間にそんな作用が…。全然知りませんでした。じゃあ歩ける人は、歩いてるのにどうして巻き爪になっちゃうんでしょう?
なんで巻き爪になっちゃうの?
鈴木さん:1番の原因は、とにかく靴の問題です。①合うサイズを選べていない②正しく履けてないの2パターンが考えられます。これは、現在悩んでいる人はもちろん巻き爪の予防にもなりますので、全ての人にぜひ知ってもらいたいです!
①靴のサイズが合ってない問題
鈴木さん:靴って、サイズが小さかったら圧迫されるのは想像できるじゃないですか。だから「窮屈なのはイヤだ!」といってサイズを大きくする人もいると思います。でも中で足が動くと、どんどん中で前の方に足がつんのめっていっちゃう。それでつま先が当たるんです。
編:ふむふむ。当たって痛い、というのは登山の下山中にも同じような現象があります。
鈴木さん:それに加えて、靴が大きいと人間は無意識に靴の中でバランスを取ろうとするんです。そうすると指を正しく使った歩行ができなくなるんですね。
編:正しい歩行とは…?
鈴木さん:具体的にどういうことかというと、人間は歩く時右足を前に出したら、最後に後ろの左足で地面を蹴るんです。靴のサイズが大きいと、この指で蹴るという行為ができない。すなわち、地面からの反力がない状態ということになります。
編:あ! さっきのプラスとマイナスの力の話ですね。
鈴木さん:そうです。本来放っておけば巻くものなんだから、反力がないと当然、巻いてっちゃいますよね。
②正しく履けていない問題
鈴木さん:もう1つは、靴ひも。大体はこのひもで何とかなります。
編:ほう…? と言いますと?
鈴木さん:みんな心のどこかで「キツいのやだな」って思ってる。やっぱり緩く、楽ちんに靴を履きたいから靴ひもをしっかり結ばない人が圧倒的に多い。だけど、考えてみてほしいんです。じゃあ靴ひもって何のために付いてるんですか?ということ。
編:う…(ぎくっ)。そりゃあもちろん「締めるため」ですよね…。
鈴木さん:確かに、文化的なことにも起因すると思うんです。欧米だと朝きつくぎゅっとひもを結んで出かけていくケースが多いですが、日本は靴文化じゃないから、脱ぎ履きが生じるので楽ちんな靴がいい、というのは当然の考えです。でも、やっぱりひもを締めないとさっき言ったように、靴の中で足が動いちゃいます。
解決策は?
編:では、この2つの解決策としてはどういった事になるんでしょう?
鈴木さん:まず、しっかりと自分に合ったサイズの靴を履くこと。そして履く時は、まずかかと側にトントンとフィットさせて、下からしっかり紐を結んでください。甲にしっかりと靴をフィットさせることが重要です。
編:あ、登山靴の履き方と同じだ!
鈴木さん:靴ひもをちゃんと締めるだけで、色んな障害が減ります。あと、いつもより気持ち大股で歩いてみるのも良いですよ。大股で歩くと、必ず後ろの足で蹴るんです。蹴らないと、前の足が遠くまで出せないので。
編:なるほど~…。そっか、さっき下山でもつま先が当たって痛い現象があるって言いましたけど、ちゃんと締めてないのも原因の1つなんですね。
鈴木さん:正しく履けていない可能性は十分にありますよね。足が前に動いているということですから、下山前にこの履き方をしっかり実践すればOKです。何となく我慢して行っちゃってた人は、靴の履き方を見直してみてください。
編:これが「健脚者だから、脚力に自信があるから」といくら言ってもつま先は痛くなるわけだ。
鈴木さん:はい、靴紐が全てと言って過言ではありません!
あと、巻き爪って遺伝も関係してるみたいなんです。統計があるわけではないんですが、よく聞くのは先天的な人は綺麗に左右同じように巻いてる場合が多いんですね。
編:へぇ~! 遺伝だと、どうしようもないですよね…
鈴木さん:なので、それをいかに予防するか、痛みが出ないようにするかが靴の選び方・履き方に繋がってくるんです。