ウルトラライトを取り入れたい!でもどうすればいい?

そこで今回は、『ウルトラライトの達人に聞いてみよう!』と題し、とあるショップへ行ってきました。
アウトドアショップ“MoonlightGear”で聞いてきた!

服部さん、ウルトラライトのこと教えて~!

『ウルトラライト』は目的達成の手段であり方法論

ウルトラライトは、もともとロングハイクを楽しむハイカーが、少ない負担で長い距離を長時間歩き続けるための手段として装備を軽量化した、アメリカで生まれたハイキングのスタイルなんです。明確な定義はなくて、目的達成のための手段として何をとるかという“方法論“なんです。
デメリットをカバーするところまで考えるのが『ウルトラライト』

テントを軽くすると、その分、気密性が下がったり、雨や風に弱くなる可能性はあります。そのデメリットをどういう風に補うかまで考えなければいけません。例えば、フロアレスシェルターだけだと風に弱いと言われるけれど、ビビイ(シュラフカバー)を合わせることで体に近い部分で気密性を保ち、熱を逃しにくくするなどの工夫が必要です。ウルトラライトスタイルは、ただ軽量なギアにすればいい訳ではないんです。人体実験じゃないですけど、装備は試してみてブラッシュアップですね!
『ウルトラライト』実現の秘訣は、自分の持っているギアを知ること

ウルトラライトには基準となる重量があって、それが「ベースウェイト」です。ベースウェイトは水や食料など消費や補給で変動するものを除いた重量で、ウルトラライトでは4~5kgが目安になっています。その中で、どこの山へ行くか、自分が山で何をしたいかによって重量を調整します。テントや寝袋をどういう装備にするかでウェイトが大きく変わってくるので、衣・食・住の3つに分けて、自分がどのくらいの重量を持っているのかを理解すると、軽くできる部分が見えてきますよ!
「衣」・・・ウエア(レインジャケット、インサレーション、ベイスレイヤーなど)
「食」・・・クッカー、火器類など
「住」・・・テント、シュラフ、マットなど
1度自分の持っているギアの重さを1つずつ量ってみましょう。衣・食・住の中でどこのベースが重いか、もしくは軽くできるか、ギアを見直してみてもよいかもしれません。
では、どんなギアがおすすめなのでしょうか?
達人おすすめ!愛用ギアベストナイン
実際に山でどんなギアを使っているのか気になるところ。服部さんの愛用ギアを、お気に入りポイントと共に教えていただきました。ぜひギア選びの参考にしてみては!①シェル

146gと超軽量。タフなキューべン・ファイバー(ダイニーマ®・コンポジット・ファブリック)と防水浸湿性の高いイーベントのハイブリッド素材を採用しています。10,000mmの耐水圧に対して、透湿性能32,000gm2/24hrと抜けが良いのが特徴です。耐久性にも優れているので、岩に擦れたりバックパックで擦れても安心して使えるのが魅力ですね。
透湿性に対して、風に対してのあたりが強いので、稜線上に出て風に吹かれても寒く感じにくいのもキューベン・ファイバーの特徴です。
※耐水圧10,000mm・・・生地上に1cm四方の柱を立てて中に水を入れ、10,000mm(10m)までの高さに入れた水の水圧に耐えられる(JIS規格)。一般的な目安では、10,000mmは大雨。
※透湿度32,000mg/m2/24h・・・1日(24h)で1平方メートルあたり、32,000g(32kg)の水蒸気の汗を透過する能力がある。
②ベスト

保温力が高いプリマロフトゴールドという化繊綿のベストです。ダウンは雨や湿度、汗などに弱く、濡れてしまうとロフト(嵩の高さ)がへたってしまうのですが、プリマロフトなどの化繊であれば、汗や雨で濡れてもへたらないので、体幹の温度を保持することができて体回りが冷えないですよ。
しかも、160gで軽量なので、保険として持っていくこともできるし、ポケッタブルでコンパクトに収納できるのも、ポイント高いです!
③バックパック

360gで軽いのはもちろんなんですが、シンプルなので色んな目的を持って使えるところが気に入っています。

上部はロールトップして横で止める仕様なんですが、上で止めて正面にウエアやスノーシューなどを挟むこともできるんです。コードの止め方次第で、自分の好きなように使えるのが良いですね。
④クッカー

持って行くのはシンプルに風防とエスビット(固形燃料)だけです。
カーボンフェルトなどをひいてエスビット置いて、クッカーを置いて…
クッカーは、400ccのお湯が沸かせればOKです! それぐらいのお湯でも十分食事が取れるんです。お湯を入れて2分で食べられる携行食のビバークレーションとかも200ccちょっと、アルファ米も300ccのお湯があればできちゃうので。
⑤ボトル

145gと軽量なチタンのボトルです。水筒としてだけじゃなく、直接火にかけられるのでクッカーとしても使えるのが便利で、これでお湯を沸かしたりしています。
⑥行動食

ドライフルーツを使ったオーガニックのエナジーバーです。緩やかな血糖値の推移や波のない持続的なエネルギー代謝を行うために、白糖を使用せず、ビタミンやミネラル、運動時に大切なカリウムなども、もともとバランス良く持っているドライフルーツを使用しているので、体に負担なく補給することができます。
マイナス14~15℃まで固まらないので、雪山にもおすすめで、味もおいしいんです!
⑦マット

夏はこれだけで僕は十分ですね! ウルトラライト系のバックパックって、背面パットがないものが多いんですが、バックパックの中に入れて背面パットとしても使えるんですよ。
使っているバックパックにも背面パッドはないので、一石二鳥で重宝してます!
冬はこれを使っていて、366gで軽いのと、中に断熱材が入っているので暖かさも十分です。普通のマットは横幅がだいたい51~2cmぐらいのところ、これは横幅58cmで広めなのがポイント。寝返りも打ちやすいし、V字のデザインは寝てても体がズレにくいのと、腕がマットから落ちにくいのが特徴です。
⑧ビビィ

ビビィってシュラフカバーのことで、言い方の違いなんですが、これに寝袋とマットを入れて使います。クライミングとか、岩場の多いところや崖っぷちで寝るとき使われたりするんですが、場所を問わずどこでも張れて、これだけで寝られるので愛用しています。
ビビィにも色んな種類があるんですが、これはしっかりと全体を覆うことができる完全防水の形状です。雪山では雪洞を掘って使ったり、天気の良い日はそのまま使ったり、雨のときは岩の隅っこや、木の下で寝ています。タープを合わせることで、雨でも寝たままクッカーでお湯を沸かすことができたり、直接雨に当たらなかったりと、色んな合わせ方ができるのも特徴です。
ビビィは体に近いところで気密性が取れるので、結構あったかいですよ。結露も少ないです。
持ち運ぶときは、ビビィの中に寝袋も入れちゃうのがおすすめです。ビビィ自体が防水なので、防水のスタッフサックに入れなくても済むんです。スタッフサック自体も5gとかあるので、その分軽減できますよ。
⑨テント

このテントはフライが外せて蚊帳のようになるので、ビビィとは逆で、暑い日に涼しく快適に寝られます。じめじめして蒸し暑い日本の環境でも使いやすいと思います。2人用で1,100gなので、めちゃめちゃ軽い訳ではないんですが、夜空を眺めながら寝ることもできるのが良いですね。

MoonlightGear
住所:東京都千代田区岩本町2-8-10
電話番号:03-6884-8143
MoonlightGear
最後に、ウルトラライトスタイルの最大の魅力を教えて!

行く山や自分が山でどういうことをしたいかによって装備を変えていて、それを考えるのも楽しいんです。ウルトラライトって軽くてシンプルな装備で凌いでいる、わびしいイメージがあるかもしれませんが、その分、自然との距離が近いんです。ウルトラライトは、自然をより感じられるスタイルであることが最大の魅力です。