荒島岳|ブナの原生林が美しい百名山!樹氷など四季折々の見どころと登山4コースを紹介

2022/06/20 更新

福井県唯一の日本百名山に選ばれた「荒島岳」。新緑や紅葉の時期にはブナが美しく、雪山は3000m級にも劣らぬ迫力と人気です。この記事では深田久弥が歩いたというルートや新ルートなど4つの登山ルートを紹介。荒島岳の見どころやアクセス情報などを紹介します。

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アイキャッチ画像出典:PIXTA

「荒島岳(あらしまだけ)」ってどんな山?

麓から見る荒島岳
出典:PIXTA
標高山頂所在地最高気温
(6月-8月)
最低気温
(6月-8月)
1523.5m福井県大野市23.9℃8.8℃
荒島岳は福井県大野市にある、福井県唯一の日本百名山で、別名「大野富士」とも呼ばれている独立峰です。泰澄大師によって開山され、信仰の山として古くから崇められてきました。

その名前の由来についての確かな説はなく、平安時代に編纂された延喜式(908年)に「阿羅志摩我多気(あらしまがたけ)」として記載されているそうです。

さまざまな景色を堪能!荒島岳の見どころ紹介

冬季の荒島岳
出典:PIXTA
荒島岳の魅力のひとつは、目の前に悠然と構える白山や越前大野の街を見渡せる眺望の良さにあります。また、ブナの天然林が見せる四季折々の表情も見どころのひとつです。

荒島岳名物の急登!「もちが壁」

もちが壁
「もちが壁」とは、荒島岳の名物ともいわれるほど、かなり険しい登りの箇所を指します。鎖やハシゴ、ロープの添えられた階段状の急な登山道や岩場をひたすら登ります。
冬のもちが壁 冬には登山道が見えなくなるくらい雪が積もるもちが壁。上級者向けというのも納得の難路です。

残念……名物だった「トトロの木」

トトロの木 標高820m付近にあった、大きなこぶを持つブナ大木、通称「トトロの木」。シルエットがどことなく、有名キャラクターに似ていると評判でしたが、2018年9月に発生した台風21号の影響で倒れてしまいました。現在は撤去済みというのが残念!

新緑&紅葉が美しい「ブナの原生林」

荒島岳のブナ林 荒島岳の魅力である「ブナの原生林」は、新緑から紅葉の時期まで、さまざまな表情を見せてくれます。ブナの葉は照葉樹に比べて薄いので、差し込む日差しによって森の中が明るくなり、ブナ林ならではの美しさを見せてくれます。
ブナ林の紅葉 紅葉のシーズンのブナ林はまた格別の美しさです。毎年9月下旬~11月中旬が見頃となっており、多くの登山客で賑わいます。山頂から見ると、麓から山頂まで段階を追って色づく様子が手に取るようにわかるのもうれしいですね。

深田久弥の出身地、「福井唯一の百名山」

荒島岳 遠景
出典:PIXTA
『日本百名山』の著者、深田久弥が地元福井県で唯一百名山に指定したのが荒島岳。日本百名山の軌跡をたどるのなら、深田久弥が歩いた中出コースがおすすめです。余談ですが深田久弥は荒島岳と能郷白山、どちらを百名山に指定するか最後まで迷い、気品の高さから荒島岳が選ばれたそうです。

冬も登れる?雪山登山でも人気の荒島岳

積雪期の荒島岳
出典:PIXTA
冬の荒島岳は、「空の青」と「雪の白」だけの幻想的な世界が広がり、山頂からは白山や北アルプスの山々まで見渡すことができます。3000m級に匹敵する美しい銀世界に多くの登山者が魅了されてきました。
積雪期の荒島岳を登る登山者 冬の荒島岳はきれいですが、急登が多く尾根歩きの登山道、さらにラッセルが必要な場合もあり、上級登山者向けです。登山初級者の方には非常に危険なため、冬季は雪山技術を習得して上級者とともに挑戦するのが無難です。
樹氷(アイスモンスター) 荒島岳は樹氷(アイスモンスター)が見られます。東北地方でしか見られないと考えられていた樹氷ですが、この山ではたくさんのアイスモンスターがそびえ立ちます。

荒島岳の天気と地図も必ずチェック!

荒島岳に行く前に現地の天気をチェック! 地図を事前に準備してルートをチェックし、迷わないように万全の準備をしましょう。
ITEM
山と高原地図 白山 荒島岳・能郷白山・金剛堂山
発行元:昭文社

てんきとくらす|荒島岳

荒島岳のおすすめコース4選

麓の田んぼと荒島岳
出典:PIXTA
荒島岳に登るルートはいくつかありますが、こちらでは代表的な4つを紹介します。どのコースも距離が長く、きつい登りの多いコースばかりですので、朝早く登り始めるのがおすすめです。
また、登山に慣れていない人、体力に自信のない人は無理をせず、ふもとの民宿やホテルなどに前泊するなど、余裕のあるスケジュールで挑みましょう。

①勝原コース|ブナ林が美しい定番の登山ルート

合計距離: 9.96 km
最高点の標高: 1490 m
最低点の標高: 338 m
累積標高(上り): 1973 m
累積標高(下り): -1973 m

【体力レベル】★★☆☆☆
日帰り
コースタイム:5時間40分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
ルート概要(往復)
駐車場50分)→元リフト終点90分)→シャクナゲ平60分)→荒島岳40分)→シャクナゲ平70分)→元リフト終点30分)→駐車場
旧カドハラスキー場の駐車場からスタートします。駐車場のトイレは冬季閉鎖のため、事前に情報を確認してから登ってください。登山道は急登が3時間以上続くため、ペースを崩さないように注意して登りましょう。特に夏は体力などを消耗しやすいため、バテないようにこまめな休憩と水分補給が大切です。
荒島岳登山口 駐車場からは急斜面のゲレンデを登り、リフト終点地点からは尾根伝いの険しい登山道を登ります。
荒島岳 ブナ原生林の景色
出典:PIXTA
見事な樹形のブナ原生林の中を進みます。地表にブナの根が露出しているため、つまづかないように注意。
荒島岳分岐点 1時間半ほどでシャクナゲ平に到着です。中出ルートとの合流点でもあり、小広場やベンチがあります。
ジャクナゲ平からの景色 シャクナゲ平からは白山や、お天気がよければ北アルプスの山々まで望めます。
荒島岳 もちが壁 シャクナゲ平からは岩場も多くなり、「もちが壁」という滑りやすい急登が出現します。ハシゴや鎖を使いながら、慎重に登りましょう。傾斜が緩くなって笹原に出ると、頂上はもうすぐです。
荒島岳山頂からの景色
出典:PIXTA
山頂からは大野や勝山の街並みが広がります。白山や前荒島、中荒島の姿を見ながら来た道を下山しましょう。もちが壁の急登は滑りやすいので、慎重に降りてくださいね。

②中出コース|小荒島岳を経由!深田久弥も歩いた名山の道

合計距離: 11.94 km
最高点の標高: 1490 m
最低点の標高: 375 m
累積標高(上り): 1655 m
累積標高(下り): -1655 m

【体力レベル】★★★☆☆
日帰り
コースタイム:6時間
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
ルート概要(往復)
駐車場120分)→小荒島岳20分)→シャクナゲ平60分)→荒島岳40分)→シャクナゲ平20分)→小荒島岳100分)→駐車場
中出駐車場には清潔なトイレや湧き水、自販機があるので、事前準備がしっかりとできます。勝原コースよりはゆるやかですが、総合的に斜度のある登山道です。
中出コース 中出集落の中から作業道に入ります。登山道と書かれた標識を確認しながら進みましょう。
中出コースのブナ原生林 杉の植林帯からブナ林へと徐々に高度を上げていきます。急登を経て、気持ちの良い緩やかな尾根をまいて進むと、小荒島岳への分岐点に到着します。
小荒島岳の山頂
出典:PIXTA
分岐点から左側の細い道を1分ほど進むと、小荒島岳の山頂に到着します。小荒島岳から見る荒島岳は迫力がありますね。
シャクナゲ平
出典:PIXTA
再び分岐点まで戻り、シャクナゲ平に向かいます。小荒島岳分岐点からシャクナゲ平までは20分ほどです。
荒島岳頂上
出典:PIXTA
シャクナゲ平からは①コースと同じコースを進み、約60分で荒島岳頂上に到着です。

③新・下山コース|急登や鎖場が続く健脚者向け!

合計距離: 9.79 km
最高点の標高: 1490 m
最低点の標高: 395 m
累積標高(上り): 1617 m
累積標高(下り): -1617 m

【体力レベル】★★★☆☆
日帰り
コースタイム:6時間30分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
ルート概要(往復)
越前下山駅240分)→荒島岳150分)→越前下山駅
2012年に誕生したこのコースは、急登ややせ尾根が続く健脚者・上級者向けのコースとなっています。途中取り付けられているロープは滑りやすいので気を付けて!
新下山コース入口
出典:PIXTA
JR北陸本線(九頭龍線)の「越前下山」駅にほど近い民家の横を入った場所に登山口があります。
荒島岳の急登 ブナ林や急な岩場の登りを手足を使って登ります。山頂までは同じような岩場や急登が続きます。
荒島岳頂上 山頂標識
出典:PIXTA
急登を登りきると、荒島岳山頂に到着です。下山時は他のコースを使って下ってもいいですし、来た道をそのまま下ってもよし!体力に合わせてコースを変更してください。
新・下山コースは坂が急なので、下山時は滑りやすくなっています。滑落などしないよう、慎重に歩きましょう!

④佐開ルート|荒れた林道を乗り越えて進むクラシックルート

合計距離: 17.46 km
最高点の標高: 1490 m
最低点の標高: 283 m
累積標高(上り): 3626 m
累積標高(下り): -3626 m

【体力レベル】★★☆☆☆
日帰り
コースタイム:5時間20分
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★☆☆
・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
ルート概要(往復)
佐開登山口(90分)→駐車場(105分)→荒島岳(65分)→駐車場(60分)→佐開登山口
復旧して登れるようになったコースですが、スタート直後の林道は荒れています。地図に駐車場が載っていますが、林道は四駆などでないと通行が難しい状態。 また、林道には17:30~翌朝まで入口に電気柵が設置されるため、下山時間に注意が必要です。人通りも少ないため、登山に慣れた人以外は公共交通を利用するなどしましょう。
佐開登山口
養魚場から先の林道を歩いて行きます。土砂崩れが多々あり、車両通行止めとなる場合があります。
林道の終点には車が停められる広いスペースがあります。ここから先は本格的な登山道です。
佐開登山道
登山道に入ると歩きやすい道が続き、枕木の階段を進んでいくと、斜度が徐々に上がっていきます。伐採された箇所は日光が当たるため、体力を奪われないようにしましょう。
荒島岳 シャクナゲ平
出典:PIXTA
登山道に入ってから約50分ほどで各コース共通の山頂へ向かう道と合流します。

荒島岳のアクセス・駐車場情報

荒島岳へのアクセスは、東京方面からだと東海北陸自動車道、大阪方面からだと北陸自動車道を利用します。また、JR越美北線(九頭竜線)勝原駅や越前大野駅を利用します。

勝原登山口

【クルマの場合】
・東海北陸自動車道「白鳥」ICー国道158号ー勝原スキー場駐車場
・中部縦貫自動車道「大野」ICー国道157号ー国道158号ー勝原スキー場駐車場

■勝原スキー場駐車場
台数:40台
トイレ:あり(冬季閉鎖)
料金:無料
【公共交通機関の場合】
JR越美北線(九頭竜線)「勝原」駅下車ー勝原登山口

中出登山口

【クルマの場合】
東海北陸自動車道「白鳥」ICー国道158号ー荒島岳中出コース駐車場
・中部縦貫自動車道「大野」ICー国道157号ー国道158号/県道170号ー県道171号ー荒島岳中出コース駐車場

■荒島岳中出コース駐車場
台数:35台
トイレ:あり
料金:無料
【公共交通機関の場合】
・JR越美北線(九頭竜線)「越前大野」駅下車ー乗合タクシー「友兼・蕨生」線(要予約)乗車、「中の出」下車ー中出登山口
・JR越美北線(九頭竜線)「越前大野」駅下車ー市営バス「道の駅」線乗車、「中休」バス停下車ー中出登山口
大野市|乗り合いタクシー大野市|市営バス 道の駅線

新下山登山口

【クルマの場合】
・東海北陸自動車道「白鳥」ICー国道158号ー駅前駐車場
・中部縦貫自動車道「大野」ICー国道157号ー国道158号/県道170号ー駅前駐車場

■駅前駐車場
料金:無料
【公共交通機関の場合】
JR越美北線(九頭竜線)「越前下山」駅下車ー新下山コース登山口

佐開登山口

【クルマの場合】
・東海北陸自動車道「白鳥」ICー国道158号ー県道171号ー林道先駐車場
・北陸自動車道「福井」ICー国道158号ー国道157号ー県道171号ー林道先駐車場
※林道と駐車場は整備されていないため、大野市は佐開登山口からの登山を推奨していません
大野市|荒島岳
【公共交通機関の場合】
JR越美北線(九頭竜線)乗車、「下唯野駅」駅下車、タクシー乗車ー佐開登山口

登山帰りに立ち寄れる温泉情報

温泉
出典:PIXTA
急登で疲れ切った足を癒す温泉施設を紹介します。一汗流してからゆっくり休む事で英気を養いましょう!

あっ宝んど

内湯5つに露天風風呂1つという充実の温泉内容に、年齢を問わずに楽しめる大型温泉施設です。露天風呂には打たせ湯は肩こりにも効きます。併設している食事処では、名物のソースカツ丼や越前そばなどもいただけます。
住所:福井県大野市南新在家26-101
電話:0779-66-7900
営業時間:10:00~23:00(最終受付 22:30)
料金:大人 600円、子供 300円

あっ宝んど|公式サイト

九頭竜温泉 平成の湯

「自然のせっけん」とも言われる、日本有数のアルカリ性単純泉の温泉が楽しめる宿です。入浴後は畳敷きの休憩スペースでのんびり休めます。日帰り湯と同じ敷地にあるホテルのレストランを利用して食事をすませるのもおすすめです。
住所:福井県大野市下山63-2-24
電話:0779-78-2536
営業時間:10:00~21:00(最終入場 20:00)
料金:中学生以上 600円、4歳以上 300円

ホテルフレアール和泉|九頭竜温泉 平成の湯

美しいブナの森、樹氷など1年を通して楽しめる荒島岳

荒島岳 全景
出典:PIXTA
新緑や紅葉のシーズン、荒島岳のブナの森の素晴らしさは格別です。また、登山道や山頂からの眺望も素晴らしく、雪山としても人気があります。1年を通して様々な顔を楽しめる荒島岳、ぜひ登ってその景色を堪能してみてください!

 
※この記事内の情報は特記がない限り公開初出時のものとなります。登山道の状況や交通アクセス、駐車場ならびに関連施設などの情報に関しては、最新情報をご確認のうえお出かけください。


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