「荒島岳(あらしまだけ)」ってどんな山?
標高 | 山頂所在地 | 最高気温 (6月-8月) | 最低気温 (6月-8月) |
---|---|---|---|
1523.5m | 福井県大野市 | 23.9℃ | 8.8℃ |
荒島岳は福井県大野市にある、福井県唯一の日本百名山で、別名「大野富士」とも呼ばれている独立峰です。泰澄大師によって開山され、信仰の山として古くから崇められてきました。
その名前の由来についての確かな説はなく、平安時代に編纂された延喜式(908年)に「阿羅志摩我多気(あらしまがたけ)」として記載されているそうです。
さまざまな景色を堪能!荒島岳の見どころ紹介
荒島岳の魅力のひとつは、目の前に悠然と構える白山や越前大野の街を見渡せる眺望の良さにあります。また、ブナの天然林が見せる四季折々の表情も見どころのひとつです。
荒島岳名物の急登!「もちが壁」
「もちが壁」とは、荒島岳の名物ともいわれるほど、かなり険しい登りの箇所を指します。鎖やハシゴ、ロープの添えられた階段状の急な登山道や岩場をひたすら登ります。
冬には登山道が見えなくなるくらい雪が積もるもちが壁。上級者向けというのも納得の難路です。
残念……名物だった「トトロの木」
標高820m付近にあった、大きなこぶを持つブナ大木、通称「トトロの木」。シルエットがどことなく、有名キャラクターに似ていると評判でしたが、2018年9月に発生した台風21号の影響で倒れてしまいました。現在は撤去済みというのが残念!
新緑&紅葉が美しい「ブナの原生林」
荒島岳の魅力である「ブナの原生林」は、新緑から紅葉の時期まで、さまざまな表情を見せてくれます。ブナの葉は照葉樹に比べて薄いので、差し込む日差しによって森の中が明るくなり、ブナ林ならではの美しさを見せてくれます。
紅葉のシーズンのブナ林はまた格別の美しさです。毎年9月下旬~11月中旬が見頃となっており、多くの登山客で賑わいます。山頂から見ると、麓から山頂まで段階を追って色づく様子が手に取るようにわかるのもうれしいですね。
深田久弥の出身地、「福井唯一の百名山」
冬も登れる?雪山登山でも人気の荒島岳
冬の荒島岳は、「空の青」と「雪の白」だけの幻想的な世界が広がり、山頂からは白山や北アルプスの山々まで見渡すことができます。3000m級に匹敵する美しい銀世界に多くの登山者が魅了されてきました。
冬の荒島岳はきれいですが、急登が多く尾根歩きの登山道、さらにラッセルが必要な場合もあり、上級登山者向けです。登山初級者の方には非常に危険なため、冬季は雪山技術を習得して上級者とともに挑戦するのが無難です。
荒島岳は樹氷(アイスモンスター)が見られます。東北地方でしか見られないと考えられていた樹氷ですが、この山ではたくさんのアイスモンスターがそびえ立ちます。
荒島岳の天気と地図も必ずチェック!
荒島岳に行く前に現地の天気をチェック! 地図を事前に準備してルートをチェックし、迷わないように万全の準備をしましょう。
てんきとくらす|荒島岳
荒島岳のおすすめコース4選
荒島岳に登るルートはいくつかありますが、こちらでは代表的な4つを紹介します。どのコースも距離が長く、きつい登りの多いコースばかりですので、朝早く登り始めるのがおすすめです。
また、登山に慣れていない人、体力に自信のない人は無理をせず、ふもとの民宿やホテルなどに前泊するなど、余裕のあるスケジュールで挑みましょう。
①勝原コース|ブナ林が美しい定番の登山ルート
最高点の標高: 1490 m
最低点の標高: 338 m
累積標高(上り): 1973 m
累積標高(下り): -1973 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:5時間40分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
駐車場からは急斜面のゲレンデを登り、リフト終点地点からは尾根伝いの険しい登山道を登ります。
見事な樹形のブナ原生林の中を進みます。地表にブナの根が露出しているため、つまづかないように注意。
1時間半ほどでシャクナゲ平に到着です。中出ルートとの合流点でもあり、小広場やベンチがあります。
シャクナゲ平からは白山や、お天気がよければ北アルプスの山々まで望めます。
シャクナゲ平からは岩場も多くなり、「もちが壁」という滑りやすい急登が出現します。ハシゴや鎖を使いながら、慎重に登りましょう。傾斜が緩くなって笹原に出ると、頂上はもうすぐです。
山頂からは大野や勝山の街並みが広がります。白山や前荒島、中荒島の姿を見ながら来た道を下山しましょう。もちが壁の急登は滑りやすいので、慎重に降りてくださいね。
②中出コース|小荒島岳を経由!深田久弥も歩いた名山の道
最高点の標高: 1490 m
最低点の標高: 375 m
累積標高(上り): 1655 m
累積標高(下り): -1655 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
中出集落の中から作業道に入ります。登山道と書かれた標識を確認しながら進みましょう。
杉の植林帯からブナ林へと徐々に高度を上げていきます。急登を経て、気持ちの良い緩やかな尾根をまいて進むと、小荒島岳への分岐点に到着します。
分岐点から左側の細い道を1分ほど進むと、小荒島岳の山頂に到着します。小荒島岳から見る荒島岳は迫力がありますね。
再び分岐点まで戻り、シャクナゲ平に向かいます。小荒島岳分岐点からシャクナゲ平までは20分ほどです。
シャクナゲ平からは①コースと同じコースを進み、約60分で荒島岳頂上に到着です。
③新・下山コース|急登や鎖場が続く健脚者向け!
最高点の標高: 1490 m
最低点の標高: 395 m
累積標高(上り): 1617 m
累積標高(下り): -1617 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間30分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
2012年に誕生したこのコースは、急登ややせ尾根が続く健脚者・上級者向けのコースとなっています。途中取り付けられているロープは滑りやすいので気を付けて!
JR北陸本線(九頭龍線)の「越前下山」駅にほど近い民家の横を入った場所に登山口があります。
ブナ林や急な岩場の登りを手足を使って登ります。山頂までは同じような岩場や急登が続きます。
急登を登りきると、荒島岳山頂に到着です。下山時は他のコースを使って下ってもいいですし、来た道をそのまま下ってもよし!体力に合わせてコースを変更してください。
新・下山コースは坂が急なので、下山時は滑りやすくなっています。滑落などしないよう、慎重に歩きましょう!
④佐開ルート|荒れた林道を乗り越えて進むクラシックルート
最高点の標高: 1490 m
最低点の標高: 283 m
累積標高(上り): 3626 m
累積標高(下り): -3626 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:5時間20分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
また、林道には17:30~翌朝まで入口に電気柵が設置されるため、下山時間に注意が必要です。人通りも少ないため、登山に慣れた人以外は公共交通を利用するなどしましょう。
荒島岳のアクセス・駐車場情報
荒島岳へのアクセスは、東京方面からだと東海北陸自動車道、大阪方面からだと北陸自動車道を利用します。また、JR越美北線(九頭竜線)勝原駅や越前大野駅を利用します。
勝原登山口
【クルマの場合】
・東海北陸自動車道「白鳥」ICー国道158号ー勝原スキー場駐車場
・中部縦貫自動車道「大野」ICー国道157号ー国道158号ー勝原スキー場駐車場
【公共交通機関の場合】
JR越美北線(九頭竜線)「勝原」駅下車ー勝原登山口
中出登山口
【クルマの場合】
・東海北陸自動車道「白鳥」ICー国道158号ー荒島岳中出コース駐車場
・中部縦貫自動車道「大野」ICー国道157号ー国道158号/県道170号ー県道171号ー荒島岳中出コース駐車場
【公共交通機関の場合】
・JR越美北線(九頭竜線)「越前大野」駅下車ー乗合タクシー「友兼・蕨生」線(要予約)乗車、「中の出」下車ー中出登山口
・JR越美北線(九頭竜線)「越前大野」駅下車ー市営バス「道の駅」線乗車、「中休」バス停下車ー中出登山口
大野市|乗り合いタクシー大野市|市営バス 道の駅線
新下山登山口
【クルマの場合】
・東海北陸自動車道「白鳥」ICー国道158号ー駅前駐車場
・中部縦貫自動車道「大野」ICー国道157号ー国道158号/県道170号ー駅前駐車場
【公共交通機関の場合】
JR越美北線(九頭竜線)「越前下山」駅下車ー新下山コース登山口
佐開登山口
【クルマの場合】
・東海北陸自動車道「白鳥」ICー国道158号ー県道171号ー林道先駐車場
・北陸自動車道「福井」ICー国道158号ー国道157号ー県道171号ー林道先駐車場
※林道と駐車場は整備されていないため、大野市は佐開登山口からの登山を推奨していません
大野市|荒島岳
【公共交通機関の場合】
JR越美北線(九頭竜線)乗車、「下唯野駅」駅下車、タクシー乗車ー佐開登山口
登山帰りに立ち寄れる温泉情報
あっ宝んど
内湯5つに露天風風呂1つという充実の温泉内容に、年齢を問わずに楽しめる大型温泉施設です。露天風呂には打たせ湯は肩こりにも効きます。併設している食事処では、名物のソースカツ丼や越前そばなどもいただけます。
九頭竜温泉 平成の湯
「自然のせっけん」とも言われる、日本有数のアルカリ性単純泉の温泉が楽しめる宿です。入浴後は畳敷きの休憩スペースでのんびり休めます。日帰り湯と同じ敷地にあるホテルのレストランを利用して食事をすませるのもおすすめです。
美しいブナの森、樹氷など1年を通して楽しめる荒島岳
新緑や紅葉のシーズン、荒島岳のブナの森の素晴らしさは格別です。また、登山道や山頂からの眺望も素晴らしく、雪山としても人気があります。1年を通して様々な顔を楽しめる荒島岳、ぜひ登ってその景色を堪能してみてください!