この稜線伝いに歩いて山から山へ向かう山行スタイルのことを「縦走」といいます。また、登頂したら下山せずに単に次の山へ向かうことも縦走といいます。他にも、ルートによっては山頂を目指さずに稜線を歩いて登山を楽しむことも縦走と呼びます。
縦走の2つの魅力
縦走の定義についてみてきましたが、ではその魅力とはどういったものがあるのでしょうか?
①何といっても展望サイコー!
縦走の魅力でまず挙げられるのは、何といっても眺めの良さ! 稜線は左右に展望が開けているので、雄大な景色を見渡しながら歩くことができます。
②ピークをいくつも踏める
また、独立峰登山の場合は一度山頂へ到達したら後は下るだけですが、縦走では一度に複数の山を登るのでピークをいくつも踏めるという魅力があります。これは独立峰登山では味わえない楽しさですよ!
でも縦走って、上級者向けだよね…
縦走とは何か、そしてその縦走の魅力について分かったところで「でも縦走って上級者向けで難しいんでしょ?」と思ってはいませんか?次は縦走ができる登山レベルについて見ていきましょう。
ちょっとハードル高いんですけど?
縦走は、確かに初心者がいきなりするものではなく、ある程度中~上級者のイメージが強いのが一般的です。日帰りでできるものも中にはありますが、基本的には1泊2日以上で宿泊は必須。そのために必要な装備も多くなります。また、ある程度の体力や知識、技術も必要となることが推測できますよね。では具体的にどの段階に達していれば縦走は可能なのでしょうか?
段階ってある?
多くの登山者の方は、
『日帰り→小屋泊→テント泊』
とステップアップするにつれ、徐々に山にいる時間が長くなってきていると思います。つまり、
・山で泊まることに抵抗がない
・長時間行動できる体力がつく
・長時間山にいて大丈夫な水、食料、装備がある(それを背負って歩ける)
・長時間山にいるので、急な天気の変化などで計画を自分で変更できたり、自分でたてたりできる
これらの条件をクリアしていることが理想的。
つまり、頂上を目指す一般的な登山を毎回問題なくこなせていれば、いよいよ次は山をもっと楽しむ縦走チャレンジのチャンスです!
いつかは行ってみたい!憧れの縦走路9選
それではいよいよ縦走に挑戦してみようと決意が固まったところで、具体的な縦走コースについて紹介します。すでに単独の山としては登ったことがある山もあるかもしれません。でも縦走で歩くとまた違った表情が発見できますよ!
<ステップアップの最初の1歩におすすめのルート>
丹沢表尾根縦走
神奈川県秦野市にあるヤビツ峠から出発し、塔ノ岳(1491m)へと続く尾根をおよそ5時間かけて歩くコースです。秦野市街や湘南の海、丹沢の山々の絶景を見渡せ、天候が良ければ富士山までも眺めることができます。コースは整備されているところも多くありますが、急登や鎖場もあり、歩く距離も10kmを超えるので歩きごたえはばっちり!塔ノ岳から大倉尾根を下り大倉まで約2時間半。健脚者なら日帰りで縦走が可能です。宿泊施設もコース上に多くあるので、余裕を持たせた日程も組めます。
立山三山縦走
立山三山とは、浄土山、立山、別山の3つの山のことをいいます。ルートは、室堂を出発し、立山カルデラの展望が良い浄土山(2831m)から立山三峰(3003m/3015m/2999m)、真砂岳(2861m)、別山(2874m)へとピークを踏んでいくコースとなります。道中、後立山連峰や剱岳の大展望、氷河の御前沢雪渓や黒部湖といった素晴らしい眺めを楽しめます。日帰りでの縦走が可能ですが、宿泊を挟んで頂上からのご来光を楽しむプランもおすすめです!