スノーショベルとは?
『雪山三種の神器』といえば、「スノーショベル」「ビーコン」「ゾンデ」の3つと言われています。すべて雪崩での救助に使われる装備で、個人装備として必ず持っておきたいアイテム。コンパクトで軽量なスノーショベルは、ザックに収納して持っていけるコンパクトさが魅力です。
スノーショベルの特徴
スノーショベルは、シャフト(柄)の長さを調節したりブレードから分離することができ、収納して持ち運びがしやすいようになっているものがほとんど。ブレードは、剣先ではない四角いタイプが一般的です。
スノーショベルの使い道は?
スノーショベルは雪山登山の様々なシーンで出番があります。今回はその中でも使用頻度の高い4つの使い道を紹介します。
①雪崩による遭難者の掘り起こし
雪崩が発生して遭難者が出た場合、その人を助けるためにビーコン・ゾンデと共にショベルが用いられます。遭難者の持つビーコンが発している信号を自身のビーコンで受信し、埋没者の大体の位置を割り出したら、ゾンデ(プローブ)と呼ばれる探り棒を雪面に刺して正確な位置を特定します。位置を完全に特定できたら、ショベルで掘り起こして救出することになります。
いつ誰が雪崩に遭うか、また誰が救出する側になるか分かりません。そのため、スノーショベルは個人装備として各自が必ず用意しておく必要があります。
②テント場の整地
降り積もった雪により、雪面はフカフカの状態です。少しの重みで凹む状態なので、そのままテントの設営を行おうとすると床が凸凹になってしまいます。このままでは寝心地も悪く、翌日の山行にも影響を及ぼすので、テントを張るところは雪をしっかり踏み固めて整地する必要があります。
また、整地だけでなく、テントの外張り部分に雪をかぶせたり、降り積もった雪を払うなど、テント泊をする時にスノーショベルは必須です。
③風防となるスノーブロックづくり
雪山でテントを立てるときは、風雪をよけるためにスノーブロックを積み立てて防風用の壁を作ります。これによって強風によるテント内の気温低下を防ぐことができ、快適に過ごすことができます。
④雪洞づくり
暴風雪で身動きが取れなくなったり道に迷ったり、怪我をして予定通り下山できないなど、急遽ビバークすることになるかもしれません。極寒の中で留まり続けることは、低体温症などの危険性と隣り合わせということでもあります。テントは風を防いではくれますが、テント内の気温は外気温とほとんど同じです。
そんなときスノーショベルがあれば、雪面を掘って雪洞を作ることができ、そのようなリスクを軽減できます。雪は空気を多く含んでいて断熱性があり、外が氷点下の極寒でも雪洞内部は0℃前後に保つことはできるからです。
スノーショベルを選ぶときに見るべきポイント
スノーショベルはいくつかのメーカーから発売されていますが、それぞれに長所・短所があります。形状や材質の違いから、自分に合ったスノーショベルを選ぶようにしましょう。
金属とプラスチック、どちらを選べばいい?
スノーショベルには金属製とプラスチック製の2種類あり、金属製の方が強度が高いのが特徴です。プラスチック製は重い雪や硬い雪に対して弱く、衝撃等で割れる可能性もあります。
一方、重さに関してはプラスチック製の方が軽く、価格面でも金属製よりも安いものがラインナップされています。プラスチック製のものでも著名メーカー製のものならば十分な強度がありますが、雪山登山で使用する場合は、金属製のショベルを持っていくようにしましょう。
シャフト(柄)は長い方がいい? 短い方がいい?
同じ作業をしていても、シャフトの長さが違えば疲れやすさも違ってきます。大仕事となる場合は長いシャフトの方が楽に行えます。ただし、長いシャフトはザックに収納しづらく、下手をすれば入らない場合も。
また、雪洞の中を掘るときのように狭い場所での作業はしづらく、小回りが利きません。グループで長いタイプと短いタイプの両方を持っていくのもありですし、シャフトが分割式のものを選んだり、継ぎ足しができるモデルを選ぶなど、状況に応じて選択してみましょう。
ブレードの曲がっているものとフラットなモデル、どちらを選べばいい?
雪の直方体ブロックを切り出して雪の壁を作る場合には、フラットなブレードが適しています。反対に、湾曲ブレードでは上手く切り出すのは難しくなります。
また、ピットチェック(雪崩チェック)を行う際にも湾曲ブレードでは上手く行えません。収納面に関しては湾曲ブレードの方がザックに入れやすく、素早く取り出して使えるというメリットがあります。フラットブレードの場合はザックに入れにくいのが欠点です。
最近では変身機能のあるスノーショベルも!
最近では、ショベルとしての役割だけでなく、緊急時にはピッケルやそりに変身するモデルも登場しています。もしもの時に備えて、変身機能のあるスノーショベルを選ぶのも手ですね。
おすすめのスノーショベル16選
雪山に持っていくのにおすすめのスノーショベルをおすすめのメーカーからご紹介します。重量や形状、重さ、用途に合わせて自分にぴったりのスノーショベルを探してみてくださいね。
<K2> レスキューショベル プラス アイスアックス
シャフトを分離させてアイスアックスにできるのが特徴です。ショベルとしては、普通のショベルとしてだけでなくくわのような形状にもなり、さらにシャフトの中に入っているキットを使って緊急時用のソリを作ることもできます。
K2 レスキューショベル プラス アイスアックス
シャフト:拡張時64cm/折り畳み時41cm
ブレードサイズ:25cm×28cm
ブレード形状:フラット
<BCA> アーセナルショベルA2EXT
シャフトの中に全長約35cmのスノーソーを内蔵した折り畳み式アルミ製ショベルです。スノーソーは木・雪兼用で、雪だけでなく邪魔な枝を切り落としたりする場合にも便利!
BCA アーセナルショベルA2EXT
シャフト:拡張時79cm/折り畳み時61cm
ブレードサイズ:25cm×28cm
ブレード形状:フラット
<BCA> ボンバーショベルB52EXT
取り外し可能なシャフトは53~79cmの範囲で伸縮可能でハンドルはDハンドルを採用。大きめのサイズのブレードによって一度に多くの雪を扱え、大きなサイズのキッカーを作ったり、家の除雪作業も行える実用的な作業ショベルに仕上がっています。
BCA ボンバーショベルB52EXT
シャフト:拡張時55cm/折り畳み時79cm
ブレードサイズ:34cm×28cm
ブレード形状:フラット
<BCA> SHAXE TECH
湾曲しており、長さが固定のシャフトが特徴的なショベルです。シャフトをブレードから外し、持ち手がカーブを描いたピッケルに変形させることが可能です。
BCA SHAXE TECH
シャフト:68cm(ピッケルモード:51cm)
ブレードサイズ:24cm×28.5cm
ブレード形状:フラット
<BCA> SHAXE SPEED SHOVEL
こちらのモデルもシャフトをブレードから外してピッケルにできるタイプのショベルです。こちらはシャフトが湾曲しておらず、アルミ製でストレート。ブレードもアルミ製なので軽量性GOOD。スノーアンカーとしての使用もできます。
BCA SHAXE SPEED SHOVEL
シャフト:70cm(ピッケルモード:51cm)
ブレードサイズ:24cm×28.5cm
ブレード形状:フラット
<BCA> B-1EXT
伸縮するシャフトを備えている、オーソドックスなデザインで仕上げられたアルミ製の軽量ショベルです。ハンドルはTハンドル。
<BCA> B-2 EXT
BCAの中型折り畳み式アルミ製ショベルです。プロや雪山でのアウトドアを楽しむヘビーユーザーに適した機能性を備えています。軽量でパッキングしやすいのが魅力です。ハンドルはTハンドルを採用しています。
BCA B-2 EXT
シャフト:拡張時79cm/折り畳み時61cm
ブレードサイズ:25.4cm×27.9cm
ブレード形状:フラット
BCA B-2 EXT
シャフト:拡張時79cm/折り畳み時61cm
ブレードサイズ:25.4cm×27.9cm
ブレード形状:フラット
<ブラックダイヤモンド> ディプロイ3
ブレード内部にシャフトが収納できるのでザックにも入れやすく、収納管理がしやすいショベルです。台形断面のシャフトはブレードに合わせて湾曲しており、ワンアクションで伸び縮みさせることができて素早いセットが可能。また、重量565gで、スノーショベルの中でもとても軽いモデルです。
<ブラックダイヤモンド> エバック9
ショベルとくわの両方での使用が可能なアルミ製のショベルです。ハンドルはDハンドルを採用。ブレード容量は3.5Lで、バックカントリーに適した機能性をしっかり備えています。
<ブラックダイヤモンド> エバック7
エバック9のサイズ違いのモデルで、こちらはブレードの容量が2.65Lとなっています。エバック9同様にくわにも変形させることができます。エバック9と機能性はそのままに、25Lサイズのバックパックにも楽々収納できるサイズ感です。
<ブラックダイヤモンド> ディプロイ7
ディプロイ3と同様の機能性を備え、こちらはブレードの容量が2.65Lとディプロイ3より倍以上も多いモデルとなります。重量がその分若干増えていますが、ブレード内にシャフトを収納できる機能性は健在で、大きめのフロントポケットを備えたザックなら、フロントポケットへの収納も可能です。
<ブラックダイヤモンド> トランスファー 3
ブレードはエバックモデルのようにフラットで、ハンドル部分はD型とT型の両方のメリットを取り入れたハイブリッドシェイプで仕上げています。シャフトは、ディプロイのような湾曲シャフトではなくストレートなシャフトを採用し、収納時はザックのフロントへ収納できるほどに短くできます。ブレード容量は1.14Lです。
<モンベル> コンパクトスノーショベル
重量:590gサイズ:(使用長)54cm・66cmの2段階 / (収納長)38cmブレード面:27×21cm
ブレードとシャフトには軽くて強度のあるアルミニウム合金を使用し、重量525gの軽量性を実現。シャフトは2段階に長さを調節でき、力が入りやすい断面形状で握りやすく作業がしやすい仕上がりです。
<モンベル> アルパインスノーショベル
重量:790gサイズ:(使用長)67cm・83cmの2段階 / (収納長)49cmブレード:31×26cm
こちらもコンパクトスノーショベル同様、ブレードとシャフトには軽くて強度のあるアルミニウム合金を使用し、2段階に長さを調節できるシャフトとなっています。グリップは握りやすいDグリップ。ブレードが大きめで除雪能力も高い仕上がり。
<マムート> アルゲーターツイスト
ブレードとシャフトを分離でき、シャフトは2分割にして収納できます。また、プレシェイプ回転式シャフトによってスクープとカットの2つの異なるブレードポジションを設定でき、作業内容に合わせた最適な動力伝達が可能です。
マムート アルゲーターツイスト
スティックの長さ::40cm
実寸:(全長)約62.5cm、(幅)約25.5cm
ブレードサイズ:27.5cm×21.5cm
ブレード形状:フラット
<マムート> アルゲーターライト
緊急時の使用を念頭においたバックカントリー向けのショベルです。重量が460gと非常に軽量な上、シャフトとブレードを分離できるのはもちろん、ザックに入れても嵩張らない形状にデザインされています。
雪山へ向かう前にスノーショベルを準備しよう!
使い道の幅が広いスノーショベルは雪山登山には欠かせない装備です。夏山と違って雪が降り積もった冬の山では、テントを設営するのにも雪面の整地が必要ですし、雪崩に巻き込まれたり、吹雪いて道に迷ったりといったリスクと常に隣合わせでもあります。雪山登山を成功させるためにも、いざというときのためにも、しっかり用意しておきましょう。