雪崩対策の必須装備!「雪山三種の神器」とは?

登山をしていればどこかで「三種の神器」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?一般的には「ザック」、「レインウェア」、「登山靴」を指しますが、雪山では最も危険な雪崩対策に必要な3つの装備があります。


アイキャッチ画像出典:国土交通省中部地方整備局

雪山三種の神器とは?

雪山三種の神器 夏山の装備に加え、雪山では”スコップ”、”ビーコン”、”プローブ(ゾンデ)”を総称した「雪山三種の神器」といわれる装備が必須になります。これらはどれも雪山の最も大きなリスクである雪崩に埋もれた人を助け出すためのもので、高価ですが必ず個人装備として用意しておくようにしましょう。

埋もれてからの時間が重要になる雪崩後の対応

雪崩のデブリ
出典:PIXTA
雪崩は、その発生形態や発生形態、雪質、すべり面の位置によって、その名前や被害規模が大きく異なります。

■発生形態
・点発生:ある地点から扇状に雪崩が発生
・面発生:斜面全体が滑り落ちる雪崩。一般的に点発生と比べて被害規模が大きい

■雪質
・乾雪:湿気を帯びていないサラサラの雪で固まりにくい。雪煙を上げ、雪崩のスピードは速い。
・湿雪:ギュッと固まるような湿度を多く含む雪。乾雪に比べて雪崩のスピードは遅いが、その破壊力は絶大

■発生位置
・表層:積雪している層の上部の雪によって起きる雪崩。固く、滑りやすい雪の上に新雪が積もった時などに発生しやすい。厳冬期に多い。
・全層:積雪しているすべての層が雪崩を起こしたもの。雪崩の後は地表が見え、一般的に表層雪崩よりも被害は甚大。春先に多い。

雪崩はこの3つの要素によって分類され、「点発生乾雪表層雪崩」のように組み合わせて表現されます。点発生表層雪崩(スラフ)や面発生表層雪崩(スラブ)は登山者がよく遭遇する雪崩で、特に面発生の場合は新幹線並みの速度で広い範囲が一斉に崩れ押し寄せてくるので大変危険です。

デブリ
出典:PIXTA
雪崩に遭うと雪崩で崩れた雪(デブリ)に埋没することになり、生死に関わる状態となります。雪崩に巻き込まれた約6割の被災者は死亡しており、雪崩の勢いによる外傷、生き埋めによる窒息、雪に埋まるという低温環境下に置かれることによる低体温症などが主な死因です。埋没者の生存率は、呼吸空間がどのくらいあるかにもよりますが、埋没後15分を超えると急速に下がります。また、外傷を患ったり低体温症に陥っている場合、2時間後には生存率がほぼ0になるため、雪崩に巻き込まれた人を救出する際には、救出までの時間が非常に重要となります。

スコップ、ビーコン、プローブ(ゾンデ)。それぞれの役割

yukiyama05 「雪山三種の神器」の3つの装備はそれぞれに役割があり、何か一つがかけてしまっては埋もれた人を助け出すことが非常に難しくなります。それぞれの役割は次のとおり。

■スコップ(スノースコップ/スノーショベル)

スノーショベル
出典:Amazon
雪山用のスコップは、雪を掘りやすいようにブレードが剣先ではなく四角くなっています。雪崩に巻き込まれた埋没者を掘り起こして救出する際には欠かせない道具です。一般的には持ち運びやすいようにシャフト(柄)の長さを調節したり、ブレードから外してザックに収納したりザックの外部に取り付けたりできるようになっています。



■ビーコン

ビーコン
出典:Amazon
ビーコンは雪崩に巻き込まれて埋まってしまった人の位置を特定するために必要な機器です。通常、無線信号を発信する送信モードにセットしておき、雪崩が発生したら捜索者側が受信モードに切り替え、埋没者のビーコンが発する信号を捉える形で位置を探し当てます。ビーコンを所持していない埋没者は見つけるのがとても難しく、もはや運任せとなってしまいます。その場合の生存率は限りなく0に等しくなるといわれており、ビーコンの所持は欠かせません。

■プローブ(ゾンデ)

プローブ
出典:Amazon
プローブとは、ビーコンで埋没者のおよその位置を探し当てた後に、より正確に埋まっている場所を特定するために使う探り棒のことです。40~50cm程度の長さの棒がワイヤー等で繋がっており、収納するときは折り畳まれています。使用時に展開して1本の長い棒にし、雪面に突き刺して使用します。また、雪崩発生時の捜索だけでなく、雪崩に巻き込まれないように積雪状況をチェックする「ピットチェック」の際にもプローブを使用し、積雪の深さを測ります。

「スコップ」の選び方

スノースコップ
出典:PIXTA
スコップは雪崩による埋没者の掘り起こし以外にも、雪崩に遭うのを回避するために雪質をチェックしたり、緊急時のビバーク用の雪洞を掘るときにも必要となるので、雪山には必須の装備と考えましょう。

スノースコップはたいていの場合、ブレード部分とシャフトが分離でき、収納しやすいように設計されています。緊急時には、すぐに組み立てて状況に対応できることが大切なので、組み立てやすいものを選びましょう。また、安すぎるプラスチック製のものは耐久性に不安があり、いざというときに役に立たない場合があります。湾曲の大きいブレードはザック内に収納し辛いことも注意が必要です。種類によってはシャフトをピッケルに変形したり、ブレードをスキー板に取り付けてソリとして使用できる変形ギミック付きのモデルもあるので、機能面のチェックもしておくのがおすすめです。

K2 レスキューショベル プラス アイスアックス

シャフトを分離させてアイスアックスにも変形可能。普通のスノースコップとしてだけでなくくわのような形状にもなり、さらにシャフトの中に入っているキットを使って緊急時用のソリを作ることもできます。

ITEM
K2 レスキューショベル プラス アイスアックス

別サイトで購入。本来はバックカントリースキー用だと思いますが、登山で使ってます。
良い点
カッコ良い。本格的に雪山やってる方にも褒められました。
シャベルとハンドル部が分離しますのでバックパックには収納しやすいです。
軽量なので持ち運びしやすく、扱いやすいほうだと思います。
シャベル部はスクエアで割と大きいので雪の切り出しし易いです。
アックスにした場合でも非常に軽いので持ち運びが楽です。
悪い点
ピッケルとして使うには、身長にもよりますが、長さが短いので杖としては急斜以外では使いづらいです。
スキーと組み合わせて緊急時用そりにする螺子が付属しますが、スキーは先端に穴が開いているものでないとダメです。
リーシュベルトやアックスプロテクターは付属していません。

普段はダブルストックを使用している方で急斜面等だけでピッケル使用をするような場合にはお勧め出来ます。


ブラックダイヤモンド ディプロイ3

ブレード内部にシャフトが収納できるのでザックにも入れやすく、収納管理がしやすいスコップです。台形断面のシャフトはブレードに合わせて湾曲しており、ワンアクションで伸び縮みさせることができて素早いセットが可能。また、重量565gで、スノースコップの中でもとても軽いモデルです。

ITEM
ブラックダイヤモンド ディプロイ3

スノーボードのバックカントリーやオフピステで使用する目的で購入しました。
1回雪山に行った時は使用する機会はなかったものの、30リットルのバックパックにすっぽり入るところや入れて背負っていても気にならないほどの軽さです。
バックカントリーやオフピステだけじゃなく意外なところで役に立ったのが子どもとの雪遊びでした。軽く適度な大きさのため子どもも楽しんで使っていました。
雪を掘るのも容易でした。


BCA A-2 EXT

シャフトの中に全長約35cmのスノーソーを内蔵した折り畳み式アルミ製スコップです。スノーソーは木・雪兼用で、雪だけでなく邪魔な枝を切り落としたりする場合にも使えてとても便利です。

ITEM
BCA A-2 EXT

リクエストがあってプレゼントしたのですが、自分も欲しいかも。
スノーソーもついて軽量、シャフトも伸びるので山での雪遊びには最適で、さくさくと雪洞掘れたと自慢されました。


「ビーコン」の選び方

yukiyama01 ビーコンは、電波を送受信する携帯型の無線装置で、雪崩に遭ったときに自分の埋まっている位置を捜索者に伝えることと、雪崩に遭った埋没者の位置を探し当てるという2つの重要な目的を担っている道具です。入山の際にビーコンを身に着け、信号を発信モードにしておきます。こうしておけば、もし雪崩が発生しても、数分程度で埋没者の位置を特定でき、いち早く掘り起こし作業へ移ることができます。

ビーコンにはアナログ式とデジタル式、アナログ・デジタル切り替え式の3種類があります。これからビーコンを購入する場合は、現在主流となっているデジタル式か、アナログ・デジタルの切り替え式のアンテナの数が多いモデルがおすすめです。アンテナの数が多いと見つけやすくなり、ビーコンを使った捜索に不慣れな人でも正しい位置を割り出しやすくなります。
また、一緒に行くメンバーと同じモデルを選ぶことも大切です。使い方を熟知していることが迅速な捜索には欠かせないので、メンバー内で教え合えるように機種を統一した方が望ましいです。

BCA トラッカーDTS

デジタル方式ビーコンの先駆者的存在であるトラッカーDTS。アンテナは2本ですが、重量215gと軽く、手のひらに乗るサイズ感です。受信範囲が狭いため信号をキャッチするまでに多少時間を要するものの、複数の埋没者の捜索に対応したモードを備え、プロの使用にも対応しているのはもちろん、操作が簡潔で初心者にも扱いやすい設計です。

ITEM
BCA ビーコン トラッカーDTS

価格と性能のバランスが取れていて操作もシンプル。背面のツマミを回して電源オン。表の真ん中のボタンを長押しでサーチと発信モードを切り替える。基本はコレだけなので、覚えたら忘れることはないです。
欠点はサイズ。重さは大したことないですが、大きいのでかさばります。
ビーコンはパーティで同じ種類を揃えたほうが操作が分かりやすくて良いです。パーティが複数埋まったときに違う機種を使っていると1人発見して電源を切るときに操作が分からないことがあるので。


マムート パルスバリボックス

デジタル式とアナログ式一体型のビーコンで、360度表示とアンテナ3本で効率よく複数の埋没者の位置を探し当てることができます。デジタル式での捜索に限界を感じれば、アナログ式に切り替えて捜索を行えます。アナログ式でのレンジ捜索は訓練を積む必要がありますが、ハイスペックなビーコンなので使いこなせるとより迅速に捜索が行えます。

ITEM
マムート パルスバリボックス

日本語取り扱い説明書が、着いているので安心!
使い方も、簡単で、操作もしやすい。


「プローブ(ゾンデ)」の選び方

yukiyama04
出典:Amazon
ドイツ語でゾンデとも呼ばれるプローブは、雪に突き刺して雪崩で埋まった埋没者の位置を特定するために使用する棒です。捜索において、ビーコンは埋没者のある程度の位置は特定できますが、それだけではどの部分を掘り返せば救出できるかわかりません。最終的にはプローブに頼る必要があります。

雪崩に巻き込まれた人の埋没している深さが2mより浅い場合は、迅速に適切な方法で行動すれば救出できる可能性が高いので、プローブは2m以上、コストパフォーマンスの面からいえば2m60~80cmぐらいのものを選ぶのがおすすめです。収納面から見た場合、折り畳んだときに50cmくらいの長さになるものがGOOD!また、プローブが細いと、硬い雪に当たったときに曲がったり折れてしまう可能性があるので、ある程度太いものを選びましょう。素材面では、カーボン製の方が軽いですが値段は高く、アルミ製はカーボン製よりは重量がありますが値段は安くなっています。

エバニュー ジュラルミンプローブ300 EBY421

ラチェット式を採用したジュラルミン製プローブで、長さが300cmと十分にあり、折り畳めば46.5cmと収納し易いサイズになります。重量も350gと軽量で、性能と携帯性の面でコストパフォーマンスに優れたプローブです。

ITEM
エバニュー ジュラルミンプローブ300 EBY421

長さが300cmだと表示されていましが、実際には320近くありました。コスパがいいと思います。


K2 AVALANCHE PROBE Aluminum 230

アルミ製のプローブで、長さは230cmです。深度観測を正確に行えるようシャフトは1cm刻みで目盛りが付いています。展開時は手袋をかけたまま組み立てを簡単に行え、バックスライドオートロック機構によって固定も楽々。

ITEM
K2 AVALANCHE PROBE Aluminum 230

仕事で季節を問わず山に登っている友人とお店の人からのすすめで購入しました。パイプ内にコードが通っているので組み立てが容易です。


レンタルという手もある!

三種の神器
ビーコンやプローブ、スコップはどれもほとんど使わない割に高価で、全てを揃えるとなると数万円の出費となるため、購入せずに雪山に行く人が後を絶ちません。購入を躊躇う人にはレンタルを利用するのが良いでしょう。レンタルでは3種揃えても1日数千円で賄えます。是非利用してみて下さい。

登山用品、テレマークスキーレンタル
アウトドアギアレンタル そらのした
POWERZONE

雪崩対策に3種の神器は欠かせない!

yukiyama07 雪山では常に雪崩の危険性と隣り合わせ。3種の神器は雪崩に遭ったときの対処に欠かせない器具です。しっかり準備して臨み、雪崩に対する万全の状態でウインターアクティビティを楽しみましょう!

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バックパックを背負って向かった旅先で経験した、登山やツーリング、ダイビングなどのアウトドアに魅せられ早数年。次はどこで何をしようか、考えるだけでわくわくしてきます!そんなアウトドアの魅力を言葉で伝えたいと思います。

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