寝袋マット

高い“R値”で冷気を遮断! 寒い時期におすすめの「寝袋マット」6モデル

テントを設営して、秋の夜長や冷たい空気が張りつめた冬の山で一夜を明かすために、寝袋と同様に大切なのが寝袋の下に敷くマット。「寒くて眠れなかった~!」なんて声を聴いたことはありませんか? 快適に眠れないとその日の疲労も抜けず、翌日の登山にも影響します。そこで今回は”断熱性”に着目! 種類ごとのメリットやデメリットも含めて、おすすめのマットを紹介します。

目次

提供:Therm-a-rest(PHOTO CREDIT:Scott Rinckenberger

寒い日のテント泊でもぐっすり眠りたい!

登山のテント泊で、「寒くてほとんど眠れなかった…」なんて経験はありませんか?

マットをパッキングして道を歩く2人

出典:PIXTA

快適な睡眠をとるためにも大切なのが寝袋とマット。寒い時期は特に、寝袋でしっかりと保温しつつ、いかに地面からの冷気を遮断するかがポイントになってきます。

つまり、寝袋の保温力をしっかりと発揮させ、身体の熱を奪われないようにするためには、断熱効果の高いマットを選ぶことが重要なわけです。

寒さをしのぐカギは『R値』にあり

燕岳の四季(燕山荘のテント場)

出典:PIXTA(燕岳の四季)

テント場の環境はシーズンによりさまざま。マットの種類も、春から秋の3シーズン向けから厳冬期にぴったりのモデルまで、多岐にわたります。その中で、冬場や寒い時期に適したマットを選ぶ目安となるのが『R値』です。

『R値』ってなに?

サーマレストのマットを使用している人

提供:Therm-a-rest(PHOTO CREDIT:Sammy Spence

R値(R-value)とは、断熱性を表す数値。R値が高いほど冷気が伝わりにくく、断熱性能が高いマットということになります。そしてR値は足し算が可能で、例えば、R値0.5の銀マットと3.0のエアーマットを足して、3.5のマットとして使うこともできます。

『R値』で選ぶ時の目安

R値は1.0を下回るものから10.0を超えるものまであり、使用する季節ごとに推奨する数値は以下の通りです。

R値1.0以上 → 春、夏

R値2.1以上 → 春、夏、秋
R値3.3以上 → 冬
R値5.0以上 → 厳冬期

悩んだときは、“初秋は3.5以上、初冬は4.0以上”と、上記で挙げたR値よりも高めの数値のマットを使用すると安心です。

しかし、「山域や山の標高による気温の違い」「その日の天候」「寒がりや暑がりなど体感温度の個人差」といった様々な条件により、その人に合ったマットが変わります。

また、厳格なテストしてR値を出しているメーカーもあれば、概算で出しているメーカーもありますので、異なるメーカーのマットのR値を比較する際は、その点も留意しておきましょう。

 

R値を測定する新基準が誕生!
世界最大規模の民間規格制定機関であるASTM International(米国試験材料協会)とアウトドアメーカーの共同で、R値の新基準が2020年に設定されました。現在では、多くのメーカーが新規格 (ASTM F3340)で測定しており、異なるブランドのマットのR値を比較しやすくなっています。

『R値』が表記されていない場合はどうする?

寝袋マット・シュラフマットの中綿

出典:EXPED

メーカーによっては、R値が明記されていなかったり、R値の替わりに『推奨使用気温』を記載している場合があります。いずれも明記されていない場合は、以下2点に着目して断熱性能の高さを推測してみましょう。

 

①中綿やアルミシートなど、保温性を高める素材を使用している
②冷気が入りやすいコールドスポットができにくい構造になっている

 

※コールドスポットは、継ぎ目などの冷気の侵入口。

優れた“断熱性”は当たり前! 次に望むものは何?

登山用品店でマットを持っている男性

出典:PIXTA

寒い時期のテント泊で断熱性は犠牲にしたくないですよね。高い断熱性は大前提として、「次は何を優先させたいか?」を考慮してみましょう。

マットのタイプは3種類! 重量と収納性も見逃せない

マットには「クローズドセル」「インフレータブル」「エアー」の3種類があります。重さや収納性、耐久性など、それぞれの特性を知ることで、より希望のマットを絞り込めます。

▼クローズドセル
寝袋シュラフマットクローズドセル

撮影:YAMA HACK編集部

折りたたんで使えるタイプです。3シーズンモデルが多いですが、4シーズンモデルもあります。

【メリット】
軽くて耐久性があり、収納は折りたたむだけ。安価に購入できる。
【デメリット】
収納サイズが大きくかさばる。厚みが薄く、地面の凹凸が響く場合がある。

 

▼インフレータブル
インフレータブルのマットを使っている人

提供:Therm-a-rest(PHOTO CREDIT:Ben Matthews

バルブを開けると自動的に空気が入って膨張するタイプ。程よい厚みがあり、弾力のある寝心地。購入後は自宅などで一度膨張させてから使用すると、現地で膨らみやすくなります。

【メリット】
自動膨張するので手間がかからない。重さ・保温性・収納性のバランスが良い。
【デメリット】
クローズドセルやエアーより重量がある。生地が破れる可能性がある。比較的高価。

 

▼エアー
寝袋マット・エアーシュラフマット

撮影:YAMA HACK編集部

内部に空気を入れて使うタイプ。マットの内部には、ダウンや化繊の中綿が入っているものもあります。

【メリット】
軽くて収納サイズがコンパクト。厚みがあり寝心地が良い。バリエーションが豊富。
【デメリット】
自力やポンプで空気を入れる手間がある。生地が破れる可能性がある。

末端までしっかり断熱! レギュラーサイズがおすすめ

寝袋マット

撮影:YAMA HACK編集部

マットは、大人1人横になれるレギュラーサイズのほか、足元に登山ザック置いてマットと併用するショートサイズもあります。また、幅広いワイドタイプや2人用も。軽量化を意識するならショートサイズですが、寒い時期は冷えやすい足元までしっかりと断熱できるレギュラーサイズがおすすめです。

就寝時の冷え対策はコレで完璧! おすすめの寝袋マット7モデル

冬や寒い時期におすすめの寝袋シュラフマット

出典:PIXTA

レギュラーサイズを中心に、寒い時期におすすめの寝袋マット6モデルを紹介します。マット選びのポイントと各モデルの特徴を押さえながら、自分の理想にぴったりの1つを見つけましょう!

寒い時でも楽に準備したい

気温が低い日は準備に時間がかかると辛いですよね。早く簡単に準備や片付けをしたい時は、何といってもクローズドセルが1番! 次に自動膨張のインフレータブルがおすすめです。

【R値】4.1|<シートゥーサミット> コンフォートプラスS.I.マット
厚みはエアータイプ並みの8cm。逆止弁の付いた大きなバルブは、使用時も撤収時も簡単です。レギュラーサイズを含めて5つのサイズ展開で、大柄な人もぴったりのサイズを選べます。

シートゥサミット コンフォートプラスS.I.マット(レギュラー) コンフォートプラスS.I.マット(レギュラー)

インフレータブル
【R値】4.1(ASTM F3340)
【厚さ】8cm
【重量】890g
【使用サイズ】183×51cm
【収納サイズ】径17.5×26cm
【付属品】専用スタッフサック

荷物を軽くコンパクトにしたい

3シーズン用のクローズドセルタイプは重量400~450gほど。その軽さに引けをとらないのが、エアータイプマットです。レギュラーサイズで500gを下回り、収納性と軽量化に貢献!

【R値】4.8|<ニーモ> テンサーアルパイン レギュラー マミー
サーマルミラーフィルムを3枚も使った保温性に優れたマットです。ポンプサックが付属しているので空気の注入も容易なうえに、内部の空気の微調整も可能。

ニーモ テンサーアルパイン レギュラー マミー

エアー
【R値】4.8(ASTM F3340)
【厚さ】 8cm
【重量】475g
【使用サイズ】51×183cm
【収納サイズ】20×φ8cm
【付属品】専用スタッフサック、コンプレッションストラップ、パッドポンプ、リペアキット

【R値】5.2|<エクスペド> シンマット HL ウィンター M
体型に沿うマミー型で、1サイズのみ。中綿入りで4シーズン使えるのに430gの軽さは嬉しいですね!付属のポンプは防水バッグとして活用できて便利。

エクスペド シンマット HL ウィンター M

エアー(化繊中綿入り)
【R値】5.2(ASTM F3340)、5.0 (EMPA)
【厚さ】9cm
【重量】430 g
【使用サイズ】肩幅52×長さ183×足幅35cm
【収納サイズ】長さ21×直径11cm
【付属品】シュノズルポンプバック、収納袋、リペアキット

妥協しない寝心地と良質の睡眠を

エアータイプは厚みがあって温かさも抜群ですが、寝返りの時に滑りやすく擦れる音がするという一面も。そんな欠点を払拭するマットを紹介します。

【R値】4.0|<シートゥーサミット> コンフォートプラス インサレーティッドマット
マット内部は上下二層構造。互い違いの各気室が身体にフットし、エアータイプにありがちなフワフワ感ではなく、滑りにくく安定した寝心地です。

シートゥサミット コンフォートプラス インサレーティッドマット レギュラー

エアー(化繊中綿入り)
【R値】4.0(ASTM F3340)
【厚さ】6.3cm
【重量】775g
【使用サイズ】183×55cm
【収納サイズ】
【付属品】専用スタッフサック、リペアキット

【R値】6.9|<サーマレスト> ネオエアーXサーモ
サーマレストのネオエアーシリーズで一番温かいのがこちら! 4枚もの熱反射板を挟み込んでコールドスポットを極力減らした構造は、温かくて快適な睡眠を約束します。

サーマレスト ネオエアーXサーモ

エアー
【R値】5.7(ASTM F3340)
【厚さ】6.3cm
【重量】430g
【使用サイズ】51×183cm
【収納サイズ】23×10cm
【付属品】スタッフサック、ミディアムポンプサック、リペアキット

とにかく断熱性が高いマットがいい

何はともあれ断熱性能を重視したい人には、R値が高くて厚みのあるマットがおすすめ。冷気を遮断し、冷え知らずの睡眠が得られます。

【R値】7.8|<エクスペド> ダウンマット XP 9 M
75デニールの丈夫な生地にダウンが250gも封入されたマットは、厳しい環境で保温性の高さを発揮。厚みがあっても付属のポンプを使えば、約2分で空気入れが完了します。

エクスペド ダウンマット XP 9 M

エアー(ダウン入り)
【R値】7.8 (ASTM F3340)、8.0(EMPA)
【厚さ】9cm
【重量】895g
【使用サイズ】肩幅52×長さ183×足幅52cm
【収納サイズ】24×16cm
【付属品】シュノズルポンプバック、スタッフバック、リペアキット

断熱性の高い寝袋マットで、山の夜を温かく

寒い日のテント泊

出典:PIXTA

一言で寝袋マットといっても種類が豊富なので、どれがいいか迷ってしまいますよね。しかし、マットの役割や各モデルの特徴を知りブレイクダウンしていくと、熟睡できる理想のマットがきっと見つかります。寒い日のテント泊でも暖かく快適に過ごせるように、紹介したポイントを踏まえてマットを選んでみてくださいね!