山のリスクに備えるには「ココヘリ」も「登山保険」も大切

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登山は楽しいけれど、「もしも」に備える必要があります。ケガや遭難などの「もしも」に備える方法として代表的なのが「遭難捜索サービスのココヘリ」と「登山保険(山岳保険)」です。
役割が異なる「もしも」への備え

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よく「ココヘリか登山保険、どっちに入ればいいの?」と耳にします。備えにはお金がかかるため、できれば費用は抑えたいというのも本音ですよね。
ただ、答えとしては「どちらも入っていた方が、より万全な備えになる」もしくは、「両方の特徴を理解したうえで、自分にとって必要な備えを選択する」です。
2つの備えは「異なるもしも」に備えています。大きな違いは、登山保険は「お金」の補償で、ココヘリは「命」をみつけるサービスということ。この2つの違いをしっかりと理解して、両方で備えるのか、自分に必要なものを選択するのかを決めましょう。
混同しがちな「捜索」と「救助」

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「ココヘリ」と「登山保険」の役割を理解する上で、整理しておきたいのが「捜索」と「救助」の違いです。
捜索
遭難者を発見する行為(居場所の特定)
救助
発見した遭難者を安全な場所へ移動させること(搬送や下山させるなど)
捜索と救助の役割を整理した上で、「ココヘリ」と「登山保険」の違いをみていきましょう。
備え | シーン | 遭難者の捜索活動 | 捜索活動の費用補償 | 救助費用の補償 | 治療費の補償 |
---|---|---|---|---|---|
ココヘリ※ | 捜索活動 | 〇 | 〇※1 | △※2 | × |
登山保険 | 救助後 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
※1)ココヘリ捜索チームの出動にかかる費用が対象
※2)ココヘリが依頼した民間組織による救助にかかった費用は最大550万円まで対象。制度上、依頼ができない遭対協による活動の費用は対象外となります。
ココヘリ
電波を使ったヘリコプター捜索により、遭難者の早期発見につなげる捜索サービス。
ココヘリ会員が持つ発信機から出る電波を、専用の受信機を搭載した民間ヘリを飛ばして捜索します。
遭難者の居場所を特定したあとは、警察や消防などの公的機関に位置情報を連携。
救助を行うのが公的機関の場合、費用はかからないことがほとんどですが、警察のみが出動手配を行える山岳遭難対策協議会(民間のチーム)が救助を行った場合は、救助費用が発生します。
遭難者の怪我の治療費用に関しての補償はサービスに含まれていません(ベーシックプランの場合)。
登山保険
捜索や救助にかかった費用、ケガの治療にかかった費用を補償します。
救助を行うのが公的機関の場合、遭難者に捜索費用の請求がされることはほとんどありません。しかし、山岳遭難対策協議会(遭対協)などの民間チームが捜索・救助を行った場合、活動を終えたあとに費用の請求がされるので、一度支払ったあと、保険会社がそれらの費用を補償してくれます。
ココヘリとは異なり、保険会社は捜索活動にも救助活動にも関わりません。
また、捜索に関する備えも、「捜索にかかった費用が受け取れること」と「捜索自体が行われること」があるため、ココヘリで備えるにしても、保険で備えるにしても、きちんと何に備えているか?を理解するようにすることが大切です。
ざっくりと概要が整理できたところで、ココヘリと登山保険の役割をもう少し詳しくみていきましょう。