ココヘリの最大の価値は「発見効率」を大幅にあげてくれること

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ヘリコプターから電波を使った捜索で、発見確率とスピードに革命を起こしたのがココヘリです。
ココヘリの発信機を使った捜索ができるまで、ヘリコプターでの捜索は基本的に目視で行われてきました。地上捜索よりも広範囲を短時間で捜せるものの、広大な山の中から針の先ほどの登山者を人間の目で見つけるのは至難の業。とくに、樹林帯や渓谷などのエリアは困難を極めました。
そんな目視の弱点を克服するために電波を活用し、捜索効率を格段に高めたのがココヘリなんです。
ココヘリができることは「捜索活動サービスの提供」

それではココヘリに入会した場合、どういったもしもの備えができるのかを詳しく見ていきましょう。
電波×ヘリコプター捜索で、圧倒的な発見スピードを提供

撮影:YAMA HACK編集部
ココヘリに入会すると送られてくるのが、専用の発信機。登山届を提出し、その発信機を持った状態で遭難した場合、ココヘリに捜索依頼が入ると、電波受信器を搭載したヘリコプターが素早く捜索してくれます。
衛星電話やスマートフォンの緊急発信も居場所を伝える方法としてはありますが、ココヘリの場合は操作をしなくても、自動で電波を発信してくれるため、遭難者が身動きをとれない状態でも発見確率が高まります。
▼早期発見率86%(ヘリ出動後3時間以内)
人命救助のタイムリミットは72時間といわれています。無事を祈りながら待つしかない家族や友人の心のダメージは計り知れません。早期発見が、待つ人の精神的負担を和らげます。
▼発見率100%(過去3年間実績)※
もし遭難して行方不明のままでは、生命保険は支払われず(7年間立たないと失踪扱いにならないため)、ローンがあれば支払い続けなくていけません。なによりも発見することで、経済的負担を軽減できる可能性があります。
※会員証を携行していなかった、会員証が水没していたなどの場合を除く

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全国41都道府県の警察・消防が導入・運用。警察や消防などのヘリコプターにココヘリ受信機を搭載されています。公的機関の捜索は無償です。※
※一部、都道府県のヘリコプターでの捜索活動は有料の場合があります(2025年8月現在)。
ヘリコプター捜索の現在(2025年8月)
過去のイメージによって、山岳救助で飛ぶヘリコプターは民間企業で、捜索費用が高くなるというイメージが根強くあります。
しかし、2025年現在、初動のヘリコプター捜索は公的機関がほとんど行っているのが実状です(場合によっては遭対協による地上捜索と連携)。
また、公的機関の調整の上、初動からココヘリと提携しているヘリコプターが捜索を行うこともあります。
山岳救助を事業としていた民間の航空会社が2000年代に撤退してから、ココヘリと提携していない民間ヘリコプターでの捜索はほとんど行われていません。
ココヘリ捜索チームの出動にかかる費用は最大550万円まで負担

ココヘリは提携している民間ヘリやドローンを飛ばして、捜索します。ヘリは1分=1万円の費用がかかるとも言われていますが、ココヘリ会員なら年会費6,600円(ベーシックプラン)で最大550万円相当の捜索活動を実施できるため、しっかり備えられて安心です。
公的機関でカバーできない範囲は、ココヘリが提携している民間のヘリ会社やココヘリドローンチームを派遣して捜索することもあります。捜索は有償になりますが、ココヘリ会員なら最大550万円相当まで補償の範囲なので安心です。
ココヘリの捜索チームは難易度が高い捜索にも対応できるよう、定期的な捜索訓練を行うことで捜索技術を高めています。
行方不明者の数と家族や友人の負担を大幅に減らすことができる

もし遭難してしまったときに対応するのは家族や友人です。そんな稀なケースに一般の人が捜索チームを探して依頼するのは難しいですが、ココヘリに連絡をすると捜索チームの手配も迅速に対応してくれます。
緊急事態に落ち着いて対応することは困難ですが、24時間365日対応のコールセンターに電話をするだけで捜索が始まるのは心強いですね。
ココヘリができないことは「費用補償」

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ココヘリのサービスにできないことは、「ココヘリ会員以外の捜索」と「山岳遭難対策協議会(遭対協)が救助を行った場合の救助費用補償」 「怪我の治療費などの補填」です。
▼会員以外の捜索はできない
・発信機を元に捜索するため、非会員は捜索できません。また、会員でも発信機を携行していないと捜索できません(厳密には捜索活動は実施されますが、目視での捜索になるため、ココヘリの強みである早期発見が困難になります)。
・ココヘリに通報がないと捜索できません。理由は、遭難しているという状況を把握できないためです。そのため、日頃から家族や友人などのもしもの場合に通報してくれる人に、捜索窓口の電話番号を共有しておきましょう。
▼費用補償はできない
民間の遭対協や山小屋の人などが捜索・救助にあたった場合の費用や、捻挫や骨折などでケガをした場合のケガの治療費や入院費は補償されません。
ココヘリに通報があった場合は、最大550万円相当の捜索活動を実施します。
登山保険は遭難にまつわるお金の補償をしてくれる

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次に、登山保険について整理しましょう。
登山保険ができることは「費用補償」

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補償される金額はさまざまですが、基本的に登山保険は捜索や救助にかかった費用を事後補償してくれます。
補償の対象になる費用例(保険の契約内容によって異なるため、必ず確認をしてください)
・ケガの治療や入院費
・地上捜索費用(遭対協などによる)
・関係者の現地までの交通費
・携行品損害 など
公的機関の捜索打ち切り後、民間での地上捜索が行われます。費用は人数×日当×日数(例.10人×3万円×7日間=210万円)で膨大になることもあるため、保険に入っておくと安心です。
基本的な支払いの流れとしては、捜索・救助費用の請求が来ると、本人・もしくは関係者が一時的に費用を立替え、後日、保険会社より補償は支払われます。
※捜索費用は地域や状況によって異なります
登山保険ができないことは「捜索活動へのかかわり」

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捜索活動や救助活動に、登山保険が直接関わることはありません。それらすべての活動が終わり、費用の支払いのときに登場するのが登山保険です。
こんな時はどうなるの?具体的に考えてみよう

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実際に起きそうな遭難や捜索の状況に対応できる備え方をみてみましょう。
備え方 | 電波による公的機関ヘリ捜索 | 電波による民間ヘリ捜索 | 公的機関ヘリの目視捜索 | 民間機関ヘリの目視捜索 | 民間捜索の費用補償 | 救助費用の補償 | ケガの治療費補償 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
①ココヘリ&登山保険 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
②ココヘリのみ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇※1 | △※2 | × |
③登山保険のみ | × | × | 〇 | △※3 | 〇 | 〇 | 〇 |
④備えなし | × | × | 〇 | 〇※4 | × | × | × |
※1)ココヘリ提携捜索チームの出動にかかる費用が対象
※2)ココヘリが依頼した民間組織による救助にかかった費用は最大550万円まで対象。制度上、依頼ができない遭対協による活動の費用は対象外となります。
※3)民間ヘリによる目視捜索にかかった費用は制度上、補償対象となることもあります。しかし、「ヘリコプター捜索の現在(2025年8月)」で記載した通り、民間で依頼できる会社はほとんどないため△としています。
※4)費用負担あり
想定状況1:道に迷って遭難も、ケガなし。

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①ココヘリ&登山保険
・公的機関の目視と電波によるヘリコプター捜索/地上捜索
・ココヘリ連携の民間機関による目視と電波によるヘリコプター捜索/地上捜索
・公的機関に救助された場合は無償
・民間である遭対協が出動した場合は、有償なので保険で補償
②ココヘリのみ
・公的機関の目視と電波によるヘリコプター捜索/地上捜索
・ココヘリ連携の民間機関による目視と電波によるヘリコプター捜索/地上捜索
・公的機関に救助された場合は無償
・民間である遭対協が出動した場合は、有償なので自己負担
③保険のみ
・公的機関の目視によるヘリコプター捜索/地上捜索
・公的機関の捜索打ち切り後は、民間の捜索隊による地上捜索
・公的機関に救助された場合は無償
・民間である遭対協が出動した場合は、有償なので保険で補償
想定状況2:道に迷って遭難して、ケガもあり。

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①ココヘリ&登山保険
・公的機関の目視と電波によるヘリコプター捜索/地上捜索
・ココヘリ連携の民間機関による目視と電波によるヘリコプター捜索/地上捜索
・公的機関に救助された場合は無償
・民間である遭対協が出動した場合は、有償なので保険で補償
・ケガの治療費も保険で補償
②ココヘリのみ
・公的機関の目視と電波によるヘリコプター捜索/地上捜索
・ココヘリ連携の民間機関による目視と電波によるヘリコプター捜索/地上捜索
・公的機関に救助された場合は無償
・民間である遭対協が出動した場合は、有償なので自己負担
・ケガの治療費は自己負担
③保険のみ
・公的機関の目視によるヘリコプター捜索/地上捜索
・公的機関の捜索打ち切り後は、民間の捜索隊による地上捜索
・公的機関に救助された場合は無償
・民間である遭対協が出動した場合は、有償なので保険で補償
・ケガの治療費も保険で補償
ダブルで備えて、安心して登山を楽しもう!

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ココヘリは命、登山保険はお金、と登山のもしもの備え方がことなります。どちらが優れているかではなく、それぞれを理解して備えることが大切です。
登山に万全はありませんが、自身だけではなく待つ人のことも考えると手厚く両方備えるのがおすすめ。備えあれば、より思いっきり登山を楽しめるはずです。
【ポイントを振り返ってみよう】
①ココヘリ最大のメリットは「電波によるヘリコプター捜索」。多くの公的機関が導入し、遭難者の早期発見に大きく貢献している
②救助費用やケガの治療費がかさむこともあるため、費用補償してくれる登山保険があると安心
③遭難者を待つ人には、無事を祈る精神的負担が大きく、行方不明になった場合は経済的負担がかかるおそれもある
④遭難した場合、捜索されて救助されることがほとんどのため、ココヘリも登山保険も両方備えると手厚い
⑤遭難は他人ごとではなく、登山をしている限り自分の身にもおきることと考える。ココヘリや保険に加入していることは、待っている人にも必ず共有しよう
取材協力:AUTHENTIC JAPAN