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【2024年新刊】アウトドア関連本16冊。登山の始め方から、人生のヒントまで

読書は「山が好き」「自然が好き」な人におすすめしたい、もう一つの山の楽しみ方。登山の楽しさも、怖さも、喜びも、本を通じて感じることができます。
登山を含むアウトドア関連の本が扱うテーマは幅広く、初心者向けのノウハウ本やコースガイド、アルピニスト達や山を仕事として生きる人のエッセイ、道具や生き物の図鑑、ノンフィクション小説など、たくさんの良書が発行されています。
今回は数ある作品のなかから、2024年新刊の本を16冊ご紹介していきます。
登山入門者におすすめ!イラストつきでわかりやすい スターターブック
KADOKAWA ゼロから山女子始めてみました
著者 | ありを |
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発売日 | 2024年2月28日 |
実用的な情報が満載のコラムを含む、コミックエッセイ。
登山に出会うまでは、無趣味でダラダラと生きていたという著者。体力もない、知識もゼロな状態から、登山の魅力にとりつかれ登山スキルをあげていく過程を描きます。
登山を始めたばかりの時に知りたい「日帰り山グッズ一覧セット」や「日帰りパッキングHow To」といった情報がまとまっています。「登山女子のお困りごとQ&A」など、女性ならではの疑問に著者が実体験をもとに答えたコラムも。
KADOKAWA 今日からはじめる山登り
著者 | じゅごん 大輔 |
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発売日 | 2024年3月4日 |
登山ビギナーのための入門コミックエッセイ。
インドアオタクの主人公は、アニメをきっかけに初めて高尾山に登ります。そのときの感動が忘れられずに、毎週のように山に登ることに。
陣馬山から高尾までの初めての縦走、木曽駒ヶ岳での小屋泊、そして涸沢カールのテント泊まで、ステップアップしていく姿が描かれます。ルートMAPや山ごはんレシピなど、実用情報も満載!
人生のヒントにも。自然と関わるさまざまな生き方
KADOKAWA いくつになっても遊び続ける ジジイのアウトドアノウハウ大全
著者 | winpy-jijii |
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発売日 | 2024年1月6日 |
チャンネル登録数26万人超のシニアYouTuberであるwinpy-jijii(ウィンピージジイ)さんによる初エッセイ本です。
キャンプに山登り、自転車と趣味に生きる73歳の自称「ジジイ」。バイタリティあふれる著者のライフスタイルは、いつ、どのようにして確立されたのか。生い立ちからYouTubeを始める以前の生活、好奇心の源など、さまざまな角度からwinpy-jijiiさんの魅力を掘り下げます。
KADOKAWA 73歳、ひとり楽しむ山歩き
著者 | 市毛良枝 |
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発売日 | 2024年2月28日 |
俳優・市毛良枝さんが、およそ30年間山を歩き続けながら、新たな自分をみつけていくまでの過程をまとめたエッセイ。市毛さんは、特定非営利活動法人日本トレッキング協会の理事も務めています。
穏やかな笑顔が印象的な市毛さんですが、以前は引っ込み思案で自分の殻を破れない性格にコンプレックスを持っていたそうです。しかし山に出会い、心の持ち方に変化が生まれ……。
山あり谷ありの長い人生において、山を通して出会った人や、山で過ごした時間がくれた喜びが綴られます。
山と渓谷社 現代アートを続けていたら、いつのまにかマタギの嫁になっていた
著者 | 大滝ジュンコ |
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発売日 | 2024年2月28日 |
著者の大滝ジュンコさんは、国内外で活動する現代アート作家。
3.11の震災後にアート活動にいきづまりを感じていたころ、友人の誘いで新潟県最北部のマタギ村「山熊田」で開催された飲み会に参加します。そこで独自の自然と文化の虜に。移住を決意し、やがてマタギの頭領と結婚!存続危機にあった古代布「羽越しな布」の復活をめざします。
真の心の豊かさと、たくましい生き方をしなやかな言葉でつづった傑作移住日記。
山と渓谷社 ヤマケイ文庫 新編 名もなき山へ 深田久弥随想選
著者 | 深田 久弥 |
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発売日 | 2024年3月13日 |
1964年に『日本百名山』を執筆した登山・深田久弥による随筆集。
山と日本人の深い関わりや、山登りの前後にも感じる楽しみなどが語られます。ふるさとの回顧録や、東京での暮らしについての想いからは、深田久弥という人間を知ることができます。
2014年刊行の単行本『名もなき山へ』が待望の文庫化。
山と渓谷社 ザ・ノース・フェイスの創業者はなぜ会社を売ってパタゴニアに100万エーカーの荒野を買ったのか? ダグ・トンプキンスの冒険人生
著者 | 井口 耕二訳 ジョナサン・フランクリン |
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発売日 | 2024年4月16日 |
夫婦ではじめた小さなアウトドア用品店から、世界的アウトドアブランドへと成長した「ザ・ノース・フェイス」の創業者であるトンプキンスの生き様を描いたドキュメンタリー小説。
ビジネスの世界で大成功をおさめたトンプキンスは、あるとき会社を売却し、南パタゴニアから南米最南端のティエラ・デル・フエゴまで2500万エーカーという広大な土地を購入します。そしてその地を国立公園化し、生態系を破壊から守ろうとするのでした。
起業家・環境活動家、そして自然を愛する登山家でもあった彼の生き方に迫る一冊。
親子でよみたい、おもしろ図鑑やルールブック
主婦の友社 おもしろすぎる山図鑑
著者 | ひげ隊長(YAMAP専属アウトドアガイド) |
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発売日 | 2024年3月1日 |
登山アプリYAMAP専属アウトドアガイド「ひげ隊長(前田中輝氏)」による、子どもも大人も学びがあるユニークな自然教育本。「知らない人なのに山であいさつするのはなぜ?」といった、子どもならではの素朴な疑問に対して、丁寧に回答しています。
登山に関することだけではなく、生物や気象現象など、自然に関するさまざまな「なぜ?」がとりあげられているので、山に登らなくても楽しめる内容。写真や図解も多様され、漢字にもふりがながふってあるので、小学生低学年のお子さんが一人でも読むことができます。
発売5日目にして重版決定した話題の一冊。
誠文堂新光社 いきものづきあいルールブック
著者 | 一日一種(監修者:水谷 知生、長谷 成人) |
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発売日 | 2024年3月6 |
自然に関する「法律」や「ルール」をとりあげた、ユニークな本。
アウトドアを楽しむ以上、自然環境や野生動物に関する最低限の法律を知っておかなければ、無意識に法律違反を犯してしまう可能性があります。
本書はキツネとタヌキというキャラクターが活躍するストーリーマンガと、それに続く詳細な解説ページで、正しい自然との向き合い方を紹介していきます。
「山はどこでも入っていい?」「河川敷はだれのもの?」などとても身近な問題をとりあげています。やっていいことと悪いことがはっきりわかれば、いっそうのびのびとアウトドアアクティビティを楽しむことができますね。
Gakken キャンプのずかん
著者 | (絵・監修)スズキサトル |
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発売日 | 2024年4月4日 |
イラストとシンプルな文章で絵本のように楽しめる「学研のえほんずかん」。そのシリーズに新しく加わる、キャンプの基本を学ぶ図鑑です。
テントやタープの張り方や、キャンプでの遊び方、火おこしの基礎など、親子でキャンプを楽しむために必要な情報を凝縮。キャンプの魅力も紹介されているので、これからキャンプを始めてみたいと思っている方にもおすすめです。
イラスト・監修は、ブッシュクラフトや野営のアドバイザーとしても活躍するスズキサトルさん。プロがつくる図鑑なので、大人でも満足いく内容になっています。
自然を守る、命を救う。アウトドア業界で働く人々を知る
ダイヤモンド社 レスポンシブル・カンパニーの未来 パタゴニアが50年かけて学んだこと
著者 | ヴィンセント・スタンリー, イヴォン・シュイナード、訳者:井口耕二 |
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発売日 | 2024年1月31日 |
環境保全に早くから会社全体で取り組んできたアウトドアブランド・パタゴニアの、「利益よりも存在意義を優先させる方法」を探求した50年間の軌跡を紹介。
パタゴニアの企業理念ディレクターであるヴィンセント・スタンリーと、創業者であり元オーナーであるイヴォン・シュイナードの共著です。
持続可能な世界を目指して、企業はどのように考え、どんな行動を起こすべきか。行動指針やチェックリスト、手順に関するアドバイスまでつまびらかに語られています。
山と渓谷社 富山県警レスキュー最前線
著者 | 富山県警察山岳警備隊 編 |
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発売日 | 2024年2月1日 |
遭難救助の第一線で活躍する富山県警山岳警備隊の隊員たちによる手記です。
富山県警が出動するのは、剱岳や立山など北アルプスの中でもひときわ厳しい環境の山域。そこでおこる山岳事故の実態と、最前線で救助活動にあたる山岳警備隊の活動や想いが明らかになります。
訓練、救助活動、そして殉職事故。現場に居合わせた隊員みずからが紡ぐ言葉には、ずっしりとした重みがあります。
山と渓谷社 岐阜県警レスキュー最前線
著者 | 岐阜県警察山岳警備隊 編 |
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発売日 | 2024年2月1日 |
遭難救助の第一線で活躍する岐阜県警山岳警備隊の隊員たちやその家族による手記。
岐阜県警が守るエリアは、穂高連峰や笠ヶ岳など北アルプスの飛騨側です。記憶に新しい御嶽山の噴火における救助活動の様子もリアルに描かれています。
また救助隊員の家族や、山荘スタッフ、ヘリコプター・レスキュー隊など、山岳救助に関わるさまざまな人々の手記が織り交ぜられていることも本書の魅力。
登山は常にリスクをともなうことを再認識させてくれるとともに、強い使命感をもって任務にあたる全ての人々に深い尊敬の念を感じる一冊です。
山と渓谷社 アルプスと海をつなぐ栂海新道 夢の縦走路を拓き、守り続ける人々
著者 | 小野 健著、吉田 智彦 |
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発売日 | 2024年3月6日 |
「栂池新道」とは、後立山連邦の北端・朝日岳から海抜0m、親不知海岸を結ぶ登山道です。未開の地に全長27kmにおよぶ道を開拓したのは、一介のサラリーマンと仲間たちでした。
本作は、雲上のアルプスを歩き、日本海へドボンと飛ぶこむという夢を叶えるため、手弁当で縦走路を切り開いた人々の物語です。
開拓の偉業を垣間見ることができる、感動作。
知るほどにおもしろい、山小屋の世界
山と渓谷社 黒部源流山小屋暮らし
著者 | やまとけいこ |
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発売日 | 2024年2月14日 |
山小屋で働くイラストレーターのやまとけいこさんが贈る、リアルな山小屋ライフ。
舞台は、北アルプスの山小屋の中でも特殊な環境にある薬師沢小屋。黒部川本流と薬師沢の合流点付近にたつ、奥黒部の最深部とも言える場所にあります。
電波も届かない秘境で、どのような生活をしているのか。イラストと文章で、小屋開けから小屋閉めまで、山小屋でのできごとを紹介します。
山と渓谷社 帰ってきた避難小屋
著者 | 橋尾 歌子 |
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発売日 | 2024年3月19日 |
「それいけ避難小屋」(2018年発行)に続く、日本各地の避難小屋を詳細なイラストで図解した本。
避難小屋とは、不足の事態がおきたときに避難・休憩するための山小屋のこと。管理人が不在の場合が多く設備もシンプルで、営業小屋とはちょっと違った独特の雰囲気があります。
そんな避難小屋に注目し、小屋内部の間取りをカラーイラストで紹介するのは、イラストレーターの橋尾歌子さん。掲載されている41軒全てを実踏調査して描かれたイラストからは、小屋の雰囲気や利用する人の息遣いまでが伝わってきます。
山岳雑誌「山と溪谷」の人気連載の書籍化。
山のことを知ると、山がもっと楽しくなる

山に行ける時間は限りがありますが、本をひらけば雨の日でも、電車の中でも山の世界に触れることができます。
ノウハウ本や図鑑から学んだ知識はこれからの登山に役立ちますし、エッセイからさまざまな山と関わる生き方にふれることで、新しい山の楽しみ方が見つかるかもしれません。
気になる本があったら、ぜひ手に取ってみてくださいね。