COCOHELI 山岳遭難対策制度(ココヘリ) 550万円までの捜索救助を実施 入会金1,100円OFFで申込む
グリベルのヘルメットを徹底解説|男女別の着用感イメージも

グリベルのヘルメットを徹底解説|男女別の着用感イメージも

イタリアのアウトドアブランド・GRIVEL(グリベル)。ヨーロッパアルプス最高峰・モンブランのイタリア側山麓にあるクールマイユールで、1818年に設立された歴史あるブランドです。

アイゼン・ピッケル・アイススクリューなど多くのクライミングギアを製造していますが、一般登山者に身近なのは頭部を負傷から保護するヘルメットです。

今回はそんなグリベルの最新ヘルメット3アイテムをピックアップ。選び方のコツや着用感・操作性などを紹介します。

本ページはアフィリエイトプログラムを利用しています。

目次

グリベルってどんなブランド?

グリベルのルーツでもあるピッケル
撮影:鷲尾 太輔(グリベルのルーツでもあるピッケル)

テクニカルな山岳登攀ギアを作り続けていることで知られる、イタリアのアウトドアブランド・グリベル(GRIVEL)。その創業は1818年と実に200年以上の歴史を誇り、現存する最古のアウトドアメーカーとも言われています。

同社の発祥は、ヨーロッパアルプス最高峰・モンブラン(4809m)南麓の街・クールマイユール。近年では2006年のトリノ冬季五輪の際に、日本選手団が合宿を行った場所としても知られています。
ここでグリベル家が営んでいた一軒の鍛冶屋が、登山者が持ち込んだ農機具を改造し、ピッケルなどを生みだしたのが起源。 そのため同社のロゴには、MONT BLANC(モンブラン)の文字と2本のピッケルがあしらわれています。

世界中のクライマーから信頼されている質実剛健なギア

地元・イタリア隊がグリベルのクランポンと共に初登頂した世界第2の高峰・K2
出典:PIXTA(地元・イタリア隊がグリベルのクランポンと共に初登頂した世界第2の高峰・K2)

グリベルの名を飛躍的に広めるキッカケとなったのが、クランポン(アイゼン)です。それまでは10本爪が当たり前でしたが、グリベルは1929年に前爪付きの12本爪クランポンを世界で初めて開発しました。

1938年、死の壁の異名を持つスイス・アイガー北壁の初登攀では、グリベルの前爪付きクランポン『スーパー・リジェロ』が使われました。

1954年にイタリア隊がK2初登頂を果たした際に使用したグリベルのクランポン
提供:グリベル(1954年にイタリア隊がK2初登頂を果たした際に使用したグリベルのクランポン)

第2次世界大戦後に起こった8000m峰の初登頂ラッシュにも、グリベルのクランポンが大活躍。
1953年の世界最高峰・エベレスト(8848m)、1954年の世界第2の高峰・K2(8611m)、1955年の世界第3の高峰・カンチェンジュンガ(8586m)の初登頂は、『スーパー・リジェロ』を装着した登山家たちによって成し遂げられたのです。

グリべルは現在もそのノウハウを活かし、ヘルメット・アイススクリュー・バックパックなど様々なアルパインギアを製造。お膝元のヨーロッパはもちろん、北米・南米・オーストラリア・韓国・日本など、世界各地のユーザーに愛されています。

本記事では、そんなグリベルのヘルメットに焦点を当てました。

グリベルのヘルメット5つの特徴

まずはグリベルのヘルメットならではの特徴を5つ挙げてみたいと思います。

①珍しい独特な多角形デザイン

グリベルの特徴である『ステルス』デザイン
撮影:YAMA HACK編集部(グリベルの特徴である『ステルス』デザイン)

グリベルのヘルメットのうち「ステルス」「ミュータント」に採用されているのが、ダイヤモンドのカットのような多角形の『ステルス』デザインです。
グリベル独自のデザインとして、クランポンを登山靴に固定するバインディングやカラビナにも、同じようなデザインが採用されています。

②日本人の頭にあわせたジャパンフィット

現在ラインナップされている3モデルは全てJAPAN FIT規格
撮影:YAMA HACK編集部(現在ラインナップされている3モデルは全てJAPAN FIT規格)

日本人の頭の骨格は丸く横に幅があるのが特徴で、奥に幅がある西洋人とは明らかに異なります。グリベルが日本でラインナップしているヘルメットはすべてJAPAN FITという規格で製造されており、内側の幅と深さを日本人の骨格にわせて調整されたデザインです。

とはいえ同じ日本人でも頭の形は人それぞれ。きちんとフィットしないヘルメットを着用しているとストレスになるだけでなく、頭痛の原因になることも。やはり実際に店舗などで試着することが大切です。

③国際基準の安全性をクリア

グリベルのヘルメットはEN・UIAA両方の規格をクリア
撮影:YAMA HACK編集部(グリベルのヘルメットはEN・UIAA両方の規格をクリア)

登山用ヘルメットの安全性を示すものには、CEN(欧州標準化委員会)が定める欧州の統一規格である「EN規格」と、UIAA(国際山岳連盟)が定める登山用品の統一規格である「UIAA規格」があります。

グリベルのヘルメットは、CENが登山用ヘルメットの技術的要件を定めた規格「EN 12492」とUIAAが登山用ヘルメットの技術的要件を定めた規格「UIAA106」の両方をクリアしており、安全性も折り紙つきです。

④全モデルヘッドライト装着可能

  • ヘッドライト装着|前
  • ヘッドライト装着|後

撮影:YAMA HACK編集部(すべてのモデルがヘッドライトを装着可能)

長距離縦走や稜線でご来光を迎える場合など、アクティブな登山では暗いうちから行動開始することも。こうした夜間の行動に備えて、グリベルのヘルメットはすべてヘッドライト装着可能です。

装着方法は、専用の爪やグリップにヘッドライトのバンドを通して固定するだけ。爪は前後4ヵ所にあり、ズレることなくヘルメット外側に装着できます。

⑤フィット感の調整がシンプルで簡単

シンプルなフィット感の調整方法
撮影:YAMA HACK編集部(シンプルなフィット感の調整方法)

フィット感の調整は、後頭部にある黄色いベルトの末端にあるD環を内側に引き寄せるだけ。ダイヤルやバックルなどの部品を操作することなく調整できるため、初心者でも直感的に頭へフィットさせることが可能です。

髪の毛をポニーテールにしている場合などでも容易な調整方法ですが、絶妙なフィット感に細かく調整したい場合にはコツが必要です。

ヘルメットのラインナップは全3種類!各モデルの特徴や着用画像

それでは、グリベルの最新ラインナップをチェックしていきましょう。各モデルの基本情報を以下のようにまとめてみました。

モデル名
(定価)
サラマンダー2.0
(9,800円/税別)
ステルス
(15,000円/税別)
ミュータント
(16,000円/税別)
写真
構造タイプABS樹脂+ポリスチレンフォームポリカーボネート+ポリスチレンフォームABS樹脂+EPP
特徴手の届きやすい価格軽さと耐久性のバランスが絶妙超軽量モデル
サイズ頭位:54cm〜61cm頭位:53cm〜61cm頭位:48cm〜58cm(S/M)・54cm〜62cm(L/XL)
重量355g215g160g(S/M)・185(L/XL)
こんな人におすすめ初めての登山用ヘルメットを購入する人軽さと堅牢性の両方を重視する人シェルのフード・バラクラバ・帽子と併用したい人
画像提供:株式会社マジックマウンテン

手の届きやすい価格「サラマンダー2.0」

  • サラマンダー2.0|F
  • サラマンダー2.0|R

画像提供:株式会社マジックマウンテン

豊富なカラーラインナップも魅力の「サラマンダー2.0」。顎ひも部分にパッドが付属しており、着用時の肌触りが良いのが特徴です。

サラマンダー2.0の内側・外側
撮影:YAMA HACK編集部(サラマンダー2.0の内側・外側)

内側のライナーはポリスチレンフォーム、外側のシェルはABS樹脂製です。
内側の幅を広く取ることで、安定した装着感が引き継がれたモデル。初めて登山用ヘルメットを購入する人にもおすすめです。

着用イメージ<女性>

  • サラマンダー2.0F前
  • サラマンダー2.0F横
  • サラマンダー2.0F後

撮影:YAMA HACK編集部

着用イメージ<男性>

  • サラマンダー2.0前
  • サラマンダー2.0横
  • サラマンダー2.0後

撮影:YAMA HACK編集部

軽さと耐久性のバランスが絶妙な「ステルス」

  • ステルス|F
  • ステルス|R

画像提供:株式会社マジックマウンテン

軽さに加えて優れた通気性も実現した「ステルス」。次に紹介する「ミュータント」ほどではありませんが、十分な軽さを感じます。

ステルスの内側・外側
撮影:YAMA HACK編集部(ステルスの内側・外側)

内側のライナーは20mm厚のポリスチレンフォームがしっかりと衝撃を吸収、外側のシェルはポリカーボネート製で軽量化に貢献しています。軽さと堅牢性の両方を重視する人におすすめのモデルです。

着用イメージ<女性>

  • ステルスF前
  • ステルスF横
  • ステルスF後

撮影:YAMA HACK編集部

着用イメージ<男性>

  • ステルス前
  • ステルス横
  • ステルス後

撮影:YAMA HACK編集部

超軽量モデル「ミュータント」

  • ミュータント|F
  • ミュータント|R

画像提供:株式会社マジックマウンテン

超軽量モデルの「ミュータント」。大きなベンチレーションが高い通気性を実現しています。顎ひもの末端がループ状になっており、3モデルの中で一番フィット感の調整がしやすいモデルです。

ミュータントの内側・外側
撮影:YAMA HACK編集部(ミュータントの内側・外側)

徹底した軽量化のため、全体をEPP(発泡ポリプロピレン)で形成し、上部の補強として堅牢なABS樹脂を採用。前2モデルはワンサイズ展開ですが、こちらはS/M・L/XLの2サイズ展開。L/XLならシェルのフードやバラクラバなどの上から着用可能です。

着用イメージ<男性>

  • ミュータント前
  • ミュータント横
  • ミュータント後

撮影:YAMA HACK編集部

【まとめ】ヘルメットはこう選ぶ!

最後に、改めてそれぞれのヘルメットがどんな人におすすめかをまとめます。

初めての登山用ヘルメットを購入する人なら→「サラマンダー2.0」
②軽さと堅牢性の両方を重視する人なら→「ステルス」
③シェルのフード・バラクラバ・帽子と併用したい人なら→「ミュータント」

グリベルヘルメットのQ&A

グリベルのヘルメットの疑問を解消!
撮影:YAMA HACK編集部(グリベルのヘルメットの疑問を解消!)

ここからは、グリベルのヘルメットを選ぶ際に気になるQ&Aについて説明します。大切なヘルメット選びの参考にしてください。

【Q1】ヘルメット選びで失敗しないために重要なのは?

ヘルメットは自分の頭にフィットするものをチョイス
撮影:YAMA HACK編集部(ヘルメットは自分の頭にフィットするものをチョイス)

ヘルメット選びで一番重要なのは、自分に合ったサイズであるかという点です。
ヘルメットを着用するのは、頭部を負傷するリスクのあるシーン。フィットしないヘルメットがもたらすストレスは、集中力も削いでしまい転倒や滑落などの危険性が高まります。

また、しっかり着用できていないと、衝撃を上手く吸収できず頭部を守ることもできません。
写真は頭が小さい女性編集部員が「ミュータント」のL/XLサイズを着用したもの。アジャスターや顎ひもを目一杯締めても、顎ひものサイドが浮き上がってしまいました。これでは転滑落の際にヘルメットが脱げてしまう場合もあります。

頭囲だけでは判断できない、ヘルメットの形状と自分の頭がフィットするかを、実際に試着して確認することが大切です。グリベルのヘルメットは石井スポーツ・好日山荘・グラビティーリサーチ・モンベルショップをはじめ、以下の取扱店で取り扱っています。

*取扱店ごとに取扱商品が異なる場合があります。お出かけの際には事前に各取扱店へのヘルメット取扱の有無や在庫の確認をおすすめします。

【Q2】ヘルメットの装着方法を教えてください

  • 装着方法①
  • 装着方法②
  • 装着方法③
  • 装着方法④
  • 装着方法⑤

撮影:YAMA HACK編集部(グリベルのヘルメット装着方法)

優れたスペックを誇るグリベルのヘルメットも、正しく装着できていないと意味がありません。以下の手順で着実に装着しましょう。

①顎ひもを伸ばしてストッパーを開く
②アジャスターを伸ばして広げる
③ヘルメットをかぶり、顎ひもを留める
④ゆるみがないよう顎ひもを調整する
⑤アジャスター左右のD環を引きフィットさせる

顎ひもは、ねじれやすいので装着前にきちんと伸ばしておくことがコツ。かぶった際にヘルメットが前後左右に傾いていないかのチェックも忘れずに行いましょう。

【Q3】ヘルメットのお手入れ方法を教えてください

直射日光を受ける場所での乾燥はNG
撮影:YAMA HACK編集部(直射日光を受ける場所での乾燥はNG)

汚れがひどい場合は、水かぬるま湯で中性洗剤を使用して洗います。
すすいだら風通しの良い場所で日陰干ししましょう。直射日光による乾燥は絶対に不可。グリベルのヘルメットは3モデルとも高分子素材で作られているため、紫外線を浴び続けると素材の性能が低下してしまうからです。

ヘルメットの保管場所は、直射日光が当たらずかつ湿気の少ない風通しの良い場所が適切。火のそばや車内など、高温となるような場所へ放置することは避けてください。

【Q4】ヘルメットの耐用年数はどのくらい?

陽射しが強い真夏の稜線では紫外線の影響を受けやすいヘルメット
撮影:鷲尾 太輔(陽射しが強い真夏の稜線では紫外線の影響を受けやすいヘルメット)

グリベルのヘルメットは、使用頻度が低く適切に保管されている場合の最大耐用年数が10年と定められています。ただし実際には3年おきに新しいものと交換することが推奨されています。
また、使用頻度が高く日光にさらされている時間が長い場合、強い衝撃ではないものの、繰り返し衝撃を受けている場合には、3年よりも短い期間での交換が推奨されています。

ただし落石を受けたり転倒して岩角にぶつけたりなどの強い衝撃を受けた場合は、すぐに使用を停止して新しいものへ交換してください。

・目視でのチェックでへこみがある
・表面に破損や亀裂がある
・プラスチックが変色している
・プラスチック部分が白化している
・フォームに欠落がある
・ベルト部分に破れやほつれが有る
・縫い目がほつれている
・部品が足りないあるいは欠損している
・サイズの調整が出来なくなっている

などの不具合が見つかった場合にも、すぐに使用を停止して新しいものへの交換が必要です。

【Q5】アフターサービスはある?

購入時に付属の保証カードは大切に保管を
撮影:YAMA HACK編集部(購入時に付属の保証カードは大切に保管を)

アフターサービスは、先に紹介した取扱店で行っています。

購入時のレシート(領収書)や、保証カードは大切に保管しておき、購入した取扱店にヘルメットと一緒に持ち込んでください。

【Q6】ヘルメットの持ち運び方は?

ヘルメットの外付けはNG
撮影:鷲尾 太輔(ザックへの外付けも劣化や破損の原因に)

とくに容量の小さなザックの場合、ついザックにヘルメットを外付けしたくなるものです。しかし日光による劣化や、岩や木の枝にぶつかってのダメージを考えると望ましくありません。
ザック内部に収納するか、ヘルメットホルダーなどを使用して、ヘルメット表面が外部に露出しないように持ち運びましょう。

山へ挑戦する人たちに愛されているグリベルのアイテム

クライマー・山野井泰史(撮影者:古畑隆明、場所:インド ザンスカール)
撮影:古畑隆明(クライマー・山野井泰史 〔場所:インド ザンスカール〕)

優れた登山家に贈られるピオレドール(金のピッケル)賞の生涯功労賞を、2021年ににアジア人として初めて受賞したクライマー・山野井泰史さんもグリベルのアイテムで数々の記録的な登攀を成し遂げました。
レジェンド級のクライマーから世界中の登山者まで、今も昔も変わらず山に挑戦する人々に愛されているグリベルのアイテム。まずは一般登山者でも使用するシーンが多いヘルメットで、その魅力を体感してみませんか。

こちらの記事もおすすめ