ハーケンとは?
ハーケンとは、クライミングの時、岩壁の割れ目に打ち込む金属製のくさびのことです。ハーケンを使って、数メートルおきにロープを岩壁に固定しながら登っていきます。元々ドイツ語由来であったハーケンも、ピトンあるいはペグと呼ばれることが多くなってきました。
もしクライマー(登る人)が落ちたら墜落を止めてくれる、大事な道具の一つです。
ハーケンの種類
【1、軟鉄ハーケン】
鉄でできているハーケン。軟らかいので、岩の割れ目内部の形状に合わせて曲がりながら、食い込んでいきます。
割れ目内部の形状に沿って曲がってしまう為、回収は難しいです。また回収できたとしても、グニャグニャに曲がり、再使用されることはまれ。
【2、クロモリハーケン】
クロームモリブデン鋼という、硬い金属でできています。岩の割れ目内部の形状によって曲がることはほとんどありません。その為割れ目内部の形状がまっすぐになっている所を選んで打つ必要があります。形状が変わりにくいので、回収して何度でも使用できます。
よくあるQ&A
ハーケンが抜けてしまうことはありますか?
ハーケンと割れ目のサイズが合ってないと、抜けてしまいます。また、一続きの割れ目に、2本以上のハーケンを打ち込むと、どちらかが抜けることがあります。
打ち込んだハーケンはその後どうなりますか?
基本はリード(一番に登る人)が打ち込んだハーケンは、フォロー(二番目に登る人)が登りながら回収します。ただし、あまりによく打ち込まれたハーケンは、フォローが回収できないこともあります。日本の岩場では、そうして残されたハーケンが至る所に見られます。
ハーケンの使い方
1.打ち込み場所とハーケンの選定
まず割れ目の周りの岩が強固であるかを、目で見て、そして触って確認します。それから割れ目に合うサイズのハーケンを選択します。
2.ハーケンを割れ目に刺し入れる
ハーケンを割れ目に食い込ませます。食い込ませたら片手で押さえます。
3.ハーケンを打ち込む
ハンマーでハーケンを叩き込みます。はじめは細かく打ち、ハーケンがある程度刺さったら、大胆に叩き入れます。
よく効いているハーケンは、ハンマーによる打撃音が、だんだんとかん高くなっていきます。この音が確認できれば、ハーケンはよく効いていると言ってよいでしょう。
ハーケンの頭部が岩に触れるまで打ち込んで完了です。
おすすめのハーケン3選
ブラックダイヤモンド バガブー #6ロングミディアム
クロモリハーケンの内、最も一般的な形状と厚さ。最低1本は持っておきたいモデル。
ブラックダイヤモンド#4
バガブーより広い割れ目に対応する。ぶあつい形状なので、変形しにくい。重いのが難点だが、1本あるととても安心。
モチヅキ 軟鉄KS型ウェーブハーケン
軟鉄ハーケンの代表モデル。刃の部分が波型になっていて、岩の割れ目によく食いつく。回収・再使用には不向き。兼用型が縦横の割れ目に使用できるのでお勧め。
ハーケンを打つ前に
ハーケンは岩にダメージを与える道具。今ではハーケンに代わる「ナチュラルプロテクション」という、岩へのダメージが少ない物が主流ですが、とはいえ冬山やレスキュー現場では、今でも重要な役割を果たすアイテムである事は事実です。
ハーケンを打つ時は、他の選択肢がないかを考慮したうえで、思い切ってハンマーを振るってください。