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パタゴニア トレントシェル

《パタゴニアの定番がリニューアル》いったい、なにが変わった?を調べたら目に見えない進化があった

パタゴニアのレインウェアといえば「トレントシェル 3L」。たしかな防水性と高い透湿性を備えたシンプルなデザインで、アウトドアフィールドからタウンユースまで幅広く活躍する1枚。バギーズショーツやフーディニなどのアイテムと並ぶ人気のアイテムです。
2023年春、そんな「トレントシェル3L」がリニューアル!でも、旧モデルと新モデルを見比べても、いったいどこをリニューアルしたのか分からないほど同じに見えます・・・。一体何が変わったのでしょうか?鎌倉にあるパタゴニアのオフィスを訪ねてきました。

目次

アイキャッチ撮影:根本絵梨子

守る機能はそのままに、環境配慮型へさらなる進化

トレントシェルジャケットのリニューアルに関する話を伺ったのは、パタゴニア マーチャンダイジング部の片桐さん。アメリカ本国に、日本のアウトドアフィールドの特長や必要な機能などを伝えて、製品開発にも携わっているスタッフです。

撥水加工を環境に配慮したPFCフリーへ

実は、デザインや機能は旧モデルと変わっていません。

今回のリニューアルで変えたのは、撥水加工の方法です。これまで採用していたフッ素系の撥水加工から、環境への負担が少ないPFCフリーにしました。

片桐さん
片桐さん

フッ素系の撥水加工は、高い撥水性と汗や皮脂などの油汚れを弾く撥油性に優れています。高い機能を長く維持できるので、アウトドアウェアには欠かせない加工方法でした。
2025年にはヨーロッパやアメリカ・カルフォルニアなどでは、フッ素系の撥水加工をされたウェアは販売禁止になります。

それほど、フッ素は環境にインパクトを与えている化合物なんです。

片桐さん
片桐さん

フッ素は自然界では分解されない「永遠の化学物質」と呼ばれており環境にも生物の体内にも蓄積されて悪影響を与えることが懸念されるようになりました。

人間も、フッ素に汚染された生物を食べ続けると人体に大きな影響があるといわれています。

心配されていた撥水性が、いまでは同等レベル

PFCフリーの撥水性

撮影:筆者

フッ素をなるべく使わない当時の撥水加工では、水を弾く力や機能の持続性が弱かったのが難点でした。

フィールドテストで使用したアスリートから、指摘されたこともあります。でも、いまでは技術革新が進んで、PFCフリーでもフッ素系と同等な撥水性のレベルを実現しています。

片桐さん
片桐さん

高温多湿で雨の多い日本では、撥水性は大事な機能です。

レインウェアの撥水性が低下すると、表生地が水を吸って透湿性も低下。
やがて、ウェアの内側についた結露で体が濡れて冷やされ、低体温症のリスクが高まってしまいます。

製品や生地によって変わる加工方法

撥水性は、日本のフィールドにおいて重要な機能です。そのため、片桐さんはアメリカの開発スタッフに煙たがられるほど、撥水性の大切さを伝え続けたといいます。

しかし、さらに苦労は続きます。
どのウェアにも同じように撥水加工ができるわけではなく、生地によって配合を変えなければいけません。
撥水加工をひとつ変えるだけでも、並々ならない労力と時間を費やしたようです。

同じ生地で配合を変えた撥水性をもつプロトタイプをいくつも作り、いろいろな地域で長期間にわたってフィールドやラボでのテストを繰り返して、生地との相性や撥水性のパフォーマンスを絞り込んでいきました。
製品として世に出したあとも、その製品に合ったよりよい撥水性を研究し続けているそうです。

自然に入るための高機能はしっかりキープ

環境に配慮しながらも、アウトドアフィールドで快適に活動するための機能はもちろん担保されています。

パタゴニア独自素材の「H2Noパフォーマンス・スタンダード」は、過酷なテストをクリアした高い防水透湿性と長期的な耐久性を兼ね備えています。やわらかい肌触りのニット生地「トリコット」を裏地に採用しているため、ドライタッチの快適な着心地が持続します。

フロントファスナーには、強い雨でも水の浸入をしっかり防げるストームフラップを採用。強い雨のときでも安心の防水性です。
もし、登山中にウェア内が蒸れてきたら、脇下のベンチレーションを開けると、蒸れをスムーズに排出できます。

2つのハンドウォーマーポケットは街づかいにも便利で、左ハンドウォーマーポケットにウェアを収納可能です。

自然環境の問題を解決していく!

今回のリニューアル内容は、たしかに大切ですがわかりやすい機能の向上などとは方向性が異なります。どうして、そこまで大変な思いをしてまでリニューアルを行ったのでしょうか?

私たちが遊びの場にしている自然の環境問題を、解決していきたいんです。

そのために、撥水加工を変更したり、リサイクル素材を採用したりしています。
でも、いちばん環境にいいのは、ひとつのものを大切に長く使い続けてもらうことです。

片桐さん
片桐さん

新しく物を作ると、製造過程において二酸化炭素などが発生するため、環境にインパクトを与えてしまいます。
基本的には、今あるものを大切に使いつつ、必要なことがあったときは、環境に配慮されたアイテムを選びたいですね。

機能維持のためにメンテンナスは必須

PFCフリーの撥水加工に変更したことで、ユーザーがしっかりと理解しないといけないことがあります。

PFCフリーでも撥水性は高いレベルですが、撥油性という課題があります。
片桐さん
片桐さん

撥油性とは、皮脂などの油汚れを弾く機能です。油汚れをそのままにしておくと、防水透湿メンブレンやシームテープなどの劣化を早めてしまうため、レインウェアにとっては大事な機能のひとつでした。

しかし、この油汚れは、洗濯をすることでしっかり落とすことができます。撥油性がなくても、メンテナンス次第で長く使い続けられます。

使用したら洗濯する

レインウェアのメンテナンス

撮影:筆者

登山などで着用したあとには、しっかり洗濯しましょう。きれいに見えても、目に見えない汚れが付いています
片桐さん
片桐さん

まずは洗濯タグを確認しましょう。ファスナーなどは閉めて、洗濯ネットに入れてください。

そして、防水メンブレンを痛めてしまうため、柔軟剤や漂白剤が入っていない中性の洗濯洗剤を使用します。アウトドアウェア専用洗剤だと、より安心して洗濯できます。

洗濯後には陰干しをして、しっかり乾かしましょう。

メンテナンスの大切さを伝えるリニューアルポイントと取り組み

洗濯したら機能も落ちてしまうと思われている方も多いですが、そんなことはありません。

洗濯することで機能を維持できて、長く使えます。そんな洗濯の大切さを伝えるために、ジャケット裏にプリントしました。

片桐さん
片桐さん

「シェルをいい状態に保つには、乾燥させておくことと、よく洗うこと」というメッセージ入り。メーカーお墨付きのため、ぜひメンテナンスしてください。

パタゴニアのストアでは、お客様が洗濯しやすいように、メンテナンスの説明書をお渡ししています。地道ではありますが、丁寧に伝え続けていくことが大切だと思っています
片桐さん
片桐さん

山でも街でも長く活躍する、丈夫なレインウェア 

パタゴニアのトレントシェル3Lジャケット
撮影:筆者

「トレントシェル 3L」は、PFCフリーの撥水加工やリサイクル素材を採用している環境に配慮されたレインウェアです。メンテナンスの大切さを実感でき、物を大事にする使い方もきっと身につきます。1枚のジャケットとじっくり長く付き合って、登山やキャンプや街での思い出をたくさん作るのはいかがでしょうか。

パタゴニア メンズ・トレントシェル3L・ジャケット

トレントシェル 3L・ジャケットは、高い防水透湿性を備えたH2Noパフォーマンス・スタンダード・テクノロジーを採用した、3層構造のレインウェアです。素材に100%リサイクルナイロンを採用し、PFCフリーの撥水性を施した環境に配慮されたアイテム。

重量400g
サイズ展開XS、S、M、L、XL
カラー7色