一面に広がるピンク色のじゅうたん!九州限定の花<ミヤマキリシマ>

2021/11/12 更新

初夏、九州の山を彩る花「ミヤマキリシマ」。荒涼とした火山に咲き誇る姿は多くの登山者を魅了します。なんとあの坂本龍馬も絶景を堪能していたそう。そんなミヤマキリシマの特徴や魅力、おすすめの鑑賞スポットなどを紹介します。


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初夏、山肌をピンクに染め上げる<ミヤマキリシマ>

ミヤマキリシマの咲く扇ヶ鼻から星生山方面を望む
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毎年5月下旬から6月中旬ごろ、九州の山や高原に咲く<ミヤマキリシマ>。荒涼とした火山の山肌を染め上げる姿はまるでピンク色のじゅうたんのよう。天空の楽園とも称され、国内外から多数の登山者や観光客が訪れ、初夏の華やかな風景に酔いしれます。
ミヤマキリシマは火山特有の植物
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ミヤマキリシマはツツジ科の常緑低木で、火山特有のツツジ。標高800~1,500mの火山活動が終息した火山で多く見られ、高山特有の厳しい気象条件、火山性ガスや火山特有の土壌に強い特徴を持っており、多くの植物が育たちにくい場所でも生育することができます。

じゅうたんのように見えるのは低木で群生するから
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そんな厳しい環境に生育するミヤマキリシマは、厳しい環境に適応するため樹高は低く這うように山肌を覆っています。樹高はおよそ50cmから1mぐらいで、一株にたくさんの花を付けるため、小高いところから見渡すとまるで絨毯のよう。

ミヤマキリシマを見ることができるのは九州だけ

ミヤマキリシマは九州だけ
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ミヤマキリシマが自生するのは九州の火山と周辺の高原だけ。日本百名山の阿蘇山・くじゅう連山・霧島連山をはじめ、雲仙岳や由布岳などの観光地としても有名な山にも咲きます。
特にくじゅう連山のミヤマキリシマは有名で、毎年、日本全国から登山者が訪れ、最近では海外の登山者も多くみかけます。

ミヤマキリシマは「深山霧島」
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漢字表記で「深山霧島」と書くミヤマキリシマ。これを見てわかる通り、最初に確認されたのは霧島連山。
1909年に新婚旅行に霧島連山を訪れた植物学者・牧野富太郎が発見し命名したことが由来です。

坂本龍馬も堪能したミヤマキリシマ

塩浸温泉龍馬公園
出典:PIXTA(塩浸温泉龍馬公園)
なんと幕末のヒーロー「坂本龍馬」もミヤマキリシマを堪能していたとのこと。
幕末(1866年)、西郷隆盛の招きで坂本龍馬が夫人のおりょうと、新婚旅行で霧島に訪れた際、姉に宛てた手紙の中で「きり島つゝじが一面にはへて実つくり立し如くきれいなり」と書いています。
当時は「きり島つゝじ」と呼ばれていたミヤマキリシマ、動乱の幕末の世を生きた坂本龍馬にとって、きっと癒されたひと時だったことでしょう。

ミヤマキリシマを見に行こう!

ミヤマキリシマを見に行こう!
出典:PIXTA
自生するミヤマキリシマを見られる場所は九州だけですが、九州は火山が多いのでビューポイントは多くあります。その中からおすすめポイントを紹介します。

圧巻のミヤマキリシマ|【大分県】くじゅう連山

平治岳山頂部のミヤマキリシマ
出典:PIXTA(平治岳山頂部のミヤマキリシマ)

見ごろ:6月初旬から中旬

ミヤマキリシマといえば、絶対外せないのが「くじゅう連山」。くじゅう連山の中でも「平治岳(ひいじだけ 標高1643m)」「大船山(たいせんざん 標高1786m)」の斜面を染め上げるミヤマキリシマは圧巻です。特に平治岳はくじゅう連山の中ではマイナーな山ですが、この季節だけは山頂付近が渋滞するほど。

そのほかにも、くじゅう一帯の山や高原でたくさんのミヤマキリシマを見ることができ、観光客でもにぎわいます。


名湯とミヤマキリシマを楽しむ|【大分県】由布岳・鶴見岳

鶴見岳山頂広場
出典:PIXTA(鶴見岳山頂広場)

見ごろ:5月上旬~6月中旬

由布岳(ゆふだけ 標高1583m)・鶴見岳(つるみだけ 標高1375m)はどちらも温泉地の近くにそびえる火山。由布岳は由布院温泉、鶴見岳は別府温泉、どちらも温泉ランキング上位の常連です。由布岳・鶴見岳は、ミヤマキリシマの名所としても有名で、名湯とミヤマキリシマどちらも楽しめる山としても人気。

鶴見岳はロープウェイでも登る事できるので、観光だけでもおすすめ。隣り合っているので2座同時に楽しむことができることも魅力です。



九州最大級の大群落|【大分県】万年山

万年山
出典:PIXTA(万年山山頂から見るミヤマキリシマとくじゅう連山)

見ごろ:5月中旬~5月下旬

山としては少し影が薄い万年山(はねやま 標高1140 m)。溶岩台地の山で草原状に広がる山頂部が特徴です。この山頂部には九州最大級のミヤマキリシマの群生地があります。クルマで山頂近くまで行け、登山道が舗装されているので体力に自信がない人も安心。

開放感あふれる草原のミヤマキリシマの大群落はまるでお花畑、他ではあまり見る事ができない風景なのでおすすめです。
玖珠町観光協会公式|万年山

地元では「ウンゼン(雲仙)ツツジ」|【長崎県】雲仙岳

雲仙仁田峠
出典:PIXTA(雲仙仁田峠)

見ごろ:5月中旬~5月下旬

ミヤマキリシマは長崎県では「ウンゼン(雲仙)ツツジ」と呼ばれます。4月下旬、雲仙温泉街の中にある雲仙地獄から咲き始め、5月中旬、雲仙普賢岳登山口の仁田峠で見ごろに。

特に雲仙の山を染め上げる仁田峠のミヤマキリシマは有名で、ロープウェイで山頂近くまで行くことができ、楽々登山が楽しめることから、観光客も多く訪れます。

【本来のウンゼンツツジとは違う!?】
長崎県の花でもある「ウンゼンツツジ(ミヤマキリシマ)」ですが、なんと本来の「ウンゼンツツジ」ではありません。

ツツジ 比較

引用:PIXTA
画像のように見た目も全く違います。雲仙のミヤマキリシマである「ウンゼンツツジ」は、江戸時代に地元で使われ始めた「雲仙のツツジ」の呼称なのです。しかも、本来のウンゼンツツジは雲仙には自生しておらず、なぜ「ウンゼン」なのかも不明…。

少しややこしいですが「雲仙のウンゼンツツジはミヤマキリシマの地元の別称、本来のウンゼンツツジとは別種」という事のようです。


峡谷を染めあげるミヤマキリシマ|【熊本県】阿蘇山

仙酔峡
出典:PIXTA(仙酔峡)

見ごろ:5月中旬~6月上旬

阿蘇山のミヤマキリシマの名所といえば「仙酔峡(せんすいきょう)」。毎年5月上旬~5月中旬ごろ見ごろを迎えます。
仙酔峡は阿蘇中岳と高岳の北側に位置する渓谷で、5万本のミヤマキリシマが自生しており、渓谷を埋め尽くす姿は「仙人が酔うほどに美しい」という事から名前が付いたと言われています。

仙酔峡は阿蘇五岳の「高岳(標高1592m)」や「中岳(標高1506m)」の登山口でもあり、ミヤマキリシマを観賞しながら登山を楽しむこともできます。


ここが花の名前の由来|【鹿児島県・宮崎県】霧島連山(霧島山)

ミヤマキリシマ咲く韓国岳から見る高千穂峰
出典:PIXTA(ミヤマキリシマ咲く韓国岳から見る高千穂峰)

見ごろ:5月下旬から6月上旬

鹿児島県と宮崎県にまたがる霧島連山。主峰「韓国岳(からくにだけ 標高1700.3 m)」や「高千穂峰(たかりほのみね 標高1574 m)」の周辺と山頂にいたるまでミヤマキリシマが彩ります。5月下旬、麓からスタートし、山頂部は6月下旬ごろ見ごろに。

霧島連山の登山口である「えびの高原」や「高千穂河原」などでも多くのミヤマキリシマを見ることができ、観賞用歩道も充実しています。霧島連山で名前の由来になったミヤマキリシマを見ておきましょう。


かなりレア、シロバナミヤマキリシマ

シロバナミヤマキリシマ
出典:PIXTA(平治岳 白とピンクのミヤマキリシマ)
ミヤマキリシマといえばあざやかなピンク色や薄紅色が一般的ですが、ごくまれに変異種の白花もあり「シロバナミヤマキリシマ」と呼ばれます。
くじゅう連山で見られることが多いようで、くじゅうの登山者の中ではレアな花として珍重されています。かなり珍しいので見つけるといいことがあるかも。

ミヤマキリシマを大切にしよう

ミヤマキリシマを大切にしよう
出典:PIXTA
ミヤマキリシマは大分県では準絶滅危惧種に指定されているように、近年その数を徐々に減らしています。原因は火山環境の安定化による他の植物との競争や、害虫被害などの自然発生的な要因もありますが、登山者による踏み荒らしや、不注意による山火事の被害も問題になっています。
美しい絶景を後世に残すためにも、登山や散策の際はマナーを守ってミヤマキリシマを大切にしましょう。

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ミヤマキリシマ
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黒田猫太郎

IT関連の超インドア人間が、パートナーの影響で山人間に。今では、パートナーよりも山にはまってしまいました。九州を中心に山歴20年。なのに、一向に上級者になる気配が無い、猫好き酒好きのヘタレ山ヤです。パートナー&猫3匹と同居中。愛車ジムニーで山を徘徊しています。

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