初夏、山肌をピンクに染め上げる<ミヤマキリシマ>



ミヤマキリシマを見ることができるのは九州だけ

特にくじゅう連山のミヤマキリシマは有名で、毎年、日本全国から登山者が訪れ、最近では海外の登山者も多くみかけます。

1909年に新婚旅行に霧島連山を訪れた植物学者・牧野富太郎が発見し命名したことが由来です。
坂本龍馬も堪能したミヤマキリシマ

幕末(1866年)、西郷隆盛の招きで坂本龍馬が夫人のおりょうと、新婚旅行で霧島に訪れた際、姉に宛てた手紙の中で「きり島つゝじが一面にはへて実つくり立し如くきれいなり」と書いています。
当時は「きり島つゝじ」と呼ばれていたミヤマキリシマ、動乱の幕末の世を生きた坂本龍馬にとって、きっと癒されたひと時だったことでしょう。
ミヤマキリシマを見に行こう!

圧巻のミヤマキリシマ|【大分県】くじゅう連山

見ごろ:6月初旬から中旬
ミヤマキリシマといえば、絶対外せないのが「くじゅう連山」。くじゅう連山の中でも「平治岳(ひいじだけ 標高1643m)」「大船山(たいせんざん 標高1786m)」の斜面を染め上げるミヤマキリシマは圧巻です。特に平治岳はくじゅう連山の中ではマイナーな山ですが、この季節だけは山頂付近が渋滞するほど。
そのほかにも、くじゅう一帯の山や高原でたくさんのミヤマキリシマを見ることができ、観光客でもにぎわいます。
名湯とミヤマキリシマを楽しむ|【大分県】由布岳・鶴見岳

見ごろ:5月上旬~6月中旬
由布岳(ゆふだけ 標高1583m)・鶴見岳(つるみだけ 標高1375m)はどちらも温泉地の近くにそびえる火山。由布岳は由布院温泉、鶴見岳は別府温泉、どちらも温泉ランキング上位の常連です。由布岳・鶴見岳は、ミヤマキリシマの名所としても有名で、名湯とミヤマキリシマどちらも楽しめる山としても人気。
鶴見岳はロープウェイでも登る事できるので、観光だけでもおすすめ。隣り合っているので2座同時に楽しむことができることも魅力です。
九州最大級の大群落|【大分県】万年山

見ごろ:5月中旬~5月下旬
山としては少し影が薄い万年山(はねやま 標高1140 m)。溶岩台地の山で草原状に広がる山頂部が特徴です。この山頂部には九州最大級のミヤマキリシマの群生地があります。クルマで山頂近くまで行け、登山道が舗装されているので体力に自信がない人も安心。
開放感あふれる草原のミヤマキリシマの大群落はまるでお花畑、他ではあまり見る事ができない風景なのでおすすめです。
玖珠町観光協会公式|万年山
地元では「ウンゼン(雲仙)ツツジ」|【長崎県】雲仙岳

見ごろ:5月中旬~5月下旬
ミヤマキリシマは長崎県では「ウンゼン(雲仙)ツツジ」と呼ばれます。4月下旬、雲仙温泉街の中にある雲仙地獄から咲き始め、5月中旬、雲仙普賢岳登山口の仁田峠で見ごろに。
特に雲仙の山を染め上げる仁田峠のミヤマキリシマは有名で、ロープウェイで山頂近くまで行くことができ、楽々登山が楽しめることから、観光客も多く訪れます。
【本来のウンゼンツツジとは違う!?】
長崎県の花でもある「ウンゼンツツジ(ミヤマキリシマ)」ですが、なんと本来の「ウンゼンツツジ」ではありません。
少しややこしいですが「雲仙のウンゼンツツジはミヤマキリシマの地元の別称、本来のウンゼンツツジとは別種」という事のようです。
峡谷を染めあげるミヤマキリシマ|【熊本県】阿蘇山

見ごろ:5月中旬~6月上旬
阿蘇山のミヤマキリシマの名所といえば「仙酔峡(せんすいきょう)」。毎年5月上旬~5月中旬ごろ見ごろを迎えます。
仙酔峡は阿蘇中岳と高岳の北側に位置する渓谷で、5万本のミヤマキリシマが自生しており、渓谷を埋め尽くす姿は「仙人が酔うほどに美しい」という事から名前が付いたと言われています。
仙酔峡は阿蘇五岳の「高岳(標高1592m)」や「中岳(標高1506m)」の登山口でもあり、ミヤマキリシマを観賞しながら登山を楽しむこともできます。
ここが花の名前の由来|【鹿児島県・宮崎県】霧島連山(霧島山)

見ごろ:5月下旬から6月上旬
鹿児島県と宮崎県にまたがる霧島連山。主峰「韓国岳(からくにだけ 標高1700.3 m)」や「高千穂峰(たかりほのみね 標高1574 m)」の周辺と山頂にいたるまでミヤマキリシマが彩ります。5月下旬、麓からスタートし、山頂部は6月下旬ごろ見ごろに。
霧島連山の登山口である「えびの高原」や「高千穂河原」などでも多くのミヤマキリシマを見ることができ、観賞用歩道も充実しています。霧島連山で名前の由来になったミヤマキリシマを見ておきましょう。
かなりレア、シロバナミヤマキリシマ

くじゅう連山で見られることが多いようで、くじゅうの登山者の中ではレアな花として珍重されています。かなり珍しいので見つけるといいことがあるかも。
ミヤマキリシマを大切にしよう

美しい絶景を後世に残すためにも、登山や散策の際はマナーを守ってミヤマキリシマを大切にしましょう。