「汚れる、くすむ…」魅力的だけど色々気になる”真っ白なアイテム”って実際どうなの…?

2021/08/02 更新

最近、アウトドアウェアやギアで白いアイテムが増えてきたのをご存知ですか?白=汚れが目立つというイメージから、今まで避けていたそこのあなた。実は白色のアイテムは、こんなにもメリットがあるんです。そしてなんと地球を救うことにも繋がるかも?今回は無染色の白ザックアルパインライトを作るMOUNTAIN HARDWEARに白ザックの魅力を聞いてみました。


アイキャッチ画像撮影:YAMAHACK編集部

白ザックが気になるんです。でも勇気が…

こんにちは。そろそろザックを買い換えようと考えているライターの大城です。

いまメインで使っている35Lのザックは、20年戦士でかなりクタクタな状態。印象的なシアンカラーということもあり、トータルコーディネートを考えた時に選べる色味が限られていたのもネックでした。

う〜ん、どうすべきか。背中を預けるともあれば、やはり十何年も愛用できるザックを見つけなくては…と、ふと目に入った印象的なカラーこそ……
nyasunaさん
白色──それは”真っ白”という色でした。
長年使用していても飽きが来ない色。なおかつどんな色のギア、どんな景色とも美しく溶け込むのが魅力的です。

いっそのことホワイトでトータルコーディネートをするのも素敵ですよね。
オールホワイトコーデもかわいい ”ああ、一度はやってみたいな”などと、内なるロマンチストが騒ぎだした矢先、理性がキキーッと急ブレーキを踏んできたのです。

「でも、白って汚れるじゃん」

 
汚れが目立つ白
出典:PIXTA
白色のウェアやギアを見かけた二言目には、「汚れそう」「大丈夫、汚れ落ちる?」「カレーは食べられないね(笑)」の言葉が付いて回ります。
それも承知で白色の魅力に惚れ込んだ…とはいえ、やはり汚れが目立つという事実に躊躇してしまうのが人間の弱さ。頭を抱える筆者に、ある日、編集部から声がかかりました。

 

〜これは白いザックが気になりながらも勇気が出ない筆者が、

読者アンケートやMOUNTAIN HARDWEARへの直撃取材を通じて、

白ギアの新たな可能性を知る物語である〜


読者アンケートでも、やっぱり…ほら……

白いウェアギアについてアンケート
出典:PIXTA
編集K氏曰く、
「白ギアって今増えているんですよ。インスタでも人気ですし、可愛らしいんですよね。とはいえやっぱり、汚れが気になっちゃいますよねぇ・・・」
とのこと。そうか、多くの登山者も白ギアが気になりつつ、勇気が出ない状態なのでしょうか。

それを踏まえた上で、某日YAMAHACK読者を対象にアンケートを取ってみました。

Q:あなたは白いギアを使っている?

グラフ この結果には少し意外…おおよそ4人に1人の割合で白いギアを使っているということです。これを多いと思うか少ないと思うかはあなた次第。
とはいえ、3/4は白いギアを使うことに躊躇しているようです。おお、同士よ……。

と同時に、白色に対する悩みもアンケートしてみました。

【白いアイテムに対しての悩みトップ3】
3位:化粧品、日焼けどめ汚れ
2位:黄ばみ、くすみ
1位:汚れそう、汚れが目立つ

って、みんな汚れ関連やないか〜い!誰しも同じ気持ちだということが分かりました。

つまり「汚れる・汚れそう問題」さえ克服できれば、多くの登山者が気兼ねなく憧れの白ギアを手にできるはずです。

「汚れます。が、方法はある」



マウンテンハードウェアの白いザック
撮影:編集部
餅は餅屋ということわざがあるように、アウトドアギアについて聞きたいならばアウトドアメーカーに取材するのが一番です。

ということでやってきたのは、世界中の登山愛好家やアウトドアアスリートに愛されているMOUNTAIN HARDWEAR(マウンテンハードウェア。以下MHW)
アルパインライトをはじめとして、幅広い白色ギアを世に送り出しているメーカーのひとつです。
白いザックの汚れの落とし方 今回教えてくれたのは商品部の近藤伊織さん。きっとメーカーさんなら汚れ防止の方法や、汚れを確実に落とす方法を知っているはず…!
藁にもすがる思いで、色々と質問してみました。
マウンテンハードウェア 商品部 近藤さん
撮影:編集部
──さっそくですが、白ギアの汚れってどうにか落とすことはできますか?
近藤さん
ある程度までは落とすことはできます。が、100%落としきるというのは…難しいかもしれません

──そうですよね(あぁ〜っ、そんなぁ)

MHW的白いザックのメンテナンス方法

まずはマウンテンハードウェアの推奨する「汚れの落とし方」を聞いてみました。
近藤さん
MHWのギアは、本来の強度や機能性の維持の為に、基本的に丸洗いは推奨しておりません。
汚れた箇所を固く絞ったタオルで叩いて落とす方法を試してみてください。

①タオルを濡らして固く絞る
②汚れた箇所をタオルで叩く(このとき強く擦らない!)
③水で薄めた中性洗剤をタオルやスポンジなどに取り、こすって落とす。
④汚れを落とした後は、洗剤が残らないよう濡れたタオル等でしっかり拭き取る。
⑤メンテナンス後は風通しが良く、湿度の低い場所で保管する


近藤さん
ザックの汚れやすい箇所は主に底面と背面、ショルダー部
底面は休憩時に地面に置くため泥や土汚れが目立ちます。他にも、背面やショルダーは汗などによる皮脂汚れが付着しがちですね。

他メーカーのザックの中には丸洗いOKのアイテムも。
具体的な洗い方は各アウトドアメーカーの推奨に従うのがオススメです。

「え、土って汚いですか?」

と、メンテナンス方法を聞きながらも、次の瞬間、近藤さんから鮮烈なひと言が飛び出しました。
近藤さん
あの、山での土汚れってそんなに嫌ですか?

白いザックは汚れてなんぼ!
撮影:筆者
近藤さん
これはごく個人的な考えですが、私、山での土汚れが汚いと思ったことはないんですよね。
そりゃあ街で地面に座るのは抵抗がありますけど、不思議と山ならパッパッと払えば平気なんですよね。
そうはいっても、できるだけ汚したくないという気持ちもとてもわかります。

雲の切れ間から光が差すような言葉でした。物は使い込めば使い込むほど味わい深くなります。
山を楽しむためのギアが山の色に染まっていくことは、むしろあるべき姿なのかもしれません。
近藤さん
そしてですね、デメリットだけではなく、白色のギアにもたくさんメリットがあるんですよ。

結果的に永く使える。白ザックのメリット4つ

長く使える白いザック
撮影:編集部
白ザックに対するコペルニクス的転回が起こりました。「汚れる=悪」ではなく、「使い込むことでより味わい深くなる」という発想の転換です。
捉え方を変えると、あら不思議。今まで気付けなかった白ザックの特長がどんどん発掘されたのです。

①汚れるからこそ大切に使う不思議な人間心理

近藤さん
人間の心理を逆手にとったメリットがひとつ。
汚れてしまいそうだからこそ、常に緊張感を持って丁寧に扱えるんです。
ずっと初心が続くような感覚ですね。

近藤さんが指摘する通り、買ったばかりのギアは丁寧に扱いますが、時間が経つにつれて徐々に雑な扱いになってしまうのが人間の心理でしょう。
しかし白いザックならば、汚れを許容したとはいえ、やはりカラーリングされた製品と比べて緊張感を持って使うことができます。

それが結果として、ひとつのものを大切に永く使うことに繋がるのです。

②山でも他の人と被らず、目立つ


提供:mountainhardwear
近藤さん
白ザックは雪山以外なら山中でよく目立ちます。さらに他の人と被ることの少ないカラーなので、被りが嫌な人にとってはぴったりでしょう。

土曜早朝の山へ向かう電車の中で、自分と同じアイテムを持った登山者を発見したことはないでしょうか。「あ、あの人私と同じだ」が苦手な人にとっては白アイテムで逆張りをするのもアリでしょう。
近藤さん
そして白いザックは山中でもよく声をかけられるんですよね、珍しいわねって。それもなかなか面白いですよね。

③街でもおしゃれに背負える

マウンテンハードウェア 白いザック
近藤さん
アウトドア用のザックを街でも使いたい人へもおすすめ。カジュアルに垢抜け感が出るので日常シーンにも溶け込んでくれるのです。

ザックは決して安い買い物ではありません。せっかくお気に入りのザックを入手したのならば、山以外でもたくさん活用したいもの。
白ザックは見た目も日常的に使いやすいものが多いため、結果として街や山で活躍する傾向にあるといいます。

④コーディネートが楽、時代を選ばない

白はどんな色にも似合う
出典:いろいろ色彩情報館 -いろどりきぶん-(白はどんな色にもマッチします)
近藤さん
やはり白はコーディネートがしやすいですよね。
どんなウェアにも合うため、飽きることなく長年愛用できますよ。

特徴的なカラーリングのザックならば、主張が強いだけに合わせられるウェアのカラーが限られてきます。一方、白ザックならばどんなカラーとも合うため、幅広いコーディネートを楽しめるのです。
流行り廃りに左右されることなく、どんな時代も使えるのが魅力です。

実はその白ザック、地球の救世主なのかも…?



無染色とXPACの白いザック
撮影:編集部
近藤さん
そして実は、
白いザックを持つことが”地球を救う”ことに繋がる可能性もあるんですよ。

──えっ(何がはじまるんだ)
近藤さん
向かって左のザック(アルパインライト)で使用している生地は無染色*。つまり素材そのままのカラーを採用しているのです。

MOUNTAIN HARDWEARでは地球環境を保全するために「earth to humans…」という取り組みを行っています。
実践している多くの事のひとつとして挙げられるのが、無染色の製品開発なのです。

*MOUNTAIN HARDWEARで現在発売されている白色のザックのすべてが無染色ではありません。
マウンテンハードウェアの環境への取り組み
近藤さん
繊維を染色をすることで、大量の水を使用したり、染色工場で大量のエネルギーを消費したり、環境に負担をかけてしまうのも事実です。
その部分を見直し、敢えて「染色をしない」という選択肢を選んだのがアルパインライトです。

一方で、アウトドアギアだからこそ求められるカラーリングも存在します。
そのためにMHWでは、今までの染色法とは異なるソリューションダイという方法での染色も推し進めているのです。


ソリューションダイ
近藤さん
合成糸を染める既存の方法とは異なり、ソリューションダイは糸の原料であるプラスチックペレットと顔料を直接混合して糸を作る方法。
水や化学物質、二酸化炭素の排出を削減してくれるほか、従来品と比べて色落ちしにくいのも特徴なんです。

──確かに今、環境問題について色々なところで意識が高まっていますものね。まさか白ザックが環境を守る考えに繋がっているとは思ってもいませんでした。おしゃれな上に環境に優しいって……なんとなく嬉しいなぁ。

白ギアで「こんにちは」のその先へ

山で自然とかわす会話
出典:PIXTA
近藤さん
山ってすれ違うと挨拶するじゃないですか。
白いザックを持っていると「こんにちは」だけではなく、その先の会話が生まれやすいんですよね。

私たちの願いは山での偶然の会話が弾むこと。白ザックやギアをきっかけにもっと登山が楽しくなると思います。

「汚れが目立つから白ザックを買う勇気が出ないのよね」から始まった取材は、思わぬ着地点に到達しました。
汚れは忌避するものではなく、味わいとして愛するもの。

そしてひとつの製品を永く大切に使うことは、巡り巡って環境を守ることに繋がるのかもしれません。

白いザックで登山がもっと楽しくなる
撮影:編集部
近藤さん
ザックがきっかけで始まった会話が、最終的に
「実はこのザック、地球に優しくてですね〜」という話になれば、
メーカーとしては嬉しいです。

汚れるから避けていた、なんてもったいない。
もしかすると、今まで手にしたことのなかった白ザックが、新しい登山の楽しみ方を教えてくれるかもしれませんよ。
MOUNTAIN HARDWEAR公式サイト

今回紹介したザック

ITEM
マウンテンハードウェア アルパインライト35
サイズ: S/M,M/L
素材: ボディ:200Dナイロンスペクトラリップストップ(ナイロン80%、ポリエチレン20%) ボトム:ディメンションポリアント X-PAC X51 プレーンウィーブ(ナイロン80%、ポリエステル20%)
※サイズ、容量、重量等は個体、測定した季節等により差が出る場合があります。


ITEM
マウンテンハードウェア アルパインライト28
サイズ: ワンサイズ
素材: ボディ:200Dナイロンスペクトラリップストップ(ナイロン80%、ポリエチレン20%) ボトム:ディメンションポリアント X-PAC X51 プレーンウィーブ(ナイロン80%、ポリエステル20%)
※サイズ、容量、重量等は個体、測定した季節等により差が出る場合があります。

ITEM
マウンテンハードウェア アルパインライト50
サイズ: S/M,M/L
素材: ボディ:200Dナイロンスペクトラリップストップ(ナイロン80%、ポリエチレン20%) ボトム:ディメンションポリアント X-PAC X51 プレーンウィーブ(ナイロン80%、ポリエステル20%)
※サイズ、容量、重量等は個体、測定した季節等により差が出る場合があります。

白いアイテムをチェック!


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大城 実結

フリーランスライター。自転車や登山など野山にまじりて日々生きている。温泉とお酒がある場所へ行きがち。アウトドア雑誌やWebにて執筆中。Twitter:@moshiroa1

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