登山2日目……筋肉痛で動けません。涙
自粛明け、久々の登山に意気揚々と臨むA男さん。今回の登山は、1泊2日の縦走でテント泊をする予定です。
ところが、自粛続きで体力や筋力が衰えてしまったことに加えて、【ある行為】をしてしまった結果……
翌日、A男さんを強烈な筋肉痛が襲いかかります。
全身が痛すぎて、歩ける気がしない!結局、涙ながらに下山。
A男さんはなぜこんなにも筋肉痛に苦しんでしまったのでしょうか。
そもそも筋肉痛ってどんな状態?
そもそも筋肉痛とは、運動した時の筋肉への負荷により、筋繊維が炎症して補修される時に起こる痛みとされています。そのため、予防は日頃の筋トレやストレッチが重要。ぬるま湯に浸かったり、冷やしたりするのも有効ですが、荷物や行動が限られた山上ではなかなか難しいですよね。
実は、宿泊登山時の筋肉痛対策として効果的なのは、ある行為を避け、就寝前に身体のメンテナンスをすること!
そこで今回は、登山者を対象としたトレーニングプログラムの開発を行っている、安藤真由子さんに宿泊地でのNG行為と山上でできる身体のメンテナンス法について伺いました。
鹿屋体育大学・山本正嘉教授のもと登山の運動生理学を学び、2005年同大学院修士課程修了。同年より三浦雄一郎氏が代表を務めるミウラベースキャンプの低酸素室にて、登山者を対象としたトレーニングプログラムの開発と提供を行う。2003年、自転車競技(ロード)のワールドカップ・オーストラリア大会に日本代表として参戦。
体育学博士。健康運動指導士。低酸素シニアトレーナー。日本山岳ガイド協会認定登山ガイド。安藤さんについてもっと知りたい人はこちら。
あの行為が《筋肉痛》の原因に!?翌日にひびくNGシーン
A男さんもやってしまった、筋肉痛を助長させる宿泊登山時の行動とは一体なんだったのでしょうか。
それはついついやってしまう、ある至福の行為。そう、
この3つです。A男さんもこれらを宿泊地で行ってしまったゆえに、翌日苦しむ羽目になってしまいました。
これらに身に覚えがある人は要注意!
その理由をそれぞれみていきましょう。
《1》テントや山小屋ですぐに横になる
宿泊地に着いたら、山小屋の客室やテントの中にこもりきりになりがちですね。けれどもこれは、まる1日歩いてきた状態から突然ぴたりと動かなくなる状態。すなわち運動量・活動量が一気に低下する状況を引き起こしているのです。
運動で破壊された筋繊維を修復するために重要なのが、「血流」。運動量が一気に低下すると、この血流も同時に低下してしまいます。そうすることで、筋繊維の修復が遅れ、筋肉痛を起こしやすくなるのです。
そのため、徐々に運動量を落として行くクールダウンが、筋肉痛予防のコツ。山小屋に荷物を置いたりテントを設営したら、まずは空身で宿泊地周辺をお散歩するのがオススメです。
《2》いきなりストレッチもNG
息がきれた状態で到着し、すぐにハードなストレッチを行うと筋肉がいきなり引き伸ばされることにより、思わぬ怪我につながる可能性があります。お散歩などのクールダウンで徐々に運動量を落としてから行うのが効果的。
ちなみに朝起きたばかりの時間帯も、筋肉が硬まっている状態なので、負担がかかってしまいます。朝起きて少し活動してから行うのがオススメです。
《3》お酒を飲む
1日の登山の疲れを癒してくれる最高のお供がお酒!という人は多いですよね。血管をが開くため、血流がよくなると考えがちですが、それは間違い。アルコールは脱水を促進させ血流が悪くなりやすく、筋繊維の修復を遅らせるんです。また体が酸性になることで筋肉が収縮し、痛みが増す原因にもなりかねます。
登山のモチベーション維持のためには欠かせない!という人は、水分を多めに摂ったり、飲む量を調整したりと意識しながら飲むようにしましょう。
これらの筋肉痛になりやすい行為を意識的に避けることが大事。
つづいて、より翌日に疲れを残さないための身体のメンテナンス方法について紹介していきます。
疲労を残さない!限られたスペースでできるメンテナンス法
翌日の筋肉痛予防のためにストレッチしたい部位は、登山で酷使した部位。主に全身の体重がかかる足です。
・ふくらはぎや太もも
・足裏・足指
コツは、疲労が溜まりやすい身体の末端部分の血流を解消してあげること。山小屋やテントの中など、限られたスペースでもできます。就寝前に行うことで1日の疲労をリセットできるので、ぜひ試してみてくださいね。