奥秩父の盟主「金峰山」とは?
標高 | 所在地 | 最高気温 (6月-8月) | 最低気温 (6月-8月) |
2599m | 山梨県甲府市、長野県川上村 | 18℃ | 3.5℃ |
奥秩父の主脈に位置し、堂々とした山容を誇る「金峰山(きんぷさん)」。長野県では「きんぽうさん」と呼ばれることもあります。日本百名山をはじめとして、新日本百名山、花の百名山、山梨百名山にも選ばれるなど、名実ともに「奥秩父の盟主」の山です。
古くからの信仰の山
修験道の開祖である役小角(えんのおづぬ)が、奈良県吉野の金峰山から蔵王権現を勧請したことに始まる信仰の山として、古くから畏敬の念を集めています。金峰山をご神体とする山麓の金櫻神社は、パワースポットとして、多くの参拝者が訪れます。
地図は必ず携帯しよう!
金峰山登山する際、地図は必ず携帯しましょう。コースタイムなどが見やすい登山地図がおすすめです。
登山する前は天気もチェック
金峰山登山する前は、必ず天気をチェックしましょう。
金峰山の見どころや魅力は?
日本百名山である金峰山は、見どころもいっぱい。その中から登山でこそ味わいたいポイントをいくつか紹介します。
金峰山のシンボル「五丈岩」
360度ビュー、絶景の山頂
金峰山山頂は、遮るもののない360度ビューの絶景が楽しめます。瑞牆山へ続く稜線をはじめ、天候が良ければ、南アルプスの山々、遠く富士山まで望むことができます。
登山道を彩るシャクナゲ
金峰山は、シャクナゲで「花の百名山」に選ばれています。6月初旬~6月中旬、登山道沿いにたくさんのアズマシャクナゲがかわいらしいピンク色の花を咲かせます。山頂には珍しい薄い黄の花を咲かせるキバナシャクナゲも見ることができ、登山者を楽しませます。
次からは、見どころいっぱいの金峰山を楽しめる登山コースを紹介します。
①大弛峠コース|初心者におすすめ!稜線歩きが楽しい最短コース
最高点の標高: 2572 m
最低点の標高: 2356 m
累積標高(上り): 631 m
累積標高(下り): -631 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:4時間30分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
金峰山登山コースの中では、最短で標高差が少ないコース。スタート地点は標高2,365mの大弛峠、山頂との標高差は217m、累積標高にして400m程度。気軽に稜線歩きが楽しみたい人、百名山ハンターや登山初級者にもおすすめのコースです。
登山口|大弛峠をスタート
大弛峠(おおだるみとうげ)からスタート。ここはクルマで到達できる峠の最高地点。15分ほど歩くと、展望地「夢の庭園」があり、国師ヶ岳の登山口でもあるので、多くのクルマが駐車されています。
しばらくは針葉樹林帯の登りですが、朝日峠を越え大ナギに出ると展望が開ける稜線歩きになります。
展望が広がり、振り返ると、大弛峠の向こうの国師ヶ岳が見えます。
大ナギで富士山を眺望
朝日峠から朝日岳へ至るガレ場が「大ナギ」。ここからは南側の展望が良く開けているので、天候が良ければ南アルプスや富士山が遠望できるので、一息入れましょう。
大ナギを過ぎ、朝日岳からは、目指す金峰山が良く見えます。
爽快な金峰山へ至る稜線歩き
朝日岳を過ぎ、再び樹林帯歩きになりますが、傾斜が増したところで金峰山山頂へ至る稜線へ出ます。そこから、山頂までは爽快な稜線歩き。手前に瑞牆山、向こうに八ヶ岳、南アルプスなどを眺望しながら稜線歩きを楽しみましょう。
金峰山山頂に到着
朝日岳から90分で山頂に到着です。金峰山山頂と五丈岩の間の鞍部は絶景の休憩地になっているので、休憩しながら絶景を楽しめます。
360度ビューをじっくりと堪能したら、下山は往路を戻ります。
②千代ノ吹上コース|金峰山を堪能する岩稜絶景コース
最高点の標高: 2568 m
最低点の標高: 1525 m
累積標高(上り): 1501 m
累積標高(下り): -1501 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:7時間15分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
瑞牆山への登山口でもある瑞牆山荘から、金峰山へ登るコース。登山口へのアクセスが良く、一般的によく使われます。途中、砂払ノ頭~千代ノ吹上間は、山梨県側は切れ落ちた断崖に。道幅は広いですがすれ違い時は注意すること。また、途中には鎖場などがあるので、慎重に登りましょう。
登山口|瑞牆山荘を出発
瑞牆山荘正面の登山口からスタート。瑞牆山の登山口でもあるので、登山者が多い登山口です。
初夏は新緑、秋は紅葉が楽しめる、気持ちのいい広葉樹林帯の中を歩いて行くと、50分程度で、富士見平小屋へ到着。
富士見平小屋に到着。ここは瑞牆山への分岐にもなっていますので、間違えないように、金峰山方面に進みます。
大日小屋から大日岩へ
針葉樹林帯をしばらく登り、大日小屋を通過します。大日小屋から急登がはじまり、岩や倒木を越えながらやや険しい道を登ります。
大日岩手前の一枚岩は、ロープや鎖が張られ、凍結時は滑りやすいので注意しましょう。
眺望が良い大日岩で休憩
登山口から約2時間20分。登山コースの中間点、大きな岩山の「大日岩」へ到着。大日岩に少し登りあがると、目指す金峰山のほか、瑞牆山や八ヶ岳連峰が良く見えます。岩の下は休憩に適した平坦地なので、休憩に最適です。
この先は、岩がゴツゴツとした尾根道を歩いて行きます。
断崖絶壁の千代ノ吹上
大日岩から約1時間30分。砂払ノ頭から千代ノ吹上付近は、右側(山梨県側)が断崖になっている迫力の景色が望めます。見た目はちょっと怖いですが、道幅は十分。しかし、悪天候時は道がわかりにくくなるので注意しましょう。
目指す金峰山はあと少し、遠くに山頂のシンボル「五丈石」が見えます。
■千代ノ吹上伝説
ちょっと変わった地名の「千代ノ吹上」。これには、おもしろい伝説が関わっています。
昔、麓に住んでいた大工の妻の名が「千代」。女人禁制であった金峰山に、夫婦で登山してしまい、妻の千代が、この断崖から滑落してしまいました。夫は、神の祟りと恐れ、山頂の祠で妻の罪が許されるように7日間断食し祈り続けると、なんと、谷底から千代が吹き上げられ戻ってきました。
その後、この場所を「千代ノ吹上」と呼ぶようになったそうです。
ハイマツ帯の稜線歩き
千代ノ吹上から、金峰山までは遮るもののない、ハイマツ帯の稜線歩き。周りの眺望と、さわやかな風を受けながら、山頂へ一歩一歩登っていきます。
金峰山山頂到着
千代ノ吹上から20分で山頂へ到着。下山は往路を戻ります。
③廻り目平コース|アズマシャクナゲが咲く樹林帯の登山道
最高点の標高: 2568 m
最低点の標高: 1570 m
累積標高(上り): 1452 m
累積標高(下り): -1452 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
先に紹介した2コースは、稜線歩きを楽しむコースでしたが、こちらは、ほとんどが樹林帯のコース。金峰山小屋まで展望はありませんが、夏など陽ざしを避けたいときにおすすめです。途中、崩落などで荒れた場所もあるので道標やテープなどの目印を確認して歩きましょう。
登山口|金峰山荘(廻り目平キャンプ場)をスタート
登山口の金峰山荘(廻り目平キャンプ場)をスタート。コースの前半は林道歩き、のんびりと行きましょう。
林道終点本格的な登山道へ
登山口から約1時間程度で、林道終点です。ここから本格的な登山道がスタートします。
アズマシャクナゲの登山道を登る
コースは全体的に、樹林帯ですが、6月はアズマシャクナゲが埋め尽くす群生地になります。
金峰山小屋まで、鬱蒼とした樹林帯が続きますが、道標をしっかり確認して登っていきます。
金峰山小屋に到着
樹林帯の中、どんどん高度を上げていくと、少しずつ展望が開けてき行き、金峰山小屋へ到着。ここからは展望がいい尾根道歩きになります。
金峰山山頂へ
金峰山小屋から20分で山頂へ。前方に瑞牆山、眼下に通過した金峰山小屋が見えます。
下山は往路を戻ります。
1泊2日あれば、瑞牆山との2山登頂も!
②の瑞牆山荘から登ると「富士見平小屋」があります。実はここを宿泊拠点にすれば、瑞牆山と金峰山という日本百名山を2つ登ることも可能。
2日連続で登山をする体力があれば、ぜひとも挑戦してみてくださいね。
金峰山登山口へのアクセス
①大弛峠コース|大弛峠
【クルマの場合】
中央自動車道「勝沼」IC→フルーツライン と クリスタルライン、県道219号経由で、約1時間44分
【公共交通の場合】
JR中央本線「塩山」駅→栄和交通バス(ツアー)乗車、「大弛峠」バス停下車
※要予約、6月〜11月の土日祝運行
②千代ノ吹上コース|瑞牆山荘
【クルマの場合】
中央自動車道「須玉」IC→増富ラジウムライン、県道621号を経由し、約37分。
【公共交通利用の場合】
JR中央本線「韮崎」駅→山梨峡北交通「韮崎瑞牆線」バス乗車→「みずがき山荘」バス停下車 約1時間12分
山梨峡北交通|公式サイト
③廻り目平コース|金峰山荘(廻り目平キャンプ場)
【クルマの場合】
中央自動車道「須玉」IC→国道141号経由 約1時間8分
【公共交通の場合】
JR小海線「信濃川上」駅→川上村営バスで「川端下」バス停下車。 約34分。→徒歩1時間10分。またはタクシー利用。
川上村|川上村営バス
金峰山荘(廻り目平キャンプ場)
周辺のおすすめスポット
金櫻神社|御神体は金峰山!
金櫻神社(かなざくらじんじゃ)は、金峰山を御神体とする由緒ある神社です。本宮は、金峰山山頂の五丈岩南面に鎮座しており、こちらは里宮となります。金峰山登山の際は、ぜひ、こちらの神社にも立ち寄りましょう。
夢の庭園|巨大な花崗岩の景勝地
今回紹介した「大弛峠コース」の登山口である大弛峠から歩いて15分の景勝地。巨大な花崗岩に、シャクナゲ・シラベなどが絶妙な調和を見せる自然庭園です。秋は紅葉に染まる奥秩父の山々の絶景も楽しめ、人気の観光スポットになっています。
増富の湯|4つの湯温から選べる源泉かけ流し
瑞牆山荘の登山口を利用する場合に、立ち寄り湯として人気の温泉。温度差が4つあるかけ流しの源泉から好きな温度を選んで入ることができます。施設には食堂も併設されており、山梨名物・ほうとうなどがいただけます。
金峰山で初心者からステップアップ!
奥秩父の盟主「金峰山」は、標高差がほとんどなく短時間で登頂できる大弛峠コースから、深い樹林帯、鎖がある岩場の稜線歩きなど、バリエーション豊かな登山コースが楽しめる山でもあります。ベテランはもちろん、初心者の人、初心者からステップアップしたい人には、ぜひ、おすすめの山です。