アウトドア雑誌『ランドネ』の編集長でありながら、昨年2020年に登山コミュニティ『KUKKA party(クッカパーティー)』を立ち上げた佐藤泰那(さとうやすな)さん。
ランドネといえば、2009年に創刊したアウトドア雑誌。この雑誌の創刊のころから、それまではちょっとハードルが高いジャンルと思われていた登山やアウトドアが、初心者でも始められる趣味の一つとなりました。
また、この雑誌が「山ガール」という言葉が広まるきっかけとなり、おしゃれなアウトドアウェアを着たり、登山に行く時にメイクをしたりするのも、珍しいことではなくなりました。
そんなランドネの創刊直後から携わり、女性を中心とした登山・アウトドアビギナーにその楽しさを広めてきた佐藤さんに、KUKKA partyを立ち上げた目的や今後目指すことなど、今の思いを聞いてきました。
アウトドア経験ほぼゼロから雑誌と共に成長してきた
まずはランドネに携わることになった経緯からお話をお聞きしました。
そこで働き始めて3年目の夏に、女性をターゲットにしたアウトドア雑誌ができるという話が社内で出たんです。
ーーーその時はすでに登山の経験があったのですか?
登山はそれが初めてだったのですが、すごく楽しくて、その時から少しずつ登山をしていました。

ただすぐには異動できず、すでにその時に創刊されていたアウトドア系の別の雑誌『PEAKS』や『フィールドライフ』で読者モデルをさせてもらったり、リアルな登山者としてヒアリングに協力したり、くらいでした。
ーーーじゃあ創刊したらぜひ異動したいと思っていたんですね?
創刊号は関われなかったのですが、その後は企画会議に参加させてもらったり、初心者がアウトドアショップで買い物をするという記事に登場させてもらったりもしました。
ーーー正式にランドネ編集部に異動したのはいつからですか?
その頃の私は登山をもっと楽しみたいという気持ちが強くなってきていて、読者層と年齢も近く、リアルな読者目線を持っていました。
それでどうしても異動したくて、企画書をいくつも作って交渉しました。
ーーー当時は登山経験がそこまでなかった佐藤さんも、今では槍ヶ岳などかなりハードな山にも挑戦されていますよね。
仕事とはいえ、難易度の高いコースに挑戦されていてすごいです!雑誌を作りながらスキルアップされてきたんですね。
「編集者は、取材対象にそもそも興味があるかどうかなんて関係ない。
自分自身がまず好きになって、読者が求めるものを想像し、プロの人たちの話を聞きに言ってそれを伝える。それが編集者の仕事なんだ」と。
カスタムショップに通ったり、ハーレー好きが集まるツーリングイベントに参加したりするようになりました。
だから「自分自身が挑戦してみる」というマインドはその頃に身についたものだと思います。
そうすると取材相手からさらに深い魅力や面白い話を引き出すことができるんです。
とはいえ、初めからそこまで計算して、バイクの免許をとってハーレーを買ったわけではないんですよ。結果的にそうなったというのが本当のところです(笑)。