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リーダー不在の「グループ登山」はNG? 安全に登山をするための方法を考えてみた(2ページ目)

【1】準備において気を付けること

登山地図と登山計画書

撮影:筆者

とりあえず「誰か」を中心に動く

「リーダー」とまでは言えないかもしれませんが、山に行く計画を立てる上で中心となる人はいるでしょう。その人を中心にとりあえず動きましょう

中心となった人も、自分がわからないことや心配なことはメンバーに意見を求めていきましょう。

計画を人任せにしない

登山は自分の生命にかかわるアクティビティです。リーダーがいる登山でさえメンバーはリーダー任せにしないのは当たり前のこと。ましてや、全体を統括するリーダーがいないのなら、なおさら漏れがないようにみんなで装備や計画の確認を二重三重にやりましょう。

SNSなども活用し、情報収集は万全に!

登山地図とGPSアプリ

撮影:編集部

事前に登山地図を見たり山小屋に聞いたりして登山道の状況やアプローチについて確認しましょう。

最近では登山記録を共有できる媒体やSNSが普及し、メジャーな山ならばたいてい直近の記録を見れますので、これらの情報も参考にしましょう。ただし、登山記録の所要時間は人それぞれ、あくまでも参考に留めてください。

全員で相談し、無理なく歩ける計画を立てる

登山グループLINEのやりとり

撮影:編集部(LINEのグループチャットを利用し、全員が同じ情報を共有)

山やコース選び、装備の分担などはいちばん経験がなく体力の弱い人にすべてを合わせましょう。そうすることで全員が無理なく歩けます。

何時までにここを通過するといった具合に、行動の判断となる時間の目安も考えます。これらを踏まえて登山計画をみんなで話し合いながら立ててみましょう。

準備段階でこれができていないようなら、そのメンバーとは行くのをやめた方がいいかもしれません

最近ではオンラインでグループチャットできるので、これらを利用して、全員で情報を共有して話し合うのもよいでしょう。

▼準備に関してはこちらの記事をどうぞ

【2】行動中に気を付けること

岩場を通過するパーティー

撮影:筆者(岩場の通過。苦手な人がいたら手や足の置き場をアドバイスしてあげましょう)

出発前に体調と忘れ物を全員で再確認

全員集まったら、体調に問題ないか確認しましょう。寝不足や風邪気味ではないでしょうか。最悪の場合、無理したことが原因で山中で病気になってしまうかもしれません。山中では具合が悪くなってもすぐには下山できません。山は逃げませんので、大事をとって判断しましょう

忘れ物がないかも確認しておきます。もし忘れ物があった場合は、それがなくてもとりあえず問題ないものか、絶対ないと困るものなのか考え、後者ならば潔く諦めて、別のことでその日をみんなで楽しく過ごしましょう

下山するまで一緒に行動する

ペースや体力が違ったり、用を足したかったり、いろんな事情があると思いますが、パーティを分けて行動することのないようにしましょう。私はどうしてもここに行きたい、でもメンバーで具合が悪くなってしまった人がいる。そんな場合でも潔くみんなで下山しましょう。

全員が無理なく歩けるペースをキープ

メンバーの様子を気にかける

撮影:筆者(先頭を歩く人は後ろを振り返ってメンバーの様子を見ながら歩く)

山中ではいちばん体力のない人が無理なく歩ける速さ、かつ一定のペースで歩くことが大事です。歩く順番は、いちばん経験がある人が先頭、いちばん体力や経験のない人がその次、最後は2番目に経験のある人にすると良いでしょう。先頭の人はいちばん経験のない人に合わせてペースを作りましょう。全員が楽しくおしゃべりをできるくらいが理想です。

靴紐が解けたり用を足したくなって止まりたい、後ろから追い越したい登山者が来たなどあれば、最後を歩く人は先頭を歩く人に伝えてあげましょう。

休憩は時間を決めてテキパキと

山頂で賑わう登山者

撮影:筆者(山頂は特に時間を決めて楽しもう)

休憩は何回もとりますので、だらだらと時間を決めずにとっていると、あっという間に積もり積もって1時間や2時間になってしまいます。

時間にかなり余裕があって山頂などでのんびりしに行くという目的で登るのなら話は別ですが、そうでないならば、水分やエネルギーの補給、ウェアや靴紐の調整、現在地やその先の行程の確認、お互いの体調の確認などを長くても10分ほどで済ませて先に進みましょう

出発の時には忘れ物がないか確認を忘れずに。

【3】トラブル発生!こんな時どうする?

状況変化

撮影:筆者(霧も出て雨も降ってきた……さあ、どうする?)

メンバーがバテてしまった

そのまま計画通りに歩き続けた場合、その日の最終目的地(山小屋や下山口など)に着けるのかどうか早めに考え、どうするかみんなで相談しましょう。着けないかもしれないと思ったら、引き返す、エスケープルートを使う、目的地を変更するなどしましょう。

ケガをしたり、病気になってしまった

まずは落ち着きましょう。そして、自力で対応できるのかどうかまずは判断しましょう。自力で対応できない時は、どの程度の助けが必要なのかも含めて考えます。

通りがかりの登山者に手伝ってもらえば何とかなりそうなのか、それとも山小屋や警察に救助要請をしなければならないのか。判断に迷ったら、より重大なケガや病気と考えて、大事をとった判断を下しましょう

いちばん不安で心細いのは、ケガや病気をした人。常に誰かが必ずついて介助してあげましょう。もし余裕があれば、いつどんな症状が現れてどうなったか、どんな対応をしたか、メモをとっておくと救助隊や病院に引き継ぐときの参考になります。

天気が悪くなってきた

山の天気は麓と違って変わりやすいです。「予報をちゃんと確認したのに!」と思いますが、そういうものだと割り切りましょう。

例えば、雷が鳴ってきたというのであればすぐに避難しなければなりませんが、夏の夕方の雷ならば1時間もすれば通り過ぎるでしょう。また、霧雨が降ってきたくらいなら、降り続くとしても、濡れないようにさえすれば、心細いかもしれませんがリスクは低いでしょう。

大事なのは、その変化が命に関わるものなのかどうか、長く続くのかどうかを落ち着いて判断するということです。

リーダーシップだけでなくメンバーシップも大事

登山はチームワーク

出典:PIXTA

他の人に遠慮して自分の不調や意見を言わない声の大きい人に流されるなどはリーダーのいる山行でも大きなリスクです。誰もが積極的に参加しやすい雰囲気を作りましょう。

何か言えずにいる人はいないか、トイレに行きたい人はいないか、調子の悪い人はいないか、気遣いを大切にしましょう。誰かひとりの不調はパーティ全体の一大事に繋がりかねないことをくれぐれもお忘れなく。また危険な行為や強引な判断などの注意すべきことはお互いに注意するのも大事です。

メンバーそれぞれも積極的に目的地やルート選び、計画立案や装備の準備、現場での行動に関わる。リーダーがいない登山では「メンバーシップ」が非常に大切なのです。

ひとりひとりが「自立した登山者」を目指そう

雪山と筆者たち

撮影:筆者

長いこといろんなことを書いてきましたが、一言でまとめると、リーダーの有無に関わらず、「自立した登山者」を目指しましょう!ということです。

「自立した登山者」とは、準備から下山までの判断を自分で下し、不慮の事態が起きても基本的には自分で対処できる人のこと。もっと分かりやすくいえば、自信を持って単独行できる人のことです。これができるメンバーがグループにひとりでもいないと、何かあったときに生死に関わってきます。

自分にできていないことがあっても、たいていの場合は何事もなく下山でき、何か起こるまで自分に何が欠けていたのかに気づく機会がほとんどない、という特徴が登山にはあります。

でも何かが起こってからでは遅いのです。自分に何が足りないかをまずは知り、少しずつ身につけていきましょう。身につけた分だけ山の世界は広がってさらに楽しめるようになりますよ。

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