遭難して、民間のヘリに依頼すると1分1万円かかる!?

登山中にもし遭難した場合、捜索費用が莫大にかかることがあり、大きな負担となります。そんな時に、頼りになるのが山岳保険。登山をする時には、もしものことを想定し山岳保険に加入しましょう。
ただいざ入ろうと思っても何に注目して選べばいいのか、見るべきポイントがよくわからないという人が多いのではないでしょうか。
まずは自分に合った山岳保険を選ぶためのポイントをみていきましょう。
登山頻度や山行スタイルから自分に合った山岳保険選びを!
山岳保険を選ぶ時に、ポイントとなるのが以下の2つ。
①登山頻度によって契約タイプを選ぶこと
②自分の山行スタイルに合わせて選ぶこと
その上で、ある程度保険の種類を絞り、各補償内容を詳しく見比べます。
2つのポイントを詳しくみていきましょう。
《1》登山頻度によって契約タイプを選択
契約方法には、年間で契約するタイプと単発で契約するタイプのふたつの方法があります。
年間契約タイプの方が金額は高めですが、手続きが一回で済むのと年に何回も行くとなると単発よりもお得になる可能性もあるので、頻繁に行く人はこちらを選ぶといいでしょう。年に数回かしか登山をしないという人は、その都度、数百円で契約するタイプの方が手軽です。
《2》山行スタイルに合わせて選ぶ
登山の種類によって、補償の範囲が異なるので、自分のスタイルにあった保険を選ぶ必要があります。
遭難時の捜索や救助費用を補償してくれる内容や名称が、それぞれ異なるので注意が必要です。
・【一般登山向け】救援者費用の補償
→山岳登はん以外の登山中の遭難時にかかった費用を補償・【本格登山向け】遭難捜索費用の補償
→山岳登はん行程中の遭難時にかかった費用を補償
保険会社によって、「病気が原因の遭難費用が対象になる場合とならない場合」など対象範囲が異なります。上記の補償項目は「どんな場合に対象になるのか」の範囲を必ず確認しましょう。
▼実際の遭難事故にかかった費用を参考にしたい人はこちらをチェック
今回は、一般登山(軽登山やハイキング)をする人におすすめの
・単発契約のおすすめ山岳保険4選
・年間契約のおすすめ山岳保険8選
の計12種類の山岳保険をご紹介。補償内容を比べながら、自分に合った保険を選びましょう。
【単発契約タイプ】1日〜申込OK!おすすめ山岳保険4選

インターネットから申し込みOKなので気軽に契約できるのがポイント。翌日に山に行きたい!という場合もすぐに保険加入できるので、ぜひ活用しましょう。
モンベル|野あそび保険(国内旅行傷害保険)
・保険料=250円、500円
・期間=1泊2日、3泊4日、6泊7日
・補償内容=死亡・後遺障害、入院・手術、個人賠償責任、携行品損害、救援者費用等
他人にケガをさせたり、他人のものに損害を与えてしまったりと、法律で損害賠償責任をおった時の個人賠償責任補償がついています。インターネットからの手続きができ、即日から補償が可能。加入には、モンベルメイト(無料)になることが条件です。
やまきふ|ワンタイム保険
保険料=日帰り:660円、1泊2日:990円、3泊4日まで:1,600円
保険期間=日帰り〜3泊4日まで
補償内容=傷害死亡、行方不明(31日超)、後遺障害(1〜14歳)、傷害手術(入院時と外来時)、賠償責任、救援者費用
ドコモ|ワンタイム保険 スポーツ・レジャー保険
保険料=しっかりプラン:590円
期間=1日もしくは1泊2日
補償内容=死亡・後遺障害、入院・手術、賠償責任、携行品損害、救援者費用等
日帰りから1泊2日まで契約できるドコモのスポーツ・レジャー保険。3つのプランがありますが、救援者費用がついているのは「しっかりプラン」のみなので、こちらを選びましょう。
ドコモの携帯を利用している人は、ネットワークの暗証番号と生年月日の入力だけで手続き完了。支払いも携帯料金と一緒にできるのでとっても手軽ですよ。
ソフトバンク|スポーツ・レジャー保険
保険料=1日プラン:300円、450円、600円
期間=1日
補償内容=傷害死亡・後遺障害、入院、手術、携行品損害(※しっかりプランのみ)、救援者費用
ソフトバンクの携帯を利用している人におすすめの保険。
ハイキングでの事故から地震などの天災の事故までも対象です。My SoftBankからいつでも簡単に申し込めるため、手軽にできるのがポイント。
【年間契約タイプ】1度の申込で完了!おすすめの山岳保険7選

年間契約プランを5種類ご紹介していきます。日割り計算だと、単発よりもお得に入会できるので、頻繁に登山やハイキングをする人におすすめです。
モンベル|野外活動保険
保険料&期間=1年(年払|3,420~65,360円)、3年(8,540~163,380円)、5年(13,660~261,360円)
補償内容=個人賠償責任、傷害医療費用、死亡・後遺障害、救援者費用、傷害医療費用(※シンプルプラン対象外)、入院・手術・通院・携行品損害補償(※安心プランのみ)
▼補償内容
▼プランの料金
1年・3年・5年と契約期間を選択できる保険で、アウトドアスタイルにあわせて3つのプランから選べます。仕事中の事故を除き私生活のみを補償する「就業中対象外プラン」と、就業中か否かを問わない「24時間補償プラン」があります。
加入にはまずモンベルメイトになることが条件です。
ABC少額短期保険|レスキュー費用保険
保険料=4,000円(年払)
保険期間=1年
補償内容=捜索・救助費用、対人費用(捜索救助活動に従事した人の人件費や日当など)、対物費用(対人費用以外の装備費・保険料・交通費・食糧費など)、ヘリコプター運航に関わる一切の費用
捜索・救助に特化した保険で、死亡や入院・通院、賠償責任補償などはついていないのが特徴。すでにほかの傷害保険に加入している人は、捜索・救助費用のみこちらで補償できるのでおすすめです。
日本山岳共済会|ハイキングコース
保険料=1タイプ:2,620円、2タイプ:6,930円(年払 ※途中加入は料金に変動あり)
保険期間=1年
補償内容=傷害死亡・後遺障害、救援者費用、日常生活賠償、入院、手術、通院(※ハイキングコースの場合)
日本山岳協会の会員(年会費1,000円)になることが必要。
登山コース、ハイキングコース、クライミングプラン、トレランプランなどいろんな登山スタイルにあった保険が用意されています。4月1日からの1年間契約で、途中から加入する場合は料金が変わるので公式HPを確認してください。
やまきふ|エキスパート保険
保険料=10,000円(年払)
保険期間=1年
補償内容= 傷害死亡、後遺障害(1〜3歳)、入院、手術(入院時と外来時)、賠償責任、救援者費用
雪山やクライミング中の事故にも対応しているエキスパート保険。登山届けの提出で、救援者費用は1,000万円までの高額補償となります。
登山やハイキングはもちろん、災害特約付きなので地震や噴火の際のケガまでも補償対象。また、登山時のほかに日常生活での法律上の賠償責任も補償されます。
楽天|超かんたん保険 アウトドアプラン
保険料=本人型:1,750〜10,210円(年払・月払)
保険期間=1年
補償内容= 死亡・後遺障害(※節約コース対象外)、入院、通院(※充実コースのみ)、携行品損害補償、救援者費用等
楽天会員向けのアウトドア保険。節約・標準・充実コースから選択でき、本人型以外にも夫婦型、家族型のプランがあるので、家族揃ってのハイキングや軽登山にもおすすめです。
保険料金により楽天ポイントを獲得できる(※支払いはクレジットカード決済のみ)ので、楽天会員の人は必見ですよ。
Yahoo!保険|ちょこっと保険 山大好きプラン
保険料=本人型:330円〜1,110円(月払)
保険期間=1年
補償内容=傷害死亡、後遺障害、入院、通院、携行品損害、救援者費用等
申し込みの翌日から補償が開始。1年契約ですが、保険料は月払い。加入には、「Yahoo!プレミアム会員(月額508円)」になることが条件です。
会員に料金がかかってしまいますが、保険金額の増減や補償内容の追加などを自分でカスタマイズできるところがポイント。ほかの保険で傷害保険に加入していて、救援者費用だけ充実させたいという人にもおすすめです。
三井住友VISAカード|ポケット保険トレッキングコース
保険料=本人:460円~1,610円(月払)
保険期間=1年
補償内容=傷害死亡・後遺障害、入院、通院、携行品損害、救援者費用等
三井住友VISAカードを持っている人にはおすすめのトレッキング保険。S、M、Lと基本のパッケージを選んでから、補償内容や保険金額を自由に変更できます。サイトから保険料のかんたん試算もできるので、ぜひチェックしてみてくださいね。
保険とあわせて利用したい、新サービスとは?
意外と知らない、登山保険の落とし穴があるんです。それは「保険が下りるのは遭難者が見つかった後」ということ。万が一遭難者が見つからなかった場合、「死亡」ではなく「失踪」扱いとなるため、すぐに生命保険は適用されません。
継続的なヘリでの捜索も、高額な費用が発生するため保険だけではまかなえない、なんてことも。
遭難者をできるだけ早く見つけ出すサービス「ココヘリ」
そんな保険だけではまかなえない負担をなくすために新しいサービスが始まりました。それが、会員制捜索ヘリサービス「ココヘリ」です。
登山中に発信器を携行し、万が一遭難したときにはその発信機による電波によってすぐに位置を特定できる、という仕組み。これで登山保険だけでまかなえない長期の捜索費用の負担をなくすことが可能です。登山保険とあわせて入会しておくとさらに安心、入会する人もどんどんと増えています。
山岳遭難が起きてしまった時の負担を軽減する「日本山岳救助機構会員制度」
さらにおすすめなのが、こちらのサービス。
会員の誰かが遭難した場合、その費用を会員全員で負担するというシステムです。2021年現在、9万人の会員がいます。
費用補填だけではなく、遭難を未然に防ぐための講習会や講演会も開催しています。もしもの時はもちろん、遭難しないためのノウハウを知れるのは嬉しいポイントですね。制度を利用するには会員になることが必要。
山岳保険やココヘリと合わせて入会しておくといいでしょう。
山岳保険加入は登山者のマナー

遭難して行方不明になってしまうと、ヘリの費用に加え1人あたり1日数万円かかる場合も。捜索が長期に渡れば、それだけ費用も増えていきます。山に入る際は、自分の登山スタイルに合わせて山岳保険に加入しましょう!
※この記事の情報は、2021年10月20日現在のものです。内容が変更する場合もありますので、リンク先のHPで確認してください。
▼山岳遭難について学びたい人はこちらをチェック