気づいたら仲間がヘトヘト…を避けるには?グループだから得られる登山スキル|グループ登山でステップアップ【準備編】

複数人で行くグループ登山の場合、装備の考え方や歩く時のペース配分などは、ソロ登山とどう違うのでしょうか?<THE NORTH FACE>がステップアップを目指す登山者を応援するこの企画、テーマは「グループ登山」。第2回の準備編は、ガイドの渡辺佐智さんとともに、グループ登山ならではの装備や食事の準備、トラブル対処法などを考えました!

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YAMAHACK 編集部

YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。

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グループ登山だからこそ、ステップアップできる!

テント泊縦走装備のパッキング
グループ登山というとみんなで助け合える反面、スキルアップにはつながりにくいというイメージがありますよね。ところが、ガイドの渡辺佐智さんいわく、「いろんな人の視点で登山を見られるので、いい成長の機会になる」のだそう。

感動を共有できるだけじゃない、グループ登山の魅力や利点をもっと知りたい!ということで、今回のステップアップチャレンジでは、グループでのテント泊縦走を企画しました。第1回では「計画編」をお届けしましたが、第2回の今回は「準備編」です。

計画編の様子はこちら。




今回のグループ登山チャレンジに参加するメンバー。

左から、

・YAMA HACK編集部の杉浦愛実

・読者代表の吾妻梨花さん

・YAMA HACK編集長の大迫倫太郎

・THE NORTH FACEマーケティングの鰐渕航さん

 

そして、計画から準備、実際の山行までを、登山ガイドの渡辺佐智さんが全面的にサポート。

 

登山ガイド  渡辺佐智さん
登山からバックカントリーまで四季を通じて活躍し、雑誌やテレビなどにも多数出演。日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージⅡ、日本雪崩ネットワーク 雪崩業務従事者レベル2などの資格を保有。
 

計画編に続いて、持ち物の振り分けや食事内容の決め方、事前に知っておきたいグループ登山のコツや注意点などを渡辺さんから学びます!

前回、役割分担でリーダー役に決まった吾妻さんを中心に、話し合いが進みます。

グループ登山の利点は、持ち物を共有できること


グループ登山のメリットの一つは、荷物を全部自分で持たなければいけないソロ登山に比べて、仲間と道具をシェアして、分担して持てること。特にテント泊縦走の時は、テントやシュラフ、食料、調理道具など荷物が重くなりがちなので、心強いですよね。
※新型コロナウィルス感染対策では、家族やパートナー以外でのテントや調理道具の共用を避けるなど考慮が必要です。

テントや食料を振り分ければ、負担減!

写真左:マウンテンショット1 右:マウンテンショット2(ともにTHE NORTH FACE)。
1人用のテントを1人ずつ持つより、2人用を2人で分担して持つほうが断然ラク!例えば、写真のマウンテンショットの場合は1人用が約1270g、2人用は約1590g。2名用のものをフライやテントとポールなどで分担することができ、1人分の負担が減ります。
<1人用テントを持つ場合>
・インナーテント+フライシートポール+ペグ+フットプリントで各々約1270g
<2人で分け合う場合>
・インナーテント+フライシートで約930g
・ポール+ペグ+フットプリントで約660g
防寒具や寝具、行動食などの個人装備は一般的に各自で持ちますが、テントやバーナー類、食料などは共用すれば、荷物の重さやかさも減らせます。

装備が軽いと歩く時の負担が減り、結果的に安全な登山につながります。
渡辺ガイド
渡辺ガイド

テントを共用すると、お互いの体調がわかりやすい

白馬大池テント場でテント泊する登山者
特に泊まりの場合、グループ登山は「生活を共にすること」でもあります。行動中だけ一緒で別々のテント=家に帰るのではなく、同じテントで一緒に休息することで、お互いの体調を把握することができるという利点も。
吾妻
吾妻
今までグループで登山しても、テントは1人ずつ持って行ってました……!

行動中は気を張っているので不調を感じづらいけど、休息中は緊張も緩んで、体調変化に気づきやすくなります。

その時に一緒のテントであれば、仲間の様子を感じ取りやすいですよね。
渡辺ガイド
渡辺ガイド


とはいえ、昨今は新型コロナウイルス対策などで、それぞれソロテントを持っていくこともあるし、天気が悪いとそれぞれのテントで別々に食事をすることもありますよね。そういう場合は、意識して行動中にお互いの体調を見守り合うようにしましょう。

食事はサクッと派?ゆっくり楽しむ派?事前にメニューや買い出し担当を決める

食事担当表などを作って割り振っても
食事はサクッと済ませたい派と、ゆっくり楽しみたい派、好みが分かれやすいポイント。メンバーみんなで話し合って、事前にメニューや買い出し担当を決めておきましょう。今回は各日の行動時間8時間以上ありますので、食事に時間をかけすぎない方向で計画を立てます。

また、調理にも水が必要なので、ルート上やテント場に水場があるかを確認して、行動用とは別に調理用として持っていく水の量も割り出しておくこと。
前回、食事係は大迫さんとなりましたね。食事係が全体を担当してもいいし、例えば「1日目の夕飯は誰、2日目の夕飯は誰」とさらに担当を割り振ってもいいですよ!
渡辺ガイド
渡辺ガイド

どうしようか? 好きなものや食べたいもの、ある?

前に山で麻婆春雨を作って食べたのが、おいしかったな〜。
吾妻
吾妻

杉浦
杉浦
麻婆春雨、いいですね!重くないし、ごはんにも合いそう。

僕、辛すぎるとお腹が心配だから、マイルドなやつがいいな(笑)。
鰐渕
鰐渕

1日目に重い食材を消費しちゃったほうが楽だよね。パック野菜と冷凍の肉を持って行って、鍋するのはどう?


話し合いの結果、朝食・昼食は各自で用意し、1日目の夜はキューブの鍋の素を使った鍋、2日目の夜は麻婆春雨に決定!白米などの主食は各自で用意することになりました。

経験値や体力を考えて、振り分けしよう


持って行くものがはっきりしたところで、リーダーの吾妻さんを中心に、持ち物をどう割り振るかを考えます。全員が平等に同じ重さを持つ必要はなく、体力や経験値などを踏まえて、みんなが無理なく歩けるよう分担します。それを「不公平だな〜」と不満を持たずに歩ける仲間と行く、あるいは事前に前提として確認しておくことも大事なポイント。

今回は体力があり、登山経験も豊富な鰐渕さんと大迫が多めに持つことに。
吾妻
吾妻
鰐渕さん、大迫さん、よろしくお願いします!

いつもはできるだけ軽くして行くので、重めの荷物での登山はあまりないかも。でも、頑張ります〜!

鰐渕
鰐渕
きつかったら山行の途中でも助け合いましょう!


写真左:テルス45 右:グリフィン65(ともにTHE NORTH FACE)
担当する荷物の分量によってバックパックのサイズを決めます。今回は荷物を多めに持つ鰐渕さんと大迫が65L、吾妻さんと杉浦が45Lのバックパックを背負うことに。
食材の買い出しのこともあるし、最終的な調整は前泊のときにしましょうか。
渡辺ガイド
渡辺ガイド


持って行くものとその割り振りが決まったところで、次はグループ登山で知っておきたいコツや注意点を、ガイドの渡辺さんから学びます!

無口になる、汗を大量にかくなど、仲間の体調の変化にも注意を

出典:PIXTA
みんなでペースを合わせて歩くグループ登山ならではの、コツや注意点もあります。いざ登山をした時に起こりかねないトラブルとその対処法を、事前に予習しておきましょう!

気がついたら仲間がヘトヘト。そうならないためには?

出典:PIXTA
意外と難しいのが、メンバーみんなにとって速すぎず遅すぎない、一定のペースで歩くこと。速すぎても疲れてしまいますが、逆に遅すぎて行動時間が長くなりすぎると、疲労を回復する休息の時間が短くなってしまいます。
余裕を持ちすぎたスケジュールは、適切な計画とは言えません。特に泊まりの登山では、遅くてもコースタイムの1.5倍ぐらいの時間内で歩けるようにトレーニングして、体力的な準備をしておくのも大切です。
渡辺ガイド
渡辺ガイド


歩く順番の基本は、リーダーと副リーダーが先頭と最後尾、二番目にいちばん体力のない人を置きます。もちろん、途中で変えても大丈夫です。

休憩を取るタイミングも、進み具合やメンバーの体調などを見ながら、基本的にはリーダーが決めて指示します。



無口になる人がいたら、要注意。仲間の変化に気づこう

日焼けした腕に冷却シートを貼る
山行中に体調の悪くなった人がいたら、どうすればいいのでしょうか?
進退を判断するのは、ガイドでもなかなか難しいです。本人の「大丈夫です」はあてにならないことも……。
渡辺ガイド
渡辺ガイド


まずは本人と話をして体調を把握するとともに、近くの山小屋やエスケープルートの有無など今いる場所を確認。状況をみんなでシェアして話し合い、最後はリーダーが総合的に判断します。とはいえ、リーダーが一人で背負い込む必要はなく、登山経験値がある人がいればフォローしてもらいましょう!

また、ペースが遅れる、大量に汗をかいているなど、明らかに体調が悪そうであればわかりやすいですが、体調不良の前兆に気づくにはどんなところを見ればいいのでしょうか?
いっぱいいっぱいの人はだいたい無口になります(笑)。もちろん、ハードなところはみんな無口になるけど、それほどきついところではないのに無口な人は、ちょっと体調が悪いのかな? と注意して見てあげるといいと思いますよ。
渡辺ガイド
渡辺ガイド

全員が地図をコンパスを持ち、役割をもつことで「任せきり」を防止

天狗原(てんぐっぱら)の木道を歩く登山者
途中で天気が悪くなってしまうのも、よくあるトラブルの一つ。この場合も、今の状況をみんなでシェアして話し合い、リーダーが総合的に判断するのが基本です。

トラブルを未然に防ぐためには、全員がリーダー任せにならず、自己責任の気持ちを持つこと。特に登山経験値の少ない人は、グループ登山だと「連れて行ってもらっている」感覚になりがちなので、経験値のある人が声かけをするようにしましょう。
その第一歩としては全員が地図とコンパスを持ち、現在地を把握しながら進むこと。それと、全員に何かしらの役割を分担することですね!
渡辺ガイド
渡辺ガイド

吾妻
吾妻
リーダーの役割を考えるとなんか緊張してきましたが、皆さんにも助けてもらいます!

リーダー役は、経験値が一番高い人でなくてもいい

蓮華鉱山道分岐
登山経験が一番豊富な人がリーダーになれば判断は早いですが、他の人たちがリーダーに頼りきりになってしまいがち。グループで経験値が2〜3番目くらいの人がリーダーになることで、他の人たちのフォロワーシップが発揮されて、グループとしてうまくいく場合もあります。

また、グループ登山での他のメンバーの山の見方や考え方は、ソロ登山にも生かせるはず!

判断の練習ができるリーダー役。仲間に説明することで、知識がより明確に


登山は多くの情報を総合して判断する機会が多く、リーダーの役割を担うことで、その「判断の練習」ができます。さらに、「なぜ、そういう判断をしたか」を言語化してメンバーに説明することで、今まで曖昧だった知識や情報がクリアになります。

プレッシャーもあるけれど、登山のスキルアップにつながるのがリーダー役。グループ登山の機会があれば、ぜひリーダーにチャレンジしてみましょう!
下山後は、記録係の記録をもとに、みんなで振り返りをすると、次の登山に生かしやすいですよ。
渡辺ガイド
渡辺ガイド

吾妻
吾妻
リーダー役、がんばります!

いよいよ、グループ登山で飯豊山へ!力合わせて行ってきます!


計画と準備の打ち合わせはバッチリ! 細かい疑問点などはメッセージアプリのグループ機能を使って詰めることに。

次回はいざ、飯豊山へ!「実践編」として、実際に2泊3日テント泊縦走をする中で学んだグループ登山のポイントを、山行レポートとしてお届けします。

計画編はこちら!


今までの「テント泊縦走」や「雪山登山」のステップアップ企画はこちら!


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