トリカブト 3つの特徴
生息地は全国の山林
トリカブトは種類によって北海道に生息するもの、本州に生息するものなど様々です。山林によく生えている多年草で、木の陰や、高地の草原、沢筋などの湿気の多い場所に生えやすいです。
花の色は紫、黄色や白も
8月から10月にかけて花を咲かせるトリカブト。紫が一般的ですが、種類によっては黄色や白色もあります。茎も様々で、直立、斜め、つる状のものがあります。
猛毒のトリカブト 半数致死量(LD50)は0.2~1グラム
特に根の部分の毒性が強いとされるトリカブトですが、全体に毒があり、葉の部分でも1グラムで致死量に至ると言われます。時期や場所、また種類により毒の強さが異なりますが、いずれも口にすることは危険です。
トリカブトによる症状4段階
1.口唇や舌のしびれ・手足のしびれ
食後10~20分後くらいにしびれの症状がで始めます。最初は口元ですが、徐々に手足に広がります。
2.嘔吐・腹痛・言語不明瞭
しびれから嘔吐や腹痛がおきたりなどと症状が悪化してきます。水や牛乳を大量に飲んで毒の吸収を遅らせる必要があります。
3.チアノーゼ・瞳孔散大、体温低下・不整脈
有効な解毒剤がないため、このような状態になる前にすぐに病院で胃洗浄や下剤を飲み毒を外に出す必要があります。
4.呼吸麻痺・心室細動・心停止
摂取した毒の量により即効性がある場合もあり、死に至ることもあります。
間違えやすい野草2種
トリカブトの葉と似ている葉をもつ植物として、モミジガサとニリンソウがあります。どちらも誤食での事故も発生しています。見分け方を確認して、十分注意しましょう!
「モミジガサ」は葉の特徴で判断
モミジガサの芽生えには、葉の表面に細かい毛が生えていますが、ヤマトリカブトの葉は無毛。また、モミジガサとテバコモミジガサの葉は掌状で、基部まで切れ込みません。ヤマトリカブトの葉は、5角形状で、3または5に深く裂けます。ただし、トリカブトの仲間には、葉が深く裂けないものもあるため注意しましょう。
「ニリンソウ」は根と花で判断
ニリンソウには春先に小さな白い花がついていますが、花がついていない葉はトリカブトによく似ています。根を見ると違いが更にはっきりします。ニリンソウの場合棒状の根茎、トリカブトの塊根は紡錘形で、髭根の先には丸いものが付いています。
・春先、ニリンソウは白い花を付けますが、ヤマトリカブトは秋に紫色の花を付けます。(初心者は白い花を確認して摘みましょう。)
・ニリンソウでは茎はほとんど立ち上がりませんが、ヤマトリカブトでは成長するにつれ茎が立ち上がり、1mに達します。
・地下部をみると、ニリンソウの根茎は横に這っていますが、ヤマトリカブトは紡錘形の塊根があります。
トリカブトに注意!
春先のトリカブトはヨモギやセリなど、人気のある野草にとても似ているため、安易に採取しないようにしましょう!わからない場合には、なるべく手を出さず危険を回避する事も重要です。自然と触れ合う事が多くなるこれからの季節、知識として頭の中にいれておきましょう!
【記事監修】
東京農業大学 教授 橋本氏