どうせなら熟睡したいから! 極寒でも安心の“厳冬期雪山用シュラフ”4モデル

2022/02/04 更新

“キン”と張りつめた冷たい空気に、真っ白な眩しい雪と青い空。夏山から様変わりした冬の山に一度訪れると、雪の季節が待ち遠しくなってきますよね! ひとたび雪山の虜になると、次はテント泊に挑戦してみたくなるのでは? とはいえ、厳冬期のテント泊は寒さとの闘い。快適に過ごすためにもシュラフ選びは重要です。そこで今回は、極寒の中でも温かく熟睡できるシュラフをピックアップしました!

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ane46

今は年間通して岩場へ繰り出すリードクライマー。 2013年両股関節の手術から、2014年にスポーツ復帰。同年に登山を始めて8年経ち、2015年よりフリークライミングも始めました。冬はアイス、夏は沢登り、山菜や木の実摘みなど、季節感あふれる山行も楽しんでいます。子供も自立した今、自分らしい暮らしをする日々を送っています。 好きな山域:北アルプス、南八ヶ岳、地元の低山なども。

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アイキャッチ画像出典:PIXTA

厳冬期の八ヶ岳・赤岳鉱泉で快適に眠れるシュラフは?

石井山専の寝袋売り場
撮影:YAMA HACK編集部
自分のお城で山を満喫できるテント泊。「厳冬期のテント泊も挑戦したいけど、夏用・3シーズン用のシュラフしかない」という人も多いのではないでしょうか。

寒い中でも快適な眠りにつくために、厳冬期用のシュラフを準備しておきたいところ。とはいえ、どんなシュラフを選んだらいいのか悩んでしまいますよね。

赤岳鉱泉
撮影:YAMA HACK編集部(赤岳鉱泉アイスキャンディー)
そこで今回は、冬に訪れる人も多い赤岳鉱泉(通年営業)でのテント泊を想定し、厳冬期用のシュラフ選びに着目。

赤岳鉱泉は標高2,215mに位置し、1月から3月の最低気温は-10℃から-17℃(参考:ヤマレコ。この時期に使うシュラフ選びで気をつけることは、どんな点でしょうか?


①「快適温度」と「下限温度」に注目

赤岳鉱泉の画像
撮影:ane46(赤岳鉱泉)
シュラフを選ぶ際に目安となるのが、EU諸国で定められたシュラフの温度に関する表示規格『EN(ヨーロピアン・ノーム)13537』。快適に使用できる気温帯を下記3つの領域で表示しています。
■快適温度(コンフォート)
一般的な成人女性が、寒さで丸くなることなく快適に眠れる温度域
■下限温度(リミット)
一般的な成人男性が、シュラフの中で丸くなりながらも快適に眠れる温度域
■極限温度(エクストリーム)
寒さに対する耐性と代謝の低い成人女性が、シュラフの中で膝を抱えるほど丸くなった体勢のまま6時間耐えられる温度域
女性は「快適温度」、男性は「下限温度」を参考に。ただし、温度表示はあくまで目安であり、体感温度には個人差がありますので、寒がりの人は余裕を持った温度帯を選ぶのがベターです。

また、すべてのメーカーが「EN13537」に基づいた温度表示を採用しているわけではなく、独自テストでの温度表示をしているメーカーもあります。

その際は、「最低使用温度」「参考使用温度」「使用可能温度」などと表記されている温度を参考に、使用したい環境に合わせて選びましょう。

②厳冬期はダウンが最適!

ダウンボールの画像 出典:PIXTA
ダウンのシュラフが厳冬期に最適な理由を知る前に、ダウンと化繊のメリットとデメリットを見てみましょう。
■ダウン
メリット:耐久性があり軽くてコンパクトな収納サイズになる。
デメリット:水濡れに弱い。化繊よりも価格が高め。
■化繊
メリット:化繊は濡れても温かく乾きやすい。ダウンよりも価格が抑えられる。
デメリット:ダウンよりも重く、収納サイズも大きめ。
ダウンと化繊のそれぞれ特徴がありますが、厳冬期の雪山テント泊は、アイゼンやスノーシュー、保温着など3シーズンより荷物量が重く、収納スペースもかさ張りやすくなります。

ラッセルで体力を奪われることも多い雪山登山で、その重さとかさ張りを少しでも克服するためには、軽くてコンパクトなダウンのシュラフがおすすめ。

また、ダウンのかさ高性を表すFP(フィルパワー)は、同じFPでもダウン量により下限温度が変わるため、ダウンシュラフを選ぶ際は、保温対策が施されている機能を比較して吟味することも大切です。

③ウェアや装備のレイヤリングも外せない

サーマレスト ネオエアー Xサーモ ベイパー R値5.7の画像
出典:amazon
シュラフ以外の寝具も、保温力を向上させるために重要な装備です。シュラフ”内”のウェアのレイヤリングと、シュラフ”外”の装備に分けて、保温性を高めるためのポイントを紹介します。
■ウェアのレイヤリング
シュラフの中は暖かくても、テント内は外気温より少し暖かい程度。シュラフのドローコードを締めても、寝ているうちに緩んで冷気が入り込み、肩回りが寒くなることもあります。ダウンジャケットやフリース、ダウンパンツやテントブーツを着用して、シュラフ内の防寒対策をしましょう。
 
シュラフシーツをプラスしたり、ダウンブランケットを肩回りや足元に入れるのも1つの案です。
 
靴下の重ね履きをする時には、締め付けの強い靴下には要注意。保温性を高めるどころか圧迫による冷えを招く可能性があるため、締め付けすぎない靴下で重ね履きをしましょう。
■装備
テント内の結露でシュラフが濡れたりスリーピングパッドの保温性が低いと、ウェアのレイヤリングでシュラフ内の保温性を確保しても体が冷えてしまいます。
 
シュラフ外の装備では、シュラフの防水対策のためにシュラフカバーを、スリーピングパッドは保温性の高い厳冬期用を使用するのが賢明です。
▼シュラフカバーやスリーピングパッドはこちら
    「最低使用温度」「参考使用温度」「使用可能温度」

    ここからは厳冬期の赤岳鉱泉で使用できるシュラフを、人気4メーカーより1モデルずつ紹介します。

    前述の通り、メーカーによって温度の表記方法は異なりますが、各メーカーの「下限温度」または「最低使用温度」を参考に選出しました。


    【モンベル】極上の暖かさと寝心地を「シームレス ダウンハガー800 EXP.」

    モンベル シームレス ダウンハガー800 EXP.
    提供:モンベル
    「シームレス ダウンハガー800 EXP.」は、使用可能温度は-20℃で快適温度は-13℃。表地は撥水加工を施した10デニールの生地、内側は伸縮性の高い「スパイラルストレッチ™システム」を採用しているため、就寝時の体の動きに優しくフィットします。

    ここがポイント! 「スパイダーバッフルシステム」でダウン本来の温かさを

    モンベル スパイダーバッフルシステム
    スパイダーバッフルシステムは、シュラフ内部の高品質なEXダウンが封入されている気室の隔壁(仕切り)を排除して、ダウン本来の温かさを最大限に引き出したシステムです。この新発想は世界初!
     

    【モンベル】シームレス ダウンハガー800 EXP.
    【使用可能温度/快適温度】-20℃/-12℃
    【素材】生地:10デニール・バリスティック エアライト®ナイロン・タフタ(撥水加工)
    【重量】1,327g(スタッフバッグを含む総重量は1,364g)
    【収納サイズ】φ20×40cm(11.1L)
    【カラー】オレンジ(PRSI)
    【ダウン】800FP EXダウン(ダウン量記載なし)
    【その他】長期保管用の専用ストリージバッグが付属
    【価格】¥72,600(税込)

     

    モンベル シームレス ダウンハガー800 EXP.
     

    【イスカ】エアシリーズの後継モデル「エアプラス 810」

    イスカ エアプラス810
    出典:amazon
    次にご紹介するイスカの「エアプラス 810」は、最低使用温度は-25℃、厳冬期の八ヶ岳から3,000級の山域で使えるモデル。エアプラスシリーズはベストセラーモデルのエアシリーズの後継品で、濡れに対して優れた耐久性のある最高品質のホワイトグースダウンを使用しています。

    ここがポイント! 高品質グースダウンの魅力

    エアプラス 810ダウンプラスデナリ 900
    最低使用温度-25℃-25℃
    素材表・裏/ナイロン100%表・裏/ポリエステル100%
    平均重量1,280g1,600g
    収納サイズφ21×37cmφ22×38cm
    カラーパープルブリック
    ダウン800FP ホワイトグースダウン810g
    (ダウン90%/フェザー10%)
    720FP ホワイトダックダウン900g
    (ダウン90%/フェザー10%)
    その他
    価格¥69,300(税込)¥42,900(税込)
     
    現在イスカのシュラフで厳冬期用は5つで、下限温度が-25℃のシュラフは3つ。さらにその中で、安価な「ダウンプラスデナリ 900」と価格が高めの「エアプラス 810」は、収納サイズがほぼ同じでも平均重量は320gの差。
     
    リンゴ1個分の重量差があっても保温力に優れているのは、ダックダウンよりダウンボールの大きい高品質のグースダウンだからこそですね。


    【タケモ】丹念に作り込まれた「スリーピングバッグ 9」

    タケモ スリーピングバッグ 9 出典:amazon
    2015年7月に設立されたタケモは、『本物と呼べる良いものをより安く』をコンセプトに、国内登山寝具メーカーに30年勤めた設立者の経験を注ぎ込んだシュラフメーカーです。

    「スリーピングバッグ 9」は最低使用温度-25℃で、750FPのダウンが900g。モンベルと同じく、ストリージバッグ(保管用バッグ)が付属しています。

    ここがポイント! メーカーの対応もシュラフの暖かさも高評

    タケモ スリーピングバッグ 9の足元
    出典:amazon
    タケモのシュラフは「とにかく足元が暖かい!お店の対応も最高」と、評価が高い口コミがほとんどです。保温力はもちろんのこと個人事業のタケモの温かさは、価格以上の名シュラフ!
     

    【タケモ】スリーピングバッグ 9
    【最低使用温度】-25℃
    【素材】ポリエステル100%
    【重量】約1,440g
    【収納サイズ】φ22X39cm
    【カラー】オリーブ
    【ダウン】750FP ホワイトダックダウン900g(ダウン90%/フェザー10%)
    【その他】長期保管用の専用ストリージバッグLサイズが付属
    【価格】¥41,800(税込)

    ITEM
    タケモ|スリーピングバッグ 9


    【ナンガ】永久保証で水濡れリスク軽減!「UDD BAG 810DX」

    ナンガ UDD バッグ 810DX 最後に紹介するのは、下限温度-13℃のナンガの「UDD BAG 810DX」です。

    ダウンそのものに超撥水加工が施され、厳冬期使用でも水濡れなどによる保温力低下の心配がありません。軽くてコンパクト、パッキングにも差が出ます!

    ここがポイント! ダウンのデメリットが解決するUDD(ウルトラドライダウン)

    ナンガ UDD BAG 810DX
    高品質の770FPのDX(スパニッシュダックダウン)の羽毛に、”湿気を通すが、水を吸わない”超撥水加工を施した高機能なUDD(ウルトラドライダウン)。狭いテント内にシュラフが触れても、生地とダウンの撥水加工で二重の安心! シュラフ内部のこもった蒸れも防いで、ぐっすり眠れます。
     
    またシュラフが汚れた時の洗濯や乾燥がしやすくなるなどメンテナンスもしやすくなり、末永く愛用できます。
     

    【ナンガ】UDD BAG 810DX
    【快適使用温度/下限温度】-7℃/-13℃
    【素材】15dnナイロンシレ撥水加工
    【重量】約1,260g
    【収納サイズ】φ19X31cm
    【カラー】イエロー、レッド、ブルー
    【ダウン】770FP スパニッシュダックダウン810g(ダウン90%/フェザー10%)超撥水加工
    【その他】ショルダーウォーマー
    【価格】¥63,800(税込)



    スペックを一覧でチェック!

    紹介したシュラフ4点の一覧 出典:[左]モンベル[中左]amazon[中右]amazon[右]楽天市場/アルペン(画像クリックで拡大)

    厳冬期の雪山用シュラフはじっくり選ぼう

    雪山用シュラフ寝袋
    撮影:YAMA HACK編集部
    冬季・厳冬期用のシュラフは、生地に水濡れ防止対策、首元やジッパー部分からの冷気侵入を防止するためのショルダーウォーマーやドラフトチューブなど、登山者が暖かく快適に睡眠をとるための様々な工夫がされています。

    個人の体力や経験、山域の天気などによりシュラフの体感温度は変化するため、色々なシュラフを手に取って確認してみましょう!


    紹介されたアイテム

    イスカ|エアプラス 810
    タケモ|スリーピングバッグ 9
    ナンガ|UDD BAG 810DX

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