カムイエクウチカウシ山|日本二百名山最難関!? 険しくも美しいパノラマコース紹介

2019/10/25 更新

避難小屋や整備された登山道がなく、山頂までの道のりも長いカムイエクウチカウシ山は、多くの登山者が日本二百名山最後の目標に設定している上級者向けの山です。今回はメインルートである八ノ沢コースの情報や登山時の注意点、アクセス情報など、カムイエクウチカウシ山の魅力について詳しく紹介します。

令和元年7月11日、7月29日にカムイエクウチカウシ山の登山道で登山者がヒグマに襲われる人身事故が発生。北海道、北海道森林管理局、北海道警察、中札内村によるカムイエクウチカウシ山への登山自粛を要請しています。中札内村ホームページ


アイキャッチ画像提供:ヤマレコ/furuhiro

カムイエクウチカウシ山ってどんな山?

提供:ヤマレコ/furuhiro
標高所在地体力レベル難易度レベル
1,979m北海道日高郡新ひだか町・ 河西郡中札内村★★★★★★★★★★
凡例はこちらをクリック
北海道日高郡新ひだか町と河西郡中札内村にまたがるカムイエクウチカウシ山。幌尻岳に次ぐ日高山脈第二の高峰で、「カムエク」の愛称でも親しまれてきました。沢に始まり、雪渓やカール、山頂付近の花畑など、めまぐるしく変わる景色を楽しむことができる日本二百名山の一座。一方で、アイヌ語で「熊の転げ落ちる山」を意味する名前通り、難易度が高いことでも知られています。

多くの登山者が目標とする日本二百名山最難の山

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整備された登山道がなく、難所が多いことが大きな特徴のカムイエクウチカウシ山。繰り返し沢を渡渉したり、藪漕ぎや急登をこなしたりする必要があるなど、山頂までの道のりは非常に険しく、滑落による事故も数多く発生しています。また、ヒグマと遭遇する可能性もあるため、気を抜けない山行となります。難易度が高いことから、日本二百名山の最後に挑戦する登山者も多いようです。

日高山脈を一望のもとに見渡せる大パノラマ

出典:PIXTA
上級者向けの山ですが、その分、登り切ったあとの達成感は、山頂の絶景と相まって格別。天候に恵まれれば、すぐそばにそびえるピラミッド峰のほか、札内岳や幌尻岳、1839峰、ペテガリ岳など、日高山脈の名峰を見渡すことのできる大パノラマが眼前に広がります。

カムイエクウチカウシ山の適期は?

出典:PIXTA
避難小屋もなく、9月中旬以降は雪に閉ざされるカムイエクウチカウシ山。7月下旬~9月初旬が登山適期となりますが、7月下旬でも雪が残っている場所があるため、注意が必要です。また、渡渉箇所は、増水すると危険な場合もあります。必ず現地の天気や河川の状況を事前に確認しておきましょう。

天気も必ずチェック

【1泊2日】八ノ沢コース

コースマップ
出典:YAMAP
【体力レベル】★★★★★
1泊2日
コース距離:約18km
コースタイム(参考):約13時間
参考:ヤマプラ
【技術的難易度】★★★★★
・岩場、雪渓を長時間継続して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術に加え、撤退などの判断能力ができる
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
カムイエクウチカウシ山を登るにあたって、メジャーなルートとなるのがこの「八ノ沢コース」です。メジャーとはいえ、決してやさしいルートではありません。十分な準備をしたうえで入山するようにしましょう。

1日目:札内川ヒュッテ~八ノ沢出合

提供:ヤマレコ/bun33
車が入れるのは札内川ヒュッテまで。ここから七ノ沢出合まで7kmほど林道を歩きますが、1泊2日で走破する場合は、自転車を用意するとアプローチが楽になります。車両通行止になっているトンネルからスタートです。

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トンネル出口からしばらく歩き続け、林道を離れると七の沢出合に到着。自転車を利用した場合は、ここでデポします。

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ここから本格的な登山開始。浅く渡りやすい箇所を見極めて沢を渡渉し、巻道も使いながら、上流の八ノ沢出合を目指します。

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テント場となる八ノ沢出合に到着したら、濡れた装備を乾かしつつ、翌日のアタックに備えて体を休めましょう。

2日目:八ノ沢出合~カムイエクウチカウシ山~札内川ヒュッテ

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八ノ沢出合から、沢を渡渉しながら三股へ。三股には、雪渓が残っている場合もあります。軽アイゼンなどを使用して雪の上を歩くこともできますが、崩落の危険があるため、慎重にルートを見極めましょう。

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三股から八ノ沢カールまでは急登が連続します。ロープ場では、足場をしっかりと確認しながら登りましょう。滝のそばを通過する際は、足場が濡れていることもあるので、滑らないように要注意です。

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八ノ沢カールには、熊に襲われて亡くなった福岡大学の学生たちを偲ぶレリーフがあります。1970年に起こったこの事件以降、ヒグマの習性が広く認知されるようになりました。
ここには湧き水もあるので、水を補給しておきましょう。

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次第に近づく山頂を眺めながら、カールから稜線へと向かいます。

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支峰であるピラミッド峰を背にして稜線を歩きます。ハイマツが行く手を阻みますが、踏み跡をたどりながら山頂を目指しましょう。

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最後は花畑の中を歩いて山頂へ。チシマフウロやウコンウツギなどのかわいらしい花が出迎えてくれます。

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三角点のある頂上に到着。頂上からの眺めはまさに絶景で、日高山脈の山々をぐるっと見渡すことができます。

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壮大な景色を十分に楽しんだら、登りと同じ道をたどって下山しましょう。慎重を期すのであれば、八ノ沢出合でもう1泊する2泊3日の登山日程をおすすめします。

必ず事前に確認を! カムイエクウチカウシ山登山での注意点

カムイエクウチカウシ山に足を踏み入れるにあたり、注意するべきことをご紹介します。これらが登山の難易度を上げている要素でもあるため、必ず事前に対策を立てておくようにしましょう。

ヒグマ

出典:PIXTA
カムイエクウチカウシ山はヒグマの生息地であり、登山者からの目撃情報も数多く寄せられています。過去には痛ましい事件も起こっているので、熊鈴やホイッスルを持参するなど、必ず対策をしましょう。

マダニ・ブヨなど

出典:PIXTA
山中にはマダニやブヨなどが多いため、肌の露出をできるだけ抑えた服装で臨みましょう。休憩時や下山後には服や装備をよく確認し、刺される前に取り払います。マダニは感染症を媒介する恐れもあるため、皮膚に喰い込んで取れなければ、無理に引きはがさずに皮膚科を受診してください。

増水時の渡渉

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ルート上には渡渉ポイントがあります。水量が落ち着いていれば、登山靴で渡れる場合もありますが、できれば沢靴など渡渉用の靴を準備しましょう。増水時は無理をせず、危険だと思ったら引き返すようにしてください。

不明瞭な登山道

提供:ヤマレコ/bun33
カムイエクウチカウシ山には、ハイマツ帯や渡渉ポイントなど、適切なルートがわかりにくい場所も数多く存在します。そうした箇所を事前にチェックしておくとともに、いつでも現在位置の確認ができるよう、必ず地図やGPSアプリなどで対策を!

下山後に立ち寄りたい周辺情報

下山後の楽しみに最適な、周辺の立ち寄りスポットをご紹介します。入山前に準備を整える場所としても利用可能です。

道の駅なかさつない

地元の食材を使ったレストランや特産物の販売コーナーのほか、開拓資料館と豆資料館を敷地内に併設する道の駅。付近一帯が芝生公園となっていて、天気のよい日には外でのんびりとくつろぐことができます。

住所:中札内村大通南7丁目14
電話番号:0155‐67‐2811
営業時間:4~10月 9:00~18:00/11~3月 9:00~17:00
定休日:4~11月 無休/12~3月 月曜日・年末年始(12月30日~1月5日)

道の駅なかさつない

福祉の里温泉

広々とした浴場と休憩スペースが人気の温泉です。泉質は、筋肉痛や関節痛などにも効用のあるナトリウム塩化物泉。疲れ切った体をゆっくりと癒しましょう。

住所:更別村字更別190番地1(老人保健福祉センター内)
電話番号:0155-53-3500
営業時間:13:00~22:00(受付は21:00まで)
定休日:毎週月曜日
料金:大人400円/中学生200円/小学生100円

福祉の里温泉

アクセス・駐車場情報

登山の起点となる札内川ヒュッテへは、車でのアクセスのみ。車はヒュッテ前の駐車場に止めることができます。

札内川ヒュッテ


住所:中札内村南札内
電話番号:0155-67-2495
開館時期:4月下旬~11月上旬
使用料:無料

日本二百名山の締めくくりに! 険しい道の先にある山頂へ

提供:ヤマレコ/furuhiro
日本二百名山の中でも最難関レベルとされ、気軽に挑戦できる山ではありませんが、山頂付近には北海道ならではの雄大な景色が広がり、登頂時の喜びは格別なものになるでしょう。日本二百名山の締めくくりとして相応しいカムイエクウチカウシ山。十分な経験を積んだのち、万全の準備を整えたうえで挑戦を!

【登山時の注意点】
・登山時にはしっかりと装備を整え、充分なトレーニングをしたうえで入山してください(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など)。
・登山路は複数あり、分岐も多くあるので、地図・コンパスは必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合った無理のない計画で登山を楽しんでください。

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TaK
TaK

編集・ライター業の傍ら、クライミングジムに勤務するアラフォークライマー。長年にわたり、体脂肪率5%以下をキープし続けているが、おそらくは遺伝によるもの。燃費が悪く、すぐにお腹が空きます。

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