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モンベルが意外な【新商品】を発売!クレイジーな仕掛け人に聞く、新しすぎる登山の楽しみ方(2ページ目)

仕事への向き合い方を変えてくれた山の魅力

仕事への向き合い方を変えてくれた山

撮影:YAMAHACK編集部(今日もめがね姿でイケメンの青栁さん)

今回お話を伺った製硯師(せいけんし)の青栁貴史さんは、昭和14年から浅草で続く書道用具専門店「宝研堂」の4代目。さらに日本で唯一の製硯師として、硯(すずり)の製作や修理はもちろん、日本や中国の山々での採石調査、文化財の復元や執筆活動など、実に幅広い活動をされています。

今では情熱大陸やクレイジージャーニーなどのTVをはじめ、様々なメディアも引っ張りだこの青栁さん。モンベルとコラボし野筆セットを作った経緯から製硯師という立場から見る山の魅力、さらに青栁さん自身の事について語っていただきました。

YAMAHACK青柳
本日はよろしくお願いします。あおやぎたかしです!またお会いできて嬉しいです。

製硯師
青栁さん
こちらこそ、またお会いできて嬉しいです。同姓同名の方にお会いしたの初めてなので、ぜひ色々話したいと思っていたんです!

YAMAHACK青柳
(やっぱりイケメン過ぎて緊張…)
今日はモンベルさんと一緒に作られた「野筆セット」については伺いたいのはもちろんですが、青栁さん自身について丸裸にしていきたいと思います。

「岩が好き」山に入るきっかけはただそれだけ

岩が好き

撮影:YAMAHACK編集部

YAMAHACK青柳
早速ですが、今回コラボされたのが「モンベル」という事で、毛筆とは一切関係ないアウトドアメーカーですよね。青栁さん自身、山に登られてたんですか?

製硯師
青栁さん
そうですね、本格的に山に入るようになったのは20歳くらいですかね。「ミッション・インポッシブル2」の冒頭のクライミングシーンに憧れて、「登山」というよりは外岩が好きでよく登っていました。その時もうすでに仕事で山には入ってましたしね。

YAMAHACK青柳
”仕事で山に入っていた”というのは、硯に使う石を探しに行っていたんですか?

製硯師
青栁さん
んー…その時期はまだ探しに行ってはいなかったんですけど、岩に触れたくなっちゃうんです。(笑)”岩に触れるためだけに”当時は通ってましたね。

YAMAHACK青柳
触れるために…。(苦笑)

YAMAHACK青柳
(……青栁さんって、やばい人…?)

岩に触れたい思いで山に入ってしまう青柳さん

撮影:YAMAHACK編集部

製硯師
青栁さん
ただ、怪我が多かったので…社員に「行かないでくれ!」ってお願いされちゃったんですよね(笑)。

YAMAHACK青柳
そんなに大怪我しちゃったんですか?

製硯師
青栁さん
そう、上顎の一部を砕いてしまい…。僕の前歯の半分は義歯です(笑)。

YAMAHACK青柳
顎……(絶句)

製硯師
青栁さん
その後さらに大病を患ってしまった事もあり、「体」との向き合い方も変わりました。「山=スピード!走る!」という山の楽しみ方も、「山を静かに歩く。楽しむ」という楽しみ方に変わっていったんです。

YAMAHACK青柳
さすがに無理はしなくなったんですね。良かった…。

製硯師
青栁さん
その頃くらいからですかね、だんだん見え方が変わってきたんですよね。硯はもちろん、人生に対しての向き合い方も変わってきた気がします。

病気と向き合う事で変わった「技術屋」から「継承者」へ

技術屋」から「継承者へ

撮影:YAMAHACK編集部

硯を作るための石を探しに、日本はもちろん、中国まで行くことも。その過程で山に入り、様々な経験をする中、「仕事」や「人生」に対する考え方が変わってきたという青栁さん。

製硯師
青栁さん
石を探しに日本や中国の山に行くと、現地の山を散策しながら色々な人と接したり、特産物を色々食べたりしますよね。石を探しながら本当に様々な文化交流があるんですよね。

YAMAHACK青柳
確かに、たくさんの人との出会いがありますね。

製硯師
青栁さん
そうなんです。その交流を重ねていくと、これが”人を育てる”というんですかね。”毛筆のための道具”だと思っていたものが、単なる道具には見えなくなってきたんです。

青柳さんのオフィスにある筆

撮影:YAMAHACK編集部

製硯師
青栁さん
毛筆はアジア圏最古の筆記用具で、2千年もの歴史があるんですよね。その時代時代の人が、それぞれの想いを持つ人が山に入って、石を削って硯を作って…。その歴史を守り続けてきたんだな、と。
私達が話す「日本語」も筆記用具から派生しているので、今話している言葉を育んでくれたのは間違いなく「毛筆文化」なんです。

YAMAHACK青柳
2千年もの歴史…。

製硯師
青栁さん
私達の仕事は”技術屋”ではなくDNAを受け継ぐ”継承者”という想いにどんどん変わっていきましたね。最近毛筆って聞くと緊張する人が多いみたいなのですが、実は「誰でも気軽に使っていい道具」なんですよ。

山も毛筆も”気軽”に!そんな想いから始まった野筆セット

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