日帰りは可能?丹沢の最高峰「蛭ヶ岳(ひるがたけ)」
標高 | 所在地 | 最高気温(8月) | 最低気温(8月) |
---|---|---|---|
1672.7m | 神奈川県 | 19.2℃ | 12.8℃ |
都心からのアクセスも良く、神奈川県の人気の登山スポットである丹沢エリア。いくつものピークが連なり、様々なレベルの登山コースがあるので、初心者から上級者まで一年を通じて多くの登山者で賑わいます。そんな丹沢エリア主稜線のほぼ中央に位置するのが、神奈川県の最高峰でもある蛭ヶ岳(標高1,673m)。丹沢エリアの中でも上級者に人気の山です。
神奈川県最高峰から眺める関東平野
晴れた日には関東平野の街並みはもちろん、富士山・南アルプス・八ヶ岳といった周囲の山々を間近に望むことができ、「神奈川県最高峰」のならではの展望が楽しめます。
バリエーション豊富な登山ルート
丹沢エリアの最大の特徴は、他の山域に比べて登山コースが多いこと。各登山口までの交通の便もよく、時間とレベルに応じた計画を立てられることができます。
なかでも蛭ヶ岳は、丹沢エリアのほぼ中央に位置するので、長距離縦走など様々な計画ができるのも魅力のひとつです。
日帰り登山は可能?
蛭ヶ岳の山頂までは最短ルートを選んだ場合でも、往復約20km、コースタイム約10時間と非常に時間がかかります。
体力に自信のある方でしたら日帰りも可能ですが、十分なトレーニングと早朝の出発は必須です。コースによっては、途中に山荘もあるのでご自身の体力と相談して無理のない計画を立ててください。
蛭ヶ岳の登山適期は?
丹沢の山々は、毎年4月から5月にかけて山開きが行われます。秋シーズンには紅葉も楽しめるのでおすすめ。
積雪期にはアイゼンが必要になり、3月までは雪が残っていることが多いので、十分に注意してください。
てんきとくらす|蛭ヶ岳
※登山指数を参考に、天気予報や天気概況などの情報も検討したうえで登山計画を立てましょう
人気の表丹沢を巡るコース|大倉登山口起点
最高点の標高: 1645 m
最低点の標高: 290 m
累積標高(上り): 3576 m
累積標高(下り): -3576 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:12時間30分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
【2日目】蛭ヶ岳(100分)→丹沢山(80分)→塔ノ岳(65分)→小草平(75分)→大倉
丹沢で最もメジャーな表尾根を通るロングコース。蛭ヶ岳に加えて、塔ノ岳や丹沢山といった表丹沢の主峰や、それらをつなぐ稜線からの景色も楽しめる、ちょっと欲張りなコースです。
丹沢登山の玄関口「大倉」は、毎日多くの登山者が利用するので交通の便もよく、施設も充実しています。登山届の提出とトイレを済ませたら出発です。
まずは大倉尾根を進んで塔ノ岳を目指します。最初は歩きやすい登山道ですが、この大倉尾根は急登が続くことで有名で「バカ尾根」と呼ばれるほど!
徐々に木段や岩の多い登山道になってきますので、ゆっくりと進みましょう。
バカ尾根を登りきると、最初の山頂、塔ノ岳に到着です!山頂は広く、周囲の山々を眺めながら休憩を取ったら次は丹沢山を目指します。
丹沢山の山頂までは、小刻みにアップダウンが続きます。時折、視界が開けるところがあるので景色を楽しみながら進みましょう!
蛭ヶ岳までもアップダウンが続きます。途中の「鬼ヶ岩」周辺は岩場ですので、滑落には十分に注意しましょう。
ついに蛭ヶ岳山頂に到着です!目の前には富士山、360度遮るもののないパノラマです。目の前の景色を眺めていると、疲れも吹き飛びます。
山頂にある蛭ヶ岳山荘で1泊。丹沢の中心で過ごす時間を楽しみつつ、翌日の長い下りに備えてしっかり休みましょう。
大倉登山口へのアクセス
■クルマの場合
東名道「秦野中井」ICー国道246号ー県道706号ー秦野戸川公園
駐車は秦野戸川公園内に、大倉駐車場/水無川駐車場/諏訪丸駐車場の合計3か所あります
■公共交通機関の場合
小田急小田原線「渋沢駅」より神奈川中央交通バス「大倉」行きで約15分、終点「大倉」下車。
神奈川中央交通|バス時刻表
静かな西丹沢を満喫するコース|ビジターセンター起点
最高点の標高: 1645 m
最低点の標高: 548 m
累積標高(上り): 2988 m
累積標高(下り): -2988 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:12時間35分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
【2日目】蛭ヶ岳(70分)→臼ヶ岳(130分)→檜洞丸(60分)→展望園地(80分)→西丹沢ビジターセンター
西丹沢は表丹沢と比べると、最寄り駅から離れていることもあって、登山者が少ない傾向。静かな山歩きを楽しみたい人におすすめのコースです。
西丹沢ビジターセンターではざまざまな情報を確認することが可能。ここで登山届を提出して、トイレを済ませたら登山開始です。
登山口をスタートしたら、まずはツツジ新道を進んで檜洞丸へ。途中のゴーラ沢では渡渉ポイントもあるので、滑らないように注意しましょう。ゴーラ沢を過ぎたあたりから、少しずつ登りの傾斜がきつくなってきます。
第1ポイントの檜洞丸に到着。山頂からは富士山を眺めることができます。登りが続いて疲れているころなので、少し休憩をしましょう。
臼ヶ岳を経由する見晴らしのいい道ですが、アップダウンの連続。特に蛭ヶ岳山頂直下は、急登と鎖場が続きますので気を付けて進みましょう。
急な登山道を登りきると、いよいよ蛭ヶ岳山頂です!お天気次第で、山頂からは富士山を間近に眺めることができます。
1日目はこちらで宿泊ですので、時間を気にせずゆっくりと景色を楽しみましょう!
西丹沢ビジターセンターへのアクセス
■クルマの場合
・東京方面から:東名道「大井松田」ICー国道246号ー県道76号ー西丹沢ビジターセンター
・静岡方面から:東名道「御殿場」ICー国道246号ー県道76号ー西丹沢ビジターセンター
■公共交通機関の場合
・小田急線「新松田」駅より富士急湘南バス「西丹沢行き」約70分、終点「西丹沢ビジターセンター」下車。
・JR御殿場線「谷峨」駅より 富士急湘南バス「西丹沢行き」約55分、終点「西丹沢ビジターセンター」下車。
富士急湘南バス|路線バス
山頂までの最短距離コース|青根登山口起点
最高点の標高: 1645 m
最低点の標高: 399 m
累積標高(上り): 2859 m
累積標高(下り): -2859 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 日帰り
- コースタイム:9時間45分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
東野のバス停で降りて登山口まで向かいます。他のコースに比べて距離は短くなりますが、その分急登が続くコースなので体力も必要です。
東野のバス停から3kmほど歩くと、青根の登山口に到着。途中、標識も出ていますので、見落とさないように進めば問題ありません。
なお、車で向かう場合は、登山口前に駐車スペースがありますが、数台分しかありませんので青根小学校近くの黍殻山登山口駐車場を使うほうが安心です。
林道入り口のゲートを通り過ぎたら登山開始。少し林道を進むと、釜立尾根コース・八丁坂コースに分かれます。どちらもかなりの急登コースですが、最短距離の八丁坂コースがおすすめです。
八丁坂ノ頭までは少し急な登りが続きますが、そこを過ぎたあたりから木道が続くように。新緑の時期には清々しい山歩きが楽しめますよ。姫次で一休みしたら、蛭ヶ岳までもうひと踏ん張りです!
山頂までは木段メインの歩きやすい登山道が続きます。見晴らしのよい、気持ちのい景色の中をゆっくりと楽しみながら進みましょう。
木道を登りきると、ついに蛭ヶ岳山頂に到着です!360度のパノラマの景色を眺めていると、木段歩きの疲れも吹き飛びます。
青根登山口までのアクセス
■クルマの場合
青根登山口にも駐車場はありますが、その手前の黍殻山登山口駐車場の利用がベターです。
■公共交通機関の場合
バスでのアクセスも可能ですが、乗り継ぎしなくてはならず便数も少なくなっています。車で向かう場合も、駐車場スペースが限られているので、早めの到着が安心です。
JR「橋本」駅北口もしくは「相模湖」駅よりバス「三ケ木」行き乗車ー「三ケ木」下車後、「月夜野」行きに乗換ー「東野」下車
神奈川中央交通|時刻表・運賃案内
通好みの東海自然歩道コース|焼山登山口起点
最高点の標高: 1645 m
最低点の標高: 294 m
累積標高(上り): 3003 m
累積標高(下り): -3003 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:11時間5分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
【2日目】蛭ヶ岳(100分)→姫次(20分)→八丁坂ノ分岐(85分)→焼山(90分)→焼山登山口
※このルートは現在通行止めもしくは通行不可の区間があります(2020年10月26日追記)
相模原市側から黍殻山を経由して蛭ヶ岳を目指します。木段も整備された比較的歩きやすいコースですが、距離も長く急登もある、ある歩きごたえのある通好みなルートです。
焼山登山口はバス停すぐ近くのゲートの先にあります。バス停の向かいには諏訪神社があり、トイレが利用可能なので、こちらで準備をしっかりしてから登山口に向かいましょう。
林道のゲートを過ぎて間もなく登山口。序盤から急な上り坂が続くので、いきなりペースを上げずに徐々に慣れていきましょう。
焼山山頂までは気持ちいい森林歩きが楽しめます。山頂には展望台もあるので、一休みに最適です。
姫次までは少し緩やかな稜線歩きで、シーズン中はミツバなどの花が咲き誇ります。八丁坂の頭から先は青根登山口のコースに合流。
山頂からはお天気次第で富士山はもちろん、南アルプスや八ヶ岳も眺めることができます。贅沢な景色を眺めながら、蛭ヶ岳山荘でゆっくりと休んでください。
焼山登山口までのアクセス
焼山登山口付近には駐車場がありませんので、バスかタクシーの利用となります。バスも便数は多くないので、しっかりと時間を確認してから出かけましょう。
■公共交通機関の場合
JR「橋本」駅北口もしくは「相模湖」駅よりバス「三ケ木」行き乗車ー「三ケ木」下車後、「月夜野」行きに乗換ー「焼山登山口」下車
神奈川中央交通|時刻表・運賃案内
丹沢の山小屋情報
とにかくコースが多い丹沢エリアなので山荘や山小屋も沢山。今回はご紹介したコースある山荘をご紹介します。
蛭ヶ岳山荘
蛭ヶ岳山頂のすぐ脇にある山荘。夕暮れ時の景色など、宿泊者だけが見ることができる景色もあります。気さくなご主人が丹沢のことをいろいろと教えてくれ、何度も訪ねたくなる山荘です。
尊仏山荘
塔ノ岳山頂にあるので眺めも良く、富士山を眺めながらゆっくりと過ごすことができます。夕食のカレーと、朝食のおでんが定番。
みやま山荘
丹沢山山頂近くにある定員30人ほどのこぢんまりとした山荘。清潔感のある館内と、おいしい食事が人気の理由です。
青ヶ岳山荘
檜洞丸山頂すぐ近くにある、名前の通り青い外観が印象的な山荘。小屋番が不在の可能性があるので、3日前までに予約を。
アクセス抜群の丹沢で贅沢な山旅を!
都心からのアクセスも良く、登山ルートが豊富な丹沢エリア。その中央に位置し、長距離山行を要する蛭ヶ岳。長い道のりだからこそ、山頂から眺める景色は格別です。
ちょっと時間のある週末は、丹沢で山小屋泊登山を楽しんでみてはいかがでしょうか。