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景色が見えないのになぜ登るの? 視覚障害者と一緒に登山をして分かったこと(3ページ目)

 

あのー、怖くないんですか?

わたしは生まれたときからの全盲なので、見えない道をなにかを頼って歩くことに慣れています。

「なにか」は、日常のよく知っている場所は”白杖”で、初めて行く場所や登山は”サポーター”です。サポーターがいなければそもそも登山ルートも分からないですし、慣れた山でも怪我をして迷惑をかけることは確実だと思います。

サポーターがいてくだされば、無敵。どんな山でも歩けるというか、歩いてみたいですね(笑)

 

(でも……、)景色が見えなくても楽しいですか?

風の感じで「あ、登山口に入ったな」とか、鳥の鳴き声も感じますよ。今回の高柄山のように初めて登る山のほうがわくわくしますし、ここは標高差があって登り甲斐がありますね

 

思い出しました。以前実施されたYAMA HACK読者アンケートのひとつ、「あなたが登山に求めるものは?」に対して、半数以上の人たちが「歩く行為そのもの」にチェックをされていたことを。ゆっくりでもいい、自然の音と空気に触れながら、コンクリートじゃない地面を歩くこと。景色を眺めることだけが登山の魅力ではなく、登山自体を楽しむこと、それは障害のある方も同じようです。


登山道

結論 視覚以外の四感で、自然に囲まれた山歩きそのものを楽しんでいる

視覚障害の人は生まれた時から目が見えない人や目が見えない環境に慣れた人ばかり。むしろ行ったことのない新しい環境の方がワクワクするそう。たとえ目が見えなくても、それ以外の四感を研ぎ澄ますことで全身で楽しんでいることがわかりました。

山で障害者パーティに出会ったときの心得

六つ星スタッフさん

向かって右側が六つ星スタッフの中川さん

景色が見えないということだけで、障害者も頂上を制し、山ごはんを楽しみます。みなさんもこれから山でそんなパーティに出会うかもしれません。そんなときでも動揺しない2つの心得を、六つ星スタッフの中川さんにお聞きしました。

登り優先ルールは変わらない

障害者も一般登山者も登山のマナーは同じです。ただ、障害者は大所帯が多いため、障害者が登りの場合、下りの一般登山者にお譲りすることもあり、またその反対もあります。

声を掛け合う思いやり

出会ったり、道を譲り合ったときの「こんにちは」「ありがとう」は障害者も気持ちの良いものです。「紅葉がきれいですよ」「右側に富士山がくっくり見えてますよ」など風景も伝え、自然をシェアしてあげてください。

障害者と歩く登山にも参加してみよう

今回六つ星に参加して驚いたことは、障害者も慣れているのでサポーター未経験の私でも気負いせず参加でき、平等に和気あいあい登山を楽しめたことでした。全国には障害者登山を支援する会が15団体ありますが、東京を拠点にしている六つ星山の会は創立1982年の老舗団体で、年間25の山行を企画・実施しています。ぜひサポーターとしても参加してみませんか?

こんな方におすすめ

・障害者を通じて、新しい山歩きを楽しみたい方
・参加人数は平均30名。パーティ登山が好きな方
・歩行時間は通常+0.5時間。ゆっくり歩きたい方
・決められた山行なので、登山計画が苦手な方
六つ星山の会 公式サイト

 

写真:湯野澤いづみ

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