ロードで走るのとどう違う? 知っておきたい山のトレランマナー6か条

2018/10/23 更新

身軽な装備で山を駆け抜ける爽快感。 これを味わってしまうと多くの人は病みつきに。 昨今のランニングブームは、整地・不整地に関わらず、人口も大会もかなりの数。 ただ、トレイルは自分にとっても周りの人にとっても潜んでいる危険がたくさんあります。 トレイルならではの知って欲しい、気を付けて欲しい、山のマナーとルールの一部をまとめました。 安全で楽しいトレイルランを満喫しましょう!


アイキャッチ画像出典:PIXTA

トレイルランニングはキツい…、でも楽しい!

健脚者
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森を、山を、颯爽と駆け抜けるトレイルランニング。 特にこれからの秋冬は、低山・里山を走るのにぴったりな季節。 かくいう筆者も、寒空の下早朝から里山に入り、自分の足音と呼吸音しか聞こえない山中を、白い吐息を後ろに伸ばしながら独り旅ランをするのが大好きです。

トレラン
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登りを走るというのはキツいですが、反面フラットな平地や緩いくだりでは、そのスピード感から自分がケモノになったかのような感覚・自然に溶け込んだかのような感覚になり、山中を走ることの楽しさに気付かされます。
また、尾根筋などの解放的な区間はまさにスカイランニング。 子供の頃、楽しくて無邪気に走り回っていた感覚を思い出します。

ロードからトレイルへ。多様化する山へのアプローチ

撮影:三宅 雅也
筆者がトレイルを最初に走ったのは2008年頃。その頃は「トレラン」という言葉はまだ一般的ではなく、「ランニング登山」と言われており、ごく一部の体力のある上級登山者が行っていたという印象でした。

ロードランニングの足元
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それから10年、今やトレランという言葉は広く浸透し、その人口も20万人~70万人規模と言われ飛躍的に増加しました。 また、元々山を歩いていたハイカーもトレイルを走ったり、昨今ではトレイルランの大会エントリーのため、ロードからトレイルに入る人がかなり増えています。 この場合バックボーンが登山ではないため、ハイカーが一般的に知っている山のマナーなどの認識が不充分なことも。 これは、登山経験が浅い内にトレランに移行した人も然りです。

例えば、あなたは下記のポイントを知っていますか?

・すれ違いでは登りと下り、どっちが優先?
・道を譲ってもらったら走り抜けても良い?
・すれ違いや追い抜きでの「山側・谷側」ってなに?

色々ありますが、山のマナーやルールって、いったい何を知っておくべきなのでしょう? 早速、トレイルランを快適に楽しむための基本的なマナーを順を追って見ていきましょう!

えっ、それってダメなの? 知ってて損なし、山のマナー

①山のすれ違いの基本は、登り優先!

登山
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山には、入山者が安全に下山できるようルールやマナーがあります。 例えば、狭い登山道ですれ違う際、基本は登りの人優先。 下っている人が足を止め安全な脇によけ、道を譲ります。 これは

・一般的に登りの方がキツく、ペースを乱さないようにすることへの配慮
・下っている人の方が視界が利き、早く状況に気付けるため


という理由から。また、不用意な落石を未然に防ぐためでもあります。
ただし、第一優先は「安全」となるため、例外もあります。登る人が道を譲る方が安全な場合は、下山者を優先させる事も。 この辺りの状況判断は経験が必要となりますので、ひとまず基本は「登り優先」を覚えておきましょう。 ハイカーでも経験の浅い方は、実は意外と知らない、または行われていない事のひとつです。
また、譲ってくれたからといって、走りながらすれ違うのはNGです。 徒歩ですれ違うようにしましょう。

トレラン
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もしあなたが体力充分な「強い」トレイルランナーなら、上下山に関係なくハイカーさんに道を譲ってあげるのはどうでしょう。 歩行者に対しての自転車、自転車に対しての自動車同様、ハイカーにとってランナーは時として危険な存在でもあります。
体力という点に於いて大きなアドバンテージを持っている事もあり、譲り合いの精神とおおらかな心で山に入ると、もっと山を楽しめる!というのが筆者の持論です。 すれ違いの際、ハイカーさんがくれる笑顔や言葉は、元気の源になります!

②熊鈴付けてる?追い越す時のマナーは?

熊鈴
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本来の目的は、熊鈴を鳴らすことにより、熊に自分の存在を知らせ遭遇を回避することですが、同じく自分の存在を先行するハイカーに知らせることが出来ます。 複数パーティーでのおしゃべり、山の景色に夢中、考え事、などなど、足音に気付きにくい状況は多くあり、また、背後からの足音は実際かなり聞こえにくいものです。 そして急に間近に迫る足音は少なからずハイカーを驚かせます。 不用意/反射的によけさせてしまい、転倒・滑落などの潜在事故につながらない様、小さい鈴で良いので熊鈴を付けましょう。

もし、ハイカーさんが直前になっても気付かない時は、「こんにちは 右通りまーす」など元気よく声掛けすると、気持ちよく安全な追い越しが出来ます。 (くれぐれも徒歩で!)

撮影:三宅 雅也
また、登山道の片側が「斜面や谷」である場合、道を譲る立場が「山側」になるよう配慮し、通過する立場が「谷側」を通りましょう。 「道を譲る側が安全な山側に立ってよける」が山の基本です。

③トレイル (登山道) を大切にしよう!

トレイルランナー
出典:PIXTA
追い越しやすれ違いでは、安全登山の観点からも立ち止まりが好ましいのは前述のとおり。しかし植生保護のためにも、無理なすれ違いによる登山道外への足の踏み入れは避けましょう。 季節にもよりますが、これから芽吹く植生がその足元に隠れているかもしれません。
また、ランニングをしているとツバを吐きたくなるものですが、トレイルのど真ん中にツバを吐く方を時々見掛けます。 モラルとマナーをもってトレイルランを楽しみましょう。

④蹴り足厳禁!落石は重大事故のもと

ガレ場
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ハイキングとランニングの決定的な足運びの違いに、蹴り足があります。 ハイキングでは、ふくらはぎを酷使しない様、且つ落石を起こさない様に後ろ足をそっと上に持ち上げますが、ランニングでは蹴り足により前に進むためストライドも大きく、登山の足運びに慣れていないと、たとえ歩いていても、落石につながるフットワークになりがちです。 落石事故による被害者を生まぬよう、そして加害者とならぬよう、トレイルの状況に適した足運びを選択し実践するのもレベルアップに必要です。

撮影:三宅 雅也
以前、真夜中の八ヶ岳 権現岳へのアプローチで、ガラガラと盛大に落石させながら登っているトレイルランナーさん達に遭遇したことがありました。 夜中の3時頃で、ほかには筆者しかいなかったため大事には至りませんでしたが、山に入る場合、落石を起こさないように気を付けなければいけません。 斜度によってはたとえ10cmほどの石でも直撃すると命を奪いかねません

そのランナーさん達は南北八ヶ岳全山日帰り縦走されるとの事でしたが、その後の区間にも落石に注意すべきポイントがたくさんあり、時間的に多くのハイカーさんも居合わせるため、かなり不安を感じました。ロードで走るよりも、一挙手一投足に神経を払わねばなりません。


⑤ちょっと待って!その装備で大丈夫?

軽装の女性
出典:PIXTA
筆者はこれまで、ロードから入ったランナーさんに複数回遭遇しています。中にはペットボトル1本だけを握り締め、レインウェアも防寒着も食料も何も持たず、2月の里山で道に迷われていたランナーさんに遭遇したことも。山は街中と違いその辺にコンビニがある訳ではないため、いつでも雨を凌げる訳ではないのです。こうした環境を考慮して、山に見合ったリスク対策・準備をおこなわないと、里山といえど身に危険が及びます。

また、人に連れて行ってもらい数回走っているコースでも、ソロで走ると意外に道に迷ってしまうこともあります。 そのため、同行者と共に入山したり、スマホのGPSでログを取るなどし、有事の際に備えましょう。

⑥団体で走るのは控えるのがベター

団体で走る
出典:PIXTA
また、みんなでワイワイ走るのが好きなランナーさんたちも多くいます。 山をあまり知らないからリスク低減のためにみんなで入山する、仲間たちと走るのが単純に楽しいから、など背景は様々ですが、たとえば10人も連なってトレイルを走るとやはり賛否が生まれます。 ランナーに限った話ではなく、ハイカーでも団体となると、すれ違いには注意や時間を要すためリスクが高まります。 ある程度の人数になる場合は、山慣れした人をリーダーにグループ分けなどすると理想的です。

マナーとルールを意識して安全トレランを!

登り
出典:PIXTA
山を走り抜ける爽快感、流れる景色と疾走感、In~Outまで何十キロメートルも移動出来る山旅・旅ラン、トレイルランニングは本当に楽しいものです。
ですが、走ることに夢中になり過ぎ、知らず知らずのうちに山や周りのハイカーにリスクを与えてしまっているかもしれません。 山には山のマナーとルールがあります。 それらを改めて認識し、笑顔でトレイルランを楽しみましょう。 そして、時には山をゆっくり歩いてみると、また違った景色・風景が見えてくるかもしれません。
山に入る本来の楽しみ方を一度堪能してみるのもオススメです。
それでは皆さま、どうぞ良い旅ランを!

文 三宅 雅也 (山岳ライター、長野県自然保護レンジャー)

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三宅 雅也
三宅 雅也

長野県自然保護レンジャー、山岳ライター。 アルプスを中心に、トレランから厳冬期登山まで幅広く活動。 鷲羽-水晶-赤牛岳、槍ヶ岳~笠ヶ岳、荒川三山、中央アルプス主峰全山など、ロング日帰りのスピードハイクを得意とする。 また、キャンピングカーにて、登山と旅を掛け合わせた「外遊び人生漫遊術」を構築中。 スピードハイクの詳細はこちら! ウェブサイトはこちら

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