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遠っ!登りたいけど…後回しにされがち!?

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あなたは登山の計画を立てるとき、どのように山を選んでいますか? 標高の高い山、日帰りで登れる山、憧れている山など、なんとなく選び方に傾向があるのではないでしょうか。
山選びに迷ったときに人気なのが日本百名山。全山踏破を目標としている人、とりあえず百名山に行ってみようという人も多いものです。そんな百名山の中に、いつかは登ってみたいと思いつつ、いつも山行の候補から外れてしまう山、ありませんか?

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そういう山はたいてい登山口までのアクセスがしづらかったり、山頂まで長距離・長時間歩かなければならなかったりするもの。長めの連休はもちろん、「よし、行こう!」という意気込みも必要です。これから訪れるお盆休みやシルバーウィークこそ登頂のチャンスでは?
そこで今日は日本百名山の中から、登るのにちょっと根気のいる山をご紹介します。「なんとなく行くのが大変そう…」で足踏みしているともったいないかも!?
連峰の最高峰! 北海道・東北を代表する難関2座
まずは、日本百名山の中でも、いつかは行きたい憧れの山として名を馳せている2座をご紹介します。登山口までも遠いですが、簡単にはたどり着けない行程の先に何が待っているのでしょうか?
【1】幌尻岳(北海道)

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日本百名山で最難関といわれている幌尻岳(2,052m)。アイヌ語で「大きな山」を意味する山名で、日高山脈の最高峰です。メインルートには数十回も繰り返す渡渉があるため技術的難易度が高く、登るのが困難。その他の主なルートはコースタイムが推定15時間弱と2泊3日を要するに超ロングコースになっています。
【苦労の先に待っているのは?】大自然を堪能できる壮大なカール! 
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幌尻岳の山頂部には氷期につくられたカールがあり、あたり一面にお花畑が広がります。植物だけではなく、山腹には北海道にしか生息しないナキウサギやクマゲラなどの動物や野鳥が生息する手つかずの自然を見られる場所なんです。
▼幌尻岳をもっと詳しく【2】飯豊山(山形・新潟・福島)

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飯豊山(2,105m)は古くから信仰の対象とされてきた山で、山頂近くには飯豊山神社が祭られている風格のある日本百名山。山頂に直接登れる登山口はないため、他の山を縦走してしか行けません。健脚者なら1泊2日も可能ですが、地蔵岳方面からで17時間弱、三国岳・種蒔山方面からで18時間半と、どちらも2泊3日の行程になります。
【苦労の先に待っているのは?】美しい雪渓と緑のコントラスト! 
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雪が多い地方なので、夏でも残る雪渓と緑のコントラストがとにかく美しい場所。主稜線はのびやかで広大な景色を眺めながら歩くことができます。雪解けとともに様々な高山植物が咲き乱れる様も見事です。
▼飯豊山をもっと詳しく縦走でしかたどりつけない! 北アルプスの最奥部3座
アクセスしやすいといわれる北アルプスにも簡単にはたどり着けない山があります。ここでは、どの登山口から登っても直接山頂へは到達できない3座をご紹介します。
【1】鷲羽岳(富山県)

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鷲羽岳(2,924m)は北アルプスの中央部に位置し、西側の斜面は黒部川の源流となっています。北アルプスの中でも最奥の山の一つで、直接山頂に登ることのできる登山口はありません。アクセスしやすい新穂高温泉からのピストンでも、最初の2日は7時間歩きの2泊3日、およそ20時間の行程となります。
【苦労の先に待っているのは?】まるで絵のような美しい風景! 
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新穂高温泉から登ると、三俣山荘から臨む鷲羽岳の迫力は圧巻! 山頂に到達するとあたりはハイマツ帯で眺望が良く、眼下の火口湖・鷲羽池と、背後にそびえる槍ヶ岳とのコンビネーションはまるで絵画のような美しさです。
▼鷲羽岳をもっと詳しく【2】水晶岳(富山県)

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鷲羽岳のさらに北側にあるのが水晶岳(2,986m)。切り立った双耳峰で名前の通り山の上部には水晶が眠っています。主なコースは新穂高温泉からのピストンか、高瀬ダムから登り新穂高温泉に下るコース。どちらもかかる日数は3泊4日で23時間弱の超ロングコースです。
【苦労の先に待っているのは?】どこまでも続く雄大な稜線美! 
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鷲羽岳から水晶岳に続く、気持ちの良い稜線はまるで天国のよう。北アルプスのほぼ中央に位置するため、北アルプスの主だった山をすべて見ることができる壮大な眺めが広がっています。どこまでも続く美しい稜線を見ると、これまでの疲れも吹き飛ぶはず!
▼水晶岳をもっと詳しく【3】黒部五郎岳(岐阜県)

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黒部源流の山の中でも最奥部にある黒部五郎岳(2,840m)。なだらかな山容を持つ山に周りを囲まれる中で、スプーンでえぐられたような黒部五郎岳のカールが目立ちます。主なルートは折立からのピストンですが、それでも17時間半かかるので2泊3日。折立から登る人気の薬師岳も併せて登ろうとすると、3泊4日必要です。
【苦労の先に待っているのは?】まさに天上の楽園! 
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黒部五郎岳といえば雄大なカール。半円形に形成されたカールには、湧き水や雪解け水が流れ、氷河でなめらかになった羊群岩が自然の庭園を造っています。カールの斜面はお花畑も豊富で、とくにコバイケイソウの群落が見事です。
▼黒部五郎岳をもっと詳しく時間をかけてでも行きたい! 南アルプス盟主2座
南アルプスの北部は比較的アクセスしやすいのですが、南部は登山口までたどり着くのにも時間がかかることで有名。その南アルプス南部の中でも、山頂まで時間のかかる2座をご紹介します。
【1】悪沢岳(静岡・長野)

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前岳・中岳・悪沢岳(東岳)を合わせて荒川岳(荒川三山)と呼ばれていますが、その中で日本百名山に選ばれているのが悪沢岳(3,141m)。遠くからでもそれと分かる山容で、日本第6位の高さを誇ります。主なコースは椹島からのピストンで16時間半。バスの時間の都合もあり、1日9時間近くの歩行が可能な人であれば1泊2日、難しければ2泊3日の行程となります。
【苦労の先に待っているのは?】ライチョウにも会えるお花畑! 
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悪沢岳の一帯はカールがたくさんあり、高山植物が豊富。ライチョウの生息地にもなっています。広大なお花畑では10種類以上もの花が咲き乱れており、色とりどりの癒しの景色が広がります。お花畑の間を登山道が通っているところもあるので観察してみましょう。
▼悪沢岳についてもっと詳しく【2】赤石岳(静岡・長野)

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山名の由来は赤石岳(3,120m)を流れる沢に、濡れると赤く発色する石があること。赤石山脈の盟主ともいわれる山で、南アルプスの王者の風格を持つどっしりとした山容をしています。山頂までは、椹島から1日9時間近くの歩行を含む1泊2日の行程。前述の悪沢岳と合わせて登るのが人気であり、その場合は2泊3日もしくは3泊4日必要です。
【苦労の先に待っているのは?】南アルプスの随一の展望! 
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山頂は360度に絶景が広がる絶好の展望スポット。富士山や八ヶ岳、北アルプスまでも見渡すことができます。赤石岳は山深い場所にあり、周りを赤石山脈の山々に囲まれているので、山頂に立つとまるで雄大な山に包まれているような感覚に。最も標高の高い一等三角点があることでも有名です。
▼赤石岳についてもっと詳しく行くのが大変な山には、唯一無二の絶景が待っている!

出典:PIXTA(飯豊山)
行くのが大変な山を集めましたが、どの山も苦労の先にあるとっておきの景色を見たら「がんばって登って本当に良かった」と思わざるを得ないはず。山頂まで遠い分、山深い登山道なので、その道のりも思い出深くなることでしょう。次の連休は『一登入魂』、大きな達成感と登ったからこそ見ることができる絶景を味わってみませんか?
▼登りやすい百名山は? ▼東京から日帰りで行ける百名山は? ▼標高差が大きい百名山は? ▼標高差が1,000mくらいの百名山は? ▼標高差が小さい百名山は? ▼百名山の山のグレーディングをチェック