両手が塞がることの危険性

しかし、ここで思い出して頂きたいのが先ほどの片足立ち実験。バランスが取りやすいのは、間違いなく両手が空いている状態です。
そのため、険しい岩稜帯や木の根が張り出した樹林帯など、足元が不整地であるほどつまづく可能性は大きくなります。そんな時、両手が塞がっていれば怪我の原因になることは想像に難くありませんよね。

また、疲労がたまってくると「自分が思ったより足が上がっていなかった」という理由で段差や岩、枝などに引っかかり転倒、というケースも珍しくありません。咄嗟の出来事に手を出せない状況はとても危険です。
以上をふまえた上で、比較的隆起のない登りの道で『きつい!』と感じたときのみ、上半身がブレない(体幹が回旋しない)ような体勢になるのはOK。険しく切れ落ちた岩場、ガラ場、足場の悪い箇所では避けましょう。
ガイドに聞いてみた! 腕が楽になる裏ワザ、ある?

一般の登山者に比べ、山に入る日数が圧倒的に多いガイドさんたちは、何か“楽な手の位置”を知っているのでは……?
そこで、社団法人日本山岳ガイド協会認定国際ガイド/フランス国家認定アルパインガイドの熊田光治ガイドに聞いてみました。

力を抜いた状態で両腕の重さを支えることは、少なからず負担になります。また、血流が下方に行きすぎて疲れたり、手がむくんだりすることも。そんな時は手を曲げて休ませてあげるのがいいのだそう。

持っているスリングや、もしヌンチャクがあればこんな風にザックのショルダー部分につけて親指を引っかけると、グッと楽になります。

また、ミレーのザックにはもともと『ハンドレストループ』といってその名の通り手を休めるための輪っかが付属したザックもあります。
ミレー サースフェー NX 30+5

登山中の『手の位置』、特に意識したことのない方がほとんどですよね。
しかし本当にしんどい時は、人は無意識に楽な体勢になろうとするもの。記事に挙がったような体勢を何かしら実践していた人もいるかと思います。
しかしそれは、体の構造的には理にかなっていることでした。もちろん危険も伴うため、すべての登山道で、というわけにはいきません。コース上のしんどそうな箇所を事前に把握しておいて、上手く使い分けるのが登頂の秘訣かも!
