朝日連峰の主峰『大朝日岳(朝日岳)』とは?
標高 | 山頂所在地 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
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1,870.3m | 山形県小国町・朝日町・ 大江町・西川町、新潟県村上市 | 17.2℃ | 3.4℃ |
山形県の西側、新潟県との県境に位置する朝日山地の南部にある大朝日岳。山形県といえば鳥海山・蔵王・月山などの山が有名ですが、大朝日岳は朝日山地の主稜線・朝日連峰の主峰でもあり、日本百名山や花の百名山、さらに出羽三山・飯豊連峰と共に磐梯朝日国立公園にも指定されています。
また、ニホンカモシカやニホンツキノワグマなどの哺乳類をはじめ、イヌワシやハヤブサなど101種の鳥類が生息しており、国指定大鳥獣保護区(希少鳥獣生息地)にも指定されているほど自然豊かな名峰。息をのむような美しい稜線や、山頂からの壮大なパノラマビューは一見の価値あり!
大朝日岳の登山適期は?
大朝日岳の登山最適時期は6月中旬〜10月中旬のグリーンシーズンです。この時期の週末は避難小屋に管理人さんが入ってくださるなど、安全面でも比較的安心。ただ、豪雪地帯のため7月初旬までは残雪対策が必要です。アイゼンやピッケルなど冬山装備をお忘れなく。
豪雪地帯のため、冬は通行規制に注意!!
豪雪地帯に位置する大朝日岳周辺はグリーンシーズンといえども、たびたび通行規制が行われます。また、朝日鉱泉登山口から数箇所に吊り橋がありますが、冬季期間は全て中板が外されます。例年5月中旬に設置されますが、それまでは外枠を歩くことになり大変危険。この期間の入山は特に注意が必要です。必ず事前に確認しましょう!
東北森林管理局
山形県西村山郡朝日町
大朝日岳の見どころ、稜線の美しさは必見!!
大朝日岳の一番の見どころは、稜線の美しさ。絵本の世界にでも迷い込んだような現実離れした気分を存分に味わえます。残雪期には、緑に雪の白がまるでゼブラ模様。
大朝日岳は紅葉シーズンがまた素晴らしい!稜線一面が赤や金色をはじめ、色とりどりのカーペットに覆い尽くされている光景は息をのむような美しさです。この世のものとは思えない絶景が堪能できます。
絶滅危惧種『ヒメサユリ』の姿も?!多くの花で賑わう花の百名山
大朝日岳は花の百名山にも選定されている高山植物の宝庫でもあります。絶滅危惧種のヒサメユリをはじめ、ヒナウスユキソウ、クルマユリ、トモエシオガマなど観察できる種類も豊富。花のベストシーズンは7月。特に大朝日岳小屋周辺でたくさんのお花畑を観られます。
地図も必ずチェック!山と高原地図 朝日連峰(以東岳・摩耶山)
登山地図の定番といえばコレ!
大朝日岳の天気は?
大朝日岳に行く前に現地の天気をこちらでCHECK!
てんきとくらす(大朝日岳の週間天気)
【古寺鉱泉ルート】一番距離が短い日帰りコース
大朝日岳登山には古寺鉱泉, 朝日鉱泉, 日暮沢と主に3つの登山口があります。周辺には縦走で楽しめる峰も多いので、登りと下りで登山道を変えるなど様々なバリエーションを楽しめるのも大きな魅力。今回は中でもポピュラーな3コースをご紹介します。
最初にご紹介するのは古寺鉱泉口からピストンで大朝日岳を目指すコースです。登山道がわかりやすく危険箇所もないため、大朝日岳の入門コースとして人気。登山コース上に水場が3箇所もあるのも嬉しいですね。今回は日帰りでの紹介ですが、山頂周辺にある大朝日岳小屋に一泊してゆっくり楽しむのもおすすめ。
最高点の標高: 1832 m
最低点の標高: 696 m
累積標高(上り): 2436 m
累積標高(下り): -2436 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 日帰り
- コースタイム:9時間53分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
古寺鉱泉 (135分)→ハナヌキ峰分岐(206分)→大朝日小屋 (15分)→大朝日岳(10分)→大朝日小屋(150分)→ハナヌキ峰分岐 (75分)→古寺鉱泉
古寺鉱泉登山口へは駐車場から沢沿いの道を行きます。登山口を入って200m程のところにある宿は秘湯の温泉スポットとしても知られる民宿「朝陽館」。登山道は「朝陽館」の左手から裏側に続いています。
林の中のなだらかな登山道をしばらく行くと広場に出ます。ここには水量の豊富な「一服清水」の水場が。ここから稜線までは一変して薮や岩場もある急登になるので、しばし休憩しておきましょう。
岩場の急登を登り稜線に出ると、そこからは山頂までは気持ちの良い稜線散歩き。視界も開け、周りの山々を眺めながら散策することができます。古寺山の山頂からは小朝日岳と大朝日岳の素晴らしい眺望が!
古寺山から小朝日岳を抜け、大朝日岳小屋を目指します。朝日連峰の大パノラマを見ながらの散歩は最高!西朝日岳や竜門山、遠く月山などを眺めながら稜線を進みます。
大朝日岳山頂からは360度のパノラマ眺望!東には月山、南には飯豊連峰。遠くに会津磐梯山までを望む、東北の峰を独り占めしたかのような絶景が広がります。山頂から見る縦走路の美しさは素晴らしく、朝日連峰の雄大さを改めて感じさせてくれます。
古寺鉱泉 登山口へのアクセス方法はこちら
【東京から】
■車の場合
山形自動車道 月山I.C→国道112号→県道27号
■電車・高速バスの場合
JR山形駅→JR奥羽本線→(直通)→JR左沢線→左沢駅
左沢駅からタクシーで約50分
JR山形駅の時刻表はこちら
【駐車場情報】
名称:古寺鉱泉駐車場
駐車台数:30台
料金:無料
【朝日鉱泉ルート】魅力を全て堪能できる長距離日帰りコース
距離は長くなりますが、大朝日岳の魅力を最も堪能できるコース。名水として名高い水場も合計で6箇所も。下りのルートには「〇合目」の標識があるので、登山道も非常にわかりやすくなっています。今回は日帰りとしてご紹介していますが、全行程約13時間の健脚向けコースなので、大朝日小屋で1泊というのもおすすめです。
最高点の標高: 1832 m
最低点の標高: 543 m
累積標高(上り): 3079 m
累積標高(下り): -3079 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 日帰り
- コースタイム:11時間34分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
朝日鉱泉(240分)→鳥原山(120分)→小朝日岳(110分)→大朝日小屋(15分) →大朝日岳(140分)→長命水(150分)→朝日鉱泉

朝日川を渡るつり橋が登山道の入り口。スタートして最初の30分は急登が続きます。鳥原小屋まではブナ林が続くので、森林浴を楽しみながら歩きましょう。
大湿原の中にポツリと見えてくる鳥原小屋。木道が続く風景はまるで絵本の中のシーンのようです。鳥原山頂には三角点が2つ。国土地理院のと山林局のものがあるので、見比べてみては。
鳥原山から小朝日岳へ向かいます。小朝日岳の西側は岩場の急坂に注意。急坂を過ぎた辺りではヒメサユリを観ることができます。銀玉水の水場は美味しいと評判。このお水で淹れたお茶は甘味が増すそうですよ。
銀玉水を過ぎてすぐに急坂があります。下りは危険なので気をつけて。大朝日岳の鞍部に差し掛かると別世界のような美しい稜線歩きに心癒されます。振り返ると歩いてきた小朝日岳の稜線もキレイに見えます。
山頂からは360度のパノラマ眺望が。朝日連峰の美しい稜線や祝瓶山をはじめ、月山や鳥海山を望むこともできます。山頂広場には山座同定盤があるので、見ている山の名前もわかりますよ。
下山は通称中ツルコースで。ここからは合数表示の看板があるので、従って下ります。途中には合計4つの吊り橋があります。増水している場合もあるので注意して渡りましょう。
後半はブナ林に囲まれた、気持ちの良く清流が美しい沢沿いの道を行きます。崩れやすい箇所にはロープも設置されていますが、足元に注意して慎重に歩きましょう。
下山は御影森山経由もおすすめ!
距離は長くなりますが、1泊2日で御影森山を通って下山するコースもおすすめです。上倉山を下ったところでは森の巨人とも言われる天然記念物のクロベの巨木を観られますよ。
最高点の標高: 1838 m
最低点の標高: 543 m
累積標高(上り): 967 m
累積標高(下り): -2199 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:3時間5分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
大朝日岳→(1時間)平岩山→(1時間50分)御影森山→(1時間15分)上倉山→(1時間30分)朝日鉱泉
大朝日岳から南に下り、平岩山, 大沢峰を経由して御影森山を目指します。平岩山への分岐がわかりにくいので、ペンキの目印をよく見て歩きましょう。平岩山からはアップダウンが続くので気合いを入れて!御影森山からは小朝日岳,大朝日岳の美しい眺望を楽しめます。
御影森山から上倉山を経由して朝日鉱泉へ下ります。ここからはヒサメユリや美しいブナの森に囲まれた気持ちの良い登山道。上倉山の手前を250m程北に入ると、幹周なんと9.27mの大クロベの木が!上倉山を下った辺りの最後の急坂を過ぎれば朝日鉱泉はもうすぐです。
朝日鉱泉 登山口へのアクセス方法はこちら
■車の場合
山形自動車道 月山I.C→県道27号
■電車・高速バスの場合
JR山形駅→JR奥羽本線→(直通)→JR左沢線→左沢駅(約46分)
左沢駅から登山バスで約1時間30分
JR山形駅の時刻表はこちら
登山バスの詳細はこちら
【駐車場情報】
名称:朝日鉱泉ナチュラリストの家
住所:山形県西村山郡朝日町大字立木番外地
電話番号:5月上~10月下 090-7664-5880(現地衛星電話)/通年 0237-67-3589(ご自宅)
駐車台数:約10台
料金:無料(宿泊者用)
【日暮沢ルート】1泊2日で楽しむ周回コース
朝日山地の中でも、主峰の大朝日岳を中心とした朝日連峰の縦走も人気のコース。しかし、一般的な登山対象とされている北の以東岳から南の祝瓶山までの縦走コースは、30km以上のロングコース。朝日連峰を全部縦走、とまでは行かないけど、1泊2日で朝日連峰を楽しむもの人気です。
今回は、竜門山~西朝日岳~大朝日岳~小朝日岳をまわる1泊2日のコースを紹介します。
日暮沢小屋までの車道で崩落しているとの情報もあります。事前に確認をお願いいたします。
山形県HP
最高点の標高: 1832 m
最低点の標高: 629 m
累積標高(上り): 2827 m
累積標高(下り): -2827 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 日帰り
- コースタイム:12時間55分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
1日目:日暮沢小屋(200分)→ハナヌキ峰分岐(110分)→小朝日岳(125分)→大朝日小屋
2日目:大朝日小屋(15分)→大朝日岳(10分)→大朝日小屋(90分)→西朝日岳(50分)→竜門山(40分)→ユーフン山(30分)→清太岩山(120分)→日暮沢小屋
1日目:日暮沢小屋~小朝日岳~大朝日小屋
1日目は3階建てが印象的な日暮小屋からスタート。梯子やロープで沢を越え、尾根道を歩いていきます。
ハナヌキ峰分岐からは、古寺鉱泉コースと合流します。ここから大朝日小屋までは、古寺鉱泉ルートと同じコースで登りましょう。
1日目は大朝日小屋に宿泊します。ここまで来ると山頂はもうすぐ!目の前には明日登る大朝日岳の雄大な姿が広がります。
2日目:大朝日岳~西朝日岳~竜門山
2日目はまずは大朝日岳を目指します。小屋からは約15分程度、大朝日岳からは稜線散歩の始まりです。西朝日岳に向かう途中にある中岳から振り返ると、息をのむほどの美しい景色が!
西朝日岳から竜門山までも美しい稜線が続きます。緑の鮮やかな時期も綺麗ですが、紅葉の時期はさらに色とりどりの絨毯があたり一面に広がります。時間がある人は、竜門小屋で荷物をデポして寒江山に行くのもおすすめです。
竜門山からやアップダウンが続きますが、周りの絶景を楽しみながら下りましょう。日暮沢小屋近くには、急な下り坂もあります。特に雨の日は崩れやすいので注意して歩いてください。竜門山から3時間ほど下ると、日暮沢小屋に到着です。
日暮沢小屋 登山口へのアクセス方法はこちら
●車の場合
山形自動車道 月山I.C→県道27号
●電車・高速バスの場合
【日暮沢小屋前駐車場】
住所: 山形県西村山郡
駐車台数:約10台
※他にもここから林道終点まで行くと、数台駐車することができます。
大朝日岳の山小屋情報
大朝日岳登山に利用したい山小屋を紹介します。朝日連峰では一部を除き、基本的に幕営が禁止されているため、ハイシーズンにはかなり混みあいます。必ず事前に山小屋情報の確認を!
《注意!!》大朝日岳では幕営禁止です
朝日連峰では一部を除き、登山道や山小屋周辺でテントを張るのを禁止しています。テント場は大朝日岳の北西、大鳥小屋にしかありませんので、他の場所では必ず山小屋を利用しましょう。
大朝日岳小屋
大朝日岳小屋は大朝日岳の山頂から北へ15分程下った場所にある避難小屋。寝具や食事の提供はないので、自身で準備しましょう。
収容人数は約100人とありますが、夏から秋のシーズンはとても混み合います。お互いに譲り合いながら利用しましょう。水場は小屋から徒歩15分程度のところにあります。
■住所:山形県西村山郡西川町大井沢
■問い合わせ先:山形県大江町産業振興課 TEL:0237-62-2115
■利用料(協力金):1,500円
■収容人数:約100名
■利用可能時期:通年
鳥原小屋
鳥原小屋は大朝日岳の東に位置する鳥原山の山頂近くにある避難小屋。隣にある朝日嶽神社では例年6月の第3日曜日に安全な登山を祈願する山開きの儀が行われます。
水場は小屋から徒歩3分程度のところにあります。例年夏期には管理人さんがいますが、寝具・食事の提供はありません。
日暮沢小屋
日暮沢小屋は大朝日岳の北側に位置する日暮沢登山口にある避難小屋です。駐車場があるので、早朝発の登山の際の仮眠に利用することもできます。目の前に水場があるのはありがたいですね。
こちらも例年夏期には管理人さんがいますが、寝具・食事の提供はありません。自身で準備しましょう。
■住所:山形県西村山郡西川町大井沢1032-乙
■問い合わせ先:西川町産業振興課 TEL:0237-74-4119
■利用料(協力金)1,500円
■収容人数:約50名
■駐車場:7~10台
■利用可能時期:通年
竜門山避難小屋
山頂から30分ほど以東岳方面にくだった場所にある避難小屋。夏は管理人さんにより水も引かれ、トイレも完備されているキレイな小屋です。
■住所:山形県西村山郡西川町大井沢
■利用料(協力金)1,500円
■収容人数:約50名
■利用可能時期:通年
朝日鉱泉ナチュラリストの家
朝日鉱泉登山口にある山小屋です。旅館を思わせる落ち着いたお部屋は大小6室。大朝日岳を望むテラスは最高のくつろぎ空間です。挽きたて・打ちたてのお蕎麦もいただけますよ。
■住所:山形県西村山郡朝日町大字立木番外地
■電話番号:5月上~10月下 090-7664-5880(現地衛星電話)/通年 0237-67-3589(ご自宅)
■料金:1泊2食付き 8,000円(税込)/1泊素泊まり 4,500円(税込)
■収容人数:約40名
■駐車場:約10台
■営業期間:5月上旬~11月第1週まで)
お風呂にはシャンプー・ボディソープあり。タオル、浴衣のレンタルもあります。日帰り入浴も可能。
古寺鉱泉 朝陽館

大朝日岳の北東に位置する古寺鉱泉登山口付近にある民宿です。登山者だけではなく、温泉愛好家の間でも秘湯として知られる温泉スポットになっているそう。川のせせらぎに癒されます。
■住所:西村山郡大江町大字貫見字古寺930-2
■電話番号:090-4638-7260(衛星電話)
■料金:1泊2食 8,000円/素泊まり 4,000円
■収容人数:約30名
■駐車場:約30台
■営業期間:6月~10月
まとめ
稜線の美しさに魅了される朝日連峰。名水と呼ばれる湧き水も多く、自然の豊かさに心奪われる名峰です。コースや季節によってさまざまな表情を見せてくれる大朝日岳は、何度登っても飽きさせない魅力があります。まずは日帰りから!慣れてきたら、ぜひ朝日連峰縦走にチャレンジしてみてください。