『八・甲・田』には意味がある!青森の名峰の見どころ
八甲田山(はっこうださん)ってどんな山?
標高 | 所在地 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
---|---|---|---|
1,585m | 青森県青森市、十和田市 | 14.5℃ | 4.9℃ |
八甲田山は岩木山と並んで青森県を代表する山です。独立峰ではなく18もの成層火山や溶岩ドームからなる火山群で、山稜には数多くの湿原が点在。南北2つの大きな山群に分かれており、北八甲田連峰には最高峰の八甲田大岳があります。山名には以下のような意味があり、山域の特徴がうかがえますね。
最高峰の八甲田大岳は圧倒的な景観が魅力!
いちばん人気にして最高峰の八甲田大岳。山頂からの眺望は抜群で、360度の大パノラマが楽しめます!
紅葉の名所としても人気。四季折々の表情を持つ八甲田
春から夏にかけては湿原を好む多くの高山植物が見られます。紅葉の季節になるとカエデやナナカマドが鮮やかに色づき山腹を彩ります。この紅葉を観に多くの人が登山に訪れます。
最大10mの高さ!春の名物『雪の回廊』
八甲田山一帯は超豪雪地帯として有名です。麓にある酸ヶ湯温泉では、2013年にアメダス観測地点史上最高の積雪量566cmを記録。毎年4月頃に酸ヶ湯・八甲田ホテルから谷地温泉までの冬季閉鎖されている道が除雪され「雪の回廊」として開通します。最大10mにもなる雪の壁は迫力満点!
八甲田山を有名にした「雪中行軍遭難事件」
八甲田山の登山適期はいつ?
豪雪地帯の八甲田山。冬はバックカントリースキー&スノーボーダーにも人気です。5月でも残雪が多く残っているため、一般登山に適した時期は6月上旬から10月下旬。紅葉は9月上旬から10月中旬が見頃です。行く前に現地の天気をこちらで調べましょう。
てんきとくらす|八甲田山
※登山指数を参考に、天気予報や天気概況などの情報も検討したうえで登山計画を立てましょう
地図も必ずチェック!山と高原地図 八甲田・岩木山 白神岳・十和田湖
登山地図の定番といえばコレ!マップ詳細はもちろん、バスやマイカーでのアクセスにも便利!
絶景パノラマを求めて!酸ヶ湯温泉からの周回コース
最高点の標高: 1569 m
最低点の標高: 891 m
累積標高(上り): 1215 m
累積標高(下り): -1215 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:4時間35分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
酸ヶ湯温泉を起点に反時計回りで八甲田大岳へ登る周回コース。高層湿原やお花畑を満喫しながら八甲田山の盟主を踏破できる人気のメインコースです。
千人風呂で有名な酸ヶ湯温泉が出発点。登山の後はここで汗を流すのも楽しみのひとつ。付近のインフォメーションセンターには駐車場やトイレが完備されています。
薬師神社の鳥居をくぐって登山スタートです!
整備された登山道で樹林帯の中をしばらく登ります。
春から夏にかけて登山道周辺には、色とりどりの高山植物が咲いているのでチェックしてみてください!
樹林帯を抜けると、黄褐色の土と岩場の地獄湯の沢に辿り着きます。あたりは硫黄の匂いがたちこめ、有毒な火山ガスが噴出する場所もありますので注意してください。
仙人岱でメインコースから分岐を右に逸れると仙人岱避難小屋があります。無人小屋で定員は15名、トイレ設備もありますので休憩などに便利です。
山頂の手前にある鏡沼は神秘的な美しさです。クロサンショウウオやモリアオガエルが生息しています。
酸ヶ湯から登ること約2時間半で八甲田大岳の山頂に到着!山頂は平らで広く、昼食をとるのにもぴったりの場所です。
頂上からの展望は素晴らしく、南には南八甲田連峰と十和田湖、北には下北半島から津軽海峡まで、大パノラマが楽しめます!
大岳避難小屋を通過すると、広々とした高層湿原の毛無岱(けなしたい)に出ます。木道で整備された登山道をしばらく下ると、本コースのゴール地点、酸ヶ湯温泉旅館が見えてきます。
空中散歩も楽しめる!八甲田ロープウェーコース
最高点の標高: 1569 m
最低点の標高: 1278 m
累積標高(上り): 922 m
累積標高(下り): -922 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:4時間25分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
ロープウェーを使って1,300m以上の地点まで一気に到達し、美しい高層湿原や迫力ある噴火口の断崖を望みながら、八甲田大岳を往復。体力に自信のない人におすすめのコースです。
山麓駅から田茂萢岳山頂駅までの高低差は約650mを結ぶロープウェー。約10分の空の旅は八甲田山の山腹を見下ろす雄大な景観が楽しめます。
山頂駅からしばらく田茂萢湿原のさわやかな景観を楽しみながら進むと登山道入り口が見えます。
登山道に入るとしばらく樹林帯を歩き、ハイマツ帯に入ると視界が開けます。200mほど高度を上げると赤倉岳の山頂です。
赤倉岳からは左側が大きく切れ落ちた見事な噴火口が現れます。
赤倉岳から井戸岳へは約15分の距離。真正面には大岳避難小屋越しに目的地である八甲田大岳が堂々と見えます!
大岳避難小屋まで下り、登り返すこと約30分、ようやく八甲田大岳の山頂に到着!体力に自信のある方は、毛無岱や仙人岱を経由して酸ヶ湯温泉に抜けるルートもおすすめです。
登山口へのアクセスと温泉情報
首都圏からのアクセスは東北新幹線を利用し、新青森駅で下車。もしくは飛行機で青森空港へ。クルマの場合は東北自動車道の利用となります。
八甲田ロープウェイ/酸ヶ湯インフォメーションセンター
八甲田ロープウェイ、酸ヶ湯インフォメーションセンターの両登山口ともアクセスは同じ。ロープウェイ登山口は酸ヶ湯温泉の手前となります。
【公共交通機関の場合】
東北新幹線「新青森駅」下車、JR東北バス「みずうみ号」乗車→「ロープウェイ駅前」もしくは「酸ヶ湯温泉」バス停下車。
【クルマの場合】
東北自動車道「青森中央」ICもしくは青森空港→国道103号経由。
酸ヶ湯温泉
酸ヶ湯温泉と言えば、東北でも有数の名湯。「ヒバ千人風呂」という160畳もある、圧巻の総ヒバ造りの大浴場が有名です。この千人風呂は混浴ですが、女性専用時間帯や男女別の小浴場もあります。日帰りもいいですが、1泊していくのも昔ながらの湯治気分を味わえておすすめです。
厳しさと穏やかさと。山の魅力を包括した変化に富む山
広々とした高層湿原や咲き乱れる高山植物、ここは天国かと思うほど美しい景観が続いたかと思うと、赤褐色の岸壁が露出し切り立った断崖や、火山ガスを噴き出す谷沢はまるで地獄のような場所が現われる。八甲田山ほど変化に富んだ山は珍しいかもしれません。天国と地獄を行き来して最後は酸ヶ湯温泉の天国で締める。贅沢な山旅になること間違いなしです。