登山ウェアの説明に出てくるよくわからない言葉辞典

登山用のウェアを買う時、その商品がいったいどんな機能を持っているかを確認しますよね。しかし、専門的な用語が多々出てくるため、はっきりと商品の説明を理解することは実は難しい…!? という訳で、今回はアウトドアメーカー出身の編集部員が商品説明に出てくる用語を解説していきます。商品選びの際、参考にしてみてくださいね。


アイキャッチ画像撮影:YAMA HACK編集部

なんとなく…雰囲気で理解してる“つもり”!?

登山用ウェアの専門用語、わかっているようでわからない 登山ウェアや用品を買う時に、当たり前のように使われている様々な用語。実はその言葉の意味、ちゃんと理解していますか? 今回は登山用品の商品説明に出てくる、“わかっているようでちゃんとわかっていない”かもしれない言葉たちを、アウトドアメーカー出身の編集部員が解説していきます!

①防水性

防水の生地
出典:PIXTA
よくウェアやギアの説明で「防水性があります」などと書かれていたりしますよね。その名の通り、生地の内側に水が侵入してこない機能性のことを指しますが、使用シーンを今一度踏まえておきましょう。例えばウェアの場合、登山シーンでは『強い雨に打たれる』ことはあっても、プールに入るように『完全に水に浸かる』ということはほぼありません。そのため「防水性がある」という説明の多くは『雨に打たれてもOK、ただしずっと水に浸かっていると滲みてきてアウト』と考えましょう。(でもそんなシーンはないので特別意識しなくてもOKです)

ビニール傘
出典:PIXTA
例えば、レインウェアでよく使われる耐水圧は「どれくらいの水圧に耐えられるか」を数値化したもの。一般的なビニール傘で耐水圧250mm程度と言われていますが、普段使用していて傘の内側に雨が侵入してくることはありませんよね。登山用レインウェアは、耐水圧が10,000mmや20,000mといったものがほとんど。この数字からも、レインウェアは雨の日に使用するのに心配がないことがわかります。

②完全防水

縫い目加工
撮影:YAMA HACK編集部(防水ウェアの処理された縫い目)
生地と生地を縫い合わせる時、針で布に穴を開けますよね。そこから水は侵入してきます。つまり、

・生地自体が防水
・かつ、縫い目も防水処理をしてある

この2つの条件が揃って一般的に“完全防水”と言います。生地がGORE-TEX®でも縫い目処理してなかったら、それは完全防水とは言えません。ちなみに、縫い目のことを『シーム』とも呼びます。登山用のアウターウェアにおいては防水性があるのはもはや当たり前なので、『完全防水と言えるか言えないか』を意識して商品選びをしてみるといいかもしれません。

①の防水性は、この縫い目処理を施しておらず単純に生地の防水機能がある場合にも「防水性がある」といった言い方をします。

③耐水性・撥水性

撥水がきいた生地の表面
出典:PIXTA
一方、耐水性は多少の雨になら耐えられる機能。防水ではありません。防水ではないので強い雨に打たれ続けたり大量の水をこぼしたら、中に染みます。例えば表面に撥水加工をしてあるウィンドブレーカーで、雨粒がコロコロと玉になって転がるのを見たことがある方もいるかと思います。しかしその玉を指で押すと、一瞬で水分が生地に吸収されてしまいます。これが耐水性があり防水性はないウェアの特徴です。
リップストップという丈夫なナイロン生地、ポリエステルなどの化学繊維の表面に撥水処理を施してある場合が多いです。

④透湿性

透湿性
出典:V&A JAPAN
気体は通しませんが、分子は通す機能性のこと。水蒸気の分子は通す、つまりムレを逃がしてくれる機能性の紹介として用いられる場合がほとんどです。ただし、風などの空気は気体なので通しません。つまり防風性も兼ね備えていると言えます。

⑤通気性

ザックの背面メッシュ
出典:Amazon
こちらは、分子の水蒸気も、気体の空気も、どちらも通します。主に『風通りの良い』という意味合いで使われる事が多く、メッシュパネルの背面を持ったザックの使用感などで用いられます。

⑥防風性

防風性
出典:mont-bell
これも防水性と同じく、シーム処理をしている場合は『完全防風』といえます。風を通さない=空気を通さない=通気性がないということなので、防風性⇔透湿性はよくセットで登場します。GORE-TEX®をはじめとした防水のメンブレン(膜)は、基本的に通気性がない(風を通さない)ので「防風性がある」と言えます。

⑦速乾性

ランニングする男性
出典:PIXTA
「速乾性」だけで使うこともあるし、「吸水速乾性」という言い方をすることもあります。その時々バラバラで、特に統一はされていないもよう。
読んで字の如く、「すぐ乾く」という機能のみを指す場合は「速乾性」、「汗を吸ってすぐ乾く」という機能をまとめて言う場合は「吸水速乾性」です。

⑧吸水速乾性・吸汗速乾性

吸汗速乾性 どちらも同義。「水」と広義にとらえるか、「汗」と断定するかの違いです。メーカーによって呼び方は偏ります。
例えば、タオルなどは「吸水速乾性」を使うメーカーが多いかもしれませんが、登山のアンダーウェアなら確実に肌の汗を吸って乾かす機能があるのは明らかなので「吸汗速乾性」とあえて言ったりします。

⑨吸湿性

ウールのセーター
出典:PIXTA
水蒸気を吸収する機能のこと。かいた汗が水蒸気になると「ムレ」になりますが、これを生地自体がいったん吸収⇒放湿するという機能を指します。主にコットン・リネン・絹・ウールなどの天然繊維に備わった機能です。
汗をダラダラかくほどではないけれども、やや暑さを感じ始める気温の日には、吸湿性に優れている生地が活躍してくれますよ。逆にものすごく暑い日は、透湿性のあるものが◎です。

⑩調湿性

これは何かの機能というよりは、現象を指した言葉です。
「ウールの吸湿性により、肌面にこもっていたムレが軽減されて快適な衣服環境になった。」

これをひっくるめて「ウールは調湿性がある」といった言い方をします。

⑪耐久撥水加工

耐久撥水加工 普通の撥水加工より優れた加工のことでDWR加工(Durable Water Repellent)とも言います。これは洗濯100回後の撥水度によって決まるもので多くのメーカーが採用していますが、近年この加工に使用していた撥水ポリマーが環境に悪影響な成分だということで、パタゴニアとマムートは代替の成分を使用しはじめているそう。(元のものより撥水度は少し落ちるそうです、それでも私たちにはわからないレベルですが)

⑫耐水圧

耐水圧の説明
作成:YAMA HACK編集部
生地の上に1cm四方の筒を置いてその中に水を入れたとき、水が生地の裏側に染み出してきた時の数値。一般的に5,000mmもあれば十分防水ウェアとして成り立ちます。何万mmとか数値を公表している製品は、要はメーカーがそれだけ防水性が高いということを訴えたいのです。
登山者にお馴染みのGORE-TEX®は昔耐水圧40,000mmと実しやかにささやかれていましたが、現在は数値を公表していません。

⑬保水性

汗で濡れたTシャツ
出典:PIXTA
アンダーウェアは綿を避けろとよく言いますが、コットンはこの保水性があるため乾きにくいというのが理由です。汗をかくとその液体を保水する機能があるため、濡れたまんまの状態が続きます。

⑭疎水性

不織布
出典:CROWN NAME GROUP(ポリプロピレンの不織布)
本来は「水と親和性が低い」という言い方をしますが、登山ウェアにかんしては「水を含まない」という捉え方でいいでしょう。つまり水をまったく含まない生地ということ。主にPP(ポリプロピレン)がそうです。PPは今話題のドライレイヤーなどのベースレイヤーで使われていたり、お店で買い物をした時にもらう事の多い不織布にも使用されています。

はっきり機能を理解しよう

登山者
出典:PIXTA
みなさんが『これ、わかるようでよくわからないな…?』と思っていた言葉は理解頂けたでしょうか? アウトドアウェアでは一般的になっている言い回しも、普段馴染みのない人は聞くと即座に意味が理解できないケースは多々あります。登山のウェアやギアは、長時間歩く上で快適さを提供してくれるべきもの、さらには命を守るもの。商品の説明をなんとなく鵜呑みにせず、しっかりと特徴を理解してご自身に合ったお買い物をしてくださいね。

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YAMA HACK編集部
YAMA HACK編集部

YAMA HACK運営&記事編集担当。登山をきっかけに自然の力に魅了される。山で飲むコーヒーが大好き。何かあれば必ず山に行き、心身共に整える。山について新しい視点を与えられるような記事作りを心がけて日々執筆活動を行う。

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