なんとなく…雰囲気で理解してる“つもり”!?

今回は登山用品の商品説明に出てくる、“わかっているようでちゃんとわかっていない”かもしれない言葉たちを、アウトドアメーカー出身の編集部員が解説していきます!
①防水性

例えばウェアの場合、登山シーンでは『強い雨に打たれる』ことはあっても、プールに入るように『完全に水に浸かる』ということはほぼありません。そのため「防水性がある」という説明の多くは『雨に打たれてもOK、ただしずっと水に浸かっていると滲みてきてアウト』と考えましょう。(でもそんなシーンはないので特別意識しなくてもOKです)

一般的なビニール傘で耐水圧250mm程度と言われていますが、普段使用していて傘の内側に雨が侵入してくることはありませんよね。登山用レインウェアは、耐水圧が10,000mmや20,000mといったものがほとんど。この数字からも、レインウェアは雨の日に使用するのに心配がないことがわかります。
②完全防水

・生地自体が防水
・かつ、縫い目も防水処理をしてある
この2つの条件が揃って一般的に“完全防水”と言います。生地がGORE-TEX®でも縫い目処理してなかったら、それは完全防水とは言えません。
ちなみに、縫い目のことを『シーム』とも呼びます。登山用のアウターウェアにおいては防水性があるのはもはや当たり前なので、『完全防水と言えるか言えないか』を意識して商品選びをしてみるといいかもしれません。
①の防水性は、この縫い目処理を施しておらず単純に生地の防水機能がある場合にも「防水性がある」といった言い方をします。
③耐水性・撥水性

例えば表面に撥水加工をしてあるウィンドブレーカーで、雨粒がコロコロと玉になって転がるのを見たことがある方もいるかと思います。しかしその玉を指で押すと、一瞬で水分が生地に吸収されてしまいます。これが耐水性があり防水性はないウェアの特徴です。
リップストップという丈夫なナイロン生地、ポリエステルなどの化学繊維の表面に撥水処理を施してある場合が多いです。
④透湿性

ただし、風などの空気は気体なので通しません。つまり防風性も兼ね備えていると言えます。
⑤通気性

⑥防風性

風を通さない=空気を通さない=通気性がないということなので、防風性⇔透湿性はよくセットで登場します。
GORE-TEX®をはじめとした防水のメンブレン(膜)は、基本的に通気性がない(風を通さない)ので「防風性がある」と言えます。
⑦速乾性

読んで字の如く、「すぐ乾く」という機能のみを指す場合は「速乾性」、「汗を吸ってすぐ乾く」という機能をまとめて言う場合は「吸水速乾性」です。
⑧吸水速乾性・吸汗速乾性

例えば、タオルなどは「吸水速乾性」を使うメーカーが多いかもしれませんが、登山のアンダーウェアなら確実に肌の汗を吸って乾かす機能があるのは明らかなので「吸汗速乾性」とあえて言ったりします。
⑨吸湿性

汗をダラダラかくほどではないけれども、やや暑さを感じ始める気温の日には、吸湿性に優れている生地が活躍してくれますよ。逆にものすごく暑い日は、透湿性のあるものが◎です。
⑩調湿性
これは何かの機能というよりは、現象を指した言葉です。「ウールの吸湿性により、肌面にこもっていたムレが軽減されて快適な衣服環境になった。」
これをひっくるめて「ウールは調湿性がある」といった言い方をします。
⑪耐久撥水加工

これは洗濯100回後の撥水度によって決まるもので多くのメーカーが採用していますが、近年この加工に使用していた撥水ポリマーが環境に悪影響な成分だということで、代替の成分を使用しはじめているメーカーも多いよう。(元のものより撥水度は少し落ちるそうです、それでも私たちにはわからないレベルですが)
⑫耐水圧

登山者にお馴染みのGORE-TEX®は、その昔、耐水圧40,000mmとまことしやかにささやかれていましたが、現在は数値を公表していません。
⑬保水性

⑭疎水性

PPは話題のドライインナーなどのベースレイヤーで使われていたり、お店で買い物をした時にもらう事の多い不織布にも使用されています。
はっきり機能を理解しよう

登山のウェアやギアは、長時間歩く上で快適さを提供してくれるべきもの、さらには命を守るもの。商品の説明をなんとなく鵜呑みにせず、しっかりと特徴を理解してご自身に合ったお買い物をしてくださいね。