おいしい山ごはんは食べたいけれど、荷物になるのはちょっと…
あなたは山ごはんへのこだわり、何かありますか? 「素敵な山ごはんを作りたい気持ちは山々だけど、食材をいろいろ持っていったり、調理をするのがどうしても面倒…。そして何より荷物が重くなるのが嫌。」そんな人もいるのではないでしょうか。編集部員Oもその一人。だいたい即席ごはんにお世話になっています。そんなとき、「コレめっちゃ軽くて使えるよ!」と山仲間が教えてくれたものがありました。
それがこちら、乾燥野菜。どうやら『簡単』『おいしい』『超軽量』の三拍子揃った食材のようなんです。正直「ふ~ん」くらいにしか思わなかったのですが…。山仲間がかなり力説しており、せっかく教えてくれた好意を無にしないためにも、真相を確かめるべく乾燥野菜を作ってみることにしました。
乾燥野菜作りにチャレンジ!
乾燥野菜はとにかく野菜を干すだけで作れるとのこと。
まずは野菜を干すためのネットを用意
ネットにも種類が多く、2~3段になっていたり、丸や四角など形も様々。悩んだ末、こちらの丸型のネットにしてみました。
おうちで干し野菜 バスケット
開封するとこのような仕様。野菜を乗せるマットもついています。
吊るしてみると、意外と大きい! たくさん野菜を並べられそうです。
野菜を好みの大きさに切る
基本的にはどんな野菜でも干し野菜にできるよう。水分が多いきゅうりやトマトも大丈夫だというから驚きです。切り方や厚みは好みもありますが、乾燥野菜を使って作りたい料理に合った切り方がベター。山ごはんに使うとなると、できるだけ早く火が通る方が良いので、人参やれんこんなど硬めの野菜は2~3mmと薄く、えりんぎは4分割、ミニトマトは半分にしてみました。
ベランダで天日干し
どのくらい干すかというと、2~3時間だけでも1~3日でも、好みでOK。干し加減に決まりはないのだとか。半干しの状態でそのまま料理に使っても良し、完全に乾燥させて保存食にするのも良し。山行の予定がしばらく先の場合は、しっかり乾燥させるのが◎です。
1日目
仕事へ行く前にベランダに出し、帰宅後に家の中へ。1日干した結果、レンコンと人参、ナスは乾燥してだいぶ硬くなりました。きのこ類はまだ柔らかい部分があり、ミニトマトとピーマン、たまねぎはまだまだといった様子です。
2日目
2日経過した時点で、ミニトマト、ピーマン、たまねぎ以外はすっかり乾燥しました。水分の多いミニトマトは時間がかかりそうです。
3日目
丸3日干して、ようやく完成! 梅雨など湿気の多い時期はより日数がかかりそうです。元々の大きさからだいぶ縮こまり、見た目はちょっぴり貧相…。でも、かなり軽く、登山にぴったりという手応えありです! 実際に重さを計測してみると…
生野菜のときは全部で321g。干し野菜になると…
なんと45g、もとの重さの約7分の1になったではありませんか! しかもカサが減って、小さく持ち運べるのはありがたいですね。野菜を切ってベランダに干しただけ、こんな簡単に干し野菜が作れると分かれば、俄然、山ごはん作りへの意欲が湧いてくるのではないでしょうか。
しかし、乾燥野菜が完成しただけでは山ごはんが成功するとは限りません。乾燥野菜の軽さはよく分かりましたが、調理のしやすさはどうなのでしょうか?
乾燥野菜の使い勝手を定番のカレーで検証!
乾燥野菜の調理のしやすさを図るため、山ごはんの定番の1つであるカレーを作ってみたいと思います。
山にぴったりのカレールーがある!
ここで、登山におすすめのルーをご紹介。個包装になっている粉末タイプは、小さくて軽いので山へ持っていくのにとても便利です。1袋が2皿分と使い切りやすい量も◎。
乾燥野菜とルーを合わせても83gと超軽量。いつも山で食べているレトルトカレーと比べてみると…
約25gも軽いんです! 乾燥野菜の方は作る時に水が必要にはなりますが、こんなに野菜たっぷりでこの重量は、レトルトでは叶わない数値です。
通常のカレー作りと同じ手順で調理開始
①乾燥野菜を炒める
山での調理を想定し、油は使わず炒めてみました。
縮こまっていた乾燥野菜がややふっくらとしてきましたよ。
②一通り乾燥野菜に火が通ったら水を入れて煮込む
カレー粉1袋で水400mlです。
15分程煮込むと、乾燥野菜が大きくなってきました。
③カレールーを投入して、さらに煮込む
はい、できあがり~! 市販のルーで作るカレーほど簡単なものはないですね。しかし、今回肝心なのは乾燥野菜。はたして生野菜のような状態に戻っているのでしょうか?
【実食】気になる乾燥野菜の状態は!?
そんなに期待していなかったのですが、お、おいしい! 硬いままだったらどうしよう…なんて心配は無用でした。野菜たちは乾燥から解き放たれて本来の姿に。生野菜から作ったときとやや異なっていたのは人参。煮込む時間によって変わるかもしれませんが、切り干し大根に近い、シャキシャキとした歯ごたえがありました。唯一の失敗は、薄く切りすぎたナスがとろけてしまい、消えてなくなってしまったことでしょうか…。
乾燥野菜にはいいところだらけ! カレーやスープ、炒め物にとマルチに活躍!
好きな野菜を切って干すだけで手軽に作ることができるのはもちろん、調理に特段の手間もかからずおいしい! 乾燥野菜はなんともできた子だということが分かりました。こんなに軽量でコンパクトに持ち運べる乾燥野菜を山ごはんに使わない手はありません。
しかも、天日干しをした野菜には「保存が効く」「旨味が凝縮する」「栄養価が高まる」といった、たくさんのメリットがあると言われています。ウルトラライトな装備が注目されている今、昔ながらの知恵が詰まった乾燥野菜こそ、登山の荷物軽量化の最前線なのでは!? ぜひみなさんも乾燥野菜を作って、山へ持っていってみてはいかがでしょう。