塩見岳(しおみだけ)ってどんな山?
標高 | 山頂所在地 | 山系 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
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3047m | 長野県伊那市・静岡県静岡市葵区 | 南アルプス | 14.5℃ | 1.1℃ |
長野県伊那市と静岡県静岡市葵区にまたがる標高3047 mの「塩見岳」。山名は諸説ありますが、山頂から太平洋が見えるため「汐(しお)の見える山」という説から名付けられたといわれています。南アルプス国立公園内に属している日本百名山のひと。
北岳、間ノ岳といった北域のピーク群と荒川岳、赤石岳など南域のピーク群のいずれとも離れてるため、遠方から眺めると独立峰のように見える美しい山容が特徴的です。
塩見岳の魅力
塩見岳の最大魅力といえば、なんといっても山頂からの眺望!塩見岳は南アルプスのほぼ中央に位置しているため、北アルプスや中央アルプス、そして北アルプスから見るよりも大きな富士山の絶景を楽しむことができます。
また、山の上部のハイマツ帯にはクロユリやイワウメといった沢山の高山植物が群生しており、色とりどりの植物を見ることができるのも楽しみのひと。運がよければライチョウに出会えるかもしれません。
塩見岳の登山適期は?
塩見岳は6月~10月が登山適期で、この時期には多くの高山植物を見ることができます。紅葉シーズンは例年9月中旬から10月中旬頃。
地図も必ずチェック!山と高原地図 塩見・赤石・聖岳
登山地図の定番といえばコレ!マップ詳細はもちろん、バスやマイカーでのアクセスにも便利!
塩見岳での注意点
塩見岳の天気
塩見岳に行く前に現地の天気をこちらでCHECK!
【重要】塩見岳の登山コースとアクセス方法
塩見新道に向かう市道三峰川線は崩落の影響で杉島岩入より一般車は入れません。また、塩川ルートも崩落の影響で現在通行禁止となっています。登山前に必ず観光協会や行政の最新情報をご確認ください。
①一般的なコース「鳥倉ルート」
鳥倉登山口から三伏峠、三伏山、本谷山を経て登る、最も人気のある定番のコース。鳥倉登山口へのアクセスは、7~8月の一部期間のみバスが出ています。自家用車の場合は登山口手前の駐車場に停め、鳥倉登山口まで約50分歩きます。
②アクセス難コース「塩見新道」
塩見岳の北西、三峰川林道から塩見新道沿いに登り、塩見小屋の手前で鳥倉ルートと合流するコース。登山道だけで言えば最短コースなのですが、三峰川林道での落石事故の影響で通行止めとなっており、駐車場から登山口のある大黒沢出合まで20km以上の林道を歩く必要があります。マウンテンバイクなどを持参してアクセスする方もいるようですが、あまり登られていないルートです。
③上級者向けコース「蝙蝠尾根(こうもりおね)」
塩見岳の南東、二軒小屋ロッジの近くにある蝙蝠岳登山口から蝙蝠岳を経て登るコース。コース距離が長いため(二軒小屋ロッヂから塩見小屋まで約11時間弱)上級者向けです。さらに、二軒小屋ロッジまでのアクセスは、周辺道路が一般車両通行禁止のため、二軒小屋ロッヂ宿泊者のみ利用できる送迎バスに限られます。コース距離とアクセス方法を考えると日数に余裕がないと難しいコースです。
④通行禁止ルート「塩川コース」
塩見岳の西側、塩川小屋から登り三伏峠の手前で鳥倉ルートと合流するコース。2018年時点、道路崩落のため通行止め(徒歩での通行もできません)となっています。そのため、塩川小屋も休業しています。
「鳥倉ルート」での1泊2日コース
最高点の標高: 2987 m
最低点の標高: 1810 m
累積標高(上り): 3595 m
累積標高(下り): -3595 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:14時間2分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
スタート地点の登山口には仮設トイレと登山届ポストがあります。夏山シーズンに限り、1日2便のバスが運行されていますが、車の場合は、鳥倉林道ゲートにある駐車場を利用して登山口まで林道を約50分歩きます。
登り始めはカラマツの樹林帯を歩きます。三伏峠までの道中には標識が「1/10」単位で設置されていますので、目印と目安になります。
三伏峠は日本最高所(標高2,580m)の峠とされ、三伏峠小屋は宿泊(要予約)とテント場の利用ができ、荷物をデポするサービス(有料)もあるので、こちらからのピストンも可能です。
三伏山から本谷山まではアップダウンが続きます。塩見小屋の直下の急登を登りきると1日目の目的地、塩見小屋に到着します。
2日目:大パノラマの塩見岳山頂へ
塩見小屋(80分)→塩見岳(50分)→塩見小屋(120分)→本谷山(75分)→三伏峠(25分)→塩川ルート分岐(60分)→豊口山間のコル(50分)→鳥倉登山口
塩見岳直下は岩場が続きますが、鎖場やハシゴなどが出てくるほどの危険個所ではありません。岩場を通過する際には、落石を発生させないように注意して進みましょう。
直下の険しい岩場を超えるととようやく山頂です!塩見岳西峰は3047mで、晴れていれば360°見渡す限り絶景が広がります。南アルプスの中心から眺めるこの光景は一見の価値ありです。
西峰から歩くこと5分程度で塩見岳東峰に到着します。東峰は3052mと、西峰より5m高いのですが、三角点は西峰に設置されているため、西峰の標高が塩見岳の標高とされているのです。
雲海の奥に見える富士山は何とも言えない神秘的な光景です。山頂に長居したいところですが、バスを利用する場合には下山にかかる時間を考慮し、余裕を持つように心がけましょう。帰りは来た道を引き返しますが、岩場を通過するので足場に注意しながら慎重に下山しましょう。
塩見岳の山小屋情報
ここでは、道中にある三伏峠小屋と塩見小屋を紹介します。どちらも人気の山小屋なので、ハイシーズンには事前に宿泊予約の確認をしましょう。
三伏峠小屋
標高2580m、日本で最も標高の高い峠にある三伏峠小屋。清潔感あふれる水洗トイレや荷物預かりなどの嬉しいサービスもあります。
塩見小屋
2016年にリニューアルオープン。新たに宿泊棟ができ、テント場がなくなったので要注意です。
登山口へのアクセス・駐車場情報
公共交通機関を利用する場合には運行期間と便数を確認しましょう。自家用車の場合には駐車場が登山口と異なりますので注意してください。
鳥倉登山口(鳥倉林道ゲート駐車場)
【車の場合(東京から)】
首都高速4号新宿線→中央自動車道→松川IC→県道59号→県道22号→国道152号→鳥倉林道→鳥倉林道ゲート駐車場
※駐車場から登山口までは徒歩約50分
【高速バスの場合(東京から)】
竹橋駅または八王子駅→あるぺん号 「南アルプス/伊那大島(鳥倉林道)」(要予約・季節運行)→JR伊那大島駅(タクシー)→鳥倉登山口
あるぺん号 南アルプス(鳥倉林道ゲート)
【バスの場合】
JR飯田線伊那大島駅→伊那バス→鳥倉登山口 ※運行期間が7月~8月のみ
南アルプスの中心から絶景を
アクセスが難しいなどの理由から、なかなか塩見岳に登れていない方も多いのではないでしょうか。1泊2日であれば無理なく登頂を狙うことも可能なので、南アルプスから見渡せる絶景を求めて、この夏に挑戦してみてはいかがでしょうか。