荒川三山の頂”悪沢岳”の魅力とは?
標高 | 山頂所在地 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
---|---|---|---|
3141m | 静岡県静岡市葵区、長野県下伊那郡大鹿村 | 13.5℃ | 0.5℃ |
南アルプスの最深部に位置する荒川三山。その一つが日本百名山にも選ばれている東岳、通称 悪沢岳です。山から続く谷がとても急なため、猟師たちに「悪沢」と呼ばれたことに由来すると言われています。標高3,141mは荒川三山の最高峰であり、日本でも6番目の高さです。
悪沢岳の難易度は?
「信州 山のグレーディング」によると、悪沢岳は難易度D(地図読み能力、岩場、雪渓を安定して通過できるバランス能力、ルートファインディングの技術が必要)、体力度9で2泊~3泊以上が適当な山となっています。天候により難易度は変わりますので、自分の技術度や体力に合った登山計画を立てましょう。
十数種類の花々が広がる百花繚乱の景色
荒川三山が位置する南アルプスでは、北アルプスでみられるような単一の植物の花畑ではなく、複数種類の高山植物を見ることが出来るのが特徴です。特に、荒川前岳の斜面に広がる花畑は圧巻で、シナノキンバイやハクサンイチゲなど、色とりどりの植物が登山者たちを楽しませてくれます。
地図と天気も必ずチェック!山と高原地図 塩見・明石・聖岳
登山地図の定番といえばコレ!マップ詳細はもちろん、バスやマイカーでのアクセスにも便利!
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【1】定番の千枚岳~悪沢岳~赤石岳周回コース(2泊3日)
最初に、悪沢岳と隣接する赤石岳を2泊3日で縦走するコースをご紹介します。
悪沢岳登山口 椹島(さわらじま)へのアクセス
登山口までは、近くの駐車場から専用のバスで向かいます。
①まず、畑薙夏季臨時駐車場まで、自家用車やバスで行く
②そこから、東海フォレストバスで椹島まで行く(約1時間)
※東海フォレストバスを利用するには指定の宿泊施設に宿泊が必要ですので事前確認を忘れずに。
東海フォレスト送迎に関する情報はこちら
畑薙夏季臨時駐車場へのアクセス
【車の場合】
▼東京方面から
東名高速道路、新東名高速道路を経て、高速新静岡ICで降り、県道27号線方面に進む。
県道60号線まで、県道27号と189号線を進む。
▼大阪・名古屋方面から
阪神高速11号線、名神高速道路、新名神高速道路、東名阪自動車道、伊勢湾岸自動車道、新東名高速道路を進み、高速島田金谷ICで高速道路を降りて、国道473号線を進む。
県道63号線、県道77号線、県道362号線、県道388号線に入って、静岡市田代の県道60号線に向かう。
<駐車場>
▼畑薙夏季臨時駐車場(7月中旬~10月中旬)
駐車可能数:150台
【バスの場合】
▼東京方面から
竹橋駅もしくは京王八王子駅から[毎日アルペン号 畑薙ダム・井川方面]に乗車し、畑薙夏季臨時駐車場で下車
毎日アルペン号に関する情報はこちら
【電車の場合】
▼東京方面から
東京駅[東海道新幹線]⇒静岡駅[路線バス⇒畑薙第一ダム
▼大阪方面から
新大阪駅[東海道新幹線]⇒静岡駅[路線バス⇒畑薙第一ダム
畑薙夏季臨時駐車場へのアクセス情報はこちら
最高点の標高: 3112 m
最低点の標高: 1136 m
累積標高(上り): 6139 m
累積標高(下り): -6139 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 2泊3日
- コースタイム:21時間12分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
【1日目】椹島(150分)→小石下(80分)→清水平(60分)→見晴台(70分)→駒鳥池(45分)→千枚小屋
駐車場からバスで一時間ほどで椹島ロッヂに到着。そこから、椹島ロッヂの脇から林道を歩いて登山口へ向かいます。分岐があるので千枚岳方面に進みましょう。
登山口を過ぎるとすぐに吊り橋があり、この吊り橋を渡るといよいよ悪沢岳に向けての登山道の始まりです。しばらくは、樹林帯の中の急な登りが続きます。
足元には、緑の苔に美しく覆われた切り株が見られます。見晴台や駒鳥池で休憩をしつつ、引き続き樹林帯の緑の景色の中を進みましょう。
1日目は千枚小屋に宿泊となります。
【2日目】千枚小屋(55分)→千枚岳(60分)→丸山(40分)→悪沢岳(80分)→中岳(75分)荒川小屋
2日目は、まず千枚岳の山頂を目指します。山頂からは、赤石岳など隣接する山々を臨むことができるので、雄大な景色を楽しんでください。はしごなども整備されていますが、道は岩場が多いため気を付けて進みましょう。
千枚岳山頂から丸山を経ると、いよいよ悪沢岳(東岳)山頂です。山頂に近づくにつれ、再び大きな岩の上を歩くような岩場になります。足下の登山道の目印を見落とさないよう気を付けましょう。
天気の良い日は南アルプスの山々はもちろん、槍ヶ岳や、八ヶ岳なども見ることが出来ますので、存分にアルプスの景色を楽しんでください。
悪沢岳での景色を楽しんだら、荒川三山最後の頂上である前岳を目指します。悪沢岳頂上から少し下ったら、細かいザレた登山道を登り返します。振り返ると、悪沢岳から続く稜線の迫力ある景色を見ることができます。
荒川三山の付近には、南アルプス最大級の花畑が広がります。荒川小屋に向かう途中には雄大なカールも広がっており、可憐な花々が登山者を楽しませてくれるでしょう。日常ではなかなか目にすることが出来ない景色ですので、ゆっくりと楽しんでください。
2日目は荒川小屋に宿泊となります。
【3日目】荒川小屋(105分)→小赤石岳の肩(65分)→赤石岳(70分)→砲台型休憩所(85分)赤石小屋(225分)→椹島
3日目は荒川小屋から出発です。見晴らしのいい、ハイマツに覆われた登山道を進みます。勾配の緩やかな、比較的歩きやすい登山道ですので、標高3000m付近の空中散歩を楽しみましょう!
山頂手前の石の急登を登りきると、赤石岳山頂に到着です。天気が良ければ、赤石岳山頂から富士山を望むこともできます。
山頂での景色を楽しんだら、椹島に向けてカール地形を下って行きます。危険な場所には梯子などが整備されていますが、足下に注意して進みましょう。
【2】土日で登りたい方はピストンコースがオススメ(1泊2日)
悪沢岳山頂だけでしたら、日帰りで向かうことも可能です。先の周回コースのうち、椹島から悪沢岳山頂の間を往復することになります。時間がなかなか取れない方には、こちらもおススメです。
最高点の標高: 3110 m
最低点の標高: 1136 m
累積標高(上り): 4711 m
累積標高(下り): -4711 m
- 【体力レベル】★★★★☆
- 1泊2日
- コースタイム:16時間37分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
【1日目】椹島(150分)→小石下(80分)→清水平(60分)→見晴台(70分)→駒鳥池(45分)→千枚小屋
【2日目】千枚小屋(55分)→千枚岳(60分)→丸山(40分)→悪沢岳(65分)→千枚岳(40分)→千枚小屋(85分)→見晴台(100分)→小石下(100分)→椹島
6つの山小屋情報
荒川三山付近にはいくつかの山小屋があります。周回コースの場合は、全ての小屋に立ち寄ることになります。冬期も無料開放されている小屋が多いので、自身の体力やスケジュールに応じて利用しましょう。なお、夏季は山小屋、避難小屋ともに1名利用でも事前予約が必要な期間があり、10名以上で利用の場合は必ず予約が必要です。
①椹島ロッヂ
場所:畑薙第一ダムより専用バスにて約1時間
電話番号:0547-46-4717(東海フォレスト)
営業期間:4月下旬~ 11月上旬
利用料金:1泊2食\9,000
テント場:有
テント場料金:\1,000
②千枚小屋
場所:椹島方面より千枚岳山頂約1時間ほど手前、悪沢岳稜線上
電話番号:0547-46-4717(東海フォレスト)
営業期間:7月上旬~10月中旬
利用料金:1泊2食\8,000、素泊まり\4,500
テント場:無
③中岳避難小屋
場所:中岳の頂上すぐ下
電話番号:0547-46-4717(東海フォレスト)
営業期間:7月中旬~9月下旬
利用料金:素泊まり\5,500
テント場:無
④荒川小屋
場所:荒川三山前だけと小赤石岳の中間地点
電話番号:0547-46-4717(東海フォレスト)
営業期間:7月中旬~10月上旬
利用料金:1泊2食\9,000 、素泊\5,500
テント場:有
テント場料金:\600
⑤赤石岳避難小屋
場所:赤石岳山頂すぐ下
電話番号:0547-46-4717(東海フォレスト)
営業期間:7月中旬~9月下旬
利用料金:素泊\5,500
テント場:無
⑥赤石小屋
場所:椹島と赤石岳の中間地点
電話番号:0547-46-4717(東海フォレスト)
営業期間:7月中旬~10月中旬
利用料金:1泊2食\9,000、素泊り\5,500
テント場:有
テント場料金:\600
今年の夏は、南アルプスに広がる花畑へ!
悪沢岳を含む荒川三山は、決して容易なコースではありませんが、夏の登山シーズンは小屋などの設備も整っているので、しっかりとした装備の準備と、経験を積めば挑戦することが出来る山域です。
南アルプスの奥地に広がる雄大な景色とお花畑。今年の夏は、非日常の世界を楽しみに行ってみませんか!?
【登山時の注意点】
・登山にはしっかりとした装備と充分なトレーニングをしたうえで入山して下さい。足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など。
・登山路も複数あり分岐も多くあるので地図・コンパスも必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合わせた無理のない計画を立てて登山を楽しんで下さい。