『雨飾山(あまかざりやま)』とは?
標高 | 山頂所在地 | 最高気温 (6月-8月) | 最低気温 (6月-8月) |
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1,963.2m | 新潟県糸魚川市 長野県北安曇郡小谷村 | 21.1℃ | 6℃ |
長野県北部の小谷村と新潟県糸魚川市の境に位置する標高1,963mの山で、日本百名山に数えられています。「猫の耳」と呼ばれる2つの山頂を持った双耳峰の山容が特徴的で、山名の由来は山頂で祭壇を祀って雨乞いの祈願をしたことから。古くは「あらすげ山」との名前でも呼ばれていました。
日本海に近く、天候が良ければ360度の展望を持つ山頂から望むこともできます。南の小谷と北の糸魚川の両側から主要な登山道が延び、どちらも麓で「山のいで湯」が湧いています。
雨飾山の登山適期は?
雨飾山の登山適期は6月中旬~10月下旬頃です。特に紅葉シーズンは登山者で混み合い、6月上旬近くだと残雪がある場合もあります。
シーズン時には美しい新緑のブナの原生林の中を歩けます!天気が良い日は木漏れ日がとても気持ち良いですよ。
雨飾山は花の百名山に数えられています。夏季になると山頂付近ではキリンソウ、ハクサンフウロなど色とりどりの高山植物を目にできます。
冬季はかなりの積雪があります。例年11月上旬~4月中旬頃までが冬季シーズンとなります。
また、4月下旬~5月下旬にかけての時期は雪渓などが見られる残雪期となります。登る際は必ずアイゼンなどを携帯し装備を整えてから登りましょう。
秋は雨飾山の紅葉を見に多くの登山客が訪れます。雨飾山の登山道にはブナが多く、秋には見事な紅葉を見せてくれることで知られているからです。
色付き始めは10月初旬で、中頃には見頃を迎えます。さらに下旬になると紅葉は麓近辺まで降り、山頂が冠雪して綺麗な三段紅葉も見られますよ!
雨飾山の天気や地図も必ずチェック!
雨飾山に行く前に現地の天気を調べましょう。自分が登るルートも地図を用意して確認し、安全な登山を心がけてください。
神の山『雨飾山』の見どころは?
五穀豊穣を願い、集落を守る神の山として麓の人々から慕われ敬われてきた雨飾山。ここでは、そんな雨飾山の魅力的な見どころポイントについて紹介します。2,000mに満たない山でも、アルプスに負けず劣らずの素晴らしい眺望や美しく豊かな自然に出会えますよ!
山頂から眺める圧巻の景色!
雨飾山の魅力は、まず何といっても360度の大パノラマが広がる山頂からの景色!眼前には登ってきた笹平や東隣りにそびえる百名山の火打山や三百名山の焼山、南西側には白馬岳など北アルプスの山並みや中央アルプス、そして北側へ目を向ければ日本海とさらに遠くには佐渡島まで見渡せます。
白肌がきれいな布団菱(フトンビシ)
布団菱とは、雨飾山東側の山頂直下から流れる荒管沢の奥壁にあたる巨大な白い岩壁のこと。秋には周囲の木々が見事な紅葉で彩られ、白の岩壁が紅葉の中に浮かび美しい姿を見せてくれます。
現在登山道は布団菱の東を巻く形で山頂へ延びていますが、日本百名山を記した深田久弥はこの布団菱を直登したといわれています。
水面に映りこむ絶景!鎌池・鉈池(ナタイケ)
小谷側の登山道から少し逸れた標高1,190m地点には、紅葉の名所として名高い鎌池と、隣に小さな鉈池があります。水面に紅葉した木々が映る景色は絶景で、遊歩道も整備されて1周1時間ほどで歩けます。車でも近くまで登ってこられるので、登山をしなくても見に来られますよ。
今日はどのコースで登る?日帰りコース3選
ここでは雨飾山の登山コースについて紹介します。最もよく登られているのは、雨飾山南側の麓の雨飾高原キャンプ場を登山口とするコース。紅葉の時期は混雑するほどの人気ぶり!
紹介する3つのコースは山頂で合流するので、組み合わせて登りと下りを別コースで歩くのも良いですよ。どのコースも距離が長いので、前泊するのもおすすめ。
日帰り定番コース!迫力ある布団菱や山頂からの大パノラマが絶景
最高点の標高: 1895 m
最低点の標高: 1151 m
累積標高(上り): 1578 m
累積標高(下り): -1578 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:7時間5分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
雨飾高原バス停から1時間ほど車道を歩き、雨飾高原キャンプ場へ。ここが登山口となります。駐車場があるので、マイカーの人はここまで一気に車で来られます。
序盤は木道がかけられた湿地帯を歩き、尾根に取りついた後、広大なブナの林の中を登っていきます。紅葉の季節は黄や橙に彩られ、まるで絵画の中にいるよう。
布団菱から東へ延びる尾根を越えたら視界が開け、布団菱が見えてきます。荒菅沢を越える手前に布団菱を見上げる観望ポイントがあります。紅葉の時期は見ごたえあり!
荒菅沢の渡渉。増水時や残雪時は注意しましょう。
荒菅沢を越えると垂直にちかい岩壁に掛かる梯子やガレ場、ロープが設置された急登箇所が出てきてコースの雰囲気がガラリと変わります。
笹平からは遠くに日本海を望むことができます。笹平から山頂までおよそ2、30分。背丈ほどもある笹原を登っていきます。
山頂から笹平を見ると、歩いてきた登山道の線が女性の横顔に見えることから、「雨飾りの乙女」と称されています。
双耳峰の山頂。北峰には石仏が並び祠が鎮座、南峰には三角点があります。両峰の距離はとても近く、人の姿が視認できます。
また、美しい日本海も見渡すことができます。
木々のトンネルを抜けた先に稜線が!雨飾温泉から急登コース
最高点の標高: 1895 m
最低点の標高: 858 m
累積標高(上り): 2003 m
累積標高(下り): -2003 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:7時間30分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
急坂で狭めな登山道や、ロープのある岩場やハシゴなど体力を必要とする場面が多く出てきます。雨後は滑りやすくなっている箇所も多いため、最新の注意を払って進みましょう。
雨飾山の北へ延びる薬師尾根を登っていきます。そこそこの急登が続き、展望はあまりありません。
このコースでは、雨飾山の北にそびえる駒ヶ岳や鋸岳の連なりがはっきりと見えます。
道中、ロープ場やハシゴもあり。「一ぷく処」と書かれた標識を過ぎたあたりで切れ落ちたザレ場の箇所があります。気を付けて歩きましょう。
沢や岩場、はしご場など多彩な登山道が楽しい大網コース
最高点の標高: 1900 m
最低点の標高: 895 m
累積標高(上り): 1655 m
累積標高(下り): -1655 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:7時間
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
人通りが少ない登山道のため、静かに歩くことができます。山頂まで分岐はありませんが、渡渉や転落すると危ないガレ場などがあります。危険箇所を把握してから登山に臨んでください。
スタートしてしばらくすると前沢を渡渉します。
登山道には見事なブナ林が広がっており、秋には一面黄色に紅葉して幻想的な風景に。この大網コースは混雑するシーズンでも比較的少なめで、静かな山行が期待できます。
西尾根に出ると景色が見渡せ、楽しい稜線歩きが待っています。側面が切り落ちたガレ場があるので注意が必要です。特に視界が不明瞭なときは要注意。
登山の後はやっぱり温泉!山小屋・温泉情報
雨飾山の主要登山道である長野県側(小谷)と新潟県側の両麓では温泉が湧いており、宿泊や日帰り入浴可能な温泉宿があります。登山後に立ち寄って是非汗を流してくださいね!また、前夜泊などの拠点として利用もできるキャンプ場などもあります。
雨飾山荘(雨飾温泉)
雨飾山北側の麓に位置する混浴露天風呂ありの温泉で、宿泊・日帰り入浴どちらでも利用が可能です。登山シーズンに営業しており、冬季は休業しています。山奥の秘湯といった風情で、海が近いことから料理には日本海の幸を使ったものも出てきます。ただし、TV無し、電波圏外、21時には消灯する「山小屋」で、温泉旅館ではないことに留意。
雨飾荘
雨飾山荘と名前が似ていますが、こちらは長野県の小谷側、標高900mに位置する山荘で、源泉かけ流しを贅沢に満喫できる温泉宿です。内湯・露天風呂両方あり、宿泊でも日帰りでも入浴できます。泉質はナトリウム炭酸水素塩泉。徒歩3分の位置にはブナ原生林に覆われた雨飾高原露天風呂があり、雨飾山の自然を感じながらの入浴は極楽。紅葉シーズン時は多くの人が訪れ混雑が予想されるので、宿泊の場合は早めの予約を!
雨飾高原キャンプ場
雨飾山の小谷側登山口、標高1,200mの地点に位置するキャンプ場で、登山者専用のテントサイトをはじめ、オートキャンプサイトや源泉かけ流しの温泉もあります。他にも、3分100円の温水シャワー施設もあり、登山者にやさしいつくり。また、キャンプ用具のレンタルも行っており、中にはドラム缶風呂のレンタルもあります。
小谷温泉(山田旅館)
雨飾山南側の麓、標高850m付近に湧いている温泉で、武田信玄の家臣によって元湯が発見されたといわれ、その歴史は実に450年以上にもなります。古くから湯治場として利用された温泉でもあり、元湯、新湯、あつ湯と源泉は全部で3つ、すべて源泉かけ流し、飲泉での効能も期待できる良質の温泉です。昭和期は数軒の旅館が営業していましたが、現在では「大元湯 山田旅館」ただ1軒にて入浴できます。
雨飾高原露天風呂
雨飾荘が管理している野天湯です。入浴料金は協力金として幾らか支払うといった形で、特に金額は示されてはいません。ブナ林に囲まれた風情ある源泉かけ流しの露天風呂で、秋は紅葉を楽しみながら入れるところも魅力!ただ、夏場は虻など虫が煩わしいと感じる人もいる点は留意。男女別の湯船と脱衣所を備え、泉質はナトリウム炭酸水素塩泉となっています。
雨飾山ヘのアクセス方法は?
ここでは雨飾山の登山口へのアクセス方法について紹介します。紅葉シーズンは登山道が渋滞するほど多くの人が雨飾山を訪れるので、駐車場など混雑が予想されます。マイカーで訪れる人は注意して下さい。また、雨飾高原まで走る小谷村営バスは4月上旬~11月下旬の季節運行です。なお、バス利用の場合、雨飾高原バス停から雨飾山登山口までは1時間ほど歩く必要があります。
雨飾登山口
【クルマの場合】
上信越自動車道「長野」ICー県道35号ー国道19号ー県道31号ー県道33号ー国道148号ー県道375号ー県道505号ー県道114号ー雨飾高原駐車場
【公共交通機関の場合】
・長野新幹線「長野」駅下車、アルピコ交通特急バス「長野-白馬」行き乗車ー「栂池高原」下車、小谷村営バス乗車「雨飾高原方面」行き乗車ー「雨飾高原」下車ー雨飾登山口
・JR大糸線「南小谷」駅下車、小谷村営バス「雨飾高原方面」乗車―「雨飾高原」下車ー雨飾登山口
アルピコ交通|長野―白馬線小谷村|小谷村営バス
雨飾温泉登山口
【クルマの場合】
北陸自動車道「糸魚川」ICー国道148号/県道222号ー県道225号ー雨飾温泉駐車場
【公共交通機関の場合】
JR北陸新幹線「糸魚川」駅下車、糸魚川バス根知線「別所」行きバス乗車ー「山口」下車ー雨飾山荘登山口
糸魚川バス|路線図・時刻表
大網登山口
【クルマの場合】
上信越自動車道「長野」ICー県道35号ー国道19号ー県道31号ー県道33号ー国道148号ー県道375号ー県道505号ー大網登山口
【公共交通機関の場合】
JR大糸線「南小谷」駅下車ータクシーー大網登山口
登山と温泉が両方楽しめる雨飾山
山頂からの360度大パノラマが楽しめ、麓の温泉で汗を流せる雨飾山。特に紅葉の季節は登山道が渋滞するほどの盛況ぶりです。紅葉登山を楽しんで、木々に囲まれた露天風呂でくつろぐ、といった贅沢な登山も楽しめますよ。