両神山(りょうかみさん)とは
標高 | 山頂所在地 | 山域 | 最高気温(6月−8月) | 最低気温(6月−8月) |
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1,723m | 埼玉県秩父郡小鹿野町・ 秩父市 | 秩父山地 (奥秩父山地) | 20.9℃ | 7.6℃ |
「両神山」は埼玉県の西部に位置する山で、日本百名山のひとつ。ノコギリのような尾根と切り立った岩壁が特徴的で、古くから山岳信仰の場としても有名です。荒々しさと同時に、アカヤシオの花々や紅葉の美しさも特徴的。秩父に広がる山々の中でも、鎖場など登山の醍醐味を堪能できる山として人気があり、毎年多くの登山者が訪れます。
今回は多くの登山者から愛される「両神山」について、その魅力や日帰り登山コース、登山口アクセス、駐車場、温泉情報もご紹介します!
美しい彩りをみせる両神山
両神山は、秩父の大自然がみせる豊かな花々が魅力的。春が始まる3月下旬頃から少しずつ色づき初め、4月中旬~5月にはアカヤシオやミツバツツジの花が咲き誇ります。さらにGW頃から咲くニリンソウの美しさも幻想的。
また、秋には両神山をはじめ、秩父の山々が紅葉で色づいた景色は圧巻。展望のよい稜線から望む絶景を楽しみに、多くの登山客が訪れます。
切り立った岩壁の荒々しさを持つ両神山
両神山のもうひとつの特徴は、荒々しく迫力のある姿。ノコギリのようなギザギザの尾根、そして急峻な岩壁など多くの難所があります。とくに、七滝沢から先は鎖場が連続する難所で、滑落事故による遭難も少なくありません。両神山登山に訪れる前には、充分な準備と登山届の提出が必須です。
両神山の天気
雨で鎖場が濡れていると滑りやすくなります。事前に週間予報など天気情報をチェック!服装や装備を確認しておきましょう。てんきとくらす|両神山
両神山登山の人気シーズンは?
いちばん人気のシーズンは花に包まれる春
両神山の人気シーズン第1位は春。アカヤシオなどの花々が咲き始める4月頃より登山客が増え、5月は1年の中で最も多くの登山者が訪れます。
人気シーズン第2位は紅葉の秋
両神山の紅葉が色づきはじめる秋も大人気。紅葉シーズンの10月頃から登山者が増えはじめ、11月には一年で2番目に多く登山者が訪れます。
登山者が少ないシーズンは?
新緑が楽しめる6月前半は人気がありますが、夏になると日差しが強く気温が高いため、訪れる人が少なくなります。また、冬の積雪シーズンは、凍結による滑落や転倒事故の危険性が高く、訪れる人はほとんどいません。
両神山のおすすめ日帰り登山ルート
両神山の代表的登山ルートをご紹介します。各登山ルートの特徴や距離、時間、難易度をチェックしてみましょう。なお、作業道を通るルートもありましたが現在は通行止めとなっています。
1:八丁尾根登山コース|ダイナミックな岩壁が連続する高難度ルート
最高点の標高: 1678 m
最低点の標高: 1163 m
累積標高(上り): 1326 m
累積標高(下り): -1326 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間15分
- 【技術的難易度】★★★★☆
- ・岩場、雪渓を安定して通過できる技術が必要
・ルートファインディングの技術が必要
上落合登山口から登る八丁尾根登山コースは、ダイナミックな鎖場などの登る高難度ルート。そのため難易度も高く滑落事故数も多いため、登山技術・知識が必要です。
まずは上落合駐車場から登山口に入り、八丁峠まで約50分の登り。八丁峠を過ぎるといよいよ両神山登山の核心に突入。鎖場が現れはじめ、登山道を進むにつれ急峻な岩場が増えてきます。行蔵峠、西岳を過ぎ東岳を登り返しますが、高度感のある鎖場を何度も登るため緊張の連続です。
2:日向大谷登山ルート|鎖場など登山の楽しさを体感できるメインルート
最高点の標高: 1680 m
最低点の標高: 643 m
累積標高(上り): 2105 m
累積標高(下り): -2105 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
日向大谷登山口から両神山山頂を目指す代表的ルートで、「表登山道」または「表参道」とも呼ばれます。八丁尾根ルートと比べると鎖場が少ないため登りやすいでしょう。
3:白井差新道ルート|最短距離で両神山を目指す初級者向けルート
最高点の標高: 1684 m
最低点の標高: 641 m
累積標高(上り): 1810 m
累積標高(下り): -1810 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間25分
- 【技術的難易度】★★☆☆☆
- ・登山装備が必要
・登山経験、地図読み能力があることが望ましい
白井差新道ルートからを両神山山頂を目指す最短ルートで、行動時間や標高差が少ないのが特徴。登山道は整備され、初級者の方でも登りやすいルートとなっています。
白井差新道ルートは私有地のため、地権者の山中さんへ事前に電話予約が必要です。また、このルートはピストン(往復で同じ登山道を通ること)のみで、下山後に環境整備費1,000円が必要です。
白井差登山口に到着後、山中さんに連絡して駐車場へ。白井差新道ルートについて説明を受け、貸出用の登山ルート地図を受け取ります。登山道から緩やかな道を登り、透明度抜群の「昇竜の滝」に到着、さらに美しい渓谷を進みます。
両神山登山前に必ず登山届の提出を!
鎖場など難所が連続する両神山は、滑落や遭難などによる事故が多く発生しています。過去には遭難後に滑落し、14日後に救助される事例もありますが、登山届を提出していなかったのが救助までに時間がかかった原因と言われています。両神山登山の前には必ず登山届を提出して、家族や知人などに行動計画を共有しましょう。
埼玉県警察ホームページより、PC・スマートフォンからQRコードを利用してカンタンに登山届を提出できます。
埼玉県警察|登山届の提出
両神山登山口へのアクセス・駐車場情報
ご紹介した両神山登山口へのアクセス・駐車場の情報をご紹介します。
上落合橋登山口(八丁尾根ルート)
【クルマの場合】
・中央自動車道「勝沼」IC→フルーツライン→県道213号→国道140号→県道210号→上落合橋登山口駐車場(約62.2km、1時間30分)
・関越自動車道「花園」IC下車→国道299号→上落合橋登山口駐車場(約59km、1時間30分)
【公共交通の場合】
・秩父鉄道「三峰口」駅よりタクシーのみ(約33km、1時間)
秩父丸通タクシー
日向大谷登山口
【クルマの場合】
・関越自動車道「花園IC」下車→国道279号経由→日向大谷登山口駐車場(約43km、1時間7分)
【公共交通の場合】
・秩父鉄道「三峰口」駅→小鹿野町町営バス乗車→終点「日向大谷」下車(約48分)
小鹿野町 町営バス案内
白井差登山口
こちらの登山道は私有地を通るため、予約が必要です。
・事前に電話で予約が必要(連絡先:0494-79-0494)
・駐車場に到着後、手前の家に声をかけ駐車場へ誘導してもらう
・駐車料金は無料。下山後に環境整備料1,000円が別途必要
・車中泊不可
【クルマの場合】
・関越自動車「花園」IC→県道37号→県道367号経由→白井差登山口駐車場(約48.3km、1時間20分)
【公共交通の場合】
・秩父鉄道「三峰口」駅→小鹿野町町営バス乗車→「薬師の湯」下車・乗換→終点「白井差口」下車→登山口まで徒歩(約2.5km)
小鹿野町|町営バス
両神山周辺は温泉が充実!
両神山周辺は、秩父の良質な天然温泉を堪能できます。それぞれの登山口からアクセスしやすい温泉施設をピックアップしましたので、帰り道に寄って疲れた体を癒やしませんか。
みとみ笛吹の湯(上落合登山口・中央自動車道方面)
「みとみ笛吹の湯」は八丁尾根登山ルートを登る上落合登山口と中央自動車道の中間に位置する日帰り温泉施設。山梨県の公営施設で、源泉掛け流しの露天風呂も用意されています。利用料金がリーズナブルなのもポイント。
道の駅 両神温泉薬師の湯(上落合登山口・日向大谷登山口方面)
「道の駅 両神温泉薬師の湯」は豊かな自然の景色を眺めながら温泉に入れる日帰り入浴施設。小鹿野町の町営施設で、同じ施設内には農林産物直売所やそば打ち体験ができる施設もあります。両神山登山とあわせて観光にも最適。
道の駅 大滝温泉 遊湯館(白井差登山口・三峰口駅方面)
「道の駅大滝温泉 遊湯館」はヒノキ風呂や岩風呂の内湯やサウナでゆっくりと疲れを癒せる日帰り温泉施設。無料休憩スペースや食事処もあるので便利。道の駅内で地元特産品やお土産を購入して帰るのにも最適です。
両神山の魅力を体感しよう!
両神山は春はツツジ、秋は紅葉に色づいた美しい自然が楽しめ、急峻な岩壁を堪能できる山です。登山コースによって初心者から上級者まで楽しむことができ、多くの登山者から人気があります。日本百名山に選ばれた両神山の魅力を体感しに足を運んでみてください。