氷ノ山ってどんな山?
標高 | 山頂所在地 | 山域 | 最高気温(6月-8月) | 最低気温(6月-8月) |
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1510m | 兵庫県養父市・鳥取県八頭郡若桜町 | 中国山地東部 | 22.1℃ | 7.4℃ |
氷ノ山(ひょうのせん)は、兵庫県と鳥取県の県境にある山で、須賀ノ山とも呼ばれています。西日本で唯一の亜寒帯性湿生植物があり、「氷ノ山後山那岐山国定公園」に指定されている自然環境豊かな山で、中国地方では大山(1,712m)に次ぐ高さです。四季折々の姿が美しい氷ノ山ですが、特に田植え前の棚田に映る「逆さ氷ノ山」が有名です。山頂部はなだらかですが、西側の山腹は急傾斜して深い谷があり、滝も多く見られます。
氷ノ山の登山適期は?
夏の無雪期
雪が完全に融けて暖かくなる5月中旬から、雪が降る11月中旬までが登山適期です。年によって雪の状況は変わるのでチェックしてから出かけましょう。山頂付近は日陰があまりありません。天気が良い日は熱中症に注意しましょう。
冬の積雪期
12月から4月末頃までが積雪期です。アイゼン、ワカンなどの雪山装備が必要です。スキー場のリフトを利用して登山をする方も多く、天気の良い日は山頂の避難小屋が混雑することもあります。
地図も必ずチェック!山と高原地図 氷ノ山 鉢伏・神鍋
登山地図の定番といえばコレ!マップ詳細はもちろん、バスやマイカーでのアクセスにも便利!
氷ノ山の天気
氷ノ山に行く前に現地の天気をこちらでチェックしましょう。
※登山指数を参考に、天気予報や天気概況などの情報も検討したうえで登山計画を立てましょう
氷ノ山の見どころは?
母なる森と呼ばれる氷ノ山周辺は、自然環境が豊かで動植物も多く見られます。みどころをチェックして氷ノ山の魅力を存分に堪能しましょう。
日本の秘境百選にも選ばれる氷ノ山西麓
氷ノ山西麓にある瀞川渓谷は、「21世紀に残したい日本の自然100選」および「日本の秘境100選」に指定されています。原生林に覆われた秘境に登山道がつけられ、渓流と交差しながら滝や沢を楽しむことができます。少し足を延ばして散策してみましょう。
②ブナに育まれた自然が多く残る
氷ノ山には、西日本地域では他にない亜寒帯性湿生植物が残存し、山腹にはブナの自然林が多く残っています。優れた自然環境に恵まれており、国の天然記念物イヌワシやツキノワグマ、クマタカなどが生息しています。イヌワシはスキー場の柱などにとまっていることもあるので探してみましょう。
③氷ノ山は紅葉も絶景!
氷ノ山の山頂から裾野にかけては、ブナ、カエデ、ドウダンツツジなどさまざまな広葉樹がああります。そのため、10月中旬から11月上旬頃には色とりどりの紅葉を楽しむことができます。美しい滝とのコラボレートは絶景です。
OSJ氷ノ山山系トレイルレース
氷ノ山を中心としたエリアを約78km走る壮大なロングトレイルレース。変化に富んだコースで、景色を楽しみながら走ることができます。時間制限もあるやさしくないレースですが、関西では珍しいロングトレイルに挑戦してみましょう。
氷ノ山おすすめコース【兵庫県側】
ここでは代表的なコース2つをご紹介します。
スタンダードのコースはこれ!
最高点の標高: 1489 m
最低点の標高: 562 m
累積標高(上り): 2035 m
累積標高(下り): -2035 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:6時間25分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
沢沿いを歩いて稜線に出るコース。滝や草花、単独行で有名な加藤文太郎が泊まった地蔵堂など見どころの多いコースです。
氷ノ山鉢伏口から福定親水公園の脇にある登山口までは舗装路を歩きます。登山口からすぐ川を渡渉する箇所があります。ここで増水しているようであれば、東尾根登山口からのピストンに切り替えた方がいいでしょう。すぐに急登が始まり、布滝、不動滝、地蔵堂を眺めつつ歩きます。氷ノ山越には避難小屋やベンチがあるので休憩におすすめです。
氷ノ山越からは兵庫と鳥取県境の尾根道が続き、氷ノ山山頂が見えてきます。ブナの原生林が美しい登山道ですが、足元の木の根には注意しましょう。こしき岩は巻いて進み、山頂へ至ります。山頂には避難小屋のほか、別棟で展望台とトイレがあります。360度のパノラマが広がり、晴れていれば遠く大山から日本海まで見渡すことができます。
氷ノ山山頂から東尾根休憩小屋まで、一部急坂がありますが、ほとんどはなだらかな尾根道です。笹が多いので足元には注意しましょう。東尾根休憩小屋からは、急な斜面ですが、整備された木製階段の区間が多く迷うところはありません。東尾根登山口からは舗装路を歩いて氷ノ山鉢伏口に戻ります。
体力に余裕のある方は挑戦!ぶん回しコース
最高点の標高: 1489 m
最低点の標高: 562 m
累積標高(上り): 2194 m
累積標高(下り): -1923 m
- 【体力レベル】★★★☆☆
- 日帰り
- コースタイム:7時間50分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
「ぶんまわし」というのはコンパスのこと。円を描くように周回するためこのように呼ばれています。鉢伏山のススキ原は広大で、登山と高原歩きを楽しめるコース。健脚の方には鉢伏山を周回する人もいるようです。
上記コースの反対周りで、氷ノ山越まで向かいます。氷ノ山鉢伏口から東尾根登山口までは舗装路を歩きます。すぐに樹林帯の急坂が始まり、整備された階段が続きます。階段のない急斜面がところどころにあるので注意して歩行しましょう。東尾根避難小屋を過ぎるとやや歩きやすい尾根道となり、神大ヒュッテを過ぎると木道等のある整備された登山道となり山頂を経て氷ノ山越へ至ります。
氷ノ山越から鉢伏山方面へ向かいます。赤倉頭からは、ロープ場や岩場のあるやや険しい山道が続きます。大平頭からは下りとなり、湿った急坂やロープ場は注意が必要です。下りきると、ハチ高原の見晴らしがよく、気持ちの良い稜線歩きとなります。小代越から右に折れ、ハチ高原のバス停へ下山します。
氷ノ山おすすめコース【鳥取県側】
ここでは代表的なコース2つをご紹介します。
ショートコースはファミリーにおすすめ!
最高点の標高: 1489 m
最低点の標高: 890 m
累積標高(上り): 959 m
累積標高(下り): -959 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:5時間25分
- 【技術的難易度】★☆☆☆☆
- ・歩きやすい靴と動きやすい服装が必要
往復5時間半くらいで、緩やかな傾斜で広い登山道と稜線歩きを楽しめる、初心者やファミリーにもおすすめのコースです。
登山口を進むとすぐに電気柵があるので中に入り杉林の中を歩きます。氷ノ山越への道は旧伊勢道で、周辺には石畳が残っています。だんだん周囲がブナ林となってくると氷ノ山越避難小屋はすぐそこです。氷ノ山越からは、スタンダードコースで山頂を目指し、下山は来た道を戻ります。
上級コースにチャレンジしたい人に!
最高点の標高: 1489 m
最低点の標高: 824 m
累積標高(上り): 972 m
累積標高(下り): -972 m
- 【体力レベル】★★☆☆☆
- 日帰り
- コースタイム:3時間55分
- 【技術的難易度】★★★☆☆
- ・ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力が必要
・地図読み能力が必要
険しいV字谷の急坂を登る仙谷コースで山頂に向かい、歩きやすい氷ノ山越コースで下山します。仙谷コースは渡渉や鎖場があるので、下りでの利用はおすすめできません。
登山口に入るといったんスキー場に出て、すぐに樹林帯へ入ります。緑に覆われたV字谷を何度も沢を渡り返しながら登っていきます。岩場、鎖場を通過すると沢歩きが終わり、ブナの多い登山道となり、仙谷分岐から右に折れて山頂へ。
下りは、鳥取県側ショートコース(氷ノ山越コース)と同じルートで下山し、ふれあいの里から舗装路で仙谷登山口へ戻ります。
氷ノ山の山小屋情報
氷ノ山にある山小屋情報です。いずれも無人の避難小屋となっています。
氷ノ山越避難小屋
氷ノ山越にある避難小屋。坂を登って尾根道に出たところにあり、休憩にもおすすめです。
東尾根避難小屋
東尾根登山口から上がり、坂を登りきったところにある避難小屋です。
山頂避難小屋
氷ノ山山頂にある避難小屋。2階には毛布なども置いてあります。風の強い日や冬は多くの人が利用しています。
氷ノ山登山口へのアクセス
氷ノ山のそれぞれの登山口へのアクセスをご紹介します。いずれの登山口もバスが近くまで走っており、通行しやすい道路状況です。
氷ノ山鉢伏口(福定親水公園登山口)へのアクセス
【クルマの場合】
北近畿豊岡自動車道「八鹿氷ノ山」IC-国道9号-関神社前(交差点) から県道87号-福定親水公園(約23km)
【公共交通の場合】
JR山陰本線「八鹿」駅から全但バス鉢伏行き乗車(50分)、「鉢伏口」バス停下車
ふれあいの里へのアクセス
【クルマの場合】
中国道「山崎」IC-鳥取自動車道「河原」IC-国道29号(若桜街道)-国道482号-氷ノ山自然ふれあい館響の森
【公共交通の場合】
若桜鉄道「若桜」駅より町営バス(つく米線)20分、終点「ふれあいの里」下車
仙谷登山口へのアクセス
上記、ふれあいの里より徒歩6分で仙谷登山口
氷ノ山の周辺情報
氷ノ山周辺の温泉情報と、登山口にあるキャンプ場の情報です。登山で疲れた体を癒して帰りましょう。キャンプ場で前泊するか、下山後にキャンプをするのもおすすめです。
とがやま温泉 天女の湯
肌に潤いあたえる炭酸水素イオンを多く含んだ温泉。眺めの良い展望の湯や自然石を使った広い露天風呂が自慢です。誰でも快適に利用できるよう、医療・福祉の専門家によって工夫されています。併設のお食事処では、地元但馬の食材を使ったメニューが好評です。
若桜ゆはら温泉ふれあいの湯
氷ノ山のふもとにある、切妻風木造平屋建て温泉施設。自然にとけこんだつくりで、ガラス窓の外には山の緑が広がります。お風呂上りには休憩できる畳の部屋もあり、登山やスキーで疲れた体を癒して帰ることができます。
福定親水公園キャンプ場
氷ノ山登山口でもある福定親水公園は、八木川の最上流域にある自然に囲まれた公園です。訪れるだけなら入場は無料ですが、施設利用には料金がかかります。
氷ノ山を楽しもう!
氷ノ山は、登るコースによってさまざまな表情を見れる山です。西側は急峻な斜面ですが、山頂付近はなだらかで、尾根歩きや沢沿い歩きも楽しめます。鉢伏山方面へ足を伸ばせば高原歩きも。また、単独行で有名な加藤文太郎が泊まったとされる場所、旧伊勢道などがあり、歴史を感じられる山でもあります。ぜひ自分に合ったコースで登ってみてください!